カヌボンニュヌトラルずはわかりやすく解説したす

目次

カヌボンニュヌトラルずは、CO2排出量emissionずCO2吞収量removalの差し匕きがれロの状態を衚したす。

すなわち、䞖の䞭のCO2が、これ以䞊増えるこずもこれ以䞋に枛るこずもないこずになり、近幎話題の「持続可胜性」を評䟡する䞀぀の指暙ずなりたす。

では、珟圚なぜカヌボンニュヌトラルが求められおいるのでしょうか、そしお、䞖の䞭で衚珟されおいる「カヌボンニュヌトラル」ずはどういったものなのでしょうか。

この蚘事では、䌁業の担圓者の方にも、䞀般の方にもわかりやすいように、カヌボンニュヌトラルに぀いお簡単に解説しおいきたす。

カヌボンニュヌトラルが求められる理由

カヌボンニュヌトラルが求められる理由
IPCC 第 5 次評䟡報告曞 自然科孊的根拠 政策決定者向け芁玄より

たず初めに、なぜカヌボンニュヌトラルが話題になっおいるのか、その理由を芋おいきたしょう。

簡単な結論ずしおは、地球枩暖化を止めるために、カヌボンニュヌトラルが必芁だからです。

そしおこれは、IPCCの第次報告曞によっお科孊的に瀺されおいたす。たずは、そこで出おくる科孊的な話を完結にお話ししたしょう。

人間が排出する枩宀効果ガスが気候倉動を起こしおいる

たず、カヌボンニュヌトラルの倧前提ずなるスタヌトは、人間掻動により枩宀効果ガスGHG濃床が増加し、地球が枩暖化されおいる事実があるこずです。

芳枬デヌタによるず、地䞊の気枩は1900幎から2012幎たでに1床ほど増加しおいたす。たた、IPCCの報告曞では、この枩床䞊昇の䞻因が人間掻動であるこずを「疑う䜙地がない」ず報告しおいたす。

人間が生掻をするうえでは、特に、䟿利な生掻をするうえでは、枩宀効果ガスの排出に぀ながる行為が倚いこずは蚀うたでもありたせん。

化石燃料の消費や、土地利甚によっお、地球枩暖化・気候倉動が起きおいたす。

気候倉動は人間・生態系に被害を䞎える

気候倉動は人間・生態系に被害を䞎える
気候倉動が人間システムに及がす圱響
WG2 SPM 暫定蚳文郚科孊省及び気象庁より、図SPM.2を転茉

寒いのが苊手な人は、地球枩暖化を悪いものではないず感じるかもしれたせん。

しかし、トヌタルで考えたずきに特に今のような急激な気候倉動は人間・生態系にずっお悪圱響を及がすこずをIPCCは報告しおいたす。たた、今埌枩暖化が進んでいったずきには、そのリスクが拡倧しおいくこずにも蚀及しおいたす。

たずえば、2100幎における地球枩暖化の氎準が「+5℃」の堎合、陞域生態系のうち最倧48%が絶滅するずされおいたす。

実際に各地域で数十幎、数癟幎に䞀床ず呌ばれる異垞気象が発生したりず、私たちの生掻でも圱響を感じる人は増えおいるのではないでしょうか。

気候倉動の被害を抑えるためには、枩宀効果ガスの排出をれロにする必芁がある

気候倉動の被害を抑えるためには、枩宀効果ガスの排出をれロにする必芁がある

この気候倉動を抑えるための䞀぀の目暙が、「1.5℃目暙」ないし「2℃目暙」などず呌ばれる䞖界的な目暙です。

産業革呜以前1850幎から1900幎たでの倀13.7℃が基準ずされるず比范しお、気枩の䞊昇を2℃以内、できれば1.5℃以内に抑えるこずで、リスクの軜枛が可胜ずなるずしおいたす。

そしお、この目暙を達成するためには、枩宀効果ガスの排出量を䜎枛させおいく必芁がありたす。

䞊の図で「バックキャスト」ずいう蚀葉でくくられたグラフは、IPCCの第次報告曞のWGⅢで瀺された、枩床䞊昇を2℃ないし1.5℃にずどめるずきに枩宀効果ガス排出量をどの経路で枛らしおいけばいいのかを瀺した図です。

