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排出量算定

CBAM日本語訳&解説 | 公式Q&Aを読む【随時更新】

公開日 2025.01.24 最終更新日 2025.02.06

松井 大輔

株式会社ゼロック 代表取締役 監修

目次

CBAMには様々な公式資料がありますが、その中でもQ&A集はかなり有用であり、実際に私たちがCBAMの支援をする中でもかなり参考にしています。

本記事では、CBAMのよくある質問と回答集の全日本語訳、ならびにそれらの中から日本企業にとって重要な部分をピックアップしてご紹介します。

なお、弊社が独自で記載した内容であり、CBAMの公式見解とは異なることにご注意ください。

また、最新のQ&Aが反映されていない可能性もありますので、必要に応じて原文のご確認をお願いします。

特に、CBAMで規定される独特な英単語の日本語訳はまだ皆さん迷われていると思いますが(例:Installation)、本文章では内容に重点を置きそれら言葉遣いはぶれる可能性もあることご了承ください。

また、CBAMの実践的な知識を得られたい方や、「妥当で簡単な」計算方法、サプライチェーン対応方法などでご相談の方は、ぜひ当社のコンサルティング事業部までお問い合わせください

最新更新内容の重要点(2024年12月17日アッデート)

CBAMのQ&Aは、都度「質問・回答の追加」「質問・回答の修正」が行われています。

2024年12月17日においてアップデートされた内容の中から、重要な部分をピックアップして解説します。

Q40 CBAM四半期報告書の提出を確実にするために、報告申告者は第三国の生産者にどのような情報を求めるべきか?

回答CBAM申告者は、実施規則の附属書含まれる情報をCBAM報告書に記載しなければならない。
必要な情報をすべて確実に入手するために、報告申告者は、前述の実施規則の附属書IVに記載されている情報を生産者に要求する必要がある。欧州委員会の業務は、事業者と輸入業者間の情報伝達を容易にするため、これらの情報を任意の伝達テンプレート(Excel形式)にまとめた。このテンプレートは欧州委員会のウェブページで入手できる。
2025年1月初旬から、CBAMレジストリの新しいポータルサイトが開設され、EU設置事業者は、合理化された方法で、施設と排出量データをアップロードし、申告者と共有できるようになる。CBAMの申告者は、EU域外の事業者から提供された情報を暫定レジストリで検索できるようになる。”排出量”タブの新機能により、申告者は”第三国設備登録簿で検索”し、そこからそれぞれの施設と排出量データにアクセスすることができる。これが機能するためには、CBAMの申告者はEORI番号をCBAM登録簿外のサプライヤーと共有する必要がある。将来の更新では、事業者は、関係のあるすべての申告者と情報を共有するオプションが与えられる予定である。
解説●CBAMへの提出書類
実は、現在、輸入者がCBAMのシステムにおいて入力する内容は、実施規則に記載してある必須内容よりも少なくなっています。
しかし、このQ&Aからもわかる通り、最終的には排出量以外の情報も必要となりそうです。

●輸出者の登録
今までは輸入者側からしか排出量が登録できませんでしたが、今後輸出者側からも排出量が登録できるようになります。これにより、秘匿情報をうまく隠しながらCBAMに対応できるメリットが考えられます。
また、日本企業は全て輸出者となりますので、今後以下のような対応になる可能性があります。

①自社製品の排出量等算定
➁自社や製品の排出量の情報を登録
➂輸出先から要望されたときは、「➁の情報を見ておいて」と連絡

難しいのは、日本企業の顧客からの要請に対してです。
国内の事業者はこのデータベースにアクセスできないことが想定されますので、結局情報の連携は必要になるかもしれません。

Q71 前駆体がCBAM製品自体とは異なる国で生産されている場合、間接排出はどの排出係数を報告すればいいか。

回答2つのケースが考えられる:
①CBAM製品及びその全ての前駆物質を生産するために消費される
電力の排出係数の値は既知である:申告者は、関連する全ての国(すなわち、CBAM製品の生産国と関連する前駆体の生産国)の排出係数の(加重)平均値を、移行登録簿に提出しなければならない 。申告者は、コミュニケーションテンプレートのSummary_Communicationタブの情報から、SEE(間接)の値を体化電力の値で割って、加重平均排出係数を計算することができる。欧州委員会は、この加重平均を自動的に計算するように、コミュニケーションテンプレートを変更した。
②あるいは、排出係数の全データが入手可能でない場合、申告者は、移行登録簿で「IEAデータに基づく委員会」を選択し、なおかつ総電力消費量(生産国に依存しない前駆体を含む)を提供すべきである。その場合、申告者は、「排出係数の値の出典」欄にその旨を記載しなければならない。例えば、「前駆体はX国で生産されているが、電力の排出係数は入手できない」 と説明することができる。)更なる説明を行うために、我々は報告者に次のことを求める。
申告者は、”Supporting Documents “のコミュニケーション・テンプレートもアップロードすること。

「IEA データに基づく欧州委員会」を選択した場合、「排出係数」フィールドには、生産国の欧州委員会排出係数が自動的に入力されることに注意。
解説計算上かなり重要な部分です。
日本企業にとって重要な鉄鋼材料やアルミニウム材料は、複数の国をまたいで生産されることもあります。特に日本のアルミニウム材料においては、1次地金が国内で生産されておらず、複数国からの輸入に頼っています。
そのため、CBAMで報告する値を決定するうえでは、これら情報を収集することと、計算に反映させる必要があります。

ただし、実務上一次データを全ての国にさかのぼって把握することは現実的ではないため、当社で進めている計算では、ある程度の推定と外装のもと、手間を抑えて計算されるようにしています。

Q77 デフォルト値とは?これはどのように機能するのか?

回答(中略)
デフォルト値を用いて総体化排出量の20%を決定する可能性は、ある四半期の全ての輸入複合商品の総体化排出量に関係するものではなく、 各輸入複合CBAM製品の具体的な直接排出量(すなわち、 報告されたCBAM製品が生産された特定の施設)に関連するものである。
2025年の経過措置期間終了までに、欧州委員会は収集したデータに基づき、デフォルト値を評価する。
移行期間中は、グローバルなデフォルト値(CBAM適用範囲内の各CNコード)しかない。その後、本格適用期間中は、国別あるいは地域別のデフォルト値が利用可能になる。
本格適用期間中、CBAM申告者は、実際の排出量データが入手できない場合、量的制限のないデフォルト値を使用することができる。しかし、体化排出量の計算を提供することは、輸入者にとってより有利になる可能性が高い。
解説デフォルト値についての回答は重要でないため(中略)としましたが、この回答では2点確認すべきポイントがあります。

まず、当然ですが、「デフォルト値を20%まで使ってよい」とは、ある輸入者が総排出量に対して20%という意味ではなく、一つ一つの製品の計算において、という意味です。
輸出数が少ない製品だからといって、デフォルト値にまとめてしまえるわけではないことに注意が必要です。

一方、本格移行後の記載として、「実際の排出量が得られない場合はデフォルト値の利用が可能」と記載があります。CBAMに対応する場合、排出量が計算できないと輸出禁止の可能性を考えていた方もいるかもしれませんが、そのような最悪のケースは排除されているといっていいでしょう。

そのため、あとはお金の話が重要となります。
デフォルト値は計算値より高くなることは当然ですので、例えば鉄鋼製品で考えると
・計算値:2 ton-CO2/t-鉄鋼
・デフォルト値:3 ton-CO2/t-鉄鋼
のような比較になり、炭素税を踏まえて、1トンの鉄鋼あたり1~2万円ほど税金が高くなるのかもしれません。
このあたりの数値計算、会社としての方針決定や、炭素税を低くするための算定方法は癖がありますので、弊社でも力をいれて支援していく予定です。

一番問題なのは、適当に対応して「ルールで禁止されていることをしてしまった」ことなので、弊社としてもルールに基づき(もしくは、ルールを踏まえて)最適解をご提案するようにしています。

Q86. 体化排出量を決定するために、鉄鋼・ アルミニウム製品のどの製造工程を考慮する必要があるのか?

回答システム境界内にある鉄鋼製品のプロセスは、実施規則附属書IIの3.16.1節に定められている。
再加熱、再溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、鍛造、酸洗、焼鈍、メッキ、コーティング、亜鉛メッキ、伸線、切断、溶接、仕上げなどが含まれる。
アルミニウム製品については、実施規則附属書Ⅱの3.18.1項で、システム境界内にあるプロセスが定められている。これには、再加熱、再溶解、鋳造、圧延、押出、鍛造、コーティング、亜鉛メッキ、伸線、切断、溶接、仕上げなどが含まれる。
これらの工程が二次施設で発生した場合、または他社に委託され、その後商品が一次施設に戻された場合、一次施設で発生したものとして扱われることがある。
解説プロセス自体は、もともと規定されていたものが細かく記載されているだけですが、実際ここまで集めないといけないのか。と思った方も多いかもしれません。
これらのプロセスは、1事業者のみで実施されていることはほとんどないため、遡って取得する必要があります。

また、「一次施設(Primary Installation)」「二次施設(Secondary Installation)」という言葉で表現されている部分が注目です。
鉄鋼製品において、一部加工だけを外注しているケースは多いと思いますが、それらは「一次施設」の情報としてあつかう場合もある(may be treated)としています。

少なくとも、施設情報として外注先を記載しないでいいことはありがたい情報です。
一方で、小さい外注先の場合、エネルギーデータや歩留り情報を得ることが難しい場合もありますが、発注者の責任として情報収集することが望まれています。

Q129. CBAM証明書の価格はどうなるのか?

回答欧州委員会は、オークションプラットフォームにおけるEUETS排出枠の終値の平均として、CBAM証書の価格を週ごとに算出する。この価格はユーロ建てで算出され、一般に公開される。
CBAM証書は1枚につきCO2換算量1トンに相当する。
解説回答自体が特徴ではありませんが、事実が重要なため抜粋しました。
CBAMは、最終的にいくらのコストなのかを想定することがとても重要です。炭素価格がいくらかを踏まえた算定と報告を戦略的にする必要があるため、EUETSの価格は常に確認する必要があります。
なお、2025年1月現在、EUETSの価格は約81EUR/ton-CO2(1トンあたり1.3万円)となります。

日本企業においての重要部分とその解説

日本企業がCBAM対応をするうえで、重要なポイントを記載しました。

今までと同様、弊社の考えが含まれていますのでご注意ください。

ライフサイクルアセスメン(LCA)/ライフサイクルインベントリデータベースからの排出係数は受け入れられるのか?

回答ライフサイクルアセスメント(LCA)/ライフサイク ルインベントリデータベースからの排出係数は、 CBAM報告書の組込み排出量の計算には使用できない。
(中略)
EU域外の事業者向けのガイダンス文書6.2.1節と 表6-1で説明されているように、体化排出量の概念は、ライフサイクルアセスメント(LCA)や製品カーボンフットプリント(PCF)の範囲よりも狭い。そのため、LCAデータベースの排出係数を用いることは、体化排出量を著しく過大評価する。これは、EUETSの対象となる排出量を反映させることを目的としたCBAMの設計に反している。確定段階では、輸入業者がこのような排出係数を使った場合、あまりにも多くのCBAM証明書を引き渡さなければならなくなる。
しかし、LCA データベースのプロバイダーが、将来 CBAM 互換のデータセットを開発する可能性は排除できない。CBAM商品を生産する施設のオペレーターは、オペレーターが正しいデータを報告する責任があるため、データベースの文書が、データベース値の基礎となるシステム境界がCBAMに適しているという証拠を提供していれば、そのようなデータベースを使用することができる。
解説かなり重要なポイントです。

CBAMの特長的な部分は、なによりサプライチェーンに渡る1次データを集めることが義務化されていることです。
2024年まではデフォルト値の利用が認められていましたが、それ以降、制度上サプライヤー(Tier1,Tier2、Tier3、・・・)すべての情報を収集する必要があります。

本Q&Aでも、今までのガイダンス通り「使用できない」と最初に言及していますが、その理由としてインベントリデータベースがCBAMの範囲と同様でないことを理由としています。

また、そのようなデータベースがあるならば、今後データベースを使用することができるとしています。

そこで、現在、弊社では、IDEAやEcoinventのデータベースをCBAM用に作りかえて利用可能なデータベースの開発をしています。
このデータベースにより、今後サプライヤーからのデータ収集が不要になる可能性があります。

まだ、このような自主的な算定が許可されるかは不明ですが、CBAM用データベースに興味のある方、共同で利用を検討したい方はご連絡ください。

サプライヤーが報告期限までに必要な情報を送ってくれない。どうすればよいのか?

回答(中略)
最終的には、報告申告者がCBAM報告書の完全性と正確性を確保する責任を負う。報告申告者は、CBAM報告義務を遵守しなかった場合、また訂正手続きに従って完全かつ正確なCBAM報告書を提出する義務を遵守するために必要な措置を講じなかった場合、責任を負い、罰則の対象となる可能性がある。
(中略)
申告者はCBAM商品の供給者または生産者から実際の排出量データを入手するために、可能な限りの努力をしなければならない。最終的に実排出量のデータを入手できなかった場合、申告者は、「判定の種類」の欄で、「実データが入手できない」という新しい選択肢を選択しなければならない。このオプションは、直接排出と間接排出の両方に適用される。このオプションを選択した場合、CBAM報告書は不正確/不完全とみなされることに注意。
さらに重要なことは、「実際のデータは入手できない」というオプションを選択した場合、者は以下のステップにも従うことが求められるということである:
(1) 「追加情報」欄には、実際の排出量データが欠落している理由についての正当な理由を記入する。
(2)「補足」タブで、サプライヤーおよび/または生産者からデータを取得するために失敗した努力と手順を証明する補足文書をアップロードする。
「実データを入手できない」オプションを選択した場合、「排出量」タブの後続のフィールドは編集不可能となり(すなわち、直接排出の場合:「報告方法のタイプ」フィールド、間接排出の場合:「排出係数の出所」 フィールドと電力の出所」フィールド)、数値フィールドは自動的「0」で埋められることに注意。
(中略)
解説サプライヤーからの情報収集に困っている企業は多いのではないでしょうか。

データが得られないときにどうするのか、その答えはCBAM上では「努力する」の1点となっています。
ただ、頑張っても難しければ、デフォルト値といった回避策を用意してくれています。

難しいのは、どこまでやれば努力すると認められるのか、もうあきらめていいのか、その基準は現時点でないことです。

よくある環境負荷の算定の現場の観点から、私の意見としては、すくなくともサプライヤーに質問表などを投げることは必須であり、それ以上を求められることはあまりないとは思っています。

また、回答はきたものの、明らかに間違っている(排出量が大きすぎる/小さすぎる)情報に対してどの程度責任を持つのか、ここもまた問題です。

アルミニウム/鉄鋼製品の排出原単位は、異なる合金等級について個別に決定すべきか?

