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ニュース解説

5000m²以上のオフィスビルでGHG排出量算定が義務化へ。国土交通省が建築物LCA制度の中間とりまとめを提示

公開日 2026.02.06 最終更新日 2026.02.13

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • 国土交通省の中間とりまとめ(概要)では、2028年度に「建築物のLCCO2評価を促進する制度」を開始するロードマップが示されている。
  • 延べ5,000m²以上の事務所(オフィス)における新築・増改築は国への「届出制度」が想定されている。
  • 算定対象は、使用時(オペレーショナル)だけでなく、資材製造・施工・解体等のエンボディドを含むライフサイクル全体のGHG排出量等を基本に検討するとされ、原単位はEPD/CFPや国のデフォルト値の活用が想定されている。

中間とりまとめが示す制度の狙い

本件は、建築物分野の脱炭素を「運用時の省エネ」だけで完結させず、資材製造から解体までの排出を含むライフサイクル全体で捉える制度へ踏み出す動きである。中間とりまとめでは、第1ステップとして2028年度にLCCO2評価を促進する制度を開始し、以降は評価の一般化や削減策の措置、段階的強化へ進めるロードマップを掲げている。

トレードオフ(例えば、運用時の省エネと資材起因の排出の相殺関係)を踏まえ、オペレーショナルカーボンとエンボディドカーボンの双方を含む、資材製造・施工・使用(資材関係・光熱水)・解体までのCO2等排出量を基本として検討すべきだとしている。

「5000m²以上の事務所」義務化のその先

見出しで語られがちな「義務化」は、厳密には中間とりまとめにおける制度設計の“例示”として提示されている点に注意が必要である。概要資料では、規模が大きい事務所(例:5,000m²以上)に対して「建築主の国への届出制度」を置き、併せて2,000m²以上の非住宅建築物では建築士から建築主への説明制度を置く、といった段階的な導入像が描かれている。

さらに、登録認証機関による第三者認証・表示制度、優良事業者の選定・公表、LCCO2評価や原単位整備への支援などを組み合わせ、制度開始後に届出対象を拡充していく流れも示されている。したがって、ポイントは「まず大規模領域で届出(算定・提出)を制度化し、運用とデータ基盤を整えながら対象を広げる設計」である。

実務で効く論点は原単位と設計・調達の運用である

企業実務に直撃するのは、算定ルールそのものよりも「何をデータとして使うか」や「設計〜見積〜契約〜竣工の各ライフサイクル段階でどうデータを収集するか」である。中間とりまとめでは、建材・設備のCO2等排出量原単位として、個社製品データ(EPD、第三者レビューありCFP、第三者レビューなしCFP)、業界代表データ、そして国が定める製品カテゴリー別デフォルト値を想定している。

同時に、国のデフォルト値“だけ”に依存すると設計者やメーカーの削減努力が評価されにくいという問題意識も明記されており、主要建材では個社・業界データ(EPD/CFP)の整備・充実を進めるべきだという方向性である。これは、建築主側には「初期段階から概算→精緻化へ移行できるワークフロー」を、建材・設備メーカー側には「EPD/CFP整備を投資回収できる市場環境」を、それぞれ求めるメッセージである。

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