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グリーンウォッシュとは?意味や企業が注意すべき環境表現の観点を解説

公開日 2023.08.29 最終更新日 2026.07.10

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

上場企業を中心に環境情報開示の重要性が高まる一方で、「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」への批判や指摘は年々強まっています。

グリーンウォッシュとは、実態以上に“環境に優しい企業”であるかのように見せかける誤解を招く表現や取り組みのこと。

近年、企業の環境コミュニケーションはブランド価値を左右する重要な要素となりました。しかし、環境配慮をアピールするほど、外部からのチェックも厳しくなり、意図せずグリーンウォッシュと受け取られるリスクも増えています。だからこそ、正確で透明性の高い環境表現を行うことが、投資家・顧客・従業員などステークホルダーからの信頼獲得に重要です。

本記事では、グリーンウォッシュの意味や国内外の事例、企業が取るべき具体的な対策まで、網羅的に解説します。サステナビリティ情報開示の質を高めたい企業担当者にとって、役立つ内容ですのでぜひご一読ください。

グリーンウォッシュ(Greenwashing)とは?

グリーンウォッシュとは

まずはグリーンウォッシュの言葉の意味や由来について確認しましょう。

言葉の意味と由来

グリーンウォッシュという言葉を提唱したのは、米国の環境保護活動家ジェイ・ウェスターベルドです。彼はフィジー旅行中、滞在先のホテルで「サンゴ礁保護のためタオル再利用を」と促すメモを目にしました。しかし、そのホテルは同時に大規模なリゾート開発を進めており、タオル再利用の目的は環境保護ではなく、洗濯コストの削減に過ぎませんでした。

この矛盾をウェスターベルドが1986年のエッセイで批判した際に、「グリーンウォッシュ」という言葉が初めて使われたとされています。言葉の由来は、環境配慮を連想させる “グリーン” と、上辺だけを良く見せかける “ホワイトウォッシュ(白塗りで隠す)” を組み合わせた造語だといわれています。

改めて重視されている背景

グリーンウォッシュという概念自体は1960年代から存在していましたが、近年は顧客による持続可能な製品への需要拡大や、政府による規制強化を背景に、改めて注目を集めています。1990年代末にはグリーンウォッシュに関する研究や議論が進み、社会的な認知も広がりました。

さらに近年では脱炭素化やネイチャーポジティブの流れが加速し、大企業を中心に環境配慮をアピールする取り組みが増加しています。そのため再びグリーンウォッシュへの関心が高まっています。企業の環境表現に対する透明性と信頼性が、これまで以上に厳しく問われる時代になったといえるでしょう。

問題のある4つの「グリーンコミュニケーション」

グリーンコミュニケーションとは、「IUCN-J(一般社団法人 国際自然保護連合日本委員会)」によると「一般的には、環境保全や、持続可能な社会の実現にむけた取り組みや情報を伝えること」です。しかし、以下のように問題のあるグリーンコミュニケーションも存在します。

グリーンウォッシュ(green washing)「上辺だけ」環境配慮をしているようにみせかけること
グリーンハッシング(green hushing)企業が環境に関する情報を公表することを拒否する行為
グリーンウィッシング(green wishing)現実的に達成不可能な目標を設定し、かえって信頼を損なう 
グリーンボッチング(green botching)善意の活動が裏目に出たり、実施が不十分だったりすること

参照:IUCN-J(一般社団法人 国際自然保護連合日本委員会)「グリーンコミュニケーションとは?」

問題のあるグリーンコミュニケーションを企業が指摘されると、重大なリスクが生じます。具体的なリスクについては、後ほど詳しく解説します。

グリーンウォッシュの「6つの分類」と「7つの罪」

引用:UL『Sins of Greenwashing』

前段で述べたように、グリーンウォッシュなど問題のあるグリーンコミュニケーションを行えば、企業は社会からの信頼を損なうことになります。したがって、どのような行為がグリーンウォッシュに該当するのかについて、参考となるガイドラインなどを把握しておくことが重要です。

ここではグリーンウォッシュの6つの分類と7つの罪について解説していきます。

グリーンウォッシュ「6つの分類」

巧妙化するグリーンウォッシュに対して、英環境シンクタンクNGO「プラネット・トラッカー」は、グリーンウォッシュを以下の6つに分類しました。具体的な手法について知るための参考になります。

