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和紙素材マネキン『Waltz』のLCA評価を通じた環境情報開示

株式会社トーマネ 執行役員 岩下沢子氏

昭和9年に創業し、マネキン人形の制作から始まり、現在では商業スペースを中心とした、空間づくりに関する全てをご提供されている株式会社トーマネ様。今回は、手漉き和紙を素材とした新たなマネキン「 Waltz」と従来からの FRP マネキンの環境情報開示事例を紹介します。

お客様情報株式会社トーマネ
支援内容LCA 算定、外部開示方法のご提案
ご支援期間1ヶ月

環境配慮と日本文化継承を意識した和紙マネキン Waltz」の開発

岩下さんの所属部署と役割について教えてください。

行役員として 2 つの役割があります。

1つ目は社長室・MD戦略室として、製品のPR方法·価格設定·スケジュールなどの販売戦略全般および新製品の企画です。

2つ目は管理部として、社外に関する対応·交渉ごとや、総務人事·財務経理·情報システムなどのバックオフィスを管轄しています。

今回 LCA 算定を行った和紙マネキン『Waltz』の製作、開発における岩下さんの役割について教えて下さい。

まず、今回製作した「Waltz」は環境にフォーカスしているので、お客様にとって受け入れやすい所を我々の歴史とミックスして、お客様や興味のある方々にどうお伝えすればよいのかを考えることから始めました。

マネキン人形は現在もFRPを主材とし、1958年に開発されてから、65年も同様の製造方法を用いています。強度·発色·コストにおいて、この様に扱いやすい素材は代わりがないことが現実です。

しかし、企業として他の会社と違う事を追求していかないと、価格のバッドスパイラルに巻き込まれることが多くなってしまいます。今回の「Waltz」の開発において、日本文化を参考にしながら唯一無二の企業として、ものづくりをアピールしたいと思い、Waltzで確立した新しい製作方法が、どんなに環境に優しいか、それを「社外にどうやって伝えていくのか。」を考えることが私の役目でした。

外部開示が目的だったからこそ、LCA 算定の専門性を重視

今回の商品開発で難しかった点と「 環境負荷の算定」を外部に依頼する意義を教えてください。

難しかった事は、有機溶剤を使用せず、自然由来の素材で重量を軽量化しながら、防湿と強度を確保することでした。マネキンづくりは、人の感覚で行っている事が非常に多く、昔は原型師のハンドメイドの塩梅でしかない世界でしたので、感覚的に進める部分と数値化して進める部分を融合させながら進めなければなりませんでした。そのため、スタッフとは頻繁にすり合わせを行いました。

また、和紙はどんな人から見ても環境の負荷が低そうな素材です。でも、本当にそうなのかどうか、一般的にそのことに納得して頂くには数値化しかないと考えていました。

「環境負荷の算定」を外部に依頼する意義は、客観的な視点からのアドバイスを求めることが可能な事と、目標までの最短ルートを示して頂けることでした。

今回、材料として採用した和紙は環境の負荷が低い素材です。しかし、対外的に示し納得していただくためには、繰り返しとなりますが「数値化」することが重要です。私達の会社は割と自分達で何でもやろうとすることが多いのですが、手探りで調べても限界があります。そこで、LCA算定に長けたゼロックさんに相談·依頼することにしました。

コンサルの選定にあたり重視された点や、その中で弊社を選んで頂いた理由があれば教えて下さい。

元々は貴社の誠意のあるご対応をお勧めする企業があったからです。

初めは手探りで調査などを行いましたが、求めている情報になかなかたどり着くことが出来ませんでした。

会社全体の工場や支店の環境負荷算定、様々なものの排出量などを算出してからじゃないと製品の環境負荷算定は出来ないと思っていたため、弊社としてそこまでの費用はかけられないなと考えていました。

また、製品単位のLCA算定ではなく、企業全体の温室効果ガス排出量算定のみを行うコンサル会社が多く、対応に困っていました。この様な状況の中、製品間の製造時の温室効果ガス排出量を比較したり、配送時の負荷などの数値を定量化できるLCA算定にも高い専門性を持つゼロックさんのお話を聞き、今回ご紹介していただきました。

ゼロックさんはこちらの要望に合わせて小回りが利くため、助かりましたし、数値化という後ろ盾があることで「会社」、「製品」の高い信頼性の確保と企業の社会的責任の再認識が出来ました。今回お引き合わせいただけて、とても良かったです。

環境情報は根拠ある数値化が重要

LCA 算定結果をどのように活用していく予定ですか?

ホームページの改修に併せて本算定結果を外部に公表したり、プレスリリースを準備していく予定です。

また、営業員は「Waltz」がどのような目的で開発され、どのように作られているのか等のストーリーはもちろん把握しているのですが、さらなる営業ツールの1つとして今回のLCA算定結果を活用したいと考えています。環境情報は、専門性が高く、一般の方にとっては分かりにくいものだからこそ、数値化、グラフ化する事の重要性を社内に浸透させ、お客様に分かりやすく伝えていけるよう社内教育をしていきます。

他の製造業の皆様が環境配慮製品の開発を行う際のアドバイスなのがあればお願いします。

この取り組みでの「環境負荷の見える化」の重要性の周知と、やはり大切なのは「勉強熱心である。」事です。

材料と材料の組み合わせによって起こる事が肌で分かっている人じゃないと、難しいと思います。色々な所から素材を持ってきたりしますが「あ、これはダメそう」とか「ダメそうだけど、やってみよう」とかすごく感覚的な事なのですが、やってみると正しいことが多いです。成功するには素材に対して、物事に対して好奇心を失わない事、また、日本のものづくりの現場を見ながら「一緒に作っていこう。」と言う気持ちが非常に大切だと思います。

左から、ゼロック三浦、トーマネ岩下氏、ゼロック松井
グリーンウォッシュ連絡窓口
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