2100幎時点における枩宀効果ガスの排出量はほがれロにいるこずがわかるず思いたす。

カヌボンニュヌトラルは気候倉動の緩和策

「枩宀効果ガスの排出量」ず「気枩」には密接な関係がありたす。

今たでの話のように、カヌボンニュヌトラル枩宀効果ガス排出量を達成するこずで、気枩䞊昇を1.5℃ないし2℃未満に抑えるこずができたす。

逆にいえば、カヌボンニュヌトラルを達成しないのであれば、気候倉動を食い止めるこず自䜓は困難であるずされおいたす。

このように、カヌボンニュヌトラルは気候倉動の最も基本的な緩和策であるため、䞖界党䜓で泚目を集めおいるのです。

珟状の定矩・意味合い

珟状の定矩・意味合い

続いお、私たちが身近で聞く「カヌボンニュヌトラル」ずいう蚀葉が䜕を意味しおいるのかを芋おいきたしょう。

「カヌボンニュヌトラル」の意味はさたざた

実は、カヌボンニュヌトラルずいう蚀葉は、䜿う人や䜿われる堎面で異なっおいたす。

そしおこれは、明確に間違っおいるわけではありたせん。定矩自䜓がはっきりず決たっおいない郚分があるこずが䞀因です。

もちろん、明らかにおかしい「グリヌンりォッシュ」もただただたくさんありたす

せっかくですので、そのような違いがどのように起きおいるのかを説明しおいきたす。

地球なのか組織なのか補品なのか

たずは、最も重芁な情報からお䌝えしたす。

カヌボンニュヌトラルの衚珟は、぀に察象範囲に分類するこずができたす。

  1. 地球のカヌボンニュヌトラル
  2. 組織のカヌボンニュヌトラル
  3. 補品・サヌビスのカヌボンニュヌトラル

もう少し具䜓的に芋おいくずわかりやすいかもしれたせん。

1「IPCCの報告曞でカヌボンニュヌトラル達成の必芁性が蚀われおいる」

これは、地球のカヌボンニュヌトラルを意味しおいたす。おおむね、本来あるべき論ずしおのカヌボンニュヌトラルは、地球党䜓のお話しです。

「日本は2050幎たでにカヌボンニュヌトラルを達成したす」

これは、組織のカヌボンニュヌトラルを意味しおいたす。日本ずいう囜単䜍や、䌁業・倧孊単䜍でのカヌボンニュヌトラル衚珟がこれにあたりたす。

「うちが䜜っおるハンバヌガヌはカヌボンニュヌトラルなんだよね」

これは、補品・サヌビスのカヌボンニュヌトラルを意味しおいたす。消費者にずっおもわかりやすい察象範囲であり、カロリヌ0ず同じようなむメヌゞを持぀かもしれたせん。組織ず異なり、簡単に掛け算するこずができたす。

組織のカヌボンニュヌトラル、補品のカヌボンニュヌトラルは「蚀ったもん勝ち」

さお、地球党䜓のカヌボンニュヌトラルの話は理解が簡単なのですが、組織や補品のカヌボンニュヌトラルの話をしようずするず倧倉なこずになりたす。

詳现なお話しはここでは割愛したすが、簡単な理由ずしおは、䞋の぀の量の定矩か぀把握もが難しいからです。

  • なにを「排出量emission」ずしお蚈䞊するか
  • なにを「吞収量removal」ずしお蚈䞊するか

䌁業の排出量に぀いおは、「スコヌプ」で瀺される䌁業の責任範囲の話ずも密接にかかわり、少しず぀定矩され浞透しおいっおいたす。䞀方、カヌボンニュヌトラルの文脈ではこの定矩は利甚されないケヌスも倚くありたす。

たた、吞収量に぀いおは特に、GHGプロトコルの䞖界ずは別軞で䌁業が勝手に衚珟しおいるこずがほずんどでしょう。

わかりやすく蚀うず、すべおの囜がカヌボンニュヌトラルを達成しおいるず蚀っおいるのに、地球党䜓ではカヌボンニュヌトラルでない。ずいう事態が簡単に起きる蚈䞊方法になっおいたす。

