GX包括支援

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脱炭素目標は、現在の延長線では達成できない

現在、GXという言葉が話題になっています。環境経営、サステナブル経営、脱炭素等、他の言葉との明確な違いは、「トランスフォーメーション」であることを明記していることにあります。

事実、IEAの将来シナリオを確認してみても、2030年、2050年に向けた日本や世界の目標は、現在の延長線上にはありません。達成のためには、大きな変革が必要となるのです。

ほとんどの達成目標は、裏付けがない

科学に基づいたサステナブル目標の割合 Source: “The leaders and laggards of sustainability goals” by Pivot Goals

しかし、現在環境目標やサステナブル目標を開示している企業の多くは、「開示することが目的」であることがほとんどです。

Pivot Goals(Global Fortune 200に入る企業等のサステナブル目標を集めたデータベース)によると、2014年時点でのサステナブル目標のうち、13%しか科学に基づいた目標(science-based)となっておらず、わずか1%しか外部参照等により明示的な裏付けのある目標(science-explicit)になっていませんでした。

2022年時点においては、4216件のTotal Goalsのうち、「Science based」のソートをかけることで、606件(14%)の目標がヒットされます。

このように、企業のサステナブル目標は、言葉だけの目標となっていることが多く、その妥当性、現実性、実現方法が考えられていないことがほとんどです。この差は、2030年のマイルストーン等が近付くにつれて、より表面化してくる問題となります。

GXを達成し企業の利益につなげる、ゼロックの「GX-Strategy」

「ZEROC GX-Strategy」

GXを実施する前段階で、よく問題となるのは以下の点です。

  • 達成目標が定量的でない
  • 達成目標に科学的裏付けがない
  • 長期判断のため決定ができない
  • そもそもGXを実施する目的がわからない

私たちは、このような状況を踏まえ、企業がスムーズにGXを推進できるようなサポートを行っています。

調査・分析フェーズ

まず、妥当だと想定できる目標を設定するために、現在の企業状況、同業他社の情況、世界的なイニシアチブの情況などを調査します。ここには当然、LCAによる企業の環境影響の評価も含まれます。

また、その分野におけるビジネスの構造や、将来想定されている技術シナリオ、エネルギー削減の科学的な限界などまで理解します。

このフェーズのアウトプットは、企業にどのような課題があるかを把握し、仮のDX計画を策定することです。

PoS(サステナブル実証)

続いては、仮のDX計画を検証するフェーズです。

DXは、企業の構造自体を変更する可能性が高く、意思決定の重要度が非常に高いものになります。そこで、実際の移行の前に仮定を検証することが重要になります。

そのような検証として、一般的にはPoC(Proof of Concept)がありますが、サステナブルな目標は時間軸が長いため簡単には検証ができないという問題があります。

そこで、PoS(Proof of Sustainability)を通して、長期的なサステナブル目標と方法の検証を実施します。

PoSは、以下の4つの段階ごとに検証を実施します。なお、かっこ内は、想定する時点を表しています。たとえば、目的の段階であれば将来時点の、方法の段階であれば現在時点の想定が必要になります。

  1. 目的(将来)
  2. 方法(現在)
  3. 価値(現在)
  4. 時間(将来)

1:目的
まず、サステナブルな目標は、長期的な目標でなければなりません。私たちは、少なくとも2030年以降、できれば2050年を目標にすることをお勧めしています。その理由は、それくらいの長期戦略をとらなければGXの意味がない可能性が高いからです。また、目的関数としては、将来時点で達成することが望ましいと思われるサステナブル経営にかかわる非財務情報と財務情報を置くことをお勧めします。

2:方法
続いて、長期ビジョンを現在時点に逆算していきます。目的を達成するためには様々な方針があることが想定されますが、その中でも最適だと考える方法を仮定します。逆算していくうえでは、途中のマイルストーンを置くことももちろんですが、現時点まで逆算することが何より重要です。現時点で、具体的になにができるか、また、その妥当性をどのようにすれば検証できるか。まで考えて方法を決める必要があります。

3:価値
方法が決まれば、その価値の検証に取り組みます。仮定した方法をできるだけミニマムに実践し、その結果を情報として入手します。最終的には、どのような価値が発生したか、あるいはリスクが想定されたかをまとめます。

4:時間
最後に、実際の結果をもとに、将来に拡張した際の価値とリスクを検証します。目的から方法に進めた際はバックキャスト的な考え方が前提になりますが、ここではボトムアップ的に考えます。現状の目的が達成できるのか、達成できるときの費用、途中段階でのリスクなどをまとめていきます。

PoSでは、以上4つの段階を繰り返します。それにより、企業にとって最も価値のあるサステナブルな目標と戦略を決定します。

伴走

最後に、実際にDXを進めていきます。DXは、内部体制の構築から、最終消費者とのコミュニケーションまでを含むため、長期的な伴走支援ができる体制を整えています。

私たちが想定するGXの最終的なアウトプットは、長期的な企業価値の向上と経営リスクの低下です。GXを実施する目的がわからない方にも、まずはGXをする価値があるかの検証をすることをお勧めしています。