トップ ZEROC PLUS 脱炭素経営を基礎から学ぶ ISCC PLUS認証とは?メリットや取得方法から企業事例まで紹介
脱炭素経営を基礎から学ぶ

ISCC PLUS認証とは?メリットや取得方法から企業事例まで紹介

公開日 2025.08.18 最終更新日 2025.08.18

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

経営にもサステナビリティが求められる時代、バイオマスやリサイクル原材料の持続可能性を証明するためのグローバルな制度「ISCC PLUS認証」が注目されています。

ISCC PLUS認証を取得することで、社会やステークホルダーに対し、明確に定義された持続可能性基準への準拠を信頼性をもってアピールすることが可能です。

本記事ではISCC PLUS認証の概要からメリット、取得方法まで詳しく解説します。また具体的な企業事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ISCC認証とは

ISCC認証とは

ISCCは2010年に多様なステークホルダーのイニシアチブを通じて設立されました。日本では「国際持続可能性カーボン認証」と訳されることが一般的です。現在130カ国以上で2,000件以上の有効な認証を保有する世界最大級の国際的な認証システムの一つです。

ISCCは、農業や林業、生物起源の廃棄物、残留物、リサイクルされた炭素系素材などの持続可能で森林破壊のない追跡可能なサプライチェーンの実装と認証を行います。

ISCCの6原則

ISCCはバイオマス農業の持続可能性の要件として、次の6つの原則を規定しています。なお原則1は欧州委員会による再生可能エネルギー指令(RED II)の法的持続可能性要件を網羅しており、原則2〜6は一定の状況下で是正される可能性があります。

原則概要
原則1:生物多様性価値の高い土地や炭素蓄積量の高い土地の保護原生林および生物多様性の高い森林、自然保護目的または希少種、絶滅危惧種や生態系の保護のために関係当局によって指定された土地が含まれます。
原則2:土壌、水、空気を守る環境に配慮した生産適正農業規範の適用を促進し、土壌や大気、水、廃棄物分野を網羅することで、環境汚染、劣化、枯渇を防止するための要件を定めています。
原則3:安全な労働条件農場レベルでの安全な労働を規定し、健康や安全衛生、事故発生の手順や方針を定めています。
原則4:人権と労働権の遵守、責任ある地域社会との関係農村や社会の発展、労働者や地域社会の権利に関する社会基準を規定しています。これらの要件は国際労働機関(ILO)の定義に基づいていますが、限定されるものではありません。
原則5:土地の権利、法律、国際条約の遵守すべてのバイオマス生産は適用される地域や国内法を遵守し国際的な条約を守らねければならないことを義務付けています。
原則6:優れた経営慣行と継続的な改善農場や農園の適切な管理を確保し、管理者は継続的な改善プロセスを促進する必要があります。

ISCC PLUSとは

ISCC は、市場ごとに異なる認証制度を運用しています。ISCC PLUSは、EUおよび英国以外の全世界で適用可能な認証制度で、プラスチック、食品、飼料、バイオ燃料などを対象とした市場とセクターと産業用途向けの認証制度です。

ISCC PLUS認証は化学や包装関係の加工産業において、サプライチェーンの原料の持続可能性を証明するための国際的な制度として、注目が高いのが特徴です。またISCC PLUS は、規制されていない市場向けの自主的な認証基準のため、企業が独自の持続可能性要求事項を追加することも可能です。ただし他の認証制度の枠組みは受け入れておらず、あくまでISCC認証制度の枠組みを使用します。

ISCC EUとの違い

欧州委員会が定めた再生可能エネルギー指令(REDII)で指定されている法的サステナビリティ要件への準拠を実証するための認証システムです。バイオ燃料およびバイオ液体の持続可能性基準への準拠を証明するものとして認められています。

ISCC CORSIAとの違い 

ISCC CORSIAは、国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)です。航空機の温室効果ガス排出量の削減は喫緊の課題であるという認識のもと国際民間航空機関(ICAO)と航空業界が対処するための制度です。

