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リセールサービスの環境価値を可視化する削減貢献量算定方法論の策定支援

バリュエンスホールディングス株式会社様は、ブランドリセールを通じて製品の循環を促進し、時計、ジュエリー、バッグ等のラグジュアリー製品が本来使われ得る期間を最大限に活用する仕組みを提供されています。

同社では、リセールサービスが社会全体にもたらす環境価値を定量的に把握・開示する指標として「Resale Impact」を展開しています。本プロジェクトにおいて、ゼロックでは、同社のブランドリセールサービスを対象とした「リセールサービス削減貢献量算定方法論」の策定を支援しました。単に削減貢献量を算定するだけではなく、算定の考え方、ベースライン、対象範囲、データ活用、限界や不確実性までを整理し、継続的な算定と外部開示に耐え得る方法論として整備した事例です。

企業名バリュエンスホールディングス株式会社
ご担当者様コーポレートストラテジー本部  ESG室 赤井理恵氏
プロジェクトリセールサービス削減貢献量算定方法論の策定
ご支援範囲・リセールサービス削減貢献量算定方法論の策定
・算定ツール作成
・外部開示案のチェック
・ピアレビュー対応

赤井理恵氏

リセールの環境価値を、言葉だけでなく数値で伝えるために

はじめに、ご部署の役割について教えてください。

ESG室は、バリュエンスグループ全体のサステナビリティ推進を担う部署です。ESGに関する方針策定や情報開示、非財務データの算定・管理に加え、社内外の関係者と連携しながら、グループ全体のサステナビリティ施策を推進しています。開示、環境対応については、企業によっては担当部署が分かれているケースもありますが、当社では比較的少人数の体制で、サステナビリティに関するさまざまな業務を横断的に進めています。私自身、もともとは広報部門に所属していましたが、Scope1,2,3算定やResale Impactの取り組みを始めたことが、現在のESG室の活動につながっています。

今回、弊社に削減貢献量算定方法論策定をご相談された背景を教えてください。

当社では、2021年にリユースサービスによる削減貢献量を算定・開示していました。背景にあったのは、私たちが「リユースは持続可能なビジネスである」「循環型のビジネスモデルである」と発信していても、それが言葉だけでは十分に伝わらないという課題意識です。消費者の皆様に対しても、リユースが環境に良い取り組みであることを伝えるだけではなく、実際にどの程度、環境負荷削減に貢献しているのかを数値で示す必要があると考えていました。

その後、国内外で削減貢献量に関するガイドラインや考え方の整理が進み始めたこともあり、改めてそれらと整合する形で算定方法を見直すことになりました。

ゼロックを選んだ理由は、「具体性」と「LCAの専門性」

コンサル企業の選定にあたり、重視された点を教えてください。

当社は、すでに自社でResale Impactを算定・開示していたため、単に「削減貢献量を算定できます」という説明だけでは十分ではありませんでした。これまでの算定方法に対して感じていた課題意識や、整理しきれていなかった論点を一緒に明確にしてくれるかどうかを重視していました。

複数の会社に相談しましたが、提案内容が概念的だったり、最終的なアウトプットや全体像が見えづらかったりするケースが多くありました。その中で、ゼロックさんの提案は、当社の課題に対する理解の深さと、具体的な進め方の解像度が大きく異なっていました。こちらが抱えている疑問に対しても、前提条件や当社の現状を踏まえながら丁寧に回答いただけたため、この会社であれば方法論として形にできると感じました。また、従来の算定方法を前提にするのではなく、一度フラットに見直したうえで、リセールサービスにとって妥当な方法論を提案していただけた点も大きかったです。

環境価値を正しく伝えるために、算定方法論も外部に開示する

本プロジェクトで特に重要だった点は何ですか。

特に重要だったのは、単に削減貢献量の算定結果だけを開示するのではなく、その前提となる「方法論」まで外部に説明できる形で整理することでした。もともと当社では、リセールによる環境負荷削減効果を算定するためのExcelはありました。しかし、製品ごとの削減貢献量をどのような考え方で算定し、それを当社のリセール事業全体の環境価値としてどのように集計・開示するのかについては、改めて整理して定義する必要がありました。

また、商品を購入されるお客様に対して、リユース商品の環境価値をより分かりやすく伝えるため、店舗やECサイト上で商品ごとの削減貢献量を明示することも重要な点でした。そのため、方法論を作るうえでは、妥当性と実務での使いやすさを両立させることも大きなポイントとなりました。リセール事業で取り扱う商品数は毎年非常に多いため、理論的に厳密な方法に寄せすぎると、算定に必要なデータが増え、継続的に運用することが難しくなります。一方で、実務上の扱いやすさだけを優先すると、外部に開示した際に、算定結果の前提や考え方を十分に説明しづらくなる可能性があります。そのため、どのデータを一次データとして用い、どこを文献やデータベースで補完するのか、また、どこまでを対象範囲に含めるのかを整理する必要がありました。そのうえで、実務として継続運用できる水準に落とし込みながら方法論を策定することを重視していました。

