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取引先の要請に応える—OAフロア4製品、SuMPO EPD取得を支えた算定と伴走支援

建設業界では、建材のライフサイクル全体でのGHG排出量(いわゆるエンボディドカーボン)の可視化・開示を求める動きが加速しています。なかでも、デベロッパーを中心に「環境情報の提出を前提に提案してほしい」という要請が強まり、EPDの有無が商談の前提条件になりつつあります。

アイリスオーヤマ株式会社様でも、法人向けの空間ソリューション事業において取引先からの要望を受け、OAフロアのSuMPO EPD取得に取り組まれました。本プロジェクトでは、OAフロア4製品を対象にLCA算定を行い、SuMPO EPDの取得までを一気通貫でご支援しました。

1. お客様アイリスオーヤマ株式会社
2. ご担当者様 BtoBメーカー本部空間ソリューション事業本部 建装事業部
甲斐 省吾氏
3. ご支援期間6ヶ月間
4. ゼロックのご支援範囲 データ収集支援・LCA算定
SuMPO EPD検証申請書作成支援
検証対応・登録公開支援
報告書作成
5. 対象製品(SuMPO EPD取得) グリッドフロア ウッドコア3000N(GFW-3N、GFW-3K)
グリッドフロア ウッドコア5000N(GFW-5N、GFW-5K)
セットフロア(SFP-3RP)
セットフロア(SFP-3L)
6. PCR二重床【第7版】

アイリスオーヤマのOAフロア:用途・工法・素材で選べるラインナップ

アイリスオーヤマのOAフロアは、支柱で高さ調整できる「グリッドフロア(支柱調整式)」と、置敷で施工できる「セットフロア(置敷式)」を中心に、用途・工法・素材の選択肢を持つラインナップです。グリッドフロアではウッドコアなど、セットフロアではLIMEX(ライメックス)やRPP(リサイクルPP)といった素材ラインも展開しています。

たとえば、今回EPDを取得した『ウッドコア3000N(GFW-3N、GFW-3K )』は、芯材にパーティクルボードを用い、メッキ鋼板で両面から挟んだサンドイッチ構造のOAフロアです。

1枚約4.2kgの超軽量設計で、運搬・設置の負担軽減や輸送時のCO2排出量削減に寄与するとされています。また、芯材に木材由来の材料を用いることで、CO2固定化の考え方も取り入れています。

アイリスオーヤマ製「グリッドフロア ウッドコア3000N」

空間ソリューション事業を支える、メーカー×施工の一貫体制

まずはじめに、甲斐さんのご部署と役割について教えてください。

当社は生活用品の企画・製造・販売を行う会社として、単一の業種にとらわれず幅広い事業展開を行っています。法人向けビジネスの中でも、私の部署では空間ソリューション事業を担い、内装材や観客席、人工芝、映像機器などの建築資材を、企画から製造、販売、施工までメーカーとして一貫して提供しています。

提案の前提条件が変わりつつある——EPDを求める声

SuMPO EPDの取得に至った背景や経緯について教えてください。

国土交通省が、建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)算定・評価を促進する制度整備を検討する中で、建材の環境情報開示(LCA/EPD)を求める声が強まっています。実際にお客様から「可視化してほしい」という要望も増え、SuMPO EPDの取得を検討し始めました。

特にデベロッパー側からの要請が強いケースもあり、「EPDを取ってください。」と言われる会社もあります。

アイリスオーヤマ株式会社 甲斐省吾氏

補助制度の活用で、社内決裁が前に進んだ

 社内で取得に踏み切った決め手は何だったのでしょうか?

