
松井 大輔
(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応
要約
- EN15804+A2:2019が、各EPDプログラムで2026年より必須化(A1からの移行)
- 必須インパクトカテゴリが7→13に拡大、追加6指標も普及傾向
- モジュールC1–C4とモジュールDの宣言が実質必須化
- A1とA2は方法論が異なり数値比較は不適、データ整合が要点
“A2シフト”が示す建築EPDの新常識
EN 15804+A2は2019年の規格ではありますが、2026年から企業実務・市場・規制が本格的に必須化しはじめており、特に注目されています。
従来のA1では7つだった必須環境影響指標が、A2では13へ拡大し、健康・土地利用関連の追加6指標も運用が広がっています。加えて、廃棄段階のモジュールC1–C4と、システム境界外の便益・負荷を表すモジュールDの宣言が求められるため、廃棄シナリオの具体化とデータ整備が不可欠になります。
なお、これらはEUのPEF方法論(EF3.1)への整合やデジタルデータ(ILCD形式)、EU Construction Products Regulation(CPR)要件の流れとも連動しています。
2025年にはInternatinal EPDやSuMPO EPD等の主要プログラムのPCR更新・移行期限も相次ぎ、A2対応は「選択」ではなく特に建築業界では「前提」の規格となりつつあります。国内企業でも、欧州向けの調達・建築LCA連携を見据えた算定やデータ整備が必要となっています。
A1とA2の主な違い
A1では7指標だった環境影響領域が、A2は必須13指標(EP、AP、POCP等の細分化とWDPの追加)に拡張されました。
また、A2ではGWPが「化石・バイオ・LULUC・合計」に分割され、木材系などの吸収・固定・放出をわけて評価する必要があります。これにより、利用可能なデータベースも制限されます。
また、ライフサイクル段階として、A1ではA1–A3中心の開示が多かったのに対し、A2はC1–C4とDの宣言が実質必須となり、EoLの現実的なシナリオ設定とリサイクル・エネルギー回収といったインベントリ情報の記載も求められます。
EN対応をする際の企業の対応
まずは、自社企業がEN15804+A2に対応する必要があるのか、今後対応する可能性があるのかを把握する必要があります。
建築分野以外の方は関係が薄い規格ですが、建築サプライチェーンの中に自社製品が入っている方は特にEPDを取得する際に意識する必要があるでしょう。
また、EN15804+A2の規格と近いものに、ISO21930があります。EPDを取得するときには、ENの規格だけではなく、ISO関連の規格も踏まえ対象製品の決定やPCRの決定をする必要があります。
国内においても、国土交通省の建築物LCA制度やCO2原単位整備の政策支援が進む中、EPD原単位の整備・活用の要件は日に日に強くなってきています。輸出入や海外案件向けだけではなく、将来の国内への対応という意味でも、A2準拠の評価・データ準備は企業としてそろえておくとよいでしょう。
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参考文献
- The International EPD® System. “PCR 2019:14 Construction products (EN 15804+A2) v2.0
- EPD Guide. “EN 15804 A2, in plain English / Core Rules Explained / Your New EPD Rulebook.”
- Cerclos (eTool). “Updated EPD Standard: EN 15804+A2.”
- European Commission JRC. “European Platform on LCA – EN 15804 package based on EF 3.1
- ECO Platform. “Verification Guidelines v8.0
- One Click LCA. “EN 15804+A2: What the changes mean for EPDs.”
- Nationale Milieudatabase. “Calculating with A1 set and A2 set.”