回答具体的な体化排出量は、異なる生産ルートが設置されている場合を除き、一般的に、商品カテゴリーごとに決定される。集計される製品分類は、異なるCNコードを持つ製品を対象とする場合がある。同じCNコード内でも、合金元素の含有量や投入スクラップの割合が異なる場合がある。それにもかかわらず、移行期間中の体化排出量は、製品分類ごとに報告することができる。
事業者は、特定の商品または商品グループについて、より細分化された特定の組込み排出量の決定を自主的に選択することができる。
解説1つの施設(installation)において、「aggregated goods category」ごとの算定で問題なく、鋼種ごとの算定は必要ない(してもよい)としています。
つまり、細かいCNコードごとの算定などはいらず、施設ごとの排出量でOKという意味です。(正しくは、ある施設で生産される鉄鋼材料は、すべて同じ排出原単位と計算してOKという意味)

現状細分化のモチベーションはないので、楽な計算方法を選ぶべきでしょう。

ただし、「施設(installation)」が、会社単位でOKとする明確な記述はありません。

工場単位で計算するのは問題ないでしょうが、会社単位でも問題ないのかは検討する必要があります。弊社としては、細かい企業ごとのスタンスに応じて、お勧めを変えています。

すべてのQ&Aの日本語訳

全般的な質問(Q1~Q21)

質問回答
なぜEUは炭素国境調整メカニズム(CBAM)を導入するのか。EUは気候変動対策の国際的取り組みの最前線に立っている。欧州グリーンディールにより、1990年比で2030年までに温室効果ガス排出量を55%削減し、2050年までに気候中立を達成するという目標が設定された。2021年7月、欧州委員会はこの目標を現実化するために「Fit for 55」政策提案を行い、その多くが現在EU法に署名されており、この中にはCBAMも含まれている。

EUが気候目標を引き上げる一方で、いくつかの非EU諸国では環境政策が緩やかなため、「カーボンリーケージ(炭素漏れ)」のリスクがあり、これにより、EU企業が炭素集約型生産を国外に移転したり、EU製品がより炭素集約的な輸入品に置き換えられる可能性がある。CBAMは、このようなカーボンリーケージを防ぎ、EUおよび世界の気候目標の達成を支援している。
CBAMの現在の実施段階は。CBAM規則(EU 2023/956)は、2023年5月10日に欧州議会および理事会によって署名され、移行期間として2023年10月1日に施行された。最初の四半期報告は2024年1月31日までに提出される予定である。移行期間中の排出量報告に関する規則は、実施規則(EU 2023/1773)で具体化されている。

2026年1月には本格的なCBAMの運用が開始される予定で、現在は「CBAM移行期登録簿」(報告用ポータル)の設置や二次法案の準備が進められている。

欧州委員会は、移行期間中のCBAMの適用に関する詳細なガイダンスを公開した。これらには、詳細なマニュアル、ウェビナー、eラーニング、およびその他の資料が含まれる。実施をサポートするすべての情報は、委員会のCBAMウェブページからアクセスできる。
CBAMはどのように機能するのか。CBAMはEUの国際的な義務やWTO(世界貿易機関)のルールに準拠しており、以下のように機能する:

①CBAMはEUに輸入される製品の体化排出量に基づいて適用される。この排出量はEU内で同じ商品を製造する場合のEU排出量取引制度(EU ETS)の基準に従って計算される。
②2026年の本格的なCBAM運用開始時には、EU輸入業者がCBAM証書を購入する必要があり、これによりEUの炭素価格が適用される。
③非EU生産者が第三国で炭素価格を支払っている場合、その金額はCBAM義務額から差し引かれる。

したがって、CBAMは、非EU諸国の生産者が生産プロセスをグリーン化することと、各国がカーボンプライシング措置を導入することを奨励しながら、カーボンリーケージのリスクを減らすのに役立つ。

企業やその他の国に法的確実性と安定性を提供するため、CBAMは段階的に導入されており、最初はカーボンリーケージのリスクが高いセクター(鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、水素、電気)の一部の製品にのみ適用される。2023年10月1日に開始された移行期間中は、円滑な展開を促進し、第三国との対話を促進することを目的として、これらの製品に報告システムが適用される。輸入業者は、2026年にCBAMの財務調整の支払いを開始する。
CBAMはEU排出量取引制度(ETS)とどのように連携するのか。EU排出量取引制度(ETS)は、世界初の国際排出量取引制度であり、EUの気候変動対策の主要政策である。発電所や大規模な産業施設から排出される温室効果ガスの量に上限を設定している。排出枠はETS取引市場で購入しなければならないが、炭素の漏れを防ぐため、一定数の排出枠が産業界に無料で配布されている。脱炭素化へのインセンティブを強化するため、CBAMは無料排出枠の段階的に導入される。EU ETSでは、すべてのセクターで、無償排出枠の数は時間とともに減少する。CBAMセクターについては、EUの野心的な気候変動目標を達成する上でETSが最大の効果を発揮できるよう、2026年から減少が加速される。同時に、CBAMの財政調整は、段階的なスケジュールに従って行われる。

CBAMは、EUに輸入されるCBAM製品の組み込み排出量に対応する証書システムに基づいている。CBAMは、”キャップ・アンド・トレード “制度ではないため、必要とされるいくつかの限られた分野でETSから逸脱している。EUETSとは異なり、証書の購入枚数は無制限である。とはいえ、CBAMの証書価格はETSの排出権価格を反映したものとなる。
CBAMはEU域外の他のETS制度とどのように互換性があるのか。CBAMは、輸入品が以下のような「不利な扱いを受けない」ことを保証する。
特に3つのCBAM設計の特徴のEUの製品:
o CBAMは、体化排出量の「実績値」を考慮する。つまりEUに輸出する企業の脱炭素化努力は、CBAMの支払いを少なくすることにつながる。
o CBAM商品の輸入のために購入するCBAM証明書の価格は、EU排出量取引制度(EU ETS)の下でのEUの生産者と同じである。
o EU域外で支払われた実質的な炭素価格は、二重価格を避けるために調整額から差し引かれる。

第三国で支払われる炭素価格は、例えば、確立された排出量取引制度によるものである。欧州委員会は、経過措置終了する前に、海外で支払われた実質的な炭素価格を考慮するための規則とプロセスを策定するための二次法を採択する予定である。経過措置期間中、申告者は、リベートやその他の補償を考慮した上で、輸入品に含まれる排出量に対して原産国で支払われる炭素価格を報告する必要がある。
新機構はどのセクターをカバーし、なぜそのセクターが選ばれたのか。CBAMは当初、以下の商品の輸入に適用される:
セメント、鉄鋼、アルミニウム、肥料、水素、電気

これらのセクターは、特定の基準、特にカーボンリーケージのリスクが高いことと排出強度が高いこと、つまり、完全に段階的に導入されると、ETSがカバーする産業セクターの排出量の50%以上を占めることになるという基準に従って選択された。将来的には、CBAMは他のETSセクターに拡張される可能性がある。
CBAM規則はどの商品に適用されるのか。・CBAM規則はCNコード(Combined Nomenclature)に適用される。CNコードはHSコードに2桁を加えたもので、EU域外への輸出の際に商品コードとして使用される。

体化排出量を報告しなければならない全ての製品は、CBAM規則の附属書Ⅰに記載されている。これらは「CBAM製品」と呼ばれる。「鉄鋼」などのセクターは、情報提供のみを目的として記載されている。例えば、アンモニア(肥料CNコード2814 10 00または2814 20 00)の輸入は、アンモニアが肥料の生産に使用されなくてもCBAM規則の対象となることを意味する。

欧州委員会は、EUへの輸入者のためのCBAM自己評価ツールを開発した。このツールは、輸入品が経過措置期間中にCBAMの対象となるかどうか、特定の品目に対するCBAMの報告要件は、さらに詳しいどこで入手できるかについて、簡単に概要を知ることができる。このツールは、欧州委員会のCBAMウェブサイトの「ガイダンス」のセクションから入手できる。
CBAMは、完成品や半完成品のカーボンリークにどのように取り組むのか。CBAMは主に基礎素材と基礎素材商品に適用されるが、ファスナー(CNコード7318 XX XX)のような完成品/川下製品にも適用される。

CBAM規則は、経過措置期間の終了時に見直され、選択された基準に基づいて、ETSの対象品目やセクターが追加される可能性があるかどうかが評価される。
CBAMは「中古品」に適用されるのか。CBAM規則は、EUに輸入される、すなわちEU単一市場で自由に流通するために放出されるすべての商品に適用される。
CBAMは「返送品」に適用されるのか。返送品とは、EU関税法(規則(EU)第952/2013号)第203条に定義される物品であるこれらの商品は、元々連合国商品として輸出されていた。または、以前に自由流通のために解放されていたため、以前は連合国商品であり、一定の条件(例えば、以前に輸出されてから3年以内に自由流通のために解放されている)を満たすため、自由流通のために解放され、免税の恩恵を商品である。これらの貨物が返送品として認められる条件は関税おり、所管の税関当局は、EU域内で自由流通させるために貨物を申告する際に、これらの条件が満たされているかどうかを評価する。

移行期間中、CBAMの報告義務は、EU関税法第203条で定義されている返送品には適用されない。その結果、体化排出量を四半期CBAM報告書に記載する必要はない。しかし、EU関税法第205条に定義されている返品商品については、報告義務は免除されない。第205条は、当初輸出された後、インワード処理された返送品に適用される。

確定期間中、申告者は、年次CBAM申告書において、EU関税法第203条に定義される返品された商品を報告しなければならないが、その商品に対応する総体化排出量は「ゼロ」と入力しなければならない。EU関税法第205条に定義される返送品については、申告者は、他のCBAM輸入と同様に、体化排出量を報告しなければならない。

上記の「返送品」に関する規定は、非EU原産品にのみ適用される。逆に、EUに返送された時点で(原産地規則に従って)EU原産品である商品については、CBAMは適用されない。
CBAMは包装にも適用されるのか。CBAM報告義務は、包装のCNコードが税関申告書に記載され、CBAM規則の附属書Ⅰに該当する場合に適用される。
CBAMは軍用品に適用されるのか。CBAM規則第2条(3)(c)に規定されているように、CBAMは、連邦関税法典委任法(UCC-DA)2015/2446の第1条(49)に従い、軍事活動の文脈で移動または使用される貨物には適用されない。

ただし、UCC-DA(2015/2446)第1条(49)は、上記条文のa)およびb)に規定されている軍事活動の文脈で、軍事部隊間(例えばNATOの拠点間)で移動される物品にのみ言及していることに留意。したがって、UCC-DA第1条(49)が規定する定義は、EU軍に販売される商品などの商業商品の移動には適用されない。つまり、EU域内に設立された営利企業によって生産、修理、加工され、EU販売される商品には、CBAM規則が適用される。

UCC-DAの第1条(49)に定義されている軍事活動の文脈で移動または使用される軍用品の国境を越えた移動の場合、税関の目的で使用できる書類は、第1条(50)に定義されているNATOまたはEU Form 302である。

規則(EU) 2015/2446(UCC-DA)の(51)。これらの貨物が Form 302 により申告される場合、CBAM の対象外であることは明らかである。それ以外の方法で申告される場合は、CBAM規則第2条(3)(c)に基づき、CBAMの対象外であることを税関申告書に明記することをお勧めする。NATOおよびEUの302書式の使用に関する詳細情報は、TAXUDのガイダンス文書「軍事軍EUにおける税関手続き活動の文脈で移動または使用される(302書式の使用)」に記載されている。

さらに、EU加盟国の軍事当局によって、または軍事ために輸入された物品であっても、UCC-DA第1条(49)に言及されている活動に移動または使用されるものではない場合、その物品はCBAMの免除の恩恵を受けることはできないことに留意すべきである。

情報の完全性を期すため、UCC-IA第324条(1)(c)および(3)によれば、航空機の引渡しのために対内加工された物品で、再輸出とみなされるものは、修理がこの規定の範囲内であることに留意。この場合、CBAMは適用されない。
CBAMは、マヨットやラ・レユニオンといったEUの最外縁地域で生産された商品にも適用されるのか。CBAM規則は、第三国を原産地とし、EUの関税地域に輸入されるCBAM商品にのみ適用される。EUの関税領域を構成する地域のリストは、EU関税法(規則(EU) No 952/2013)の第4条に記載されている。ラ・レユニオン、マヨット、グアドループおよびマルティニークはEUの関税地域に含まれるため、CBAM規則はこれらの地域で生産された商品には適用されない。
CBAMの対象となる第三国は。原則として、すべての非EU諸国からの輸入品がCBAMの対象となる。しかし、EU排出権取引制度(ETS)に参加している、あるいはEU排出権取引制度と連動している一部の第三国はCBAMから除外されるため、同じ製品に対して炭素価格が二重に支払われることはない。欧州経済領域(EEA)加盟国やスイスがこれに該当する。

CBAMは、EUとの電力市場の統合を望む国々を含む第三国で発電され、そこから輸入される電力に適用される。これらの電力市場が完全に統合され、一定の厳格な義務や約束が履行されれば、該当国は2030年までCBAMを免除される可能性がある。
英国原産のCBAM商品の輸入を報告する必要があるのか。英国を原産地とする商品の体化排出量は、移行期間中に報告する必要がある。
移行期間中は何が起こるのか。2023年10月1日から2025年末までの移行期間中、報告する申告者(輸入者または間接的な通関代理人)は、四半期ごとに輸入されるCBAM商品に含まれる排出量を、各四半期末に報告しなければならない。

報告申告者は、CBAM四半期報告書を提出するために使用される「CBAM移行期間登録簿」にアクセスするために、設立国の国家所轄庁(NCA)と連絡を取る必要がある。
CBAM規則に違反した場合、罰則はあるのか。はい。2023年10月1日以降、CBAM商品への組込み排出量の報告が義務付けられる。報告義務者は、未報告の排出量1トン当たり10~50ユーロの罰則を受ける可能性がある。

CBAM報告に欠落、誤りまたは不完全な部分がある場合、NCAは、申告者に潜在的な誤りを是正する可能性を認める訂正手続を開始することができる。

NCAは、a)報告申告者が CBAM報告書の提出義務を遵守するために必要な手続をとらなかった場合、または b)CBAM報告書が不正確または不完全であり、かつ、所轄庁が訂正手続を開始した後、報告申告者が CBAM報告書を訂正するために必要な手続をとらなかった場合、罰則を適用する。
体化排出量の報告方法に関する詳細情報は、どこで入手できるのか。報告を行うために必要な情報はすべて、経過措置期間の報告規則を定めた規則(EU)2023/1773に定められて施行いる。欧州委員会は、2つのガイダンス文書(CBAM商品の輸入者向けと第三国の生産者向け)と、生産者と輸入者間の情報交換を促進するためのオプションのコミュニケーションテンプレートを公表し、今後も定期的に更新する予定である。これらの文書はCBAMのウェブページ上で見つけることができる。

