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LCA評価による「アップサイクルシードル」の評価とグリーンウォッシュリスクを低減した情報開示

2050年にカーボンゼロという目標を掲げ、グリーン電力や再エネ設備の導入など様々な取組をされいてるアサヒグループ様。今回はカーボンニュートラルな新商品の開発において、LCAを活用して適切な環境負荷の見える化と情報開示に繋げた事例を紹介します。

お客様情報アサヒビール株式会社
支援内容カーボンニュートラル製品のPoCにおけるアドバイザリー、LCA算定補助・LCA算定レビュー、グリーンウォッシュチェック
ご支援期間3ヶ月

環境価値を付与した「アップサイクルシードル」の開発

木添さんのご部署と役割について教えてください。

一般的なマーケターの部署と研究開発の部門が一緒になったマーケティング本部に所属しています。部署は研究開発企画部門で、主に新商品の開発管理、採用、会議体の運営、R&DのDX、環境価値の創出をしています。
私の役割は特定の商品というよりは、DXや環境価値の創出の部分を担当しています。

今回のリンゴ粕をラベルに使用したアップサイクル商品『ニッカ弘前 生シードル りんごラベル』の開発の背景を教えて下さい。

アサヒグループとして2050年にカーボンゼロという目標を掲げており、会社全体でのCO2排出量の算定は実施されていました。しかし、Scope3に関しては目標を持ってCO2排出量を下げる具体的な取り組み実施されていませんでした。

そこで、弊社シードルのブランドが地域に密着したブランドというところにリニューアルされるタイミングで、環境付加価値商品として相性がいいと考えて今回の開発に繋がりました。

加えて、「カーボンニュートラル」という表現だけでは消費者の方に気づいてもらいにくいため、よりわかりやすく訴求し商品ブランドの価値向上に寄与するように、「リンゴ粕をアップサイクル」したラベルを開発しようとなりました。

LCAの専門家の活用で「算定」と「情報開示」の信頼性が向上

今回の商品開発で難しかった点を教えてください。

そもそも、社内に商品単位の環境負荷の算定をやったことある人が誰もおらず、相談できる人がいませんでした。

今回のシードルをLCA評価するのにも、算定ルールが全くわからなかったので、そこをゼロから一つ一つ把握していくのが大変でした。

また、外部公表に際して、グリーンウォッシュのリスクと社内で情報開示に関する明確な基準がなかったため、自ら情報収集をする必要がありました。

算定にしろ外部公表にしろ、どのレベル感を目指すべきかは国内と海外でもレベル感が異なり、我々では適切な判断が難しいため、外部の専門家への相談は必須になると考えていました。

アサヒビール株式会社 マーケティング本部 イノベーション戦略部 木添 博仁氏

コンサルの選定にあたり重視された点や、その中で弊社を選んで頂いた理由があれば教えて下さい。

重視したのは、製品単位でのCO2排出量算定に関する専門性です。

今回の目的は商品の数値を出すだけではなく、①LCAの算定方法を学ぶこと、②算定後の結果を商品価値に結び付けることであったため、併走しながら商品のLCA及び算定結果の有効的な取扱方法の相談を実施して頂ける会社を探していました。

また、外部公表する際にどのレベル感だったら公表できるのかという判断を国内外問わずできる必要がありました。

今回は運良くゼロックさんに巡り合うことができ、お話しする中で最新の業界動向にも詳しく、LCAの実績も豊富にあったためお願いすることにしました。

ゼロックの支援でLCA算定リテラシー向上と内製化へ

実際に弊社の支援を受けてみて思ったことや感じたことがあれば教えてください。

まず、算定に関しては、自分で算定した数値を第三者であるゼロックさんに検証して頂くことで、算定の信頼度を向上させることができました。
また、算定の方法論やロジックについても相談することができ、次回からの算定に活用できるリテラシーを高めることができたと思います。

あとは、グリーンウォッシュかどうかのチェックとして、こちらがしたい表現や意図を汲み取ったうえで、良い落とし所の表現案のご提案をして頂けたのもすごくありがたかったです。

やはり、この判断全てを我々だけで行うのは現実的ではなく、ここは専門家に相談しないと難しい部分だと思いました。

社内への説明の際にも、専門家のお墨付きをもらっているという事実があることで、意思決定がスムーズになりました。

将来的には環境価値が商品のスペックの一つになる

今回の商品のリリースにあたり、社内外でどのような反響がありましたか?

社外からはリンゴ粕をアップサイクルした「りんごラベル」についての問い合わせがありました。
社内的にはアサヒグループの他部門よりLCAについて、算定方法や情報収集の方法について問い合わせがありました。

最後に他の食料品企業の皆様が同様の取り組みを始める際のアドバイスなどがあればお願いします。

特に我々のような大企業だと、グリーンウォッシュのリスクが非常に高いと思います。

環境価値が売り上げへの影響が小さいことを考慮すると、「それだったら出さない方がいいんじゃないか」と思ってしまうぐらい前例が少ないためグリーンウォッシュリスクが怖いですし、コーポレートコミュニケーション部を始めとした関連部署もリスクとして認識しています。

ですが、今回はゼロックさんのような専門家の支援を受けて、どこまで対応すればリスクが減らせるという、うまいバランスの取り方を見つけることができ、実際にリリースすることができました。

なので、自社だけで考えるのではなく業界の専門家に相談しながら、自社の表現したい内容とグリーンウォッシュの基準の中で良い落とし所を確かめながら進めるというのが非常に大事だと思います。

また、将来的にはCO2排出量が商品のスペックの一つとして評価されるようになると思っています。今後も会社として、環境負荷というスペックをお客様にどう見せていくかを考えていく必要があります。

10月にAmazon.co.jpでテスト販売された『ニッカ弘前 生シードル りんごラベル』

アサヒビール株式会社 ニュースリリース
https://www.asahibeer.co.jp/news/2023/1013.html

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