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ニュース解説

GHG Protocol 再編へ:要求事項や算定ルールをISOと整合化する方針

公開日 2026.03.19 最終更新日 2026.03.19

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • ISOとGHG Protocolの基準の整合化が本格始動
  • 組織単位・製品単位ともに、GHG排出量の算定のルールが再編されていく見込み
  • 今後も動向をキャッチアップしていくことが重要

GHG算定ルール再編の概要とその狙い

GHG Protocolの2026年2月のリリースにて、COP30 Action Agendaの下で、ISOとGHG Protocolそれぞれのルールを整合化する動きが本格化したことが示されました。

今までは「ISOに基づいて算定した結果」と「GHG Protocolに基づいて算定した結果」が、使用するインベントリの違いやシステム境界の違いによって、別物のように見えたり、二重に作業が必要になったりすることがありました。

今回の動きの目的は、そういった手間を減らすために、組織単位・製品単位での排出量算定を一つの整合的なグローバルルールにそろえ、比較可能性と使いやすさを高めることです。

また、ISOは、将来的には “one coherent set of definitions, datasets and language(一貫性のある定義、データセット、および用語)” を目指すと述べています。

企業にとっては、Scope1~3、CFP、EPD、削減貢献量の説明が、ISOとGHG Protocolの別々のルールでの管理から、共通のルールでの管理へ移る転換点といえます。

組織単位でのGHG排出量算定ルールの整合化

組織における排出量・除去量の算定、報告、検証に関する要求事項を定める規格として、ISO14064-1があります。

一方、GHG Protocolには組織における算定に使用される “Corporate Standard” 、”Scope 2 Standard” 、”Scope 3 Standard” という基準があります。

今回の整合化は、こうした組織単位でのGHG排出量算定において、算定境界の設定や、何をScope 2, 3に含めるか、どう報告するか、算定の内容をどう検証するかといった要求事項を、できるだけ一貫した枠組みに寄せていくという動きです。

たとえば、企業が自社のGHG排出量を算定する場面では、ISO14064-1に準拠する場合と、GHGプロトコルに準拠する場合で、従うべき算定ルールが違うことがありました。しかし、整合化が進むと、同じルールで算定が行えるという状態に近づきます。

GHG Protocolの公式資料でも、改定の狙いとして “coherence across standards(規格間の整合)” が明示されています。

製品単位でのGHG排出量算定ルールの整合化

製品のカーボンフットプリント(CFP)の算定と報告の原則・要求事項・指針を定める規格として、ISO 14067があります。

これに対して、GHG Protocolにも “Product Life Cycle Accounting and Reporting Standard” という製品のGHG排出量の算定基準があります。

2025年10月、両者は、内容の異なっていたISO14067とGHG Protocol Product Standardを土台にした “joint product-level standard(製品レベルの共通規格)” を共同で作成すると発表しました。

今後整合化が進めば、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄までのどこまでをシステム境界に含めるか等について、ISOの考え方とGHG Protocolの考え方が近づき、顧客・投資家・EPDや社内管理で使う数字の土台をそろえやすくなると考えられます。

参考:ISOとGHG Protocolは何が違うのか

前提として、ISOとGHG Protocolは競合するものではなく、発行主体や役割の異なる、それぞれ別の枠組みです。

ISOは国際標準規格であり、LCAやScope1~3算定に関するものとしては、ISO14040、ISO14044、ISO14064、ISO14067などが挙げられます。例えば、ISO14064-1は組織のGHG算定ルール、ISO14067は製品CFPの要求事項を整理しています。

一方で、GHG Protocolは、国際的に広く利用されているGHG算定・報告基準であり、特にScope 1〜3の実務ルールとしてよく用いられます。

両者はこれまで別々に発展・普及してきた基準ですが、規定している内容には共通項も多く含まれています。実務では、ISOを参照しつつ、GHG Protocolに準拠した算定を行うというように、両者を併用するケースが少なくありません。

今回の整合化の動きは、両者のずれを小さくするためのものと理解すると分かりやすくなります。

規格名発行主体個別規格・基準(例)評価対象主な用途・使用場面
ISOISOISO14040 / 14044製品・組織両方LCA方法論の土台
ISO14064-1組織組織排出量の報告・検証
ISO14067製品製品CFPの算定
GHG ProtocolWRI / WBCSDProduct Standard製品製品のライフサイクル
GHG排出量の算定
Corporate Standard / Scope3 Standard組織企業の環境情報開示、Scope管理、
バリューチェーン管理

コンサルタントによる解説

実務上もっとも重要なのは、最終的なルール公開を待つのではなく、最新の動向を追い、必要に応じて事前準備を進めておくということです。

ISOとGHG Protocolの整合化の動きは始まったばかりですが、その方向性自体は前述のように明確で、企業全体のScope1~3算定ルールと製品CFPにおける算定ルールそれぞれが再編されていく見込みです。

日本で法令等の内容に反映されるのはまだ先になりますが、ゆくゆくは輸出先、外資系顧客、投資家、認証・開示等の対応といった実務に波及することを見据え、定期的に動向を追っておくのが安心です。

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参考文献

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