
仲村元樹
株式会社ゼロック 取締役
要約
- COP30でCBAM(炭素国境措置)が初めて正式な交渉トピックとなった。
- 途上国からはCBAMに強い反発があり、EUは気候変動対策の一環と説明。
- 合意文書にはCBAM義務化の内容は含まれず、検討すべきテーマとして残された。
COP30で初めて正式なトピックに──議論の結果と今後の展開
2025年11月、ブラジルのベレンで開催されたCOP30において、CBAM(炭素国境調整措置)が正式に交渉トピックの一つとして取り上げられました。これにより、従来の温室効果ガス排出削減、適応策、気候資金といったテーマに加えて、貿易と気候規制の接点を議論する場が設けられたことになります。
CBAMはEUが導入を進めている措置で、欧州内に輸入される炭素集約産業からの製品に対して炭素価格を課すことにより、国内企業と輸入企業の間での公平な競争条件を保つことを目的としています。しかし、この制度に対しては、特に炭素集約型の産業が盛んな途上国から強い反発があり、輸出コストの上昇を懸念する声が多く上がりました。
EU側は、これが気候変動対策の一環であり、輸入品の炭素負荷を公平に反映させるための合理的な措置だと説明していますが、最終的な合意文書にはCBAMの義務化は含まれませんでした。今後も引き続き議論を深めるべきテーマとして残され、実施時期や適用範囲については未確定な部分が多い状況です。
CBAMが直面する国際的な課題と懸念
CBAMは、EUが輸入品に対して炭素価格を導入することで、EU国内の企業と国外の企業との競争条件を均等に保つことを目的とした制度です。しかし、その導入に際しては、特に途上国からの反発が強いのが現状です。多くの途上国では、炭素集約産業の輸出が経済の重要な柱であり、CBAMが導入されることで輸出コストが一気に上昇し、競争力が失われると懸念されています。
COP30では、この点について議論が行われ、CBAMが気候変動対策としての正当性を持つ一方で、途上国に与える影響についても配慮が必要だとの意見が多数を占めました。特に、途上国における技術的な支援や、CBAMによる負担を緩和するための措置が求められるようになっています。
また、COP30の最終合意文書には、CBAMの義務化については明記されず、引き続き検討すべきテーマとして位置づけられました。これにより、今後も議論が続くことが予想されますが、実際の適用開始には時間がかかると見られています。
国際競争力維持のためにいま何ができるか
COP30でのCBAM(炭素国境調整措置)に関する議論は、特に炭素集約型製品を製造・輸出する企業に大きな影響を及ぼす可能性があります。CBAMが導入されると、EU市場への輸出品に炭素コストが課せられるため、価格に影響を与え、競争力に変化をもたらすでしょう。現在、CBAMは義務化が見送られていますが、EUは引き続き導入を推進する意向を示しており、国際貿易ルールとして確立される可能性があります。
企業は自社のサプライチェーンにおける炭素排出量の把握を進め、CBAM導入に備える必要があります。特に、LCA(ライフサイクルアセスメント)を活用し、環境負荷を評価することが重要です。また、規制対応を進めるとともに、グリーンボンドや炭素クレジットの活用を検討することが、企業の競争力維持に繋がります。
今後、環境への配慮を経営戦略に組み込み、持続可能な成長を実現するための準備がさらに求められます。