EUの輸入業者向けのガイダンス文書は、EUの24の公用語に翻訳された。EU域外の生産者向けのガイダンス文書は、英語、フランス語、ドイツ語、ポーランド語、スペイン語、イタリア語、アラビア語、ヒンディー語、韓国語、標準中国語、トルコ語、ウクライナ語に翻訳された。

CBAMのウェブサイトには、ウェビナー、eラーニング、その他の資料も掲載されている。
コミュニケーション・テンプレートのエクセルファイルの使用は必須か。いいえ。コミュニケーション・テンプレートの使用は義務ではありませんが、推奨されている。

コミュニケーションテンプレートは、実施規則(EU)2023/1773に規定された方法論に従って、事業者がCBAM商品の体化排出量を決定するためのツールである。このテンプレートは、すべての関連する排出源、電力消費、関連する前駆体が計算に考慮されていることを保証する。

このテンプレートには、報告者が必要とするすべての情報を含むワークシート「Summary_Communication」が含まれている。このワークシートにより、第三国の生産者と輸入者(またはその代理人)とのコミュニケーションが容易になる。

CBAMのウェブサイトでは、コミュニケーション・テンプレートへの記入を支援するために、記入済みバージョンを用意しています。さらに、必要なステップを詳しく説明したトレーニングビデオも、以下のリンクから入手できる。
誤った情報や不十分な情報が提出された場合、誰が責任を負うのか。責任は報告者にある。これは、輸入者または間接的な通関代理人のいずれかである。NCAは、報告者と適切な対話を行う責任があり、罰則を課すことができる。
さらに具体的な質問がある場合は、どこに問い合わせればよいのか。CBAMの実施に関する疑問点については、関係するNCA、そして最終的には欧州委員会が、引き続き相談に応じる。

NCAのリストは、欧州委員会のCBAM専用ウェブページで公開され、継続的に更新されている:炭素国境調整メカニズム(europa.eu)。

報告(全般的な問題)に関して(Q22~Q34)

質問回答
誰が報告の責任を負うのか。税関当局は、税関申告者に対し、経過措置期間中の情報報告義務を通知する。申告義務者は、誰が税関申告書を提出するかによって、輸入者または間接的な税関代理人となる。税関当局は、どのような形で申告義務者に報告義務を通知するかは自由である。

報告義務の責任者は以下のいずれかである:
①(i) 自己の名において、自己のために、物品の自由流通のための解放のための税関申告書を提出する場合、および、(ii) 輸入者が、税関申告書を提出する権限を有する申告者でもあり、物品の輸入を申告する場合、輸入者が報告の責任を負う;

②輸入者がEU域外に設立されている場合は、規則(EU)No 952/2013の第18条に従って任命された間接的通関代理人が税関申告書を提出する場合、または、輸入者がEU域内に設立されている場合は、規則2023/956の第32条に従って間接的通関代理人が報告義務に同意した場合。任命された間接的通関代理人は、EU域内に設立され、当該加盟国が決定する通関代理人の条件を遵守しなければならない(規則(EU)No 952/2013の第18条参照)。
輸入者は、複数の間接的通関代理人を持つことができるのか。輸入者は異なる間接的通関代理人を自由に使用することができ、各代理人は通関申告で紹介した特定のCBAM商品について責任を負う。各代理店は税関で自分のEORI番号を提示し、それが誰がCBAM報告義務を負っているかの証拠となる。したがって、体化排出量の二重計上はありえない。

間接的通関代理人もCBAM報告義務を履行し、複数の輸入者の報告申告者として活動することができる。その場合でも、間接通関業者は、税関申告を行ったすべてのCBAM商品を含む1つの四半期CBAM報告書を提出しなければならない。間接通関業者は、1つの報告期間について複数の四半期CBAM報告書を提出することはできない。
EORI番号とは何か。また、CBAM報告におけるEORI番号の役割は何か。EU関税法委任法(UCC-DA)2015/2446の第1条(18)によると、「経済事業者登録識別番号」(EORI番号)とは、EUの税関領域内で一意であり、税関当局が事業者または他の者を税関目的で登録するために、経済事業者または他の者に割り当てる識別番号を意味する。EORI番号は、EU加盟国であればどの国でも関係者の税関関連活動に使用することができるため、EUの税関領域内で一意である。例えば、オランダのEORI番号を持つオランダの会社は、スペインで自由流通のための放出申告を行うことができます。オランダ企業が通関代理人の使用を希望する場合、その通関代理人はスペインに設立することができるが、必ずしもそうである必要はない。いずれにせよ、税関代表に関する国内法に関係なく、UCC第39条のポイント(a)から(d)に定められた基準(つまり、税関の簡素化のために認定経済事業者が満たす基準-AEOC)に準拠する人は、設立された加盟国以外の加盟国でそのようなサービスを提供する権利がある。

CBAM報告申告者は、税関申告書を提出する際に税関当局に提供したものと同じEORI番号を使用してCBAM報告書を提出しなければならない。

EORI番号は、経済事業者1社につき1つしか使用できません。所管NCAは、申告者がEORI番号を取得したEU加盟国のNCAとなる。
異なる加盟国の子会社が異なる経済事業者登録識別番号(EORI番号)を持っている場合、企業は一元化されたレベルでの報告を許可されるのか。原則として、CBAM貨物は、税関当局に提供されたEORI番号を通じてCBAM報告申告者に帰属する。これは、デフォルトでは、異なる子会社(異なるEORI番号を持つ)のCBAM報告は別々に行われることを意味する。

しかし、同じ多国籍複数のグループ企業は、すべてのグループ企業のために集中レベルで税関義務と関連するCBAM義務を遂行する1人の間接税関代理人を任命することができる。

あるグループ企業が、他のすべてのグループ企業が輸入するCBAM商品の間接的な税関代理人として行動することも可能である。しかし、一般規則は依然として適用される。報告申告者として行動し、CBAM報告書を提出する間接的な税関代理人は、CBAM報告書の対象となる貨物に関する税関義務も履行しなければならない。

さらに、あるグループ企業が、同じ多国籍他のグループ企業のために、サービスプロバイダーとしてCBAM報告書を提出することも可能であろう。これは原則的には可能であるが、(i)他のグループ企業は、輸入した商品の報告申告者であり続けるため、CBAM報告書に対する法的責任を負い続けることになり、(ii)サービスプロバイダーとして行動するグループ企業は、自ら輸入した商品を含め、各グループ企業が輸入した商品について個別のCBAM報告書を提出する必要がある。
報告義務とは。いつまでに報告書を提出する必要があるのか。2023年10月1日から2025年12月31日までのCBAMの移行期間中、輸入者は四半期ごとにCBAM報告書を提出しなければならない。この報告書には、前四半期に輸入された商品に関する情報を含めなければならず、提出は四半期終了後1ヶ月以内に行わなければならない。経過措置期間中の報告カレンダーは以下の通りである:(カレンダーは省略)

報告書には、同規則第35条で言及されている情報を含めなければならない:
①各タイプのCBAM製品の総量
②実際の総体化排出量
③間接排出の総量
④輸入品(該当する場合、関連する前駆物質を含む)に含まれる体化排出
量に対する原産国での炭素価格(利用可能なリベートまたは他の形態の
補償を考慮する)。
技術的なエラーのため、提出期限内に最初のCBAMレポートを提出できなかった場合、どうすればよいのか?報告する申告者が、技術的なエラーにより CBAM 報告書を提出期限内に提出できない場合、当該申告者は、提出遅延を要請するために所属国に連絡することができる(続く第 28 項の手順に従う)。

なお、申告者がCBAM移行登録簿に直接提出遅延を申請する機能(「提出遅延の申請(技術的エラー)」)は、2024年10月1日をもって利用できなくなる。

リクエスト遅延機能に関するより詳細な情報については、CBAMウェブサイト の “Where to report “セクションに掲載されている “CBAM -Request Delayed Submission Process for declarants “を参照。
提出期限内にCBAMレポートを提出できなかった場合、どうなるのか。報告期間内にCBAM報告書を提出しないことは、実施規則の違反となり、罰則が適用される可能性がある。

報告する申告者が提出期限内に CBAM報告書を提出しなかった場合、NCAは
「CBAM移行登録簿」を通じて提出要求を行います。申告者が未登録の場合、NCAは登録簿外で申告者と連絡を取る。

別の方法として、期限後にCBAM報告書を提出する場合、申告者は自らが設立されている加盟国の管轄当局に連絡する必要がある。これは「CBAM 移行登録簿」の要請機能を通じて行う。申告者が登録されていない場合は、欧州委員会のCBAMウェブサイトの「報告先」セクションに掲載されている文書「炭素国境調整メカニズムに関する暫定的なNCAリスト」に記載されている連絡先を通じて、NCAに連絡する必要がある。

これにより申告者は、「CBAM移行登録簿」の「提出遅延申請(Requested delayed submission)(Requested by NCA)」機能を利用することができる。その後、申告者は 30 日以内に報告書を提出する。

遅延申請ボタンの詳細については、欧州委員会CBAMウェブサイトの「ガイダンス」セクションに掲載されている「CBAM申告者のための遅延申請プロセス」を参照。
ごく少量のCBAM商品を輸入している場合、これらの製品はCBAM規則の適用範囲に入るのか。CBAMの適用範囲に含まれる少量の輸入品は、最小限度免除が適用されることを条件に、CBAM規則の適用除外として自動的に扱われる場合がある。この場合、報告義務はない。

最小限度免除は、CBAM 商品の本質的価値の合計が150 ユーロを超えない託送に適用される。従って、1つの貨物のCBAM商品全体の価値を考慮する必要があり、その価値が150ユーロを超える場合、最小限度免除は適用されない。例として、以下の2つのケースを考える:

・ケース1:私の委託にはX個の非CBAM物品があり、それぞれの名目価値はYユーロである。これらは、最小限度免除の適用には関係ありません。また、CNコード(2523 21 00)で識別されるポルトランドセメントの輸送コンテナが1つあり、その価値は150ユーロを超えない。この場合、最小限度免税が適用される。

・ケース2:私の委託X個の非CBAM物品があり、それぞれの名目価値はYユーロである。これらは最小限度免除の適用には関係ない。また、白色ポルトランドセメント(CNコード 2523 21 00)1トンとその他のポルトランドセメント(CNコード 2523 29 00)1トンを積載する。それぞれのCBAM商品の価値は120ユーロである。私の荷物に含まれるCBAM商品の総価値は150ユーロ以上であり、従って最小限度免税は適用されない。
「託送」とは何か。単一の「託送」とは、いずれかの製品を意味する:
・(a) 一人の輸出者から一人の荷受人に同時に発送された場合。
・(b) 輸出者から荷受人への貨物を対象とする単一の運送書類、またはそのような書類がない 場合には単一の送り状によってカバーされること。

同一の荷送人から同一の荷受人に発送された商品で、別々に注文され、別々に発送されたものは、たとえ同じ日に到着しても、宛先の郵便事業者または速達便の運送人に別々の小包として発送されたとしても、別々の荷送人とみなされるべきである。これと同様に、同一人物が発注した一つの注文の対象であるが、別々に発送された商品も、別個の荷送品とみなされるべきである。ただし、このような定義は、税関の取締りに関する規定(連合関税法典(UCC)第46条)を損なうことなく適用されるべきである。税関当局は、税関規則の遵守を確保するために必要と考える取締りを行うことができる。

しかし、CBAM規則第27条によれば、欧州委員会は、迂回行為に対処するための措置を講じなければならない。CBAM規則第27条によれば、欧州委員会は迂回行為に対処するための措置を講じなければならない。迂回行為には、貨物を人為的に分割し、その価値が最低基準額である150ユーロを超えないようにすることが含まれる(同規則第27条(2b)参照)
個人使用目的でEUに輸入されたCBAM商品を購入した場合、CBAM報告義務を遵守
する必要があるのか。
CBAMは、主に鉄鋼やセメントなどの基礎材料や基礎素材品に適用され、限られた数の完成品にのみ適用される。CBAMの対象となる商品の本源的価値の合計が150ユーロを超えない場合、最低額免税が適用される。

第二に、通常、個人はEU域内の販売業者から商品を購入し、その販売宅配業者を通じて商品を輸入する。宅配業者は通常、売主の名前で税関申告書を提出し、売主はCBAMの目的上、「報告申告者」とみなされる。この場合、個人は税関申告書のどこにも記載されず、CBAM規則は適用されない。ただし、税関申告書の結果、個人が輸入者であり、宅配業者を通じた税関表示が直接的である場合、その個人はCBAM報告義務を遵守する責任があることに留意。
ある四半期にCBAM商品を輸入していない場合、CBAM報告書を提出しなければならないのか。ある四半期中にCBAM商品を輸入(自由流通のために放出することを意味する)していない場合、その四半期のCBAM報告書を提出すべきではない。
申告されたCBAM商品の関連事業者/設置者を報告することは必須か。原則として、CBAM商品が生産された事業者/事業所に関する情報を報告することは、報告申告者に義務付けられている。

2024年6月30日までに発生した輸入について、体化排出量が欧州委員会実施規則(EU) 2023/1773の4(3)に従い、欧州委員会が公表した既定値を含む他の方法で算定した場合には、報告申告者は、2024年6月30日までに発生した輸入について、この情報を提供しないことを決定できる。

「CBAM移行登録簿」内で利用可能なインストレーション/オペレーターレジストリにオペレーター/インストレーショ ンを追加することは必須ではありません。これは、複数報告の場合の負担を軽減するために設計されたオプション機能である。したがって、事業者/施設のデータは、事前に設置/運営者登録簿に記録されることなく、CBAM報告書に直接記入することができる。
輸入時に商品を生産していた事業者がなくなっていた場合、どうすればよいのか。実施規則には、消滅した事業者によって生産された商品に関する適用除外は含まれていない。したがって、原則として、CBAM商品の他の輸入と同じ報告義務が適用される。

しかし、事業者がすでに存在しないため、 報告義務を遵守できない場合、者は、類似または 同一の商品の排出量データを使用することができ、その旨を追加情報として明記することができる。類似または同一の商品の定義については、Art.1(14)とArt.1(4)を参照。

さらに、事業者名および事業者IDの欄には、当該事業者が既に存在しない旨を記載する。欧州委員会およびNCAは、審査過程において、これらの記述の真実性を確認し、必要と判断した場合には、訂正手続を開始することができる。

