エシカル消費とは?消費者の選択と企業ができること

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エシカル消費とは?消費者の選択と企業ができること

SDGsや脱炭素といった言葉をよく目にするようになりましたが、「エシカル消費」という言葉も徐々に認知度が上がってきています。

この記事では、これからの新たな消費スタイルであるエシカル消費の概要や企業がとるべき対応について、解説していきます。

商品開発やCSR・SDGs担当者の方は特にご覧ください。

『エシカル消費』とは?

『エシカル消費』とは?

エシカル消費の概要

エシカル消費とは、直訳すると「倫理的な消費」という意味であり、人や社会、地域、環境に配慮した商品やサービスを選択する消費行動やライフスタイルのことです。

いままでは、消費者はその商品やサービスの値段や品質にばかり関心あった状況が、どのように世の中に提供されているのかや、環境負荷がどれくらい生じているものなのかということに意識が及んでいるのが現状です。

エシカル消費という言葉が広まっているということは、消費者における商品選択の価値判断にその観点が重視されだしていることを意味します。

商品やサービスを提供する企業においては、開発や製造の段階からエシカル消費を実践する消費者に受け入れられる商品なのか、どのように消費者に伝えるかという視点を組み入れる必要があります。

『エシカル消費』の起源

近年になって耳にするようになった「エシカル消費」ですが、1989年にイギリスで「エシカルコンシューマー」という専門誌が創刊されたのが起源だとされています。

この専門誌では、人権や環境汚染、動物愛護等のカテゴリ別で企業を評価するような内容が取り上げられており、この時代から新たな商品選択の価値基準を呼びかけてきました。

『エシカル消費』が注目されるようになったきっかけは?

日本でエシカルという言葉が使われるようになったのは2009年頃といわれていますが、注目されるようになったきっかけは2011年3月11日の東日本大震災後です。

被災者同士のシェア精神や復興支援などの利他的な価値観が広がり、被災地の商品を購入する「応援消費」という動きも生まれました。

さらに、2015年に国連より提唱された持続可能な開発目標(SDGs)の中で、目標12において「つくる責任 つかう責任」というものがあり、消費者の持つ責任について議論されるようになりました。

消費者庁でも、同年2015年から2年間にわたり、倫理的消費調査研究会を開催しており、エシカル消費の普及に向けた取り組みを行っています。
同庁が運営するエシカル消費特設サイトでは、エシカル消費に関する知識や各地位のイベント情報、個人単位でのエシカル消費の実践等を発信しており、消費者にとってエシカル消費について知るきっかけになっています。

投資の世界では、国策に売りなしという言葉もありますが、政府が推し進めるエシカル消費に沿った商品やサービス提供できる企業が今後消費者や投資家に選ばれる1つの要素となりそうです。

エシカル消費者実践者は何を重視しているのか

エシカル消費者実践者は何をを重視しているのか

電通が毎年行っているエシカル調査に関する意識調査では、エシカル消費の認知度から、関心や実践しているカテゴリ分野、さらには具体的に実践するための条件等について、年齢・性別のターゲットごとに調査しています。

エシカル消費の潜在的ニーズは高い

電通「エシカル消費 意識調査2022」
電通「エシカル消費 意識調査2022」より引用
電通「エシカル消費 意識調査2022」
電通「エシカル消費 意識調査2022」より引用

エシカル消費は近年認知度はあがっているものの、全体的な母数からみた関心度はまだまだこれからといった状況です。全ての世代において、エシカル消費に関心がある人の割合は15%に留まっています。

一方、着目すべき点もあります。

1つ目は、Z世代を中心とした若年層の関心が比較的高いという点です。

海外においても、若い世代を中心に環境やSDGsに関心が高い傾向があり、この傾向はますます顕著になると言われています。

若年層×エシカル消費に着目したビジネス戦略を練ることでより効果的な成果を出すことが期待できます。

2つ目は、エシカル消費について知っている人のうち、「日常の生活に取り入れたいという人」は43%にものぼり、また「やりたいと思わない人」も少数という点です。

つまり、本格的に広まっていくのはこれからという状況、かつ、知った人は生活に取れていくという結果であるため、まだ先行者利益を狙える状況にあるということです。

食品ロス・再エネ&省エネ・地産地消等に高い関心

エシカル消費者実践者は何をを重視しているのか
電通「エシカル消費 意識調査2022」より引用

食品ロス

日本国内でも年間646万トンの食品ロスが発生していますが、そのうち289万トンが家庭系由来です。さらにそのうち、10.3%は「手つかず食品」・13.6%は「食べ残し」ですので、各人の注意により69万トンもの食品ロスが削減できます。

比較的意識次第で直ぐ取り組めるため、生活に取り入れたいと考える方が多いようです。

再エネ&省エネ

関心が高いにもかかわらず、なかなか実践が難しいとされているのが再生可能エネルギーです。

太陽光発電の場合、戸建て住宅に導入するのに100~200万円程かかりますが、生み出した電気を自家消費したり、売電することができるため、長期的に見ると利益となることが多いです。

