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PCR(製品カテゴリールール)とは?概要やEPDとの関連も解説

公開日 2025.09.15 最終更新日 2025.09.16

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

PCR(製品カテゴリールール)という言葉をご存じでしょうか。EPD(製品環境宣言)の検証において、PCRの策定は非常に重要です。

気候変動などさまざまな課題を抱える時代において、企業の環境への配慮はますます重視されています。特に、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法により、製品やサービスのライフサイクル全体の環境負荷を定量化する方法に注目が集まっています。PCRの策定により、さまざまな産業分野の環境影響の公平な評価が可能となります。

今回はPCRについて関連するEPD(製品環境宣言)についての概要や、策定方法まで詳しく解説していきます。

PCRとは 

ここではPCRについて概要や準拠する国際規格ISOについて解説していきます。

PCR(製品カテゴリールール)の概要

「PCR(Product Category Rule)」は、国際規格であるISO14025やISO/TS14027に準拠した製品カテゴリーごとの、共通のLCA(ライフサイクルアセスメント)の算定ルールのことです。ISO とは「International Organization for Standardization」の略であり、スイスに本拠地を置く「国際標準化機構」のことを指します。

ISOは国際的に通用する規格であり、ISOが制定した規格をISO規格といいます。透明性の高いプロセスを経て策定される世界的に信頼性の高い規格です。

国際規格内容使用例
ISO14025LCAに関するさまざまな規格と連動し、第三者による検証プロセスの設定や製品カテゴリールール(PCR)の作成環境ラベル及び宣言を行う。エコリーフ(日本)・EPD(スウェーデン)・IBU(ドイツ)・UL(アメリカ)等
ISO/TS14027製品やサービスのライフサイクル全体による排出する温室効果ガスの量を測定する。ISO 14040及び、ISO 14044で規定されたLCAの原則に基づくカーボンフットプリント

PCRの目的

PCRはステークホルダーに対して、どのような条件で算定を行っているかの情報を提供し、コミュニケーションの内容についての理解を向上させることが目的です。

PCRの重要性

PCRを策定する重要性は、それにより製品の環境影響を共通のルールで算定・比較できることです。これにより、さまざまな産業分野の環境への影響の公平な評価が可能となります。そして信頼性のある環境宣言や、取引基準の基盤とすることが可能です。また国際的な枠組みにおいても、ISO14025準拠のEPDプログラムで策定するPCRは重視されています。特に欧州では「Eco Platform」の枠組みにより、大多数のEPDプログラムオペレーターが共通スタンダードとしてPCRを参照しています。

PCRでは以下のような事柄について定められます。

  • PCRを使用可能な製品の定義(PCR記載された製品のみが対象等)
  • 算定する際の算定単位(製品1台あたり・製品1kgあたり・製品1mあたり等)
  • 算定に含める評価の範囲(算定対象は原材料調達から製造、流通、使用、廃棄まで等)
  • 対象とすべき環境影響について
  • データ収集が必要な項目(製造段階では○○と○○の一次データが必須等)
  • データ収集が困難なときの対処法(海外での輸送距離が不明な場合は○○kmとして計算等)
  • 宣言に書かなければいけない記載必須事項(有害物質を合わせて記載しなくてはならない等)

引用:SuMPO EPD「PCRとは」

LCAとは

LCAとは

「LCA」とは英語の「Life Cycle Assessment(ライフサイクルアセスメント)」の略です。LCAとは、わかりやすくいうと、企業の事業活動における環境負荷を定量化して見える化する手法です。ライフサイクルとは、原料の調達から製造、流通、使用、廃棄、リサイクルまでを含めた、製品のゆりかごから墓場までの一生を指します。

LCA手法では、ライフサイクル全体における各段階の資源や、エネルギーの投入量、排出物の量などを定量的に把握することができます。そのためそれぞれの段階の環境負荷低減に向けた効果的な取り組みを、実施することが可能です。

LCAについては、こちらの記事もぜひご覧ください。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?わかりやすい徹底解説

PCRとEPDの関連性

ここではEPDについて解説していきます。EPDとは「製品環境宣言」のことで、PCRの策定は主にEPDの検証を行う際の労力を軽減することを目的としています。

EPD(製品環境宣言)

EPDとは、「Environment Product Declaration」の略で、「製品環境宣言」のことで環境ラベルとも呼称されます。環境宣言(ラベル)とは、製品やサービスが環境負荷低減にどれだけ貢献しているかを示すマークや目印のことです。消費者が環境に配慮した商品を選びやすくし、事業者が環境への取り組みをアピールするのに有効な取り組みです。