報告(責任と手順)に関して(Q35~Q48)

質問回答
移行期間における欧州委員会の役割は。移行中、欧州委員会には以下の任務が課される:
「CBAM移行登録簿」を管理する。
申告者から伝達されたCBAM報告書をレビューし、CBAM規則に準拠していないと判断する理由のある報告書のリストをNCAに伝達する。

CBAMの実施、進捗状況、回避のリスクを監視するとともに、CBAMが輸出、川下製品、貿易フロー、後発開発途上(LDCs)に与える影響を分析する。

実施法の形で二次立法を準備する:
・ 2023年半ばに、経過措置期間(第35条)、報告義務、報告基盤について。

・2024年半ばに、申告者の承認(第5条と第17条)、CBAM登録(第14条)について。

・間接排出(附属書IV)、検証(第8条)、検証者の認定(第18条)、支払炭素価格(第9条)、税関情報(第25条)、大陸棚(第2条)、平均ETS価格(第21条)、CBAM宣言(第6条)、方法論(第7条)、無償割当(第31条)に関する2025年半ばの実施法。

検証者の認定(第18条)および証明書の販売と買い戻し(第20条)については、2025年半ばまでに委任法の形で二次法を準備する。必要であれば、欧州委員会は、免除国、電気に関する規則、迂回防止に関する委任法も準備する。

確定期間中に証書の売却、買戻しが行われる共通セントラル・プラットフォームを設定する。
国家所轄庁(NCA)とは何か。各加盟国は、規則(EU)2023/956に規定された機能と義務を遂行する国家所轄庁(NCA)を指定している。つまり、NCAは(欧州委員会の支援を受けながら)CBAM四半期報告書の質をチェックし、必要に応じて申告者との対話に関与する責任を負う。NCAは最終的にCBAM規則の遵守を確保し、罰則を科すことができる。最後に、2025年以降、確定期間中、NCAは「公認CBAM申告者」の地位を付与する。

NCAのリストは、欧州委員会のCBAM専用ウェブページで公開され、継続的に更新されている:カーボンボーダー調整メカニズム(europa.eu)。管轄NCAは、申告者の設立国のNCAとする。
CBAM商品の輸入業者は、移行期間中にCBAM商品を輸入するために「認可」を受ける必要があるのか。CBAM商品の輸入者は、移行期間中これらの商品をEUに輸入するために認可を受ける必要はない。税関は、CBAM商品の輸入者に対し、輸入時に報告義務を通知する。
移行期間中に検証義務はあるか。外部の独立機関による検証は、実績値に基づく報告に関してのみ、2026年から義務付けられる。EUの輸入業者から移行期間中に収集されたデータに基づく排出量の検証ルールを、確定期間のための二次法が今後数年のうちに制定される予定である。
各CBAMセクターは、どの体化排出量を報告する必要があるのか。以下の表は、対象となる具体的な排出量と温室効果ガスの概要、および各セクターの直接・間接排出量の決定方法を示している。CBAMの対象範囲に含まれる。EUの排出量取引制度を反映させながら、これらの体化排出量を報告・計算する方法を設計する際に、それぞれのセクターの特殊性が考慮された(表はこのQ&A表の下部に表示)。
CBAM四半期報告書の提出を確実にするために、報告申告者は第三国の生産者にどのような情報を求めるべきか。CBAM申告者は、実施規則の附属書含まれる情報をCBAM報告書に記載しなければならない。

必要な情報をすべて確実に入手するために、報告申告者は、前述の実施規則の附属書IVに記載されている情報を生産者に要求する必要がある。欧州委員会の業務は、事業者と輸入業者間の情報伝達を容易にするため、これらの情報を任意の伝達テンプレート(Excel形式)にまとめた。このテンプレートは欧州委員会のウェブページで入手できる。

2025年1月初旬から、CBAMレジストリの新しいポータルサイトが開設され、EU設置事業者は、合理化された方法で、設置場所と排出量データをアップロードし、申告者と共有できるようになる。CBAMの申告者は、EU域外の事業者から提供された情報を暫定レジストリで検索できるようになる。”排出量”タブの新機能により、申告者は”第三国設備登録簿で検索”し、そこからそれぞれの設備と排出量データにアクセスすることができる。これが機能するためには、CBAMの申告者はEORI番号をCBAM登録簿外のサプライヤーと共有する必要がある。将来の更新では、事業者は、関係のあるすべての申告者と情報を共有するオプションが与えられる予定である。
EU域外の事業者が、EUの報告申告者とデータを共有するにはどうすればよいのか。EU域外の設置事業者は、CBAM報告に必要なすべての情報を報告申告者と共有するために、前述のコミュニケーションテンプレート(質問41参照)を使用することができる。

さらに、CBAM登録簿の新しいポータルサイトにより、EU域外の事業者は、各申告者に個別に提出する代わりに、合理化された方法で、設備と排出量データをアップロードし、申告者と共有することができる。このポータルサイトにより、事業者は業務上機密性の高いデータを確実に取り扱うことができる。報告申告者は、報告義務を遵守するために、この排出量データをCBAM報告書に自動的に入力することができる。設置事業者の登録は2025年1月1日から開始される。
CBAMの四半期報告書には、どのような書類(原本)を提出しなければならないか。原本を提出する必要はない。申告者は、「CBAM移行登録簿」を通じて、CBAMの四半期報告に必要な情報のみを提出しなければならない。

実施規則附属書III A.2節に概説されている透明性の原則に従って、生産された商品の組込み排出量を決定するた めに関連するすべてのデータについて、必要な裏付け文書を含め、完全かつ透明性のある記録を、報告期間後 少なくとも4年間、事業所において保存しなければな らない。これらの記録は、報告申告者に開示することができる。このような記録は、四半期ごとのCBAM報告書のレビューの際に、EU加盟国から要求される可能性がある。
輸入者であると同時に、別の輸入者のためにCBAM報告書を提出する間接的な通関代理人でもある場合、CBAM報告書は1通で提出するのか、それとも2通に分けて提出するのか。申告者は、輸入者(鉄鋼を輸入するA社)としても、間接的な通関代理人(アルミニウムを輸入するB社)としても活動することができる。その場合でも、申告者は、税関申告を行ったすべてのCBAM商品を含む1つの四半期CBAM報告書を提出しなければならない。
報告義務のある有効な「炭素価格」とは何か。CBAM規則に示されているように、「炭素価格」とは、炭素排出削減スキームに基づいて支払われる金銭的な金額であり、税、賦課金、手数料、温室効果ガス排出権取引制度における排出枠など、さまざまな形態をとることができる。

移行期間中、報告申告者はCBAM商品が生産された国での有効炭素価格を報告しなければならない。確定中は、この情報を開示することで、輸入業者に払い戻しを与え、体化排出量の二重価格を回避する。
提出されたデータやレポートの正確性は誰がチェックするのか。移行期間中、施行規則第11条に従い、欧州委員会はCBAM報告書の第一次審査を行い、不完全または疑わしい報告書のリスト(すなわち、欧州委員会がCBAM規則を遵守していないと信じるに足る理由がある場合)を所管国当局に伝達する。その後、所管国当局が、最終的に罰則につながる可能性のある是正手続きと同様に、審査を開始するかどうかを決定する。
すでに提出されたCBAMレポートを修正するこ
とは可能か。
施行規則第9条1項は、すでに提出されたCBAM報告書は、報告四半期の終了後2ヶ月までは修正することができると定めている。

さらに、施行規則第 9 条(3)に従い、報告する申告者は、この期限後、CBAM 報告書の訂正を要請し、その正当な理由を提示することができる。申告者は、CBAM 移行登録簿(「Requests」機能の下)において、NCA に対する要請を作成することにより、これを行うことができる。その後、NCA は当該要求を評価し、適切な場合には、報告する申告者にCBAM 報告書の再提出を認め、または後の訂正を認める。訂正されたCBAM 報告書の再提出または訂正は、管轄当局による承認後 1 ヶ月以内に行われなければならない。

最初の2つの四半期報告書については、実施、第3四半期報告書の提出期限まで、より長い修正期間が認められた。これにより、1月31日と4月30日が提出期限の報告書は、2024年7月31日まで訂正が可能となった。
CBAM報告書を訂正したい場合、個々の情報をすぐに訂正した方がよいのでしょうか、それとも訂正する項目を集めて、後でまとめて訂正報告書を提出した方がよいのか。許可された期間内であれば、レポートの修正回数に制限はない。

欧州委員会は、2024年2月以降に報告書の分析を開始し、例えば集計された統計を作成するため、申告者は、その後さらなる修正が予想される場合でも、情報が入手可能になり次第、情報を更新することが奨励される。
報告書は英語のみとすべきか、他の言語での報告は可能か。EUの全24言語で報告可能。

報告(CBAM登録簿)に関して(Q49~Q60)

質問回答
CBAM移行登録簿とは何か。報告義務の効率的な実施を確保するため、欧州委員会は、移行期間中に報告される情報を収集する電子データベースを開発した。CBAM移行登録簿は、標準化され、保護された電子データベースであり、移行期間における報告のための共通のデータ要素を含み、アクセス、ケース処理、機密保持を提供する。CBAM移行登録簿は、規則(EU)2023/956の第14条に従い、CBAM登録簿の開発と設立の基礎となるものである。

報告申告者は、以下のリンクからCBAM移行登録簿に接続することができる: https://cbam.ec.europa.eu/declaran
CBAM移行登録簿は何に使われるのか。CBAM移行登録簿は、欧州委員会、管轄当局、加盟国の税関当局および申告者間の連絡を可能にする。

CBAM移行登録簿は、収集された情報が暫定期間中のデータ分析・収集に役立てられるだけであるため、執行のために使用されることはない。
CBAM移行登録簿はEU税関トレーダーポータルと同じなのか。申告者のためのCBAM移行登録簿は、EU税関トレーダーポータル(EUCTP)とは独立して運営されています。しかし、CBAM申告者として活動する既存の輸入者は、EU加盟国が許可して場合、既存のユーザーアカウントを使用することができます。加盟国によっては、CBAMモジュールへの特定のアクセスを要求する必要がある可能性がある。
CBAM移行登録簿で共有されるデータは機密扱いになるのか。CBAM規則第14条によれば、CBAM登録簿に含まれる情報は「事業者名、住所、連絡先、第三国における施設の所在地を除き、秘密とする」。CBAM規則第13条と、移行期間中の報告義務を定めた施行規則第15条には、管轄国家当局が取得した情報に対する職務上の秘密保持義務が含まれている。

移行期間中、事業者と輸入者が情報を交換するために使用できるオプションのコミュニケーションテンプレートでは、設備の事業者は、完全で詳細な情報を共有するか(オプション)、CBAM申告書を提出するために必要な統合タブのみを共有するかを決定する可能性がある。また、事業者が機微(センシティブ)と考えるデータを開示しないことも可能である。このような経験を踏まえ、欧州委員会は、報告書および外部検証者が確定的な体制で開示しなければならない情報についても検討する。

欧州委員会は、2025年1月以降、事業者が登録簿を通じて直接情報を提出できるよう、登録簿への独立したアクセスを提供するよう取り組んでいる(質問参照)。事業者は、どの情報をどの報告申告者に開示するかを決定することができる。
申告者として登録し、CBAM移行登録簿にアクセスするにはどうすればよいのか。CBAMの目的で申告義務者になろうとする場合、経済事業者は、その事業所が所在する加盟国の国家管轄当局(NCA)に連絡しなければならない。NCAの暫定リストは、欧州委員会のCBAM専用ウェブページで公表され、継続的に更新される:炭素国境調整メカニズム(europa.eu)。

各加盟国のNCA は申告者にCBAM 移行登録簿へのアクセスを提供する責任も負う。場合によっては、新たなログイン認証情報を有する CBAM専用アカウントが必要となる。他の場合には、カスタムシステムにアクセスするための既存のアカウントを使用することができる。例えばスペインの場合、CBAM 移行登録簿へのアクセスは、税関ドメインを通じてのみ許可されます。ログイン認証情報の詳細については、管轄のNCA に問い合わせることが推奨されている。

申告者が「CBAMサービスプロバイダー」を利用する場合、UUMDSにおいて、すべてのユーザープロファイル(輸入者と「CBAMサービスプロバイダー」)の作成をNCAに要求することが可能である。UUMDSでユーザープロファイルが作成されると、輸入者である雇用者(EO)は、提供者である被雇用者(EMPL)にCBAM申告者のアクセスを委任することができる。
スイス、またはEEA(ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)に拠点を置く輸入業者の、CBAM移行登録簿へのアクセス方法は?スイスまたはEEAに輸入されるCBAM商品には、CBAM報告義務は適用されない。これらの国に拠点を置く輸入業者は、CBAM移行登録簿にアクセスできない。

しかし、EU関税同盟に輸入されるCBAM商品は、CBAM規則の適用範囲に含まれ、報告申告者によって報告されなければならない。

CBAM商品のEUへの輸入者がスイスまたはEEAに拠点を置く場合、CBAM目的の報告申告者は、輸入者が雇った間接的通関代理人でなければならない。報告申告者は、CBAM移行登録簿へのアクセス証明書を受け取ることになる。
どのようなCBAM移行登録簿環境が利用できるのか。CBAM報告宣言者が利用できるプロダクションCBAM登録簿環境とコンフォーマンスCBAM登録簿環境がある。

適合環境は、CBAM四半期報告書フォームやCBAM登録簿のユーザーインターフェイスに慣れるためのテスト環境として使用することができる。

セキュリティ理由から、各環境において別個の登録が必要である。いずれの環境においても、報告申告者にアクセス詳細を提供するのは、それぞれの NCA である。
報告申告者である会社では、誰が移行登録簿へのアクセスを要求できるのか。法人を代表していることを証明できる人物は、当該法人が設立されている加盟国の NCA に連絡し、CBAM 報告申告者として CBAM 登録簿へのアクセスを要求することができる。NCA は、要求の正当性を検証し、CBAM 報告申告者にアクセス許可を与える責任を負う。CBAM 申告者アクセス権限を付与されたアカウントの所有者は、当該アカウントの機密を保持し、会社の追加アカウント(従業員)にアクセス権限を委譲する責任を負う。
誰が申告者のCBAMレポートをCBAM移行登録簿に記入できるのか。責任ある報告申告者(すなわち輸入者または間接的通関代理人)の従業員のアカウントである限り、複数の移行登録簿のユーザーアカウントを同じEORI番号にリンクすることができる。ただし、CBAM移行登録簿で特定のCBAM四半期報告を編集できるのは、1人のユーザーだけである。