また、マンションで太陽光発電の導入が難しいという方には、電力会社の再エネプランを選択することで、再エネ100%の電気を利用することができます。

地産地消

地域を応援しようという応援消費的な意味合いもありますが、地産地消は脱炭素に深くかかわっています。

地元で食物などを消費することで運搬によって発生するCO2の削減に繋がります。食物などを輸送する距離は「フードマイレージ」とも呼ばれ、このフードマイレージが高いほど、輸送コストやエネルギーが大きくなるということになります。そのため、運搬におけるCO2削減は大変重要な課題です。

消費者が行動に移すまでのハードル

電通「エシカル消費 意識調査2022」
電通「エシカル消費 意識調査2022」より引用

社会や環境にとって良い商品が世の中に増えたらよいと思う人は多いですが、いざその商品を生活に取り入れるには、いくつかのハードルがあります。

その中でも、「価格」が最も多いハードルとなっています。確かに、オーガニックやフェアトレード系の商品は一般的に価格が高いイメージがあります。

社会的な需要がさらに高まって、高くても欲しいという流れになるのか、新たな技術で価格も低く、社会や環境にとっても良い商品を生産できるようになるのかはわかりませんが、価格が同じであれば積極的にエシカル消費を実践したいと考える人は多いようです。

さらに、「社会や環境にとってのメリットが分かったら」・「環境問題や社会問題に貢献できることが理解出来たら」という理由もエシカル消費を実践できないハードルになっています。

消費者が知識を付けることも重要ですが、生産者が積極的にコミュニケーションを図り、いかに分かりやすく消費者に伝えるかも重視されています。

自社のターゲット層がエシカル消費のうちどの項目に特に関心が高いかをリサーチし、ダイレクトにその情報を伝えることも有効となります。

企業はどのような対応を取ればよいのか

企業はどのような対応を取ればよいのか

エシカル消費の需要が高まる中、企業ができることも様々あります。下記にいくつかその対応策の一例を記載していきます。

商品・サービスの環境負荷を算定・開示する

ライフサイクルアセスメント(LCA)とよばれる「環境負荷を見える化する手法」を用いて、製品やサービスの素材や原材料の調達から、製造、流通、消費、廃棄に至るプロセス全体での環境負荷を定量的に評価することができます。

ある製品やサービスの環境負荷を評価する場合、製造・使用・廃棄の中のどのタイミングでCO2が多く排出されるのかをライフサイクルで見ることが重要になります。

「製造」や「使用」の段階だけに注目して「環境にいい商品」がクローズアップされることがありますが、「廃棄」の段階までを含めたライフサイクルで考えてみると、CO2を大きく排出しており、実は環境負荷の低減につながっていないことも多々あります。

LCAによって、脱炭素のきっかけにもなるため、是非取り組みたいところです。

認証・環境ラベルを取得する

エシカル消費に関連する認証ラベルを取得し、商品に明示することは、消費者にとっても分かりやすい手段です。

カーボンフットプリント

製品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体における環境負荷の定量的に開示するラベルです。

数値を開示することができますが、それが環境負荷が低いかかどうかは消費者が判断することが必要です。

国際フェアトレード認証ラベル

国際的なフェアトレードスキームのシンボルであり、世界的に最も認知されている倫理的ラベルの一つです。

国際フェアトレード認証ラベルが付いた製品は、社会的、環境的、経済的基準について定めた国際フェアトレード基準を満たしていることを表します。

フェアトレード製品を購入することで、小規模生産者と労働者の生活とコミュニティを改善することにつながります。

レインフォレスト・アライアンス

森林や生態系の保護、農園の労働環境など、持続可能な農業のための包括的な基準を満たした農園に与えられる認証制度です。

FSC認証

持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度です。

再生可能エネルギーに切り替える

太陽光発電を自社で導入することの他、電力会社の契約プランを再生可能エネルギー100%にしたりすることもできます。

Appleでは、自社の取り組みだけでなく、110社を超える企業がAppleに納める生産の全てを再生可能なエネルギーを使って行うことを表明しています。

大企業は、今後ますますサプライチェーン全体での対応を求められます。

まとめ:正確な情報の開示でエシカル消費促進を

まとめ:正確な情報の開示でエシカル消費促進を
滋賀県「エシカル消費についてのアンケート結果」

エシカル消費を実践する消費者は、正確・公正な情報を求めています。

滋賀県が実施したエシカル消費についてのアンケートでは、「商品やサービスを購入する際に、どのような情報が提供されればエシカル商品を購入すると思いますか。」という質問に対して、「正確な情報」、「第三者による公正な情報開示」といった内容がトップになっています。

直ぐに情報が拡散される昨今においては、単なる見せかけのエシカル商品はかえって企業リスクとすらなりえるのです。

株式会社ゼロックでは、国際規格に準拠した環境負荷算定から、認証ラベルの取得、そして脱炭素経営の支援までワンストップで提供しています。

エシカル消費者を今後自社のターゲットとして取り入れていきたいという企業担当者の方は是非お問い合わせください。