ISCC PLUS 認証対象

ISCC PLUS認証の基盤は、代替原料の使用であり、廃棄物や残渣、再生可能エネルギー由来の原料、持続可能な方法で栽培された農産物原料、森林バイオマスなどが含まれます。原料としては、以下の4つが対象となります。

バイオ原料 

バイオ原料は未使用のバイオマスに由来し、バイオマスは農業、林業、水産業や養殖業を含む関連産業、例えばトウモロコシ、サトウキビ、ナタネなどの製品の生分解性画分を指します。さらに具体例を挙げると使用済み食用油や、食品廃棄物、農業や林業の残留物などです。

サーキュラー(循環型)原料 

サーキュラー原料とは、サプライチェーンの最初にある材料であり、埋め立てられたりエネルギー的に使用されたりすることなく、廃棄物や処理残留物と見なされたものを指し、以下の2つに分けられます。

  • バイオサーキュラー

農業、林業、および漁業や水産養殖を含む関連産業からの生物学的起源の廃棄物と残留物、および産業廃棄物と都市廃棄物の生分解性画分を指します。例として木材のパルプ製造過程で得られる天然のトール油、食品廃棄物などが挙げられます。

  • サーキュラー

技術的サーキュラーを含むサーキュラーとは、非生物学的起源のリサイクル可能な材料(化石ベース)の機械的および化学的処理に由来する原料を指します。例として、混合プラスチック廃棄物、テキスタイル、使用済みタイヤなどが挙げられます。

再生可能原料

バイオマス以外の太陽光・風力などの再生可能エネルギー源を使用するプロセスから派生した非生物学的起源の材料も対象となります。つまり再生可能エネルギーインプットから生成された電力の場合は、ISCC PLUSの持続可能な材料として認証対象となります。

ISCC PLUS認証のメリット

ISCC PLUS認証のメリット

ここではISCC PLUS認証のメリットを詳しく解説していきます。

 サーキュラーエコノミーの推進

サーキュラーエコノミーとは循環型経済とも言われ、資源を効率的に循環利用し、廃棄物を最小限に抑えることを目指した経済の在り方です。ISCC PLUS認証の基盤は、代替原料の使用のためリサイクルなどの推進に繋がり、サーキュラーエコノミーの発展をサポートすることが可能です。

プラスチックなどの廃棄物を循環させることは、新たに製品を生産するよりCO2の発生を減少することができます。またそれにより化石資源の開発が減り、関連するCO2排出量も低減します。これらはサーキュラーエコノミーの発展に大きく寄与し、世界全体の廃棄物削減に貢献できます。

サステナブルな宣言を国際的にアピール

ISCC認証は上記で解説した6つの原則からなるサステナビリティ要件に関する情報を提供しています。ISCC認証がされた製品には、必ずサステナビリティ宣言の発行が必要となるため、ISCC PLUS認証の取得は自社が国際的にサステナブルな信頼を得ていることをアピールすることができます。

 マスバランスアプローチの実現 

日本では海洋プラスチックごみや気候変動、諸外国の廃棄物輸入規制強化など多くの課題にに対応するため、2019年に「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。企業がこの戦略に迅速に対応するためには、マスバランス方式の利用が不可欠といわれています。

マスバランス方式とは、特性の異なる原料が混合される場合に、ある特性を持つ原料の投入量に応じて生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法で、プラスチック製品を含む分野の製品に適用されつつあります。ISCC ではマスバランス方式を採用しているため、マスバランスからのアプローチを実現することができます。

ISCC PLUS認証の取得方法

ISCC PLUS認証の取得方法

ISCC PLUS認証を実際に取得するための方法を解説していきます。

ステップ1:市場に合った認証機関を選択

自社にとってISCC 認証がどのように機能するかをしっかり確認し、自社に合った認証機関を選択し、契約を締結してください。

ステップ2: ISCCに登録する 

ISCCのウェブサイトから直接ユーザー登録し、審査申請を行います。

ステップ3:認証機関による監査を受け、ISCC認証を取得 

認証機関による監査チームが設置され、不足している情報を特定します。そして不足している情報を補足してから、内部監査を実施します。ISCCの要件をよく理解し、情報の提供を実施しなければ不適合になり、認証プロセスが遅れてしまう可能性があります。ISCCは、内部監査にも使用できる監査手順のテンプレートを提供しているので、活用するのもいいでしょう。

