
松井 大輔
(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応
要約
- 国土交通省の中間とりまとめで、2028年度に「建築物のLCCO2評価を促進する制度」を開始するロードマップが示された
- 延べ5,000m²以上の事務所(オフィス)における新築・増改築に際して、排出量算定結果の届出が必須となる想定
- 使用段階だけではなく、資材製造・施工・解体等段階を含むライフサイクル全体のGHG排出量が算定対象として検討中。原単位としては、EPDやCFP算定結果、国のデフォルト値を活用する想定
中間とりまとめが示す制度の狙い
当制度は、建築物分野の脱炭素を「運用時の省エネ」だけで完結させず、資材製造から解体までの排出を含め、ライフサイクル全体で評価することを目的としたものです。国土交通省の中間とりまとめでは、第1ステップとして2028年度にLC(ライフサイクル)CO2評価を促進する制度を開始し、以降は評価の一般化や削減策の措置、段階的強化へと進めるロードマップが掲げられています。
GHG排出・削減のトレードオフ関係を踏まえ(例:運用時の省エネと資材起因の排出の相殺関係)、資材製造から施工、使用、解体までのプロセスのすべてのCO2等排出量を算定対象とすべきだと考えられています。
5000m²以上の事務所・オフィスの算定義務化とその先
とりまとめ資料では、まず規模が大きい事務所(例:5,000m²以上)を対象として建築主の届出制度を設けつつ、2,000m²以上の非住宅建築物に関しても建築士から建築主への説明制度を置く、といった段階的な導入像が描かれています。
さらに、登録認証機関による第三者認証・表示制度、優良事業者の選定・公表、LCCO2評価や原単位整備への支援などを組み合わせ、制度開始後に届出対象を拡充していく流れも示されています。
したがって、当制度は、まず大規模領域で届出(算定・提出)を制度化し、運用とデータ基盤を整えながら対象を広げていく設計だと言えます。
実務で効く論点:原単位と設計・調達の運用
企業実務にまず直接影響するのは、算定ルールよりも、「何をデータとして使うか」や「設計〜見積〜契約〜竣工の各ライフサイクル段階でどうデータを収集するか」です。中間とりまとめでは、建材・設備のCO2等排出量原単位として、個社製品データ(EPDやCFP算定データ)や業界代表データ、国が定める製品カテゴリー別デフォルト値を想定しています。
同時に、国のデフォルト値だけに依存すると設計者やメーカーの削減努力が評価されにくいという問題意識も明記されており、主要建材では個社・業界データの整備・充実を進めるべきだという方向性で議論されています。
今後、建築主側は「初期段階から概算→精緻化へ移行できるワークフロー」を、建材・設備メーカー側は「EPD/CFP整備を投資回収できる市場環境」を整えることが重要になりそうです。
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