SDGsウォッシュとは?企業の事例や回避する方法を解説!

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2022年に電通が行った消費者調査では、SDGsという言葉の認知率は86.0%で、2021年との比較だと30ポイント以上伸長しました。

SDGsへの取り組みを外部へ公表することで、消費者や投資家といったステークホルダーに対して、「良いイメージ」を与えることができ、自社のブランディング向上やファンの獲得などに繋げることができます。

しかし、最近では意図的・非意図的に関わらず、「それって本当にSDGsに関係ある?」という企業や、「定量的な根拠はある?」とツッコミたくなる企業も多く見かけます。

こちらの記事では、いわゆる「SDGsウォッシュ」とは何かを解説し、SDGsウォッシュに陥らないために出来ることを環境コンサルタントの観点から説明したいと思います。

SDGsウォッシュとは

SDGsウォッシュとは、一言でいうと「みせかけのSDGs」です。

「SDGsウォッシュ」に当てはまるのは、主に

  • 実態がないのにSDGsに取り組んでいるように見せかける
  • 実態以上にSDGsに配慮しているように見せかける
  • 不都合な事実を伝えず、良い情報のみを公表している

この3つのいずれかに該当するケースと言われています。

「SDGsウォッシュ」は、英語で「ごまかし」や「粉飾」を表す”whitewash”と「SDGs」を組み合わせた造語で、ヨーロッパで使われ始めた言葉です。

SDGsウォッシュ

同じような文脈で使われる言葉に、「グリーンウォッシュ」という言葉もあります。

グリーンウォッシュの「グリーン」は「環境」という意味で、同じように企業が実態がないのに環境に良いことをしているとアピールしている場合に批判される場合に使われます。

ウォッシュに陥ってしまう理由

企業がSDGsに陥ってしまう理由は、大きく2つあります。

1つ目は、意図せずにSDGsウォッシュになってしまっているケースで、「SDGsについて理解していない」という理由が考えられます。

企業の担当者も悪気はなく、単純にSDGsについてよく知らないままなんとなく雰囲気でSDGsにこじつけてしまったり、正確な知識なく発信してしまっているケースになります。

SDGsには17のゴールと169のターゲットが設定されており、それぞれ基準となる指標というものがあります。

17のゴールのロゴだけ掲げて、自社の事業と関連付けているだけの企業はよく見かけます。

2つ目は、意図的に消費者やステークホルダーを騙そうとしているパターンです。

自社の活動を実態以上に大きく見せたり、意図的にSDGsの観点で良い事実だけを切り取って公表するケースがこれに該当します。

SDGsウォッシュが広がる背景

SDGsウォッシュについて、情報を公表する企業目線だと上記のような理由がありますが、そもそもそのようなウォッシュがまかり通ってしまうのには理由があります。

  • 世間のリテラシーが低い(批判されない)
  • 明確なルールやガイドラインがない

集約すると、この2点になると思います。

まずは、世間のSDGsに関する消費者のリテラシーが低いということです。

冒頭で、申し上げた通り、SDGsという言葉の認知度は86%を超えている状況ではありますが、「内容まで含めて知っている」人はそのうち34.2%にとどまっています。

SDGs認知率
出典:電通 第5回「SDGsに関する生活者調査」

多くの人は、SDGsがなんとなく「良いこと」というイメージしかもっておらず、それに取り組んでいる企業も良い企業だと認識しているのが現状だと思います。

つまり、仮に企業が発信する情報がSDGsと関係無かったり、間違っていたりしても消費者はわからないため、誰からも批判を受けることはないという状況になります。

2点目としては、明確なルールやガイドラインがないことが挙げられます。

現状、SDGsの公表に関する、法令や明確なルールはありません。なので、各企業や組織がそれぞれ独自の判断でSDGsへの取り組みをアピールしている状況です。

SDGsに関わる法律などもないため、仮にSDGsに全く関係のない活動をSDGsの一貫としてアピールしても罰則などはありません。

もちろん、上場企業の場合は社会的な責任も大きいため、公表する情報は事前に第三者機関によるレビューを受けていることが多いです。

SDGsウォッシュの事例

よくあるパターンはこの2つ

SDGsウォッシュのよくあるパターンの1つ目は、

SDGsのロゴだけをWEBサイト等で掲げているだけで、実際には何もしていない(公表していない)

パターンです。

例えば、下記の画像はある2つの中小企業のHPの抜粋なのですが、SDGsの取り組みと記載はあるものの、17のゴールのうち4つのロゴを使っているだけで、具体的な取り組みや活動実績、169のターゲットのどの指標にコミットするのかが何も書かれていません。