バリュエンスホールディングス様HP「Resale Impact」より

方法論策定の中で難しかった点は何ですか。

多種多様な商品を、算定上どのように整理するかという点が難しかったです。当社がリセールで扱う商品は、時計、ジュエリー、バッグ、アパレルなど幅広く、同じカテゴリ内でも素材や重量等が商品ごとに異なります。そのため、製品ごとの特徴を踏まえながらも、一貫した考え方で削減貢献量を算定できる方法を設計する必要がありました。

ゼロックさんには、取扱量や主要素材の種類、算定結果への影響度を踏まえ、たとえば貴金属を含む時計やジュエリーなど、算定上重要なカテゴリについては主要素材分類を細分化するなど、商品特性に応じて算定上の整理に濃淡をつけていただきました。その結果、多様な商品を扱う当社の事業実態に即した、納得感のある算定方法として整理できたと感じています。

専門的な論点を一つひとつ整理し、社外にも説明できる方法論へ

実際にゼロックの支援を受けてみて、どのように感じましたか。

ゼロックさんには、これまで自分たちの中で曖昧に感じていた論点を、一つひとつ具体的に整理していただけたいただけたことが大きかったです。こちらから細かい質問をしても、一般論として回答するのではなく、「その前提であれば考え方が変わる」「その論点はこのように整理した方がよい」といった形で、理論と実務の両面から、実際の算定に落とし込める回答をいただけました。そのやり取りを通じて、私たち自身の考え方も少しずつ整理されていったと感じています。

今回のプロジェクトは、単に算定を外部に依頼するというよりも、議論を重ねながら社内の知見を深めていく機会にもなりました。ゼロックさんの支援により、Resale Impactを継続的に開示・活用していくための基盤を整えることができました。

進め方の面でも、非常に相談しやすかったです。他社では、打ち合わせの回数があらかじめ決められており、それを超えると追加費用が発生するケースもありました。一方、当社ではESG以外の業務も含めて複数のプロジェクトを同時に進めているため、固定的な進め方では難しい部分がありました。その点、ゼロックさんには、必要に応じて柔軟にコミュニケーションを取っていただき、こちらの状況に合わせて進めていただけたことが助かりました。

成果物については、どのように評価されていますか。

最終的な成果物については、希望していた内容がしっかり形になったと感じています。方法論自体も外部開示を予定していたため、方法論の構成や記載の粒度、どこまでを開示するかといった点まで考慮しながら作成いただけたことは助かりました。また、HPでの開示案についても確認いただき、読み手に認識の齟齬が生じない表現になっているかを見ていただけたことが安心感につながりました。リセール分野では、削減貢献量の算定方法をこのような形で整理し、発信している事例はまだ限られていると認識しています。当社の取り組みを通じて、リユースが持つ環境価値を、より具体的に伝えていくきっかけにしていきたいと考えています。

算定方法論と算定ツールイメージ

環境価値の可視化を通じて、リユース市場のさらなる発展へ

算定方法論策定後の運用状況について教えてください。

今回策定した算定方法論をもとに、2025年度のResale Impactを算定し、HPで開示しました。対象としたのは、ALLU、STAR BUYERS AUCTION、ALLU AUCTIONで販売した商品です。その結果、GHG排出削減貢献量は7,486 t-CO2eq、水資源消費量は8,843 m³の削減となりました。プレオウンド・ブランドショップ「ALLU(アリュー)」では、国内ECサイトおよび店舗の商品タグにResale Impactを表示しており、店頭タグについては、従来の算定ロジックに基づく表示から、本算定方法に基づく表示へ順次切り替えを進めています。

今後の御社の展開・方針について教えてください。

Resale Impactについては、今後さらに活用の幅を広げていくことも考えています。現在は主に自社サービスでの開示・活用が中心ですが、将来的にはパートナー企業や外部プラットフォームとの連携も視野に入れ、リユース商品の環境価値をより分かりやすく伝えていきたいと考えています。 また、削減貢献量はGXリーグ等でも普及が進められている領域です。当社としても、リセールサービスが持つ環境価値を適切に可視化し、業界全体にとって参考になる形で発信していきたいと考えています。
当社では、2027年度および2030年度を見据えた中期的な非財務目標のもと、SBT認証の取得や各事業所における再生可能エネルギーの導入、店舗設計における環境負荷に配慮した内装資材の活用など、環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。今後も、リユース事業が持つ環境価値をより分かりやすく伝えながら、事業活動を通じてサステナビリティを推進していきます。

参考情報

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