EPDは、国際規格に準拠したPCRを用いてLCAで得られたデータに基づき、製品の環境影響を測定します。EPDはさまざまな用途に活用が可能なため、製品製造やプロセス効率の向上にも活用でき、建築物全体の評価スキームやその他の比較ツールにも活用できます。そのためマーケティング資料としても有効です。EPDは世界中で活用されており、消費者が環境に配慮した製品を購入するための指針となります。

企業にとってEPDは以下のようなメリットがあります。

  • 炭素、オゾン、酸性化など、製品の環境への影響に関する定量化されたデータを提供
  • 事業の環境影響への透明性向上により、顧客の信頼性が高まる
  • 国際的に認められた基準を通じて製品の評判が向上する
  • ライフサイクル全体の管理を可能にする
  • エネルギー、材料、輸送コストの効率化をサポートできる

また対応している産業分野は以下のように多義に渡ります。

農業・林業・漁業・鉄鋼業・建設業・電気機械器具製造業・化学製品業・サービス業・繊維業・輸送機器業・アパレル業・製紙業・プラスチック製品業・金属業・食品業・飲料業

EPDについてはこちらでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

EPD(製品環境宣言)とは│SuMPO EPDについても解説

SuMPO EPD

「SuMPO EPD」とは、「一般社団法人サステナブル経営推進機構」が運営する、製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境への影響を客観的に開示するための国内のEPDプログラムのことです。2024年に「エコリーフ環境ラベル」から「SuMPO EPD」と名称が変更されました。

EPDと同じく、国際規格ISO14025に準拠し、LCA手法を用いて環境への影響を定量的に算定し、第三者検証を行います。SuMPO環境ラベルプログラムには、さまざまな製品のPCR情報が登録されています。

PCR策定方法

PCRの重要性

新たなPCRの策定を希望する場合は、GPIを確認し、以下に示す流れに沿ってPCR策定提案を行います。

GPIを確認

PCR策定提案を行う際は、GPI(General Program Instructions)を確認する必要があります。2024年から新たなプログラム要件であるGPIを公開し、運用が開始されています。新しいGPIが発行されても、既に公開されているEPDや、CFP宣言の有効性には影響することはありません。ただし現在策定中のPCRは、原則として最新版のGPIに合わせなくてはいけません。また、PCRの著作権すべては、「一般社団法人サステナブル経営推進機構」に帰属します。そしてSuMPO環境ラベルプログラムのEPD取得においてのみ、利用が可能です。

1. PCR策定提案書を作成

該当する製品分野についてのPCR策定提案書を作成後、事務局に提出します。

2. PCRモデレーターを決定

次にPCRモデレーターを決定します。PCRモデレーターは事務局から選定する場合と、事業者からの立候補の二通りがあります。PCRの策定には策定発起者に大きな工数・コスト等が発生することがあります。そのため事務局がLCAエキスパートの中から「PCRモデレーター」を選定する「PCRモデレーター制度」を使用することで、負担を軽減することが可能です。

3. PCR-WG(ワーキンググループ)メンバーの募集

PCR-WGのメンバー募集を行います。

4. PCR原案作成・認定申請

PCRモデレーターが中心となり、PCR-WGでPCR原案の策定を行い、PCR認定申請書にPCR原案、試算結果を添えて事務局へ提出します。

5. 意見公募

PCRの原案が作成されたら、公開して意見を公募します。集まった意見への対応は、原則としてPCRモデレーターを中心としたWGメンバーが行うことになっています。そして、それらの意見対応について「意見公募結果報告書」を作成し、必要に応じて修正した「PCR原案」とあわせて事務局に提出します。その後、レビューパネルにてPCR原案の確認や合否判定を実施します。

6. 合否判定・公開

レビューパネルにより合否判定が決定し、Webサイト上にて公開されます。

参照:SuMPO EPD「PCR策定手順」

まとめ

LCA手法により、製品やサービスのライフサイクル全体の環境負荷を定量化するために重要なEPDにおける製品分類別基準であるPCRについて、わかりやすく解説しました。

PCRの策定やEPDの取得は、いまやグローバルに活躍する企業に欠かせない時代となっています。ぜひ本記事でPCRの策定やEPDについての知見を深め、自社の環境価値の向上への一歩を踏み出してください。

株式会社ゼロックでは専門的な知見を活かし、国際規格に準拠した環境負荷の算定から、環境ラベルの取得まで支援提供を行っています。

SuMPO EPD・CFP取得に向けて相談してみたいという企業担当者の方は、お気軽にお問い合わせください。

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