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廃食油を持続可能な航空燃料(SAF)へ — 環境省事業のLCA評価と削減効果算定支援

サニックスホールディングス 環境省プロジェクトストーリー
捨てられていた油に、空飛ぶ価値を ——  SAFへつなぐバイオものづくりで、ジェット燃料の未来を変える

飲食店等で廃棄される食用油や汚泥(グリストラップ汚泥)は、これまで単に産業廃棄物として処理されて終わりになりがちでした。

サニックスホールディングス様は、捨てられるはずだったグリストラップ汚泥から油分を分離し、「再生油Bio®」というバイオマス燃料を製造してきました。

そして現在、環境省の委託を受け、再生油Bio®をさらに SAF( Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の原料として使える品質へ引き上げるための、2か年の実証事業を行っています。

本記事では、再生油Bio®製造の事業化背景から、SAF原料の製造実証事業の肝となる減圧蒸留・熱分解技術、そしてゼロックの支援内容について、インタビュー形式でお届けします。

1. お客様株式会社サニックスホールディングス
2. プロジェクトご担当者
浦田 雅臣 氏
株式会社サニックスホールディングス 事業開発部
3. プロジェクト内容 環境省委託事業におけるLCA評価および削減効果算定
4. 環境省委託事業名 令和7年度 脱炭素型循環経済システム構築促進事業
(廃棄物等バイオマスを用いた省CO2型ジェット燃料等又はジェット燃料等原料製造・社会実装化実証事業)
5. ご支援期間8か月(2026年3月末時点) / 2027年3月末まで継続予定
6. ゼロックのご支援範囲
環境省委託事業への申請補助
SAFおよび従来型ジェット燃料のLCAおよび削減効果の評価
環境省への報告に向けた資料作成
環境省事業報告会への同席および質疑応答対応
サニックスホールディングス 事業開発部 浦田 雅臣氏
サニックスホールディングス 事業開発部 浦田 雅臣氏

廃棄物処理の現場から生まれた「再生油Bio®」という選択肢

まず初めに、浦田様のご所属の部署について教えてください。

私は事業開発部に所属しており、新規事業の導入に先立つ調査・検討・評価を担っています。

主に現在は、既存製品である再生油Bio®の品質を高め、SAF原料として活用できるようにする実証事業に携わっています。環境省の委託事業の申請を含め、一連の対応を担当しています。

再生油Bio®はどのような背景から生まれたのでしょうか。

もともと当社は、産業廃棄物処理を事業として行っており、食品工場や飲食店などから排出される廃液などを回収し、廃液処理を行ってきました。

回収した廃液の中には、少なからず油も混じっていましたが、当時の工場は水処理や汚泥処理の工場であり、油の処理を想定していませんでした。そのため、廃棄物処理において残った油分は業者に処理を委託する必要があり、追加コストが発生していたんです。そこで、その油分をリサイクルしようということで生まれたのが再生油Bio®です。現在は、主に重油の代替となるバイオマス燃料として販売しています。

市場において、再生油Bio®はどのような評価を受けていますか。

2021年に、工場所在地である北九州市から「北九州エコプレミアム」に選定していただいたことをきっかけに、再生油Bio®の引き合いが強まりました。

選定後には、東京での展示会に出展する機会もいただき、関西方面への販路拡大につながりました。それまでと異なり、単なる廃棄物の延長ではなく、バイオマス燃料としてしっかり価値を認めていただけるようになったと感じています。

飲食店で廃棄されるはずだった廃食油(グリストラップ汚泥)から作られた再生油Bio®
飲食店で廃棄されるはずだった廃食油(グリストラップ汚泥)から作られた再生油Bio®

再生油Bio®を次のステージへ —— 減圧蒸留・熱分解でつくる、SAF原料としての新しい価値

すでに燃料として販売されている再生油Bio®を、さらに品質アップしSAF原料化しようと思われたきっかけは何でしょうか。

再生油Bio®は、水や汚泥を取り除いた油ではあるものの、現状の技術では夾雑物や水分を十分に除去できていません。そのため、世界的に需要が高まるSAF原料として活用するためには品質面で難しく、用途や販売先が限られていました。