項目概要
1.グリーンクラウディング(曖昧な集団に隠れる)「他社もまだ着手していない」という状況を盾に、大勢の中に紛れ込むことで自社の環境配慮の遅れを目立たなくさせる行為
2.グリーンライティング(過度なアピール)企業が自社の環境配慮活動の特徴(たとえ小規模なものであっても)を、強調することで、他の領域で行われている環境負荷の高い取り組みから人々の注意をそらす行為
3.グリーンシフティング(責任転嫁)企業が消費者に非があると示唆し、責任を消費者に転嫁する行為
4.グリーンラベリング(紛らわしいラベル)実際の環境配慮を実施せず「グリーン」などと銘打ったラベルを使用することで、あたかも環境配慮をしているように誤解させる行為
5.グリーンリンシング(目標の頻繁な変更)企業がESG目標を達成する前に、定期的に目標を変更することを指す
6.グリーンラッシング(批判への逆ギレ・威嚇)企業経営陣が投資家の監視を逃れるために、自社のサステナビリティに関する実績を過少報告したり隠蔽したりする行為

参照:The Greenwashing Hydra

判断の基準となる「7つの罪」

2010年にカナダの「Terrachoice」が発表した「7つの罪」は、当時消費者に多大なインパクトを与えただけではなく、現在も企業のグリーンウォッシュにおけるガイドラインとして、参考にされています。

項目内容
1. 隠れたトレードオフの罪懸念される他の重大な問題は隠しながら、有利な環境情報ばかりを用いてアピールすること
2. 証拠のない罪裏付け情報や計算式、第三者による信用性の高い認証によって立証できない環境配慮を宣伝すること
3. 曖昧さの罪単に「環境に良い」等、対象やその定義が曖昧であるため、人を誤認させる可能性がある方法で宣伝すること
4. 無関係の罪その内容自体は事実であっても、環境配慮を求める消費者には重要ではない、あるいは役に立たない情報であること。
5. 2つのうちましであるとする罪その製品単体で見ると環境にとって大きな害をもたらすにもかかわらず、さらに害悪である製品と比較して、環境に良いと錯覚させて広告すること
6. 偽ラベル崇拝の罪嘘または内容のないラベルを用いてを表示して製品の環境アピールをすること
7. 捏造の罪単なる虚偽による環境アピールで、○○認証と表示しているにもかかわらず、実際には未認証製品である等を指す。

参照:UL『Sins of Greenwashing』

企業が環境情報を用いてその優位性をアピールする場合は、外部から見て上記のような疑念を抱かれないか客観的にチェックし、その可能性がある場合は内容を再考することが必要です。

グリーンウォッシュの具体的事例

グリーンウォッシュ事例

過去にグリーンウォッシュとの批判を受けてしまった海外の事例をご紹介しましょう。

イタリア:SHEIN

イタリア当局(AGCM)は、ファストファッション大手「 SHEIN 」に対し、プロモーションおよび販売活動において グリーンウォッシュがあったとして、100万ユーロの制裁金 を科しました。イタリア競争当局によると、SHEINは環境負荷の低い繊維を使用している点を積極的に訴求していたものの、製品ライフサイクル全体でどの程度の環境効果があるのかを明確に示していませんでした。さらに、同社のコミュニケーションには、製品が完全にリサイクル可能であるかのような誤解を与える表現が含まれていたと指摘しています。

参照:「Autorità Garante della Concorrenza e del Mercato – AGCM」

フランス:TotalEnergies

2025年10月23日、パリ司法裁判所は、グリーンピース・フランスなどの環境団体が、多国籍企業「TotalEnergies」に対して提起した訴訟において、同社によるグリーンウォッシュを一部認める判決を下しました。裁判所は、「TotalEnergies」が消費者向けウェブサイト上で掲げていた「2050年までにカーボンニュートラルを達成するという野心」や「エネルギー転換の主要な担い手である」といった特定の表現が、誤解を招く商業慣行に該当すると認定しました。これにより「TotalEnergies」は、当該メッセージの使用を停止するよう命じられ、命令に従わない場合には、最大180日間、1日当たりの暫定罰金が科される可能性も示唆されました。

参照:PwC リーガル

このように、海外、特にEU全体としては、企業による環境広告の適正化を求めていく強い姿勢が年々強化されています。

なぜグリーンウォッシュ事例が増えているのか?