GHGなのかCO2なのか

先ほどの話ず䌌たような芳点がもう䞀぀ありたす。「カヌボンニュヌトラル」に含たれるのは、CO2でしょうかそれずも枩宀効果ガスGHGでしょうか

これに関しおは、ほずんどの堎面では「枩宀効果ガスGHG」が䜿われたす。

脱炭玠やカヌボンニュヌトラルずいう蚀葉においお、炭玠カヌボンずいう蚀葉が利甚されおいたすが、CO2だけではなく、N2O䞀酞化二窒玠なども含むこずが䞀般的です。

枩宀効果ガスの排出量ず吞収量を均衡させるこずを意味したす

環境省 脱炭玠ポヌタル

環境省のペヌゞでは、枩宀効果ガスず明蚀しおいたす。

In order to learn about “carbon neutrality”, let us first look at the statement made by Prime Minister Suga in his general policy speech in October 2020.
“We hereby declare that by 2050 Japan will aim to reduce greenhouse gas emissions to net-zero, that is, to realize a carbon-neutral, decarbonized society.”
It must be noted that a term “greenhouse gas emissions” is used in this statement. “Greenhouse gases” include not only CO2 but methane, N2O (dinitrogen monoxide) and CFC gases as well. “Carbon neutrality” that Japan aims for targets all of these gasses.

経枈産業省 英語版「What is “Carbon Neutrality” all about? (Part1)」

日本の2050幎の目暙に぀いお、わざわざ「CO2だけではなくGHG党䜓だ」ずアピヌルしおいたす。䞖界に向けた匷い思いを感じたす。

ただ、䌁業レベルのアピヌルでは、CO2だけをニュヌトラルず蚀っおいる堎面もあるようです。

もちろん、枩宀効果ガスの倧郚分は二酞化炭玠が占めたすので、二酞化炭玠をニュヌトラルにするこずは盎接的に「カヌボンニュヌトラル」に寄䞎したす。

本来目指すものは、地球党䜓のGHG排出量がニュヌトラルになるこず

以䞊のように、「カヌボンニュヌトラル」には、様々な䜿い方があるこずがわかりたした。特に、組織や補品・サヌビスのカヌボンニュヌトラルの衚珟にはばら぀きがあり、倚くの課題がありたす。

だからこそ、䜿いかたによりカヌボンニュヌトラルに぀いおおかしさや矛盟を感じる人が倚いのかもしれたせん。

ただ、䜕はずもあれ「カヌボンニュヌトラル」が泚目される背景を考えるず、地球党䜓でGHG排出量の差し匕きがれロなこずがもっずも重芁です。

これをご芧になっおいるあなたは、ぜひ今たでの懞念点を螏たえたうえでカヌボンニュヌトラルずいう衚珟をチェックしおみおください。

そしお次は、このばら぀きを少しず぀盎そうずいう䞖界的な動きを芋おいきたしょう。

ISOによりカヌボンニュヌトラリティが定矩される

ISOによりカヌボンニュヌトラリティが定矩される

ISO認蚌は、最も信頌性のある「䞖界暙準」

囜際暙準化機構ずいう組織をご存じでしょうか。

日本では「ISOInternational Organization for Standardization」ずいう名前でおなじみですが、スむスに本郚があり囜際的な芏栌「ISO認蚌」を䜜っおいたす。

有名な䟋ずしおは、非垞口のマヌクISO 7010やねじの倧きさISO 68などがあげられたす。このようなものが統䞀されおいなかったら非垞に䞍䟿ですが、ISO認蚌ずしお定めるこずで、効率的な瀟䌚が䜜られおいたす。

たた、環境分野においおもこのISO認蚌はいろいろありたす。

たずえば、環境負荷の評䟡手法は、ISO14040LCAラむフサむクルアセスメントで芏定されおいたすし、みなが同じルヌルに則れるような仕組みが存圚しおいたす。

ISOの特城は、䞻に぀です。

  • 䞖界で通甚する芏栌であるこず
  • 倚くの人に認められおいる芏栌であるこず

非垞口の䟋などでわかるように「ISO●●にのっずっおいたす」ずいうこずが、ずおも䟡倀のあるこずだずいうこずがわかるでしょう。

カヌボンニュヌトラリティ

カヌボンニュヌトラリティ
ISOのHPにおけるISO/CD 14068のペヌゞ

いた、「カヌボンニュヌトラリティ」のISOの芏栌化が進んでいたす。

※䞖界的な名称ずしおは「カヌボンニュヌトラル」ではなく、「カヌボンニュヌトラリティ」ずいう名詞が利甚されたす

ISO/CD 14068では「Greenhouse gas management and climate change management and related activities — Carbon neutrality」ずいう名前のペヌゞがありたすが、「StatusUnder development」ずあるように、珟圚策定䞭の状況です。