報告申告者は、移行登録簿へのアクセスを「CBAMサービスプロバイダー」に委任でき、CBAMサービスプロバイダーは、報告申告者の名前でCBAMレポートを記入できる。このような場合の委任は、「雇用者-従業員」の委任モデルに従い、「雇用者」は輸入者または間接通関代理人のいずれかであり、「従業員」は「CBAMサービスプロバイダー」である。この場合、加盟国は、輸入者-雇用者(EO)と提供者-従業員(EMPL)の両方のユーザーをUUM&DSで設定する必要があり、輸入者は(UUM&DSを通じて)CBAM宣言者のアクセスを「CBAMサービスプロバイダー」に委任する責任があることに注意。つまり、「CBAM サービスプロバイダー」が従業員として CBAM 登録簿に接続すると、サービス プロバイダはアクセスを委任した輸入車の EORI を使用していることになる。
CBAMの直接の対象ではない企業も、CBAM移行登録簿にアクセスできるのか。CBAM移行登録簿へのアクセスは、申告者、加盟国の管轄当局、税関当局、欧州委員会に限定されている。
CBAM移行登録簿のデータはどのように記入すればよいのか。四半期報告書は、輸入者ごと、CNコードごと、設置場所ごとに記入する必要がある。CBAM Transitional Registryにデータを記入するには2つの方法がある:

・報告申告者は、CBAM Transitional Registryのインターフェイス内で直接データを手入力することができる。

・あるいは、報告申告者はXML構造を使用してCBAM四半期報告書をアップロードすることができる。XMLファイルが正常にアップロードされると、新しい四半期報告書の草案が作成され、CBAM登録簿のユーザーインターフェースを通じて提出することができる。XMLを使用して四半期報告書を記入するために使用できるXLSファイルは、欧州委員会のCBAMウェブサイトで公開されている。

必須項目と任意項目がある。CBAM移行登録簿では、必須フィールドにはアスタリスク(*)が付いています。必須フィールドは、サポートするXLSファイルにも表示される。

レポートの記入方法やXSDファイルの使用方法に関する詳細情報は、CBAM移行登録簿の申告者向けユーザーマニュアルに記載されている。

報告書の草稿は、すべての必須要素が提供されていなくても保存することができる。しかし、報告書を提出するには、すべての必須要素を提供する必要がある。
「適用される報告方法」と「その他の出典表示」には、どのような情報を入力すればよいのか。「適用される報告方法」の欄では、使用したモニタリングと報告方法に関する追加情報を提供するよう、申告者に求めている。例えば、間接排出や直接排出の実績データが、具体的な体化排出量を決定するために用いら れる場合、申告者は、その方法論が計算ベース(標準またはマスバランス)なのか、測定ベースなのかを明記することができる。

「その他の出典表示」欄では、排出係数の出所に関する追加的な情報を提供することが求められる。これには、一般に入手可能なデータやその他の関連情報源へのウェブリンクを提供することが含まれる。

移行期間におけるCBAM対象製品の体化排出量の算定方法に関して(Q61~Q86)※日本企業との関連性の高め

質問回答
体化排出量を計算するのに適切な期間は。過年度のデータを使用できるのか。既定の報告期間、すなわち、事業者が体化排出量を決定する際の基準期間は、暦年である。しかし、他の期間(会計年度など)を使用することも、同様の対象範囲を確保し、少なくとも3ヶ月間をカバーするのであれば、正当化される。詳細は、ガイダンス文書の4.3.4節(EU域内 輸入者)/4.3.3節(EU域外設置者)に記載されている。

事業者が暦年で排出量をモニタリングする場合、2024年に生産され2025年に輸入される商品について、必要なデータがすべて入手できるように、CBAMの方法論に従って、すでに2024年から排出量のモニタリングを開始する必要がある。

第1四半期に提出されるCBAM報告書については、前年のデータを使用すべきである。そのようなデータが1月末や2月末まで入手できない場合は、前年のデータを使用することができる。

在庫品目については、「在庫品目について、どのように対処するか」を参照のこと。
単純製品と複合製品とは。CBAM商品には、「単純製品」と「複合製品」の2種類がある。「単純製品」は、CBAM報告方法論の下では、体化排出量がゼロとみなされる投入材料から生産される。したがって、「単純製品」の体化排出量は、その生産時に発生する排出量のみに基づいている。

「複合製品」については、生産工程で使用される場合、関連する前駆体の体化排出量自体をCBAMの範囲に含める必要がある。関連前駆体とは、「複合製品」の製造に使用される原料で、CBAM商品そのものを指す。セメントセクターの前駆体の典型的な例は、ポルトランドセメントの主成分であるセメントクリンカである。
直接排出と間接排出とは何か。直接排出は、加熱・冷却処理の場所に関係なく、CBAM製品の生産プロセス中の加熱・冷却処理で発生する排出をカバーします。これは、加熱・冷却処理が設備の外部で行われる場合、結果として生じる排出量は直接排出としてカウントされることを意味します。

間接排出は、CBAM商品の生産時に消費される電力の生産を対象とする。

CBAM商品の具体的な体化直接・間接排出量を決定する際には、関連する前駆物質の体化直接・間接排出量も考慮される。

移行中は、モニタリングの、輸入CBAMの適用範囲に含まれるすべての製品について、直接排出と間接排出の両方を報告する求められる。

2026年1月1日からの本格適用段階では、CBAMの対象は鉄鋼、アルミニウム、水素の直接排出量に限定され、セメントと肥料の輸入業者は直接排出量と間接排出量の両方を申告しなければならない。
「バブル・アプローチ」とは何か、また、どのように機能するのか。事業所が複合製品とその前駆体を製造し、この前駆体が複合製品の製造に全面的に使用される場合、事業所内に共同(単一)製造工程システムバウンダリを定義することができる(ガイダンス文書の詳細説明を参照)。
輸入されたCBAM製品がEUからの前駆物質(例えば銑鉄)を使って生産された場合、これを計算に考慮する必要があるのか。はい。EU域内で生産される関連する前駆体も、体化排出量の決定において考慮する必要がある。

ただし、EUでの生産に由来する前駆体の場合、EUで既に支払われた炭素価格もCBAM報告書に反映される可能性があることに注意すること。(実効炭素価格の報告に関する詳細は、ガイダンス文書6.10.項を参照のこと)。
複合商品の体化排出量の算定に吸収ルールを適用
できるのか。
いいえ。吸収ルールは、商品の原産性を決定するために使用されるルールである。吸収ルールでは、一定の条件が満たされる限り、原産品の後続製造に使用される中間製品の原産性を維持し、中間製品に含まれる旧原産品以外の投入物の部分を無視することができる。CBAM製品の体化排出量の計算は、全く異なるルールに従う。
欧州委員会は、代替方法の「同等性」を公式または非公式に検証するのか。移行期間は、欧州委員会の業務およびNCAを含め、すべての者にとって学習期間となる。代替方法が施行規則第4条2項に含まれる基準を満たさない場合、特に2024年6月30日以降の輸入については、そのような計算方法は却下される可能性がある。各国所轄庁は、より正確なデータを入手するため、申告者との対話を開始する。
CBAM製品の生産に伴う間接排出量は、どのように決定されるのか。間接排出は、CBAM製品を生産するために消費された電力に、関連する排出係数を乗じることによって算定される。排出係数は、電力網に基づくか、実際の排出係数を用いる。国の電力網に基づく排出係数は、CBAM移行登録簿の中で利用可能である。
間接排出量を決定するために、どの電力の排出係数を使用すべきか。移行期間中、電力の既定の排出係数は、国際エネルギー機関(IEA)の5年平均のデータに基づいている。この排出係数は、欧州委員会がCBAM移行登録簿で国ごとに提供している。

あるいは、原産国送電網の排出係数が、公開されているデータに基づくものであれば、他の排出係数を使用することもできる。電力排出係数とCO2排出係数の両方を使用することもできる。

電気の実際の排出係数は、発電源とCBAM製品を生産する設備との間に直接的な技術的つながりがある場合、または電力生産者と消費者との間に電力購入契約がある場合に使用することができる。
市場ベースの証書(原産地保証、再生可能エネルギー証書など)は、実際の排出係数の使用を正当化するために使用できるのか。移行期間中、電力の排出係数については、欧州委員会が提供するデフォルト値を使用することが原則である。ただし、関連する条件(上記で説明したように、直接的な技術的リンクや電力購入契約の存在など)を満たせば、実際の電力の排出係数を使用することもできる。

例えば原産地保証やグリーン証明書によって決定される市場ベースの特定の排出係数は、実際の排出係数の使用を正当化するために使用することはできない。

更なる情報は、CBAM実施規則の附属書IIIのD.2節、及びEU域外の施設のためのガイダンス文書6.7.3.2節に記載されている。
前駆体がCBAM製品自体とは異なる国で生産される場合、間接排出のどの排出係数を報告すべきか。2つのケースが考えられる:
①CBAM製品及びその全ての前駆物質を生産するために消費される電力の排出係数の値は既知である:申告者は、関連する全ての国(すなわち、CBAM製品の生産国と関連する前駆体の生産国)の排出係数の(加重)平均値を、移行登録簿に提出しなければならない 。申告者は、コミュニケーションテンプレートのSummary_Communicationタブの情報から、SEE(間接)の値を体化電力の値で割って、加重平均排出係数を計算することができる。欧州委員会は、この加重平均を自動的に計算するように、コミュニケーションテンプレートを変更した。

②あるいは、排出係数の全データが入手可能でない場合、申告者は、移行登録簿で「IEAデータに基づく委員会」を選択し、なおかつ総電力消費量(生産国に依存しない前駆体を含む)を提供すべきである。その場合、申告者は、「排出係数の値の出典」欄にその旨を記載しなければならない。例えば、「前駆体はX国で生産されているが、電力の排出係数は入手できない」 と説明することができる。)更なる説明を行うために、我々は報告者に次のことを求める。

申告者は、”Supporting Documents “のコミュニケーション・テンプレートもアップロードすること。

IEA データに基づく欧州委員会」を選択した場合、「排出係数」フィールドには、生産国の欧州委員会排出係数が自動的に入力されることに注意。
現場での輸送による排出も計算に含めるべきか。ベルトコンベア、パイプライン、その他の定置式機器の使用による輸送に起因する排出は含まれる。移動機械(トラック、フォークリフトなど)の使用による排出は除外される。これはEUETSと同じ規則である。
炭素回収・利用(CCU)/炭素回収・貯留(CCS)は、体化排出量の算定において、排出削減に利用できるか。炭素回収・利用・貯留(CCUS)は、二酸化炭素の排出を削減するために、市場でますます利用されるようになってきている技術である。このような排出削減は、CBAM製品の体化排出量を決定する際に、一定の条件を満たせば考慮することができる。これらの条件は、施行規則附属書IIIのB.8.2節に明記されている(ガイダンスの6.5.6.2節に詳細な説明がある)。その条件とは、基本的に、回収された二酸化炭素が恒久的に化学的に結合した製品の生産に使用されるか、回収された二酸化炭素が長期地中貯留場所に移送されることである。
石油増進回収法(EOR)は、体化排出量の計算において控除対象となるのか。増進回収法(EOR)は、主に石油の抽出量を増やすために利用される技術である。このプロセスで注入されるCO2は、理論的には、石油採掘場が長期的な地中貯留場所を提供し、一定の条件を満たせば、体化排出量の計算で控除することができる。その条件は、炭素回収貯留(CCS)と同じで、施行規則の附属書IIIのB.8.2節に明記されている(ガイダンスの6.5.6.2節に詳しい説明がある)。
ライフサイクルアセスメン(LCA)/ライフサイクルインベントリデータベースからの排出係数は受け入れられるのか。ライフサイクルアセスメント(LCA)/ライフサイク ルインベントリデータベースからの排出係数は、 CBAM報告書の組込み排出量の計算には使用できない。ただし、以下の点に注意。

2024年6月30日まで、すなわち2024年7月31日ま での報告期限において、報告申告者がすべての情報を持っていない貨物の輸入については、報告申告者は、排出量を決定するために他の方法を用いることができる。この限られた期間においては、ライフサイクルアセスメント(LCA)/ライフサイクルインベントリデータベースからの排出係数を使用することができる。さらに、実施規則(EU)2023/1773の第4条(2)に記載された、対象となるモニタリングと報告の方法の一つを用いて体化排出量を決定し、その方法がライフサイクルアセスメントからの排出係数を用いる場合も、2024年末までは可能である。

EU域外の事業者向けのガイダンス文書6.2.1節と 表6-1で説明されているように、体化排出量の概念は、ライフサイクルアセスメント(LCA)や製品カーボンフットプリント(PCF)の範囲よりも狭い。そのため、LCAデータベースの排出係数を用いることは、体化排出量を著しく過大評価する。これは、EUETSの対象となる排出量を反映させることを目的としたCBAMの設計に反している。確定段階では、輸入業者がこのような排出係数を使った場合、あまりにも多くのCBAM証明書を引き渡さなければならなくなる。

しかし、LCA データベースのプロバイダーが、将来 CBAM 互換のデータセットを開発する可能性は排除できない。CBAM商品を生産する施設のオペレーターは、オペレーターが正しいデータを報告する責任があるため、データベースの文書が、データベース値の基礎となるシステム境界がCBAMに適しているという証拠を提供していれば、そのようなデータベースを使用することができる。
サプライヤーが報告期限までに必要な情報を送ってくれません。どうすればよいのか。第三国の生産者と申告者の間の良好な協力は極めて重要である。欧州委員会は、生産者がEU域外で生産するCBAM商品の組み込み排出量を決定するためのガイダンスとテンプレートを公表した。

最終的には、報告申告者がCBAM報告書の完全性と正確性を確保する責任を負う。報告申告者は、CBAM報告義務を遵守しなかった場合、また訂正手続きに従って完全かつ正確なCBAM報告書を提出する義務を遵守するために必要な措置を講じなかった場合、責任を負い、罰則の対象となる可能性がある。

2024年7月1日以降の輸入について、申告者はEUに輸入される各CBAM品目について実際の排出量を報告することが求められる。もし、申告者が供給者から実際の排出量データを受け取ることができず、デフォルト値(質問75で説明した量的制限外)を報告することを選択した場合、CBAM報告書は不正確/不完全なものとなる。

申告者はCBAM商品の供給者または生産者から実際の排出量データを入手するために、可能な限りの努力をしなければならない。最終的に実排出量のデータを入手できなかった場合、申告者は、「判定の種類」の欄で、「実データが入手できない」という新しい選択肢を選択しなければならない。このオプションは、直接排出と間接排出の両方に適用される。このオプションを選択した場合、CBAM報告書は不正確/不完全とみなされることに注意。