グリーンウォッシュを判断する心構え

グリーンウォッシュの事例が増加している背景には、欧米を中心に“環境表示の規制”が強化され、罰金・訴訟・販売停止まで含む強い法的リスクが現実化していることが挙げられます。ここでは海外と国内のグリーンウォッシュに対する規制や動向について見てみましょう。

欧州(EU):「グリーンクレーム指令案」と「消費者エンパワメント指令」

EUは、企業の環境主張の信頼性を高め、消費者が持続可能な選択をしやすくするため、「グリーンクレーム指令案」と「消費者エンパワメント指令(EmpCo指令)」の2つの制度整備を進めてきました。

このうち、科学的根拠の提示や第三者検証、環境ラベルの透明性確保を義務づけることを目的とした「グリーンクレーム指令案」は、2025年6月時点で撤回されており、EU法としては成立していません。

一方で、企業によるグリーンウォッシュ行為を明確に禁止し、消費者のグリーン移行を妨げる不正確・誤解を招く表示を排除することを目的とした「消費者エンパワメント指令(EmpCo指令)」は、2024年3月にすでに発効されています。EU域内で製品を展開する日本企業にとっても、同指令への対応は課題となります。

欧州のグリーンクレーム指令案についてはこちらの記事をぜひご覧ください。

欧州グリーンクレーム指令とは|企業に求められる環境主張の観点を解説

米国:連邦取引委員会(FTC)の「グリーンガイド」改定動向

米国連邦取引委員会(FTC)が策定する「グリーンガイド」は、企業が「環境に優しい」「エコ」などの環境マーケティング表示を行う際に、消費者を誤認させないための基準を示す指針です。環境主張が不当表示とならないよう、表現方法や根拠の提示の仕方について具体的なガイドラインを提供しています。

グリーンガイド自体には法的拘束力はありませんが、FTCが関連法を適用する際の解釈・運用基準として機能しており、環境表示の違法性判断における重要な参照枠となっています。そのため、日本企業にとっても、同ガイドが示す欺瞞表示の判断基準を把握しておくことは、米国市場でのリスク管理の観点から有益です。

日本:環境省「環境表示ガイドライン」と消費者庁「景品表示法」の関連性

環境省が策定する「環境表示ガイドライン」は、環境表示を行う際の“望ましい基準”を示す行政指針です。環境主張の根拠提示、限定表現の使い方、算定方法の明確化など、グリーンウォッシュを防ぐための具体的な表示方法が整理されています。法的拘束力はないものの、実務では事実上の標準として広く参照されています。

消費者庁が所管する「景品表示法」は、正式には、「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するものです。環境訴求を行う企業にとって、最も注意すべき法的規制の一つです。

グリーンウォッシュ対策を怠ることで起きる「5つのリスク」

ここでは企業がグリーンウォッシュの対策を怠ることで起こり得る5つのリスクについて解説します。

1. 消費者からの激しい批判・不買運動

グリーンウォッシュによる最も大きなダメージは、消費者からの批判によるブランド毀損です。SNS時代においては、グリーンウォッシュが発覚すると瞬時に炎上し、企業の説明が追いつく前に「不誠実な企業」という印象が広がる恐れがあります。実際に不買運動やボイコットが組織化されることで、売上が急落した事例が多くあります。

一度失われた信頼を回復するには数年単位の時間と莫大なコストが必要です。特に消費者は「環境配慮を装う企業」に対して厳しい目を向けるため、ブランド価値へのダメージは極めて深刻です。

2. 投資家からの「失望売り」やESG評価の暴落による株価下落

投資家は「環境リスク=経営リスク」と捉えるため、グリーンウォッシュが明らかになるとESG投資の対象から外れて資金流入が止まるなど重大な影響が生じます。さらに、ESG格付け会社による評価引き下げをきっかけに失望売りが発生して株価が急落し、長期的には資金調達コストも上昇します。その結果、企業は「サステナビリティ経営の信頼性が低い」と見なされ、特にESG情報の透明性を重視する海外投資家からの評価低下は甚大なダメージとなります。

3. サプライチェーンからの排除

大手企業がサプライヤーに厳格な環境基準を求める時代において、グリーンウォッシュが発覚すると取引先から「リスクのある企業」と判断されます。契約解除や入札排除につながるだけでなく、新規取引の獲得が難しくなることで事業機会を失う可能性が高まります。特に製造業や食品業界ではサプライチェーンの信頼性が企業の生命線となるため、その影響は極めて大きくなります。

4. 法規制強化に伴う巨額の罰則・罰金や課徴金

世界的に虚偽の環境表示を取り締まる動きは加速しています。EUのグリーンクレーム規制案や米国FTCのGreen Guides、日本の景品表示法による措置命令強化などを背景に、誤解を招く環境表示には高額の罰金や行政処分によるブランド毀損、裁判・集団訴訟のリスクが現実化しています。