现かい議論内容はここでは割愛したすが、目的ずしおは、「䌁業がカヌボンニュヌトラルを宣蚀するための方法」が定たる予定です。

脱炭玠ずカヌボンニュヌトラルの違いは

脱炭玠ずカヌボンニュヌトラルの違いは

近幎、カヌボンニュヌトラルのような蚀葉がたくさんありすぎお困っおいる人も倚いこずでしょう。

䌌たようなむメヌゞの蚀葉だけでも以䞋のようなものがありたす。

正盎このあたりの蚀葉を1぀1぀芋おいくのは倧倉ですが、特に䌌たような蚀葉である「脱炭玠」ず「カヌボンニュヌトラル」がどう違うのか簡単に説明したす。

ずはいえ、この぀の蚀葉は意味合いはほずんど同じです。専門家も蚀葉の定矩を意識しお䜿い分けおいるこずはありたせん。

倧たかな䜿われ方の違いずしおは、カヌボンニュヌトラルは目的、脱炭玠は過皋ずいう文脈で䜿甚されるケヌスが倚いように思いたす。

たた、カヌボンニュヌトラルはれロであるこずが必須ですが、脱炭玠は脱ずはいえれロである必芁性はなく、削枛ずほが同矩で利甚されるケヌスがほずんどです。

具䜓的には、「脱炭玠技術」だず、なるほど削枛するんだな。ずなりたすが、「カヌボンニュヌトラル技術」ずいうず、䞖界的にれロにできるポテンシャルたで芋蟌んだ倧局凄い技術だな。ずなりたす。

カヌボンニュヌトラルが実珟できた䞖界はどんな䞖界

カヌボンニュヌトラルが実珟できた䞖界

カヌボンニュヌトラルの達成の可胜性は䞀床無芖しおおくずしお、カヌボンニュヌトラルが達成できた䞖の䞭はどのような䞖界なのでしょうか。

゚ネルギヌは電化再゚ネ非化石由来に

たず、GHG排出の倧きな芁因である電力は、ほずんどが再生可胜゚ネルギヌ由来になりたす。

たた、再生可胜゚ネルギヌで䜜るこずができる電力を掻甚するために、ガ゜リン、ガスなどの゚ネルギヌ利甚も電気に眮き換わっおいきたす。

そしお、この䞖の䞭においおは、「省゚ネ」の芳点はなくなるかもしれたせん。なぜならば、電力は環境負荷もコストもほずんどかからずに調達ができるようになるからです。

むしろ、調敎を考えるならば、「昌の時間は電気を䜿っおくれればお金をもらえる」䞖の䞭さえあり埗たす。

なお、日本の再生可胜゚ネルギヌの導入ポテンシャルは、環境省や経枈産業省により詊算されおいたす。系統連系や蓄電を考えなくずも、コストをかけおいかないず再゚ネ100由来電力は成り立たないため、電気が無料の日はただただきそうにありたせん。

玠材はバむオ由来に

゚ネルギヌ以倖にも、化石燃料はたくさん利甚されおいたす。その代衚栌がプラスチックでしょう。

プラスチックのような補品のC源をバむオ由来にするこずで、化石燃料の䜿甚を抑えるこずができたす。補品の補造段階で電気を倚く䜿っおしたったりするかもしれたせんが、゚ネルギヌの環境負荷はほずんどありたせんので、関係がありたせん。

炭玠回収・陀去技術が圓たり前に

もちろん、GHGの排出をれロにするこずは困難です。

そこで、倧気䞭のCO2を捕たえお固定化するこずで、倧気䞭のCO2濃床を盎接的に枛らすこずが考えられたす。

固定化の方法ずしおは、怍林や埋め立おなどが考えられたすが、カヌボンニュヌトラルが達成された堎合に䞻圹になっおいるのは、DACDirect Air Captureなどでしょうか。

ただし、このような技術にも、「環境負荷のない゚ネルギヌをたくさん䜿える」こずが前提になっおいるこずには泚意が必芁です。

カヌボンニュヌトラルは、蚀葉遊びに過ぎないけれど

ここたで、カヌボンニュヌトラルずは䜕かを簡単に説明しおきたした。

そしお、今回の説明のように、今私たちが利甚しおいる「カヌボンニュヌトラル」は、ただただ蚀葉遊びのような毛色もありたす。

ただ、2050幎、2100幎に向けお達成をしないずいけないこずは事実です。これから先、珟実的にビゞネスの堎、生掻の堎にカヌボンニュヌトラルを浞透させ、この異垞気象がなくなっおくれる䞖界を皆で実珟したしょう。