【2023年】企業のカーボンニュートラル宣言一覧

松井大輔
松井大輔

株式会社ゼロック 代表取締役 監修

目次

【2023年】最新の企業のカーボンニュートラル宣言一覧

昨今、多くの企業が2050年に向けて、「カーボンニュートラル」「ネットゼロ」といった温室効果ガス排出量の実質ゼロを宣言しています。

本記事では国内外における企業の、最新のカーボンニュートラル宣言を一覧をまとめ、特徴や内容について説明します。

カーボンニュートラルの言葉の意味については、過去の記事で説明しています。

企業による「カーボンニュートラル宣言」が乱立

企業による「カーボンニュートラル宣言」が乱立

日本経済新聞によると、2022年11月17日時点で「カーボンニュートラル宣言」をしている企業は472社となります。

しかし、どの企業も排出量「ゼロ」の目標は共通しているものの、対象範囲や達成手段は各社が独自の考えで設定しているのが実情です。

つまり、多くの企業が「勝手に」カーボンニュートラルを宣言している状況になります。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、ネットゼロを「人為起源の排出量と、人為的な除去量のつり合いが取れた状態」と定義しました。

「カーボンニュートラル」はこの「ネットゼロ」とほぼ同義と捉えて問題ないでしょう。

本記事でも、同義として扱います。

企業のカーボンニュートラル目標を構成する要素は大きく5つあります。

  1. 目標年
  2. 対象範囲(Scoop1~3)
  3. 削減手段
  4. 吸収量(removal)の定義
  5. 実質ゼロの定義

現状、企業によって宣言されている多くは、各社が独自に決定した内容ということになります。

特に、吸収量については、GHGプロトコルの世界とは別軸で企業の独自解釈で表現していることがほとんどでしょう。

企業の「カーボンニュートラルニュートラル」の定義とは?

そんな状況の中、IPCCが2018年に発表した「1.5℃特別報告書」において、1.5℃目標の達成には2050年のネットゼロが必要であるという科学的な指標が示されました。

これがきっかけとなり、2021年10月にSBTイニシアチブにより、科学と整合するネットゼロ目標が開発されました。

SBTネットゼロ認定は、第三者に認定される企業のカーボンニュートラル宣言という意味では、唯一の枠組みになります。

ネットゼロSBT認定では、一部のセクターを除く全企業に対して、2050年までに「Scoop1+2+3」で90%の削減を求めています。

また、90%削減した後に残る10%の残余排出量については、これをゼロにする「中和化」の考え方が盛り込まれています。

この「中和化」には、バイオエネルギーを使って炭素を回収・貯留するBECCS(Bio Energy with Carbon Capture and Storage)や、大気から直接炭素を回収・貯留するDACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)が含まれます。

2023年9月現在、SBTネットゼロ認定を取得している企業は日本に20社しかありません。

SBT ネットゼロの認定を取得した日本企業20社一覧(2023年9月19日現在)

SBTネットゼロ目標は非常に野心的な目標ともいえます。

2022年に比べて認定を取得した企業は2023年で4倍の20社になりましたが、まだまだ取り組む企業が少ないというのが現状といえるでしょう。

企業のカーボンニュートラル宣言一覧

日本や海外の企業のカーボンニュートラル宣言一覧

では続いて、企業の自主的なカーボンニュートラルの宣言について、一覧を見ていきましょう。

大企業を中心に以下の情報をチェックしました。

  1. 企業名
  2. 業種
  3. いつまでに(目標年)
  4. どの責任範囲で(Scoop1~3)

なお、4で示したCO2排出の責任範囲(スコープ1~3)については、明確に提示しているもの以外は公表されている資料から想定した情報となっています。

また、あくまでも下記は一例であり、カーボンニュートラル宣言をしている企業は他にもあります。

カーボンニュートラルを宣言していない企業は、目標年を「-」と記載しています。

日本国内企業のカーボンニュートラル目標一覧

企業名業種目標年Scoop1Scoop2Scoop3
パナソニック電機2030
三菱電機電機2050
シャープ電機2050
花王消費財2040
ライオン消費財2050
アサヒ食品2050
明治HD食品2050
日清食品HD食品2050
オリンパス電子機器2030
オムロン電子機器2050
ファーストリテイリングアパレル
しまむらアパレル
アダストリアアパレル2050
セブンアンドアイ小売・流通2050
ゼンショーHD飲食
すかいらーくHD飲食
吉野家飲食
ダイワハウス住宅2050
積水ハウス住宅2050
飯田グループHD住宅
トヨタ自動車2050
ホンダ自動車2050
日産自動車2050
NTTドコモ情報通信2030
KDDI情報通信2050
ソフトバンク情報通信2050
鹿島建設建設2050
大林組建設2050
大成建設建設2050
三菱ケミカル化学2050
住友化学化学2050
富士フイルム化学2040
日本製鉄鉄鋼2050
JFEホールディングス鉄鋼2050
神戸製鉄鉄鋼2050
三菱商事商社2050
三井物産商社2050
伊藤忠商事商社2050
国内企業のカーボンニュートラル目標一覧