この類のSDGsウォッシュは特に中小企業に多い印象です。

SDGsウォッシュ1

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SDGsウォッシュ2

2つ目は、

自社に都合の良い情報だけを公表し、都合の悪い情報は公表しない

パターンです。

例えば、下記はEV用の電池を生産している会社の環境報告書の一部抜粋画像です。

報告の中では、16~20年度で電池1台あたりのCO2排出原単位を20%以上削減したとされています。

しかし、CO2排出量の計算においては、前提とする数値や算定方法によって結果が100倍以上変わることも多々あります。

この公表には、肝心な算定方法や基準とした数値が書かれておらず、このデータには全く意味がないと言うことが出来ると思います。

SDGsウォッシュ3

このように、見せかけだけのSDGsウォッシュは本当によくあります。

上場企業であれば、第三者機関によるレビューが入ることが普通なのですが、今回紹介した中小企業だと、自社の独自の基準で計算した都合の良いデータを公表していることがほとんどです。

SDGsウォッシュが企業に与える影響

消費者からの信頼を失ってしまう

まず第一に考えられる影響として、自社の顧客を含む消費者からの信頼の低下が考えられます。

先程ご説明した通り、消費者全体で考えるとSDGsの意味まで理解している層は約2割程度に留まっています。

しかし、逆に言うと、2割の消費者はSDGsの内容を理解しており、しっかりとしたリテラシーを持っていると考えられます。

リテラシーの高い消費者は企業のSDGsウォッシュに敏感に反応するため、企業に対する信頼や評判の低下、そこから不買運動にまで発展する可能性があります。

投資先としての魅力が低下してしまう

ESG投資の規模拡大とともに、投資家もまた企業のSDGsへの取り組みに注目しています。

消費者と比べて、機関投資家はプロ目線で投資対象となる企業を分析しています。そのため、SDGsウォッシュかそうでないかは、公表されている情報をみればすぐに分かります。

もちろん程度にもよりますが、SDGsウォッシュを行っている企業は遅かれ早かれ消費者からの信頼を失い、売上の減少につながるとすると、投資対象としての魅力が下がり資金が集まりにくくなると言えるでしょう。

景品表示法に違反してしまう

先程、SDGsウォッシュには明確なルールやガイドラインがないことは説明しましたが、不当表示に関しては「景品表示法」という法律によって、規制がされています。

SDGsウォッシュに限った話ではありませんが、実体のない表示や消費者を誤認させる表示は禁止されています。

行き過ぎたSDGsウォッシュは、法的にも問題になる可能性があるということを理解しましょう。

SDGsウォッシュを防ぐためにできること

誇張や曖昧な表現を避ける

まずは、過大に誇張した表現や曖昧な表現を避けるのが無難でしょう。

会社として公表する情報には、しっかりと責任を持ち、信頼性の低い情報や客観的に検証ができない情報の表現はアピールどころかマイナスになる可能性があるということを理解する必要があります。

また、イラストや写真を用いる際はできるだけ、公表内容と関係性のあるものにして、写真による意図的な印象操作やイメージの増幅を狙うことは避けましょう。

結局、第三者からツッコミが入った時に打ち返せるだけの根拠や定量的な数値があれば問題ないということになります。

自社でチェック体制を構築する

SDGsウォッシュを防ぐために、情報を公表する前に自社でダブルチェックを行うことも有効な手段となります。

できれば、社内で情報公開に関するガイドラインやマニュアルを作成して、それに則って情報を公表していき、そのガイドラインから逸脱していないかという観点でダブルチェックを行うことで、SDGsウォッシュに該当する可能性を減らすことができます。

公表前に各種ガイドラインを参照する

SDGsコミュニケーションガイド

現在、SDGsウォッシュについて、明確なルールやガイドラインはありませんが、参考になる情報はいくつかあります。

まずは、電通が公表している「SDGsコミュニケーションガイド」です。

SDGsの概要やSDGsウォッシュについて、「広告コミュニケーション」の観点からまとめられています。

2つ目は、やや古い情報となるのですが、環境省が公表している「環境表示ガイドライン」です。

環境表示ガイドラインは、環境配慮型の商品やサービスが消費者に訴求する際の適用範囲やポイントについて、事業者向けにまとめられた資料です。

評価・選択されることを目的に、事業者環境表示についてまとめられた資料です。

3つ目は、そもそものSDGsの概要や企業の取り組み方について、環境省がまとめている「すべての企業が持続的に発展するために」も参考になるので、ぜひご参照ください。

客観的かつ科学的な評価と公表が大事

SDGsや環境に関する、情報公開や広告出稿を行う時に共通して大事になってくるのが、「客観性」と「科学的な評価」に基づいた情報なのかという点です。

特に環境分野では、ゆりかごから墓場までを一貫して考えるライフサイクル思考が重要で、商品やサービスの環境負荷の算定には、LCA(ライフサイクルアセスメント)を行うことが一般的です。

今後は消費者や投資家の目線も今まで以上にシビアになってくるため、SDGsウォッシュにならないように最新の注意を払いましょう。

弊社では、SDGsウォッシュのチェックを始めとした環境広告戦略の支援やLCA算定支援をしております。

興味のある方はぜひご相談ください。