取り組みを始めたのは2024年末頃です。EPD取得は金額が大きく、当初は費用面がネックになっていました。

そこで活用したのが、令和7年度の国土交通省支援事業「CO2原単位等の策定に係る支援」です。

この制度は、EPDを含むCO2原単位等の策定に必要な費用が支援対象となり、社内意思決定の大きな後押しになりました。結果として、ゼロックさんからのご協力もあり制度の枠を活用することで、実質的に自己負担を大きく抑えた形でEPD取得まで進められました。

“EPDの専門家が見つからない”——ゼロックを選んだ理由

外部に委託することを決めた背景と、コンサル選定の観点を教えてください。

右も左も分からないところからスタートし、「そもそも本当に必要なのか」という検討から始まりました。過去に別のコンサル会社と進めようとしたこともあったのですが、なかなかうまくいかず、今回は「EPDが目的のプロジェクト」なので、EPDに専門性を持つ会社にお願いしたいと考えました。

ただ、Scope1・2・3の領域は会社もツールも多い一方で、製品単体のEPDとなると支援会社は限られます。ホームページ検索などを通じて検討する中で、取得対象PCRへの知見や実績、そして民間企業ならではのスピード対応を評価し、ゼロックさんを選定しました。

最大のハードルはデータではなく、“データの居場所”

実際に進めてみて、大変だった点はどこでしたか?

やはり一番はデータ収集でした。専門の部署があるわけではないので、どのデータがどこにあるか、誰が持っているかに辿り着くまでに時間がかかりました。工場の歩留まりや原材料使用量などは把握されていても、電力使用量のように担当が分かれるデータもあり、社内外でルートを探す必要がありました。

海外拠点・サプライチェーンが絡むと、言語の壁もあります。さらに「なぜその情報が必要なのか」「機密ではないか」といった反応もあり、EPDの意義を説明するコミュニケーションが不可欠でした。

専門性があるからできる支援内容―FMT整備、代替案、納期コントロール

ゼロックの支援で、特に助かった点は何でしたか?

右も左も分からない中で、データ収集のフォーマット作成から、データが取得できなかった場合の代替案の提示まで、あらゆるサポートをいただきました。取得完了後も算定方法の説明や今後の開示方法のアドバイスをもらえたのは心強かったです。

また、納期がある中で「どこまで集まらなかったらこの方針で進める」といった線引きをし、間に合わせるためのコントロールをしていただけた点も大きかったです。

加えて、多品種を生産している中で『対象製品だけに紐づくエネルギーや原材料のデータが取り切れない』場面もありましたが、PCRで認められる範囲のアロケーションや二次データでの補完まで含めて整理してもらえたことで、必要最低限の手間で“求められるデータ品質”を満たすことができました。

次の一手:OAフロアから、新商品・他建材へ横展開

今後の展開や、次に取り組みたいことがあれば教えてください。

OAフロアについては、今回取得した製品以外にも取得を検討しています。加えて、その他の建材についても優先順位をつけながら進めていく予定です。

また、春に発売予定の新商品についてもEPD取得を見据えています。生産実績が十分に揃ったタイミングで着手する方が合理的だと考えており、社内で繰り返し算定することを前提に、よりやりやすい算定方法・集めやすいデータ設計も含めて検討していきたいです。

最後に

建材領域では、環境情報開示が“いつか”ではなく“いま必要なこと”になりつつあります。一方で、EPDは製品データが社内外に散らばりやすく、取り組みの初期は「何を集め、どこまで集めるか」を設計するだけでも大きな負荷になります。

ゼロックでは、制度・PCRの選定から、データ収集設計、代替案の整理、スケジュール管理、申請対応までを一気通貫で支援します。まずは「どの製品から、どの目的で、どの範囲で」着手すべきか——その整理からご一緒できます。

ぜひこちらからサービス資料をダウンロードください。

本プロジェクトで取得したSuMPO EPDは記事末尾に掲載しています。

公開されているEPD

・グリッドフロア ウッドコア3000N(GFW-3N、GFW-3K):https://ecoleaf-label.jp/epd/2752

 ・グリッドフロア ウッドコア5000N(GFW-5N、GFW-5K):https://ecoleaf-label.jp/epd/2753

 ・セットフロア RPP(SFP-3RP):https://ecoleaf-label.jp/epd/2755

 ・セットフロア LIMEX(SFP-3L):https://ecoleaf-label.jp/epd/2754

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