さらに重要なことは、「実際のデータは入手できない」というオプションを選択した場合、者は以下のステップにも従うことが求められるということである:
(1) 「追加情報」欄には、実際の排出量データが欠落している理由についての正当な理由を記入する。
(2)「補足」タブで、サプライヤーおよび/または生産者からデータを取得するために失敗した努力と手順を証明する補足文書をアップロードする。

「実データを入手できない」オプションを選択した場合、「排出量」タブの後続のフィールドは編集不可能となり(すなわち、直接排出の場合:「報告方法のタイプ」フィールド、間接排出の場合:「排出係数の出所」 フィールドと電力の出所」フィールド)、数値フィールドは自動的「0」で埋められることに注意。

実際のデータが入手できないことを示す “回避策 “を用いてすでにCBAM報告書を提出した申告者は、これらの報告書を再提出する必要はない。

NCAは、報告申告者が完全かつ正確なCBAM報告書を提出する義務を遵守するために必要な措置をとったかどうかを評価する責任を負う。その際、CBAM商品の生産者から実際の排出量に関する必要なデータを入手することに関して、十分に正当化された困難さが考慮されるかもしれない。

罰則を決定する際、NCA は、報告申告者の経済規模、CBAM 商品の輸入総額及びその体化排出量に対するこれらの手段及び資源の妥当性を評価することを含め、報告申告者がデータ収集の不成功に終わった努力に効果的に割いた手段及び資源を考慮することができる。また、NCAは、第三国の生産者又は供給者に対するこれらの措置及びフォローアップの反復、関係する期間及びその継続期間も考慮することができる。

申告者は、内部的な運用能力および事業者が実際の排出量を把握する能力を考慮した上で、実際の組 み込み排出量に関する必要なデータを事業者から入手するために、合理的に期待されるあらゆる努力を行ったことを常に証明しなければならない。
デフォルト値とは。これはどのように機能するのか。2024年6月30日までの輸入(すなわち、2024年7月31日までが期限のCBAM報告書)については、報告申告者がすべての情報を把握していない製品の輸入ごとに、報告申告者は、欧州委員会が公表するデフォルト値(TAXUD CBAMウェブサイト参照)を含む、他の方法で排出量を決定することができる。このため、最初の3つの報告期間については、量的制限なしに、移行期間中の報告の目的でデフォルト値を使用することが可能であった。

さらに、複合商品の体化排出総量への寄与が比較的小さい(すなわち20%未満)投入材料やサブプロセスについて、移行期間全体を通して直接排出量を決定する場合、推定値(デフォルト値を含む)を使用することができる(CBAM実施規則第5条参照)。これらの20%を決定するためには、間接排出は100%の体化排出総量を計算するためにのみ関係する。

換言すれば、2024年6月30日までの輸入については、既定値を用いて総体化排出量の100% を決定できることを意味する。残りの移行期間(すなわち、2024年7月1日から2025年12月31日までの輸入分)については、直接排出量を決定する際に推定値を使用することができるが、量的制限が適用される:複雑な商品については、生産連鎖全体を考慮して、総体化排出量の20%まで推定値を使用して決定することができる(欧州委員会が提供するデフォルト値を使用することは、「推定」に該当する)。報告申告者が、20%という制限の範囲内で、推計値(デフォルト値を含む)を使用するためにこの柔軟性を利用する場合、移行登録簿の以下のステップに従うべきである:

(1)直接体化排出量の “判定の種類 “欄で、”実績データ “を選択する。
(2)「適用される報告方法の種類」の欄で、「委員会規則」を選択する。
(3) 「追加情報」フィールドに、該当する報告方法と20%の制限内での推定値の使用についての詳細を入力する。

デフォルト値を用いて総体化排出量の20%を決定する可能性は、ある四半期の全ての輸入複合商品の総体化排出量に関係するものではなく、 各輸入複合CBAM製品の具体的な直接排出量(すなわち、 報告されたCBAM製品が生産された特定の施設)に関連するものである。

2025年の経過措置期間終了までに、欧州委員会は収集したデータに基づき、デフォルト値を評価する。

移行期間中は、グローバルなデフォルト値(CBAM適用範囲内の各CNコード)しかない。その後、本格適用期間中は、国別あるいは地域別のデフォルト値が利用可能になる。

本格適用期間中、CBAM申告者は、実際の排出量データが入手できない場合、量的制限のないデフォルト値を使用することができる。しかし、体化排出量の計算を提供することは、輸入者にとってより有利になる可能性が高い。
デフォルト値はどのように決めるのか。EUの共同研究センター(JRC)は2023年9月29日、EUとその主要貿易相手国における鉄鋼、肥料、アルミニウム、セメントの4つのエネルギー集約型産業からの商品のGHG排出強度の推定値を発表を行った。この作業は、CBAM規則で想定されているメカニズムの実装に科学的な裏付けを提供する。

JRCの報告書では、直接排出と間接排出を分 離した値が示されている。GHG排出量の推計には、CBAM規則附属書Ⅰに記載された生産に関連する二酸化炭素、亜酸化 窒素(一部の肥料商品)、パーフルオロカーボン(アルミニウム商品)が含まれる。GHG排出原単位(すなわち、具体的な体化排出量)の推定値は、移行期間のデフォルト値を設定するためのインプットとなった。
EUの輸入業者は、どの時点まで代替のモニタリング・報告方法を使用することが許されるのか。2024年12月31日までの間、輸入申告者は、(a)カーボンプライシング制度、(b)強制排出量モニタリング制度、または(c)事業所における排出量モニタリング制度(第4条(2))を利用して、同様の対象範囲と精度につながる他の方法を利用することができる(第4条(2))。

2024年6月30日までの輸入(すなわち、2024年7月31日までが期限のCBAM報告書)については、報告申告者が必要な情報をすべて持っていない場合、デフォルト値を含む他の参照方法を使用することができる(実施規則第4条(3)参照)。したがって、報告申告者は、その日まで、自ら追加的な方法を提出することを決定することができる。これらの方法は、確定段階のCBAM報告方法を調整する目的で、欧州委員会のサービスにより評価される。
バイオマスの利用から生じる排出量は、どのように算定されるべきか。CBAMの方法論は、EUETSと同じルールに従っている。

バイオマスがプロセス投入使用される場合(例えば、木炭が高炉の還元剤や電極の製造に使用さ場合)、バイオマスの使用による排出量は計上されない(「ゼロ評価」)。

バイオマス(固体、液体、気体)を燃料(エネルギー)として使用する場合、バイオマスが再生可能エネルギー指令(EU)2018/2001の関連する持続可能性と温室効果ガス削減基準を満たさない限り、排出量が計上される。適用される基準は、使用されるバイオマスの種類によって異なる。

EU域外の設置事業者向けガイダンス文書の附属書Dには、さらに詳細な情報が記載されている。
計算における小数点以下や四捨五入はどのように扱うべきか。すべての “有効”桁(測定の不確かさに従って)は、完全な計算を通して保持されるべきである。
体化排出量の計算には、輸入CBAM貨物の総重量と正味重量のどちらを使用すべきか。EUの関税地域に輸入されるCBAM対象物品は、正味重量で測定される。従って、CBAM商品の体化排出量の計算にも、正味重量を使用すべきである。
排出量データがない在庫品目はどう扱うのか。2024年6月30日までの輸入分については、欧州委員会が公表しているデフォルト値を用いて、このような在庫品目の体化排出量を見積もることができる。

2024年6月30日以降の輸入については、実績データを報告する必要がある。古いスペアパーツや在庫品のデータが不足している場合は、類似品または同一商品のデータを提出することができる。
ある施設が複数の生産工程で同時に使用されている場合、その施設からの排出を各生産工程にどのように帰属させるのか。設備におけるすべてのインプット、アウトプット、 および対応する排出量は、非CBAM製品に関連しない限り、 生産プロセスに帰属すべきである。

全体として、設備の関連する排出は、CBAM製品と、該当する場合は非CBAM財の製造工程で100%カバーされなければ ならない。

複数の関連する生産工程を持つ施設において、共有設備、共有の「排出源の流れ」、共有の排出源が関連する場合、インプット、アウトプット、排出量は、適切な割合で異なる生産工程に帰属させなければならない。

例えば、ある施設が浄化された水を生産し、その水の60%がCBAM製品の生産に使用される場合、 浄化に関連する直接・間接排出の60%は、CBAM製品の生産に帰せられるべきである。
販売可能な規格外製品は、活動レベルの決定に考慮されるべきか。規格外製品が販売可能である場合、生産工程のCBAM商品カテゴリーを参照するCNコード(実施規則(EU)2023/1773の附属書IIに記載)に準拠していることを条件に、活動レベルに含めるべきである。
体化排出量を決定するために、鉄鋼・ アルミニウム製品のどの製造プロセスを考慮する必要があるのか。システム境界内にある鉄鋼製品のプロセスは、実施規則附属書IIの3.16.1節に定められている。

再加熱、再溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、鍛造、酸洗、焼鈍、メッキ、コーティング、亜鉛メッキ、伸線、切断、溶接、仕上げなどが含まれる。

アルミニウム製品については、実施規則附属書Ⅱの3.18.1項で、システム境界内にあるプロセスが定められている。これには、再加熱、再溶解、鋳造、圧延、押出、鍛造、コーティング、亜鉛メッキ、伸線、切断、溶接、仕上げなどが含まれる。

これらの工程が二次施設で発生した場合、または他社に委託され、その後商品が一次施設に戻された場合、一次施設で発生したものとして扱われることがある。

セメントに関して(Q87)

質問回答
セメントは、CBAMの範囲では「複合製品」と定義されるのか。はい。クリンカはセメントの前駆体であり、クリンカ自体もCBAMの適用範囲であるため、セメントはCBAMの適用範囲の複合製品と定義される。

肥料に関して(Q88,Q89)

質問回答
肥料生産に伴う発熱性化学反応は、直接排出として計上されているのか。有機化学物質の酸化など、反応によってCO2が発生し、CO2が排出される場合は、直接排出として計上される。

天然ガスから水素への転換による排出も、直接排出としてカウントされる。
尿素に結合したCO2はマイナス排出としてカウントできるのか。EU ETSでは、尿素に含まれるCO2はマイナス排出にはならない。したがって、CBAMの排出量報告においては、尿素に含まれるCO2の割引は適用されない。これは、アンモニア生産で発生し、尿素生産に移されたCO2が、アンモニア生産での排出量としてカウントされることも意味する。

CBAM対象製品としての電力に関して(Q90~Q95)

質問回答
電力輸入のCBAM報告申告者は誰か。一般的に、CBAM報告申告者は税関申告書を提出する人である。他のCBAM場合と同様に、EU域外に設立された輸入者は、CBAM報告義務を履行するために間接代理人を任命しなければならない。CBAM報告のためにサービスプロバイダーを指名することも可能ですが、これは輸入者(または該当する場合は間接代理人)の責任を免除するものではない。

確定期間中、CBAM規則CBAM規則第5条第4項に基づき、明示的な容量割当により電力の輸入のための送電容量が割り当てられた場合、輸入のために容量が割り当てられた者であって、かつ、その容量が輸入のために割り当てられた者は、第5条第4項に基づき、輸入のために容量が割り当てられた者であって、かつ、その容量が輸入のために割り当てられた者である。

輸入のためにその容量を指名する者は、その者が税関申告書において電気の輸入を申告した加盟国において、公認のCBAM申告者とみなされる。
電力の排出係数とCO2の排出係数の違いは何か。電力の排出係数は、地理的地域(第三国、第三国のグループ、第三国内の地域など)のすべての発電源(原子力や再生可能エネルギーを含む)の加重平均排出係数を表す。対照的に、CO2排出係数は、化石燃料の燃焼に基づく発電源の加重平均排出係数を表している。つまり、CO2排出係数は、同じ地域の電力排出係数よりも常に大きい。

移行期間中は、CBAM製品である電力の具体的な直接排出量を決定する方法として、電力のCO2排出係数を用いることが既定されている。対照的に、電力以外のCBAM製品の具体的な間接排出量を決定するための既定の方法には、電力の排出係数が用いられる。
輸入電力の体化排出量を決定するために、どのCO2排出係数を使用すべきか。輸入電力の既定値は、第三国、第三国のグループ、第三国内の地域について、欧州委員会が入手可能な最善のデータに基づいて決定される。移行期間中のデフォルト値は、国際エネルギー機関(IEA)による5年平均のデータに基づく国ごとのCO2排出係数である。この値は、欧州委員会がCBAM移行登録簿で提供する。

輸入電力の生産国について特定のデフォルト値がない場合は、EUのCO2排出係数を使用する。この係数もIEAのデータに基づいており、CBAM移行登録簿を通じて提供される。

報告申告者が、適用されるCO2排出係数が、上記のポイントに従った値よりも低いことを示す十分な証拠を公的および公開情報に基づき提出した場合、報告申告者は、実施規則に規定された方法に基づいてCO2排出係数を決定することができる。
実際の組込み排出量を報告するための要件(いわゆる「コンディショナリティ」)は。CBAM規則(附属書IV (5))の基準を満たせば、特定の発電設備の実際の排出量データを使用することができる。

基準は累積されることを念頭に置き、以下の条件を満たさなければならない。

o 実績体化排出量の使用を主張する電力量は、CBAM申告者と第三国に所在する電力生産者との間の電力購入契約によって賄われる;

o 電気を生産している設備が連合の送電系統に直接接続されているか、輸出時にその設備と連合の送電系統の間のネットワークのどの地点でも物理的なネットワークの混雑がなかったことを証明できること;

o 発電設備は、電力1kWhあたり化石燃料由来のCO2を550グラム以上排出しない;

o 実際の体化排出量の使用が主張される電力量は、発送国、仕向国、および関連する場合は経由国のすべての責任ある送電系統運用者によって、割り当てられた相互接続容量にしっかりと指名されており、指名された容量と設備による発電量は、同じ時間(1時間を超えてはならない)を指している。
電力の体化排出量を決定するシステム境界は。報告においては、電力生産時の直接的なCO2排出量のみが考慮さる。
例えば、風力タービンの生産と設置に関連する上流での排出は考慮されない。
CBAMはEU加盟国の排他的経済水域(EEZ)内の固定設備で発電された電力に適用されるのか。加盟国のEEZ内にある固定設備(EEZ内の洋上ウィンドパークなど)で発電され、EUに輸入される電力は、「EU原産」である(EU関税法(UCC)第59条および第60条に沿ったものであり、EU関税法委任法(UCC-DA)2015/2446の第31条(h)を類推したものである)。したがって、そのような電力はCBAMの対象ではない。

このような電力は、経過措置期間中は報告義務の対象とはならず、2026年以降はCBAM規則による調整の対象とはならない。CBAMの本格適用期間中(2026年以降)は、そのような電気に関して、CBAM申告者のステータスを申請する義務も、CBAM登録簿にアクセスする義務もない