そこで、そうした課題を受け、環境省委託事業として品質改良の技術実証に取り組むことにしました。

品質改良の核となる技術「減圧蒸留・熱分解」について教えてください。

減圧蒸留は、水分・油・汚泥の沸点差を利用して、低い温度できれいな油を取り出す技術です。この工程によって、SAF原料となる油を得ることができます。

さらに、蒸留後に残る残渣物も、熱分解によって液体燃料と固形燃料に分けることができ、それぞれ重油や石炭の代替燃料としての活用を見込んでいます。

LCAを “伝わる形” に整える算定支援

環境省事業申請にあたり大変だったことや、コンサルティング会社を探される中でゼロックを選んでいただいた理由を教えてください。

全体を通して、スケジュールが非常にタイトだったのが一番大変でした。用意しなければならない書類も多く、内容としても慣れない部分が多かったので、申請が通るまでは毎日慌ただしい状況でした。

LCAについては、当初は採択後に算定すれば良いという前提だったため、自分たちで簡易算定を行っただけでした。しかし、審査の過程で状況が変わり、急遽1週間ほどで、より詳細で説得力のある追加算定が必要になったんです。締切までの時間が限られる中で、単に数値を出すだけではなく、事業の意義や削減効果まで含めてきちんと伝わる形に整える必要がありました。

そこで、追加算定はLCAコンサルティング会社に委託しようとなり、急いで何社かに問い合わせました。その中で、私たちが置かれている状況や求めていることを一番的確に汲み取ってくださったのがゼロックさんでした。時間がない中でも話が非常にスムーズで、ここなら申請対応だけではなく、その先も安心して任せられると感じたことが、支援をお願いする決め手になりました。

実際に依頼してみて、ゼロックの支援についてどう感じられていますか。

申請時の追加算定以降も、本格的なLCA算定や環境省への報告対応まで一貫して支援していただいています。環境省からの指摘にも的確に対応してくださるので、実証事業を進めるうえで非常に心強く感じています。専門性の高い論点や厳しい確認事項が出てきても、安心して相談できる存在です。

また、LCAの結果についても、単に数値を並べるのではなく、環境負荷の削減効果がどの程度あるのかを、事業の関係者に伝わりやすい形で整理してくださっています。実証事業として何に意義があり、どのような成果が期待できるのかが見えやすくなったと感じています。

さらに、現状どこが環境負荷のホットスポットになっているのか、今後どのような製造方法が実現できれば排出量がどの程度変わるのか、といった分析も示していただいています。申請を通すための算定支援にとどまらず、事業そのものを前に進めるための判断材料としてLCAを活用できるようになっている点が、大きな価値だと感じています。

廃棄物から燃料へ、そして全国へ —— SAF原料化を広げるためのこれから

最後に、今後の展望を教えてください。

SAF原料の製造事業を本格化するには、いかに多くのグリストラップ汚泥を集められるかが重要です。現在は九州北部・山口、関西、名古屋へと回収先を広げており、将来的には関東まで拡大したいと考えています。

また、回収エリアを広げるだけではなく、各地域で協力してくださる飲食店を増やしていくことも欠かせません。現状では、グリストラップ汚泥がSAF原料になりうるという認識はまだまだ広がっておらず、今後は当社が旗振り役となって関係者を巻き込んでいく必要があると考えています。

さらに、大手航空会社や大手エネルギー会社ともすでに協議を進めています。今後もそうした企業と連携しながら、この2か年の実証事業を通して、品質の高い油を作れるよう技術開発を進めていきます。

SAF原料化の取り組みはまだ始まったばかりですが、事業化に向けて着実に前進していると感じています。廃棄物に燃料としての価値を新たに与えるこの挑戦は、SAFの普及と資源循環の両立を目指す取り組みとして、今後ますます注目を集めていくものと期待しています。

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