まず、企業によって目標年が「2050年」と「2030年」で大きく異なっていることがわかります。

パナソニック、NTTドコモ、オリンパスは定義こそ違いますが、それぞれ2030年のカーボンニュートラルの達成を宣言しています。

また、GHGプロコルでは、Scoop1~3までのサプライチェーン排出量での算定が必要ですが「Scoop3」については、含める企業と含めない企業が分かれています。

例えば、日本製鉄やJFEのような鉄鋼メーカーだと、ビジネスの特性上、非常に長いサプライチェーンとなっており、Scoop3まで含めたカーボンニュートラルは相当に難しいことがわかります。

削減対象範囲を明確にせず、2050年にカーボンニュートラルを実現することのみに言及している企業もあります。

このように、現状は各企業が自社の独自の基準で「カーボンニュートラル」を定義し、宣言しているという状況になります。

では、続いて海外の企業の目標宣言をみていきましょう。

海外企業のカーボンニュートラル目標一覧

海外企業のカーボンニュートラル目標一覧
企業名業種国名目標年Scoop1Scoop2Scope3
AB InBev飲食ベルギー2040
P&G素材アメリカ2040
Apple電子機器アメリカ2030
SUMSUNG電子機器韓国なし×××
H&Mアパレルスウェーデン2040
GAPアパレルアメリカ2050
Walmart小売アメリカ2040×
Starbacks飲食アメリカ2050
GM自動車アメリカ2040
海外企業のカーボンニュートラル目標一覧

目標年や対象範囲について、日本と大きな違いはありませんが、やはりAppleが目立ちます。

Scoop1~3を含めた排出量を「2030年」までにカーボンニュートラルにする目標を掲げているのは、今回リストアップした企業の中ではAppleとパナソニックのみです。

また、GMは自動車産業ということで、他の産業に比べると削減がしにくいビジネスモデルではありますが、トヨタ、日産よりも10年早い「2040年」にカーボンニュートラルの達成を目標としています。

企業のカーボンニュートラルは具体的なロードマップが描けていない

企業のカーボンニュートラルは具体的なロードマップが描けていない

ここまで、日本と海外の企業のカーボンニュートラル宣言を見てきました。

企業によって、宣言の内容は異なりますが、どの企業も2050年までに何かしらの形でカーボンニュートラルの達成を目標としていることがわかりました。

しかし、カーボンニュートラル宣言の中身を見たときに、達成のためのロードマップを描けている企業はほとんどありません。

脱炭素に関して、最も先進的な企業であるAppleですら、明確な吸収量の内訳や排出削減の根拠を示すことはできいません。

Apple, 2023 Environmental Progress Report
Apple, 2023 Environmental Progress Report

それもそのはずで、そもそも2050年、2040年はカーボンニュートラルも目標はバックキャスティングで掲げられている目標だからです。

多くの企業では、世の中の流れや投資家の目線を気にして、他社の真似をしてカーボンニュートラル宣言をしているのが実情です。

とはいえ、2050年や2040年のカーボンニュートラルへの具体的な方法やシナリオを策定することは容易ではありません。

将来の環境負荷の予測には、将来の排出係数を予測したりする必要もあり、多大なコストと手間が必要となります。

また、不確実性の高い要素が多い中長期の計画にどこまで意味があるのかも、企業にとっては難しい問題でしょう。

そういった背景もあり、安牌な選択として多くの企業で2050年、2040年の自主的なカーボンニュートラル宣言がされていると言ってもいいでしょう。

まず「商品・サービス」でカーボンニュートラルを実現する

GHG排出量×商品・サービスマトリクス

2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、多くの企業が具体的にどのように排出量を削減していくのかのロードマップを描けていないことは説明しました。

では、カーボンニュートラルの達成に向けて、企業は何から始めれば良いのでしょうか。

一つの答えが、まずは「何かしら」をカーボンニュートラルにしてみるということです。

上記の画像で示している通り、企業全体のカーボンニュートラルを達成しようとすると大変です。

例えばですが、弊社の「ゼロックラベル」を使い商品・サービスのカーボンニュートラル実証が可能になる、という方法もあります。

最小単位でのカーボンニュートラルをスモールスタートすることで、カーボンニュートラルの実証になり、これまで見えていなかった新たなイノベーションの創出につなげることができます。

また、カーボンニュートラルを商品・サービス単位で落とし込んで実現している例は多くないため、外部ステークホルダーへのアピールにもなります。

自社の商品やサービスをカーボンニュートラルにしてみたいという方は、環境専門のゼロックまでお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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