5. 社員のエンゲージメント低下と採用活動への悪影響

社員は企業の“本気度”を敏感に見ており、グリーンウォッシュが明らかになれば「自社は社会に貢献していない」という失望感が広がります。特にサステナビリティを重視する若手・Z世代の士気低下や離職、採用競争力の低下、生産性の悪化、採用コストの増大を招く恐れがあります。最終的には企業文化そのものが揺らぎ長期的な競争力を失う可能性が高まるでしょう。

グリーンウォッシュを回避する「4つの具体策」

グリーンウォッシュの重要性と危険性

グリーンウォッシュとの批判を受けてしまわないために、できる限りの対策を講じておくことが重要です。グリーンウォッシュ批判への具体的な4つの対策を紹介します。

1. LCA(ライフサイクルアセスメント)の導入による環境負荷の定量化

先に述べた、欧州グリーンクレーム指令や環境表示ガイドラインでも触れましたが、近年製品・サービスに対するLCA評価の重要性が増しています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、原材料調達、製造、流通、使用、廃棄・リサイクルまでを含めた製品のゆりかごから墓場までの環境影響を評価する手法です。LCA手法は定量的な評価が可能であるため、製品の比較や改善のためのホットスポット特定に有効です。

大企業を中心に、製品・サービスの環境情報を外部に開示する際は、LCA評価を行うことが当たり前になりつつあります。各ガイドラインでも重要視されています。

LCAについてさらに詳しく知りたい方は、下記記事も併せてご覧ください。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?わかりやすい徹底解説

2. 第三者認証を要する環境ラベルの積極活用

グリーンウォッシュ批判の対策には第三者認証が必要となる環境ラベルを活用することも有効です。環境ラベルとは、HPやウェブ、商品の説明書等を通じ、製品やサービスの環境に関する情報をわかりやすく伝える認証やマークのことです。主に3つのタイプに分類され、まとめると以下の表のようになります。

タイプⅠタイプⅡタイプⅢ
ISOISO14024ISO14021ISO14025
第三者認証機関無(自己宣言に基づく)
エコマーク
ブルーエンジェル
ノルディックスワン
低炭素セメントラベル
エコシンボル
CO2エコロジー等
EPD
特徴第三者が判定基準を用いて、合格した製品を認証する環境ラベル事業者が独自におこなう環境主張。第三者によるチェックが入らない製品の環境負荷データを定量的に見える化。合否はない

環境ラベルのお国際機関3つの分類 

環境ラベルについてはこちらの記事に詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

環境ラベルとは?意味・種類・代表例をまとめて解説

3. 外部専門家によるチェック体制の構築

自社で作成したタイプⅡ環境ラベルやプレスリリース、自社のみで算定したLCA算定は一度外部専門家のチェックを受けることをおススメします。

LCA評価手法や各ガイドライン、国際動向等を踏まえた環境表現は専門的な知識を必要とするため、企業内で解決することは非常に困難と言えるでしょう。そのため、自社の環境主張がグリーンウォッシュに当たらないか、「表現」や「数値の妥当性」、「誤認性」等についてチェックを依頼することも一つの方法です。

一度グリーンウォッシュ批判を受けてしまうと、企業イメージを回復することは容易なことではありませんので、コストをかける価値のある項目と言えるでしょう。

4. 社内向け「環境表現ガイドライン」の作成と浸透

社内向けの「環境表現ガイドライン」を策定することは、企業が環境配慮に関する情報発信を適切かつ一貫性をもって行うための重要な取り組みです。広告・広報・営業資料など、社内で使用されるあらゆるコミュニケーションにおいて環境表現の基準を明確化することで、誤解を招く表現やグリーンウォッシュのリスクを低減することができます。

また、ガイドラインを作成するだけでなく、研修や社内説明会、チェックリストの運用などを通じて各部門へ浸透させることが重要です。これにより、全社で統一されたメッセージ発信が可能となり、企業の信頼性向上やステークホルダーとの健全な関係構築につながります。

まとめ:正しい環境表現で企業の信頼を高めよう!

グリーンウォッシュによる危険性を回避し、企業の環境リスクを低減するためには、その環境表現の根拠と表現方法について、各ガイドラインを参照しながら熟考することが必要です。

しかし、環境負荷の算定や環境表現の判断には専門知識を要することが多いのも事実です。株式会社ゼロックでは、LCA算定や環境ラベルの取得、グリーンウォッシュチェックまで、環境情報開示に関する幅広い支援を行っています。

「そもそも算定を進めることが難しい」、「自社だけで環境表現を行うことが不安」という企業担当者の方は是非お問い合わせください。

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