水素に関して(Q96)

質問回答
CBAM製品としての水素と、再生可能エネルギー指令との関係は。実施規則 では、「製造された水素が欧州委員会委任規則(EU)2023/1184(1)に適合していることが証明されている場合、電力の排出係数をゼロとするできる」と規定している。(附属書II、3.6項)。これは、再生可能エネルギー指令に基づく「RFNBO」(非生物起源の再生可能燃料)としての水素の認証が、間接排出ゼロの実証に使用できることを意味し、二重の認証は必要ない。

このような認証がない場合、間接排出量は、実施規則 附属書IIIに従って決定する必要がある。

鉄鋼に関して(Q97~Q100)

質問回答
鉄鋼製品の体化排出量を計算する際、石灰窯やコークス炉プラントのような補助工程は、バウンダリー計算に含まれるのか。各商品カテゴリーのシステム境界は、施行規則(EU)2023/1773の付属書IIIに記載されている。

石灰窯とコークス炉工場は、鉄鋼生産のシステム境界には含まれない。

これは、これらの工場の生産物(石灰やコークス) はCBAM商品ではないからである。その結果、石灰とコークスは、体化排出量計算の前駆体とはみなされない。
鉄鉱石ペレットはCBAMの範囲に入るのか。鉄鉱石ペレットは、CNコード2601 12 00「凝集した鉄鉱石及び精鉱(焙焼した黄鉄鉱石を除く)」に該当する。銑鉄または直接還元鉄(DRI)製造の前駆体(「焼結鉱」)とみなされる。
1つの鉄鋼生産の施設を複数の施設に分割することはできるのか。施設の分割は可能である。1つの施設内で異なる生産ルートが存在する場合、施設を別々の生産工程に分割することが義務づけられることもある。

さらに、施設の分割は、より詳細で透明性の高いモニ タリングに特に有効である。例えば、コークス炉と石灰製造は、生産される鉄鋼の体化排出量にはカウントされないので、別の施設と見なすことが有効であるだろう。

施行規則(EU)2023/1773のモニタリング規則によると、前駆体はCBAMの手法で完全に考慮されているため、設備の分割によって、鉄鋼製品の最終的な体化排出量が異なる結果になることはない。
CBAMレポートの “製鉄所識別番号 “には何を記入すればいいのか。製鋼所識別番号」は、「ヒート番号」とも呼ばれ、原則としてその鋼材がどの製鋼所/火炉で生産されたかを示す。異なるヒート番号が多数ある場合は、コメントを残すことが推奨されている。ヒート番号が数種類しかない場合は、すべて記入することができる。

なお、「製鉄所識別番号」の記入は任意ですが、記入することが推奨されている。

アルミニウム/鋼に関して(Q101)

質問回答
アルミニウム/鉄鋼製品の排出原単位は、異なる合金等級について個別に決定すべきか。具体的な体化排出量は、異なる生産ルートが設置されている場合を除き、一般的に、商品カテゴリーごとに決定される。集計される製品分類は、異なるCNコードを持つ製品を対象とする場合がある。同じCNコード内でも、合金元素の含有量や投入スクラップの割合が異なる場合がある。それにもかかわらず、移行期間中の体化排出量は、製品分類ごとに報告することができる。

事業者は、特定の商品または商品グループについて、より細分化された特定の組込み排出量の決定を自主的に選択することができる。

税関に関して(Q102~Q135)

質問回答
輸入者は、税関申告とCBAM報告のために異なる通関代理人を使用することができるのか。移行期間中に適用される報告要件に関して、CBAM規則(第5条)は、CBAM商品の輸入者が連邦関税法第18条の意味における直接的または間接的通関代理人を任命する可能性を予見している(同規則第952/2013号参照):

o 直接代理人の場合、EUに設立された輸入者はCBAMの義務を負うが、直接の通関代理人は輸入者の名前で、また輸入者に代わって税関申告書を提出する。
o EUで設立された輸入者が間接的な通関代理人を任命し、後者が同意した場合、報告義務は当該間接的な通関代理人に適用される。
o 輸入者がEU加盟国に設立されていない場合、報告義務はいかなる場合も間接的な通関代理人に適用される。

輸入者は、同じ税関申告書に記載されたCBAM商品について、複数の間接的な通関代理人を持つことはできない。

EU加盟国に設立された輸入者については、税関の義務を履行するために直接の税関代理人を使用し、CBAM報告データをCBAM移行登録簿に入力するサービスプロバイダーを雇うことが可能であろう。この目的のために、輸入者は移行登録簿へのアクセスをこのサービスプロバイダーに委任し、サービスプロバイダーは輸入者の名前で、輸入者に代わってCBAM報告書に記入する。このような委任は、「雇用者-被雇用者」という委任モデルに従い、「雇用者」は輸入者または間接的通関代理人であり、「被雇用者」はサービス提供者である。この場合、輸入者-雇用者(EO)およびサービス提供者-被雇用者(EMPL)の両ユーザーは、加盟国によってUUM&DSに設定される必要があり、輸入者はCBAM申告者アクセスをサービス提供者に(UUM&DSを介して)委任する責任があることに注意してください。これは、「CBAMサービスプロバイダー」が従業員としてCBAMレジストリに接続する際、アクセスを委任した輸入者のEORIが使用されることを意味します。こうして「CBAMサービスプロバイダー」が輸入者のEORI番号を使って登録簿にアクセスし、その輸入者のCBAM報告書が提出されると、輸入者はいかなる場合でも報告申告者であり続け、したがってCBAM義務に対して法的責任を負うことになる。

EU域外に設立された輸入者の場合、間接的な税関代理人が税関申告とCBAM申告の両方に責任を持つ。
間接通関代理人がCBAM報告義務の履行に同意しない場合はどうなるのか。これは、輸入者がEU域内に設立されている場合にのみ可能である。逆に、輸入者がEU域内に設立されていない場合、輸入者はCBAM報告義務を履行しなければならない間接的通関代理人を任命しなければならない。

実施規則の第8.3条は、間接的通関代理人がCBAM報告義務の履行に同意しない場合、輸入者に報告義務を通知しなければならないと規定している。

CBAMの実施を促進するため、以下の枠内の文章は、間接的通関代理人がCBAMの目的で上記の報告義務を履行しない決定を輸入者に通知する際の基礎として使用することができる、指標的かつ拘束力のないテンプレートである。(省略)
直接的通関代理人は、EU域内に設立された企業のCBAM報告申告者になれるのか。EUの輸入者は、直接または間接の通関代理人を任命することができる。ただし、CBAM報告(CBAM規則および施行基づく)に関しては、輸入者または間接的な代理人のいずれかが同意した場合に、その義務が生じる(経過期間については、規則(EU)2023/956第32条を参照のこと)。移行期間については、規則(EU)2023/956の第32条を参照のこと)。

輸入者が直接の通関代理人を任命した場合でも、その輸入者はCBAM報告義務を負う。言い換えれば、CBAMの目的上、輸入者は引き続き申告者である。

輸入者がCBAM報告書の作成と提出を支援するサービスプロバイダーを任命することを妨げるものではないが、そのような場合であっても、CBAM報告を遵守する責任は、輸入者または場合によっては間接的な代理人にある。
会社が1つのEU加盟国で登録されているが、複数の加盟国を経由してCBAM商品を輸入している場合、これらすべての輸入を1つの四半期報告書にまとめるべきか。移行期間中、CBAM申告者は、輸入された全てのCBAM商品の体化排出量に関する情報を含むCBAM報告書を四半期ごとに提出する責任がある。
CBAM製品は、税関当局に提供されたEORI番号を通じてCBAM申告者に帰属する。このシナリオでは、1つのEORI番号で1つの会社しか関与していない。従って、CBAM四半期報告書は、たとえ製品が異なる加盟国で輸入されたとしても、この会社が輸入した全てのCBAM製品の体化排出量に関する情報をまとめなければならない。

輸入者は、報告義務の履行に同意する場合、CBAM貨物の輸入中に自らのEORI番号を提供し、間接的な通関代理人によって輸入された貨物について輸入者に代わってCBAM報告義務を引き受ける間接的な通関代理人を任命することを決定することができることに留意。
輸入者が外国で登記された会社の支店であり、両者が同じEORI番号を共有している場合、関連するNCAはどちらか。親会社が非EU加盟国に本社を置く法人であり、異なるEU国に複数の事業体を有するが、いずれも規則(EU)2023/956の第3条(18定義される「個人」に該当しない場合、その親会社はEORI番号を必要とする。経済事業者やその他の個人はEORI番号を1つしか持つことができないため、親会社が複数の加盟国に事業体を持つ場合でも、そのうちの1つの加盟国によって割り当てられたEORI番号を1つだけ申請し、使用することができる。

親会社が、規則(EU)2023/956の第3条(18)に基づく「個人」の定義を満たす事業体(登録事務所など)を他のEU加盟国に持っている場合、その事業体もEORI番号を持つことになり、それぞれの加盟国がその事業体の設立国とみなされます。この場合、親会社と事業体の両方にそれぞれEORI番号が割り当てられる。親会社は、設立されたEU加盟国の当局によってEORI番号が割り当てられる。この場合、原則として、親会社と子会社を担当するNCAは異なる。
EU域内を通過する貨物はCBAMで報告しなければならないのか。例えば、理事会規則(EC) No 1186/2009の第95条に基づき、商品が一時的な入国のために申告された場合は、CBAMの対象とはならない。CBAMの対象となるのは、EU域内への自由流通のために放出される貨物のみである。

同様に、CBAMは、一時的な受入のために申告され、自由流通のために公表されない非EU起源のサンプル(検査のために送られるなど)に関しては適用されない。
CBAM報告義務は、輸入以外の税関手続き(例えば、一時的な入国許可)の不履行によりEU域内の自由流通に入ったCBAM製品で、当該不履行手続きにより全ての関税と税金が既に支払われているものにも適用されるのか。自由流通のための商品の放出は、CBAMの要求事項が満たされていることを必要とする。従って、これらの要求事項が満たされているかどうかの管理は、自由流通のための商品のリリースに先立って行われるべきである。

不順守の場合、連邦関税法(UCC)第198条(1)(b)が適用される(すなわち、「税関当局は、商品が禁止又は制限の対象でために放出できない場合、その商品を処分するために、没収及び売却又は破棄を含むあらゆる必要な措置を講じなければならない」)。

このような場合UCC第198条第2適用される(すなわち、「国に放棄され、押収され、または没収された非組合貨物は、税関の倉庫保管手続の下に置かれたものとみなされる」)。
インワード・プロセシング体制下に置かれたCBAM製品について報告する必要があるのか。CBAMの義務が発生するEU域内で自由に流通させることができるようになった貨物のみである。従って、将来の輸出や加工を考慮して通関停止措置がとられたCBAM製品の場合、CBAMの義務はない。

ただし、CBAM物品がEU市場に出荷されるために内国加工制度から離脱する場合は、CBAM義務があることに注意すること。この場合、CBAM報告書を提出する際に、補助書類として荷送状をアップロードしなければならない。

CBAM報告義務は、インワードプロセスの下に置かれたCBAM製品が、それ自体もはやCBAM財ではない製品に加工され、この最終財が最終的にEU内で自由に流通するためにリリースされる場合にも生じる(実施規則第6条参照)。この具体的なケースでは、CBAM報告書は、インワードプロセスの下に置かれたCBAM製品の量と体化排出量に関する情報を含むが(CBAM規則第6条(f)と(g))、自由流通のためにリリースされた最終製品の量と体化排出量に関する情報は含まない。

例えば、これらの商品はCBAM商品ではない(すなわち、第6条(a)と(b)
は適用されない)。
輸入したCBAM製品に関税停止措置があります。CBAMは免除されるのか。EU法は、特定の農産物および工業製品に関する規則(EU)第952/2013号第56条(2)項(c)で言及されている共通関税を一時停止する規則(EU)第2021/2278号を改正する2023年12月19日付理事会規則(EU)第2023/2890号
により、関税の一時停止を規定している。

このような関税の一時停止は、CBAMの義務(報告義務を含む)には影響しない。
CBAM製品の原産国とは。「原産国」とは、関連する関税法の意味において、経済的に正当化される最後の実質的な加工又は作業が行われた国又は地域をいう(規則952/2013の第60条2項、及び連合関税法典委任法(UCC-DA)2015/2446の第32条における「最後の実質的な加工又は作業」の概念に関する更なる説明を参照)。

なお、CBAMの場合、非特恵原産地規則が適用される。
CBAM製品の「原産国」と「生産国」の違いは。CBAM製品の「原産国」は、上記の質問「CBAM製品の原産国とは?」で定義されている。

「生産国」とは、CBAM製品の最後の物理的加工がされた国である(包装を除く)。CBAM報告において、生産国は、最後の物理的加工が行われた施設の運営者のみが、その商品の具体的な体化排出量を決定することができるため、関連性がある。また輸入電力の体化排出量や間接的な体化排出量の算定に用いるべき既定の排出係数を 特定するためにも、生産国は重要である。

ほとんどの場合、「原産国」と「生産国」は同じであるが、場合によっては異なることもある。CBAM製品としての電気の場合、税関規則上、「原産国」と「生産国」は同じである。
間接的通関代理人が一部の商品についてのみ報告申告者として行動し、他の商品については行わないことに同意した場合はどうなるのか。彼らは、報告申告者として行動する商品とそうでない商品の2つの異なる税関申告を提出する必要があるのか。はい。一部の商品についてのみ報告申告者として活動し、他の商品については報告申告者として活動しないことに同意した間接的通関代理人は、報告申告者として活動する商品とそうでない商品の2つの別々の税関申告書を提出する必要がある。
税関の目的でEU輸入者の代理を務める場合、「申告者記録への入力」(EIDR認可)を有する間接的通関代理人も申告者としての行為を拒否することができるのか。施行規則第2条(1b)施行規則第2条(1b)は、「申告者記録への記入」(EIDR認可)による輸入許可を有する者が申告者として活動できることを規定している。

実施規則第8条3項の一般規定がこのケースにも適用される。施行規則第8条第3項は、この適用される。したがって、EIDRの認可を受けている者は、報告申告者としての行為を拒否することができる。
本格適用期間中、CBAM商品の輸入者はどのような義務を負うのか。本格適用期間中は、認可されたCBAM申告者のみがEUに商品を輸入することができる(CBAM規則第4条)。認可されたCBAM申告者は、CBAM規則第5条によれば、以下の通りである:
o 輸入者が加盟国(EU域内)に設立されていない場合:間接的通関代理人
o 輸入者が加盟国(EU域内)に設立されている場合:輸入者、または合意に基づき、間接的通関代理人。