 ISCC PLUS認証企業事例

それではここからはISCCPLUS認証を実際に取得している企業の事例をご紹介していきます。自社に合った企業事例をぜひ参考にしてみてください。

海外事例

ISCC PLUS認証を取得した海外の企業事例をご紹介します。

アメリカ:Covestro社

2023年、Covestro社は世界で3番目に大きなテキサス州ベイタウンの生産拠点がポリウレタンとポリカーボネートの原料メーカーとしては、米国で初めてこの認証を取得したと発表しました。これによりCovestro社のすべての主要拠点が、国際的に認知されたISCC PLUS規格の認証を取得したことになり、大きな成果として注目されました。

参照:ウレタン総合サイト|PU Portal

オーストリア:Borealis社

2025年、Borealis社は、米国Borealis Compounds Inc.がISCC PLUSを取得したこと発表しました。これによりBorealis社は、再生可能原料およびケミカルリサイクル原料から製造された高性能ポリオレフィンソリューションを提供できるようになりました。

参照:ニュース「Borealisスウェーデン」

国内事例

国内のISCCPLUS認証を取得した企業事例をご紹介します。

レンゴー株式会社

重包装製品などの事業を展開しているレンゴー株式会社は、2023年10月にISCCPLUS認証を取得しています。認証方式はマスバランスで、今後、同認証のバイオマス原料を割り当てたバイオマスポリプロピレン(PP)フィルムを展開しています。また、当社グループのサン・トックス株式会社、朋和産業株式会社も、すでに同認証を取得しており、グループ全体における原反から製品取り扱いまでのマスバランスのトレーサビリティを推進しています。

参照:ニュースリリース「レンゴー株式会社」

三菱ケミカルグループ

三菱ケミカルグループは、ISCC PLUS認証を、酸化エチレンやエチレングリコール類、ポリカーボネート(PC)樹脂などの製品において取得しています。これらの製品はマスバランス方式を活用し取得しました。今後も本認証の取得や認証製品の提供を通して、これからもリサイクル原料やバイオマス原料を使用したサステナブルな製品の社会実装に貢献することを目指しています。

参照:ニュースリリース「三菱ケミカルグループ」

豊通ケミプラス株式会社

2024年、豊通ケミプラスは名古屋支店・浜松営業所においてもISCC PLUS 認証を取得しました。東京本社・大阪支店・名古屋支店・浜松営業所の計4拠点でISCC PLUS 認証を取得したことになり、持続可能な原料をマスバランス方式によって割り当てた ISCC PLUS 認証製品の取り扱いが可能となりました。今後も豊通ケミプラスは、ISCC PLUS 認証製品の取り扱いの拡大を通じ、「カーボンニュートラル社会」の実現を目指していきます。

参照:ニュース「豊通ケミプラス株式会社」

まとめ

バイオマスやリサイクル原材料の持続可能性を証明するための国際的な認証制度「ISCC PLUS認証」について、メリットや取得方法をわかりやすく解説しました。

サーキュラーエコノミーの推進は今後ますます重要となります。特にサプライチェーンが海外にも及ぶ企業はISCC PLUS認証への取り組みが求められる可能性が大きいと言えます。

本記事でISCC認証の知見を深め、いざというときに慌てることのないように、ぜひ社内でISCC認証の検討を進めてみてください。

グリーンウォッシュ連絡窓口
「上辺だけ」の環境主張を見つけた方は、ぜひご報告ください。
私たちは、LCAの専門家として世の中に正しい脱炭素行動が広まるように貢献します。
資料ダウンロード
脱炭素経営のお役立ち資料をご用意しています。
弊社のサービス資料もこちらから確認いただけます。
お問い合わせ
弊社サービスに関するご相談やお見積りなど、
お気軽にお問い合わせください。