脱炭素とカーボンニュートラルの違いは?脱炭素経営を目指すうえで知っておくべき用語なども解説!

松井大輔
松井大輔

株式会社ゼロック 代表取締役 監修

目次

地球環境に配慮した経営を検討する中で、さまざまな用語を見ることもあるでしょう。とくに「脱炭素」「カーボンニュートラル」は頻繁に出現するため、違いも含めて意味を知っておくことが大切です。

今回の記事では、脱炭素とカーボンニュートラルの違いや、脱炭素経営を考えるうえで知っておきたい言葉について解説します。

脱炭素とカーボンニュートラルの違いは?

草原に立つ樹木

脱炭素経営を考える中で頻繁に出てくる単語が「脱炭素」「カーボンニュートラル」です。両者はニュアンスが異なるため、自社で施策を実行するにあたり両者の意味を把握しておきましょう。

脱炭素では”二酸化炭素排出量ゼロ”を目指す

脱炭素とは、「二酸化炭素の排出量ゼロを目指す取り組み」のことです。現在は二酸化炭素を含めた温室効果ガスの排出ゼロを目標として、世界中が協力してさまざまな施策を実行しています。

1997年の京都で提携された「京都議定書」にて、史上初の国際的な温室効果ガス削減数値目標が制定され、2015年のパリ協定なども経て現在に至りました。

日本では、2020年10月に当時の総理大臣によって「2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガス排出をゼロにする」という宣言が出されています。

カーボンニュートラルでは”二酸化炭素排出量実質ゼロ”を目指す

一方のカーボンニュートラルとは、「二酸化炭素を含めた温室効果ガスの排出量(emission)と森林による吸収量(removal)が差し引きゼロの状態を実現する取り組み」のことです。脱炭素では純粋に排出量をゼロにすることを目標としていましたが、カーボンニュートラルでは吸収量に焦点を当てています。

人間が活動するうえでは二酸化炭素を排出する場面が多いため、現実的に考えると「完全なゼロを目指す」というのは難易度が高いかもしれません。しかし、森林保全や植林などの活動を通じ植物が吸収できる範囲を増やし、実質ゼロを目指すことは可能です。

なぜ脱炭素やカーボンニュートラルが重要なのか?

ハテナマークの樹木

このように、脱炭素経営を目指すうえでは「脱炭素」「カーボンニュートラル」の違いを把握しておくことが重要です。また、脱炭素やカーボンニュートラルの重要性を語るうえでは、地球環境の変化に関する話題は決して外せません。

現在、地球では産業や技術などが発展したことで、二酸化炭素の排出量が増え続けています。実際、1990年時点の二酸化炭素排出量は世界全体で「205億トン」だったのに対し、2018年には「335億トン」にまで増加しました。2030年には「349億トン」まで膨らむと予想されています。

二酸化炭素排出量の増加に伴って平均気温も上昇しており、2011年〜2020年の間で1.09度も高くなっています。このまま気温が上がり続ければ、海面上昇や気候変動などの問題も深刻になっていくでしょう。

こうした地球規模での危機を脱するために、脱炭素やカーボンニュートラルによって二酸化炭素排出量を削減することが重要です。企業も、脱炭素経営によって地球環境に配慮した活動をすることが求められています。

脱炭素経営を目指すうえで知っておくべき単語

風力発電

脱炭素経営を目指すうえでは、上記の脱炭素やカーボンニュートラル以外にも知っておくべき単語があります。

ライフサイクルアセスメント(LCA)

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷を定量的に判断する手法です。ライフサイクル全体を視野に入れることで、製品やサービス自体だけでなく製造過程など「見えない部分」も含めて、正しく環境への負荷を評価できます。

例えば電気自動車の場合、確かに運転時は二酸化炭素を排出しません。しかし、製造時は二酸化炭素を排出するため、一概に「電気自動車を開発しているから脱炭素への貢献度は高い」とも言い切れないでしょう。

ライフサイクルアセスメントの手法を活用することで、ライフサイクル全体を見て正しく企業を評価できるのです。

Scope1〜3

Scope1〜3とは、自社の事業活動に関連して排出された温室効果ガスの合計量のことです。具体的には以下の3段階に分類されます。

Scope1:自社内部における燃料の燃焼により直接排出される温室効果ガスの排出量
Scope2:電力会社などの他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出量
Scope3:Scope1・Scope2以外の間接的な排出。事業者の上流にある購入物の生産や輸送、事業者の下流に位置する製品の輸送や使用、廃棄における排出などが当てはまる

