概要
乗用車用新規構造材料(AHSS、アルミニウム、マグネシウム、CFRP等)を導入した際、社会全体でどの程度環境負荷削減効果があるかを評価できるクラウドツールを開発しました。
Consequential LCA、将来原単位活用など、研究テーマで開発した評価手法を実装し、今までとは異なる材料代替効果の計算が簡易に確認できるようにしました。
新構造材料技術研究組合(ISMA)とは
新材料の技術開発に向けて
日本における重要な産業である自動車業界において、車体軽量化のための新材料の開発と評価はとても重要なポイントです。ISMAは、⾃動⾞を中⼼とした抜本的な軽量化を⽬指して、NEDOの委託事業として2013年10⽉25⽇に発⾜しています。
新構造材料技術研究組合(Innovative Structural Materials Association:ISMA)は、自動車を中心とした輸送機器の抜本的な軽量化に向けた技術開発の推進を目的として設立された団体です。輸送機器の主要な構造材料である鉄鋼、軽量金属、熱可塑性炭素繊維強化樹脂(CFRTP)等の高強度・高機能化などにかかわる材料開発や、マルチマテリアル構造設計、接合・接着、計測・評価などマルチマテリアル化にかかわる技術開発を⼀体的に推進しています。輸送機器の燃費向上によりエネルギー消費量とCO2排出量を削減し、低炭素社会の実現に貢献するとともに、材料メーカーや輸送機器メーカー、大学や国立研究機関などと協同しながら、わが国の技術的優位性を活かした実⽤化を⽬指します。
ISMA HPより
共通基盤:LCA

ISMAのプロジェクトで共通基盤として定められているのが、「LCA:Life Cycle Assessment」です。LCAによる環境負荷の評価により、材料開発現場において、どのような開発をすれば社会的なインパクトが大きいのか事前に確認することができます。
また、材料代替効果を見える化するためのツールを開発することで、開発側がより簡易で直感的なフィードバックをうけられることを期待しています。
新しい評価手法を見える化するツール開発
新しい評価手法を組み込む
ISMAにおいて特徴的なことは、通常のLCAの評価手法では求めたい結果が得られないことにあります。
- 製品のライフサイクルではなく、材料のライフサイクルを見る必要がある
- 社会全体での評価をする必要がある
- 将来にわたるシナリオを設定する必要がある
- 将来の原単位(ex:再エネ導入率)
- 将来の社会経済シナリオ
- 将来の自動車台数等
そこで、上記のような条件を踏まえ、新しい計算手法を組み込んだツールを開発しました。
また、ConsequentialなLCAを組み込んだリサイクル効果の反映など、既存のLCA手法やツールでは評価が難しい計算も組み込まれています。

ユーザビリティ
また、LCAの評価手法をコミュニケーションに利用することが重要であるため、高いユーザービリティを実現しています。
- インストール不要なクラウドのツール
- ユーザーごと(材料メーカー編・自動車メーカー編)に変更可能な表示
- 直感的な操作と入力
- 非同期通信による計算実行
- 多種多様なグラフによる結果の表示
- セキュリティを踏まえたシステム設計
- 計算前提、計算結果のCSV出力
なお、具体的なツール画面やツール機能が気になる方は、ISMAに直接お問合せいただくか、当社までご連絡ください。