
松井 大輔
(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応
要約
- 2026 年 2 月 10 日に霞が関で削減実績量の講演会が開催
- 産学官それぞれから、削減貢献量・削減実績量に関する発表がされた
- 100名以上の参加者が集まり注目度が高いことが示された
概要

2026年2月10日、一般社団法人日本LCA学会は「温室効果ガス排出削減実績量の評価と活用に向けて」と題する講演会を霞が関で開催しました。
経済産業省・環境省の政策動向、学会研究会の進捗、ガイドラインの一部紹介、鉄鋼・化学などの実務事例まで、産官学の登壇が一堂に会する内容でした。プログラムには、削減実績量と削減貢献量(Avoided Emissions)の関係や、ガイドラインの全体像、各業界の適用例が含まれ、参加者の関心を集めました。
学会内の「GHG削減実績量評価手法研究会」では、製品単位で自社の実際の削減施策を反映した排出削減を評価する枠組みの整備が進行中です。一方、削減貢献量は社会全体で回避された排出を示す指標として、WBCSDや業界団体でガイダンス整備が進み、国際規格化(IEC 63372)の動きも注目されています。
背景
近年、GHGを排出したというマイナスの要素だけではなく、GHGを減らしたというプラスの要素を評価しようという取り組みが注目を集めています。
「削減貢献量(Avoided Emissions)」は、ベースラインや市場平均と比較して導入により回避される排出量を示す指標として国際的にガイダンスが整備されてきました。
これに対して、直近特に日本で議論されているのが、削減実績量です。
日本LCA学会は講演会や研究会を通じ、「削減実績量」の定義・算定論点を具体化しつつ、産業界の活用事例を策定しています。これにより、サプライチェーン内での評価や取引で使える“実績”の共通言語が整い始めています。
コンサルタントによる解説:定義・使い分け
削減実績量は、企業が講じた省エネ・再エネ・材料転換などの実施済み施策を反映し、製品単位で生じた排出削減を定量化する指標です。
狙いは「自社の努力の可視化」であり、同一製品の旧工程や自社の標準工程との比較を基本に、サプライチェーン内での評価に用いられます。
一方、削減貢献量は、代表的な市場製品や規制水準など客観的なベースラインと比較し、その製品・技術の社会的な回避効果を示します。ダブルカウントを避けるために、目的・比較対象・機能単位・システム境界を明記し、前提と不確実性を併記することが推奨されます。
正直、削減貢献量の評価も大変(必要なデータが多い、妥当な計算をする労力が大きい)なため、どこまで削減実績量が広がるかは未知数です。
ただし、政策やグリーン調達に実際に取り入れられる可能性があるため、今後企業戦略において重要度が高くなる可能性があります。
自社のSCOPE1・2、SCOPE3のカテゴリ1の排出量が高い方は、自社の削減努力を反映できる可能性があるため、注目の評価です。
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参考文献
- 日本LCA学会. 温室効果ガス排出削減実績量の評価と活用に向けて(開催案内PDF). 2026-02-10. https://www.ilcaj.org/assets/doc/event/2025/20260210.pdf (参照2026-02-13)
- 日本LCA学会 イベント情報. 活動/イベント情報ページ. https://www.ilcaj.org/event/ (参照2026-02-13)
- 日本LCA学会 研究会. GHG削減実績量評価手法研究会:活動報告. https://www.ilcaj.org/kenkyukai/02/rep/index.html (参照2026-02-13)
- ILCAJ. Peatixイベントページ(開催要旨・プログラム). https://lcasakugen0210.peatix.com/