上記を参考にすることで「事業のどの過程で負荷がかかっているか?」を判断して、現状に合わせた最適な施策を実行できるようになります。

GX

GXとは「グリーン・トランスフォーメーション(Green Transformation)」を指します。二酸化炭素の削減に向けた取り組みを、脱炭素社会の実現に向けた施策だけでなく「経済を成長させる機会」と捉え、両立させるための考え方のことです。企業が経営ビジョンとして掲げるケースも増えており、「脱炭素経営の推進」という意味合いでも使われます。

経済産業省・野村総合研究所・博報堂が中心となっている「GXリーグ」では、GXに挑戦する企業や同じ目標を持つ組織と協働できる場を提供しています。KDDIや三菱商事、日本マイクロソフト、東京電力など多数の企業が加わっており、組織間での技術提供や投資などを行うことで、GXを成功させるために協力しあっているのです。

カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、二酸化炭素の排出量を「間接的に削減する」という考え方です。

二酸化炭素の排出量を削減するためには、本来「環境負荷のかからない製品を作る」「製造過程を見直す」など、自社で施策を実行することが理想です。しかし、技術や資金的な問題によって、自社での削減実施が難しいケースもあるでしょう。

カーボンオフセットでは、上記のように自社での削減が難しい場合に、他の場所で実現された排出量の削減をクレジットとして購入することで、「自社で実施したもの」として埋め合わせることができます。カーボンオフセットの考え方を活用することで、自社の活動と結びつけて無理なく脱炭素経営を推進できるのです。

脱炭素ドミノ

「脱炭素ドミノ」とは、脱炭素への意識や特定の地域で実施された取り組みが、ドミノ状に全国へ浸透する状態のことです。全国から選ばれた脱炭素先行地域(脱炭素への意欲と実現可能性が高い地域)を起点として、日本全国に取り組みが浸透することが期待されています。

令和3年に策定された「地域脱炭素ロードマップ内」では、少なくとも100箇所の脱炭素先行地域を作り、2030年までに具体的な取り組みを実施すると定められました。

カーボンネガティブ

カーボンネガティブとは、二酸化炭素などの温室効果ガス吸収量が排出量を上回っている状態のことです。吸収量が排出量を上回っているため、地球温暖化の防止により強く貢献できます。現在は地球温暖化による気温上昇や気候変動などがハイスピードで発生しているため、排出量ゼロを目指すだけでなく、吸収量を伸ばす施策も必要です。

ネガティブという言葉がついていますが、状態としてはポジティブといえるでしょう。

低炭素

低炭素とは、脱炭素目標が掲げられていた以前に使われていた言葉です。脱炭素では二酸化炭素を「ゼロにする」という目標を掲げていますが、低炭素では「減らす」という表現に留まっています。

ゼロカーボン

ゼロカーボンとは、上記で解説したカーボンニュートラルと同義です。二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指しています。

脱炭素やカーボンニュートラルに向けて企業は何ができる?

企業のビル

このように、脱炭素やカーボンニュートラルを考えるうえでは、さまざまな考え方を知っておく必要があります。多くの角度から単語や考え方を把握することで、脱炭素経営を目指すうえで最適な手段を選べるようになるでしょう。

それでは、各企業はどんな取り組みを推進しているのでしょうか?例えばサントリーでは「2030年までに全世界のサントリーグループ自社拠点でのGHG排出量を50%削減する」という目標に向けて、電力を再生エネルギー由来に切り替えたり二酸化炭素排出実質ゼロ工場を実現したりなどの施策を進めています。

また、Appleも「2030年までにサプライチェーン100%カーボンニュートラル」を目標に、製品に低炭素の再生燃料を活用するなどの活動を行っています。

より具体的な事例については以下の記事もご覧ください。

このように、脱炭素やカーボンニュートラルに向けて企業が取り組める施策はさまざまです。地球環境に配慮するため、自社の状況に合わせた施策を実施するとよいでしょう。

とはいえ、知見がない企業がいきなり脱炭素経営に乗り出すのは難しいかもしれません。特に、Scope1〜3における複雑な算定やLCAを活用した自社への評価などは専門知識が必要なため、どこから手をつけてよいかわからない企業も多いでしょう。

その場合は、脱炭素経営の推進をサポートしている企業に相談することもひとつの手です。株式会社ゼロックでも、脱炭素経営を推進したい企業に対してサポートを提供しています。

環境目標達成に向けた道筋作成やLCAを利用した環境影響への評価の算出など、さまざまな専門分野についてサポートを提供しているため、脱炭素経営に乗り出したい企業はお気軽にご相談ください。

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