従って、輸入者が加盟国に設立されておらず、間接的通関代理人が公認CBAM申告者の地位を有していない場合、当該CBAM商品を域内に輸入することはできない。

本格適用期間中、認可されたCBAM申告者は、輸入されたCBAM製品の総体化排出量に相当するCBAM証明書を購入し、引き渡す義務を負う。

また、CBAM申告者は、毎年CBAM報告書を提出する義務を負う。
「公認CBAM申告者」になるには。2025年初頭以降、EU域内で設立されたCBAM製品の申告者または新規輸入者は、CBAM登録簿を通じて「公認CBAM申告者」のステータスを申請できるようになる。彼らの申請は、彼らが設立されたEU加盟国の国内所轄庁によって処理される。このステータスは、2026年1月1日より、EU域内におけるCBAM製品の輸入に義務付けられる。

「公認CBAM申告者」のステータスの申請は、関連する実施法が採択され次第(2025年1月予定)開始される。
2026年以降、EUの輸入業者がCBAMの申告者でない場合、CBAM品目の輸入を禁止するのか。はい。CBAM規則第25条は、「税関当局は、公認CBAM申告者以外の者による貨物の輸入を許可してはならない」と規定している。
CBAM申告書を本格適用期間中に提出するには。年次CBAM申告書は、権限を与えられたCBAM申告者により、「CBAM登録簿」を通じて提出されなければならない。確定期間中「CBAM移行登録簿」は「CBAM登録簿」に置き換えられることに注意すること。
CBAMレジストリへのアクセス方法は。輸入者の申請が管轄当局によって認可されると輸入者は認可されたCBAM申告者とみなされる。各CBAM申告者には、欧州委員会からCBAM口座番号が割り当てられ、これによりCBAM登録簿へのアクセスが可能となる。

本格適用期間中のアクセス管理もEU全体のUUM&DSを介して行われる。つまり申告者は、各国当局の選択に応じて、オプション1(CBAMドメイン)またはオプション2(税関ドメイン)のいずれかを使用してCBAM確定システムにアクセスすることができる。

新しいUUMDSプロファイルが確定レジストリに必要となる。NCAは、確定システムへのアクセスを確保するため、既存の申告者にこれらの新しいプロフィールを割り当てる必要がある。

本格適用期間中、第三国の事業者もCBAM登録簿にアクセスできるようになる。第三国の事業者は、欧州委員会のDG DIGITのEU-Accessプラットフォームを利用してCBAMポータルにアクセスする。欧州委員会は、第三国の事業者からのアクセス要求を検証し、適切な場合にはアクセスを許可する。同プラットフォームへのアクセスを取り消す必要がある場合、欧州委員会は加盟国に相談する。
欧州委員会の役割は。移行期間中と同様、欧州委員会はCBAM登録簿の管理を継続し、申告者から提出されたCBAM報告書を確認し、潜在的な問題があればNCAに報告するとともに、CBAMの実施状況や迂回リスクを監視する。

さらに、欧州委員会は、輸入業者にCBAM証明書を販売するための中央プラットフォームを管理する。経済事業者は、このプラットフォームで購入したCBAM証明書を引き渡し、また購入したCBAM証明書を放棄することができる。
なぜ間接排出は、セメントと肥料のCBAMにのみ含まれているのか。間接排出は、EU加盟国が間接費用補償を認める商品については、CBAMの対象には含まれない。この補償は、電気料金に転嫁される温室効果ガス排出コストから発生する間接的な排出コストに適用される。

しかし、欧州委員会は、経過措置の終了までに、CBAMの適用範囲を他の製品の間接排出にまで拡大する可能性を評価しなければならない。
EUはCBAMの範囲を拡大するのか。CBAMの移行期間の終了(2025年末)までに、欧州委員会はCBAMの実施に関する全面的な見直しを行う。その間に収集されたデータを用いて、特に、カーボンリーケージのリスクがあるEUETSの対象である他の製品やセクターにCBAMを拡大する可能性を慎重に検討する(CBAM規則第30条2項参照)。CBAMの適用範囲を拡大するには、欧州委員会による立法提案と、欧州議会および理事会によるCBAM規則の採択が必要である。
CBAM申告者はどのようにして「認可」されるのか?
本格適用期間中の認可のタイムラインは。
申請者が以下の基準を満たす場合、申請者が設立されている加盟国のNCA は、公認CBAM申告者の地位を付与する:

・関税法、租税規則、市場濫用規制、CBAM規則の重大な違反に関与していないこと、または違反を繰り返していないこと;
・財務および運営能力を示している;
・申請書が提出された加盟国に設立されている;
・EORI番号が割り当てられている。

認可を与える前に協議手続きが必要であり、その期間は15営業日を超
えてはならない。移行期間中、欧州委員会は、認可手続きの詳細を含む二次法案を採択する(CBAM規則第17条(10)参照)。
EUの輸入業者は、EU域外の輸出業者から新システムを正しく利用するために必要な情報を確実に受け取るにはどうしたらよいのか。EU域外の生産者は、CBAMの対象となる製品の体化排出量に関する情報を、その製品のEU登録輸入者に提供しなければならない。この情報が入手できない場合、EUの輸入者は、CBAM申告で報告しなければならない体化排出量と、放棄する必要のある証明書の数を決定するために、デフォルト値を使用することができる。しかし、輸入業者にとっては、体化排出量の計算を提供する方が有利だろう。
報告された情報の信頼性はどのように確保されるのか。欧州委員会は、加盟国当局と協力して、報告された排出量とそれに対応する取引を継続的に監視し、CBAM規則およびその二次法規を回避し遵守していない慣行を特定する。さらに、確定期間中、検証を実施し、そこから得られる報告書には、排出量の定量化に関する情報と、これらの排出量が異なる種類の商品にどのように帰属するかに関する情報を含めるものとする。

本格適用期間中、申告された体化排出量は、特定の認定規則(移行中に欧州委員会が定める)に従って認定された検証者によって検証されなければならず、検証者は検証報告書を作成する。これに伴い、CBAMの申告には、排出量検証報告書の写しが添付される。

CBAM申告者が、同規則に定められた義務を遵守せずに商品を域内に持ち込んだ場合、罰則が課される。
検証者の認定はどのように行われるのか。欧州委員会は移行期間中、認定と検証に関する規則を定める補足法の制定に取り組む。

このような法律には、EU ETSとCBAMの検証原則と検証範囲の調整に関する、CBAM規則第8条と第18条に従った実施法と、検証者の認定条件を規定するCBAM規則第18条に従った委任法が含まれる。
認定されたCBAM検証者はどのように見つけることができるのか。CBAM検証者の認定は、EU加盟国の国家認定機関(NAB)の任務となります。検証者の資格と従うべき方法論を定めた関連する補足法がまだ採用されていないため、これはまだ行われていない(上記の回答を参照)。
申告者はCBAM証明書をどのように購入するのか。公認CBAM申告者は、CBAM証明書を、自らが設立した加盟国から購入する。すべての購入は、加盟国と会の共同調達手続きに従って欧州委員会が設置する共通の中央プラットフォーム上で行われる。認可を受けたCBAM申告者のみがCBAM証明書を購入することができる。

公認CBAM申告者は、年間を通じていつでもCBAM証明書を購入することができる。

しかし、CBAM申告者は、その年の初めからEUに輸入したCBAM製品に含まれる排出量の少なくとも80%に相当する数のCBAM証明書を購入しなければならない。このルールは四半期ごとに計算されるため、申告者は各暦年の各四半期末(3月31日、6月30日、10月31日、12月31日)に、この要件を満たしていることを確認しなければならない。
CBAM証明書の価格はどうなるのか。欧州委員会は、オークションプラットフォームにおけるEUETS排出枠の終値の平均として、CBAM証書の価格を週ごとに算出する。この価格はユーロ建てで算出され、一般に公開される。

CBAM証書は1枚につきCO2換算量1トンに相当する。
申告者はどのようにCBAM証明書を引き渡すのか。まず、CBAM宣言者は、毎年5月31日までにCBAM登録簿に年次申告を提出する。年次申告書には、放棄しなければならないCBAM証明書の数が記載される。この放棄すべきCBAM証書の数は、年次申告の対象となる年にEUに輸入されたCBAM商品のCO2排出量に相当する。

第二に、毎年5月31日までに、そして2026年については2027年5月31日までに、CBAM公認申告者は、CBAM登録簿にある、同年の年次申告で申告したCBAM証明書の数を引き渡す。

そのために、CBAM申告者は、CBAM登録簿のCBAMアカウントで利用可能なCBAM証明書の中から放棄したいCBAM証明書を選択する。
放棄されるCBAM証明書の枚数はどのように計算されるのか。各公認CBAM申告者が引き渡しを受けるCBAM証明書の数は、輸入されるCBAM製品の量と実際の具体的な体化排出量によって決定される。

排出量を、EUETSの無償割当の対象となる特定の排出量によって削減し、関連する場合には、原産国で実質的に支払われる炭素価格によってすでにカバーされている特定の排出量によって削減する。

以下のグラフ(表の下部に表示)は、放棄されるCBAM証書の計算をまとめたものである:

無償割当の対象となる具体的な排出量の決定方法の詳細については、質問132を参照のこと。

第三国で支払われた炭素価格がCBAMからどのように控除されるかについての詳細は、質問134を参照のこと。
CBAM支払い義務の計算において、無償割当はどのように説明されるのか。自由配分の調整に関する規則は、CBAM規則第31条(2)の権限委譲を受けて欧州委員会が策定する。

輸入業者が支払うべきCBAMの義務は、EUの生産者が同じ製品の生産に対して受け取るであろう対応する無償割当額によって減額される。これにより、EUと第三国で生産された製品が同等に扱われることが保証される。

この自由配分の調整には、CBAMベンチマークの定義が含まれるが、これはEU ETSベンチマークの組み合わせに基づく。利用可能なETS製品のベンチマークは限られており、CNコードごとに定義されていないため、組み合わせが必要である。

2026年から2034年にかけて、CBAMセクターのETS無償排出枠は段階的に廃止され、それに伴いCBAM義務も増加する。これは、無償割当のためのCBAM調整額が徐々に減少し、それによってCBAM義務が増加するためである。

CBAMの対象となる排出量は、以下のように計算される(原産国ですでに支払われている潜在的な炭素価格を考慮する前):

CBAMの対象となる排出量 = 体化排出量 – CBAMベンチマーク× CBAM係数

例えば、ある製品の体化排出量が1.2t-CO2 eq/tで、対応するCBAMベンチマークが1t-CO2 eq/tである場合、2026年にCBAMの対象となる排出量(CBAM係数97.5%)は、以下のようになる:1.2-1×0.975=0.225t-CO2 eq/tとなり、体化排出量の約19%に相当する。2030年(CBAM係数51.5%)の場合、CBAMの対象となる排出量は0.685t-CO2eq/t(すなわち、体化排出量の約57%)、2034年(CBAM係数0%)の場合、次のようになる。1.2t-CO2 eq/t(すなわち、組込排出量の100%)。2034年以降は、自由配分の調整は行われず、この商品の輸入にはCBAMの全責任が適用される。

この計算から、ある製品の体化排出量が、CBAMベンチマークにCBAM係数を乗じた値より低ければ、ある年にはCBAM義務は適用されないことがわかる。2026年の例では、体化排出量が0.975t-CO2eq/t以下であれば、CBAM義務は発生しない。

EU ETSでは通常、発電に対する無償割当はないため、原則として、輸入電力に対するCBAM責任に対する無償割当調整はない。したがって、2026年以降、電力生産に含まれる全排出量に対応するCBAM証書の購入が必要となる。
CBAMベンチマークはどのように定義されるのか。CBAMベンチマークは、EU ETSベンチマークの組み合わせに基づく。利用可能なETS製品ベンチマークは限られており、CNコードごとに定義されていないため、組み合わせが必要である。CBAMベンチマークを定義するための分析作業が開始された。CBAMベンチマークは必ずしも固定された数値ではない。

場合によっては、CNコードごとにCBAMベンチマークが設定されることもあるが、それぞれの生産工程が類似している場合には、CNコードのグループごと(例えば、集約された商品カテゴリーごと)にCBAMベンチマークが設定されることもあり得る。一方、同じCNコードでも、例えば一次鋼材と二次鋼材のように、CBAMのベンチマークが異なることもあり得る。

全体的な目的は、利害関係者の負担を抑えつつ、EUETSの無償割当規則を反映した方法論を開発することである。
第三国で支払われる炭素価格は、CBAMからどのように割り引かれるのか。CBAM申告者は、CBAM商品の体化排出量に対して原産国で既に支払われた炭素価格に相当するCBAM証書の減額を要求することができる。

CBAM規則は、「炭素価格」を「炭素排出削減スキームの下で、第三国において、税、賦課金、手数料の形で、または温室効果ガス排出量取引制度の下で、排出枠の形で支払われる金銭的な金額(…)」と定義している。

「原産国で実質的に支払われた」炭素価格のみが、CBAM証明書の数の削減にカウントされます。認定されたCBAM申告者がリベートまたはその他の形式の報酬から利益を得る場合、その利益は考慮され、実質的に支払われる炭素価格が決定される。これは、たとえば、ETSに基づく無料の手当が付与されている場合に当てはまる。

欧州委員会は、2025年の移行期間終了までに、原産国で実質的に支払われた炭素価格の控除に関する追加事項を定めた実施法を作成する(CBAM規則第9条4項参照)。

この実施法は、特に、申請された控除を確実に認めるための規則を定める。これには、外貨で実質的に支払われた炭素価格の年平均為替レートによるユーロへの換算を含む、外貨で実質的に支払われた炭素価格の対応するCBAM証書の引き渡し枚数削減への換算に関する規則が含まれる(質問131の計算概要参照)。また、価格が「実質的に支払われた」ことを証明するために必要な実際の支払いの証拠の種類や、独立した者による証明も対象となる。また、計上すべきリベートやその他の補償の種類も規定される。
CBAMは収益を生むのか。生むとしたらその使い道は。CBAMは予算収入を生み出すようには設計されていない。一般的に、潜在的な収入の推移は、将来のETS炭素価格の水準、輸入されるCBAM製品の体化排出量、実質的に支払われる炭素価格に依存する。

しかし、CBAMの導入は、CO2排出量の削減につながると期待され、貿易相手国が国内の炭素価格政策の収益創出の側面を考慮する動機付けとなるため、将来のCBAMの収益は、この政策の付随的効果に過ぎないだろう。

しかし、特に導入後の最初の数年間に収入が得られれば、EUの機関間協定LI 433/28に従って、EU予算の独自財源となることが決まっている。

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