
松井 大輔
(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応
要約
- 2026年度料金規程では、料金の仕組みとデータ登録料の導入が公表された
- 改定後は、サイト数や製品のまとめ方が費用構造に反映されやすくなった
- 実務上は、申請前の製品整理とデータ収集の進め方が費用差を左右する
概要:SuMPO EPD料金改定で何が変わったのか
2026年4月1日、SuMPO環境ラベルプログラム事務局は、2026年度の料金規程を公表しました。今回の改定では、EPDの基本検証料が1件30万円に整理される一方で、データ登録料が新設されています。さらに、サイト数の追加、準拠規格の追加、Core-PCRの利用、グループ製品EPD、その他の条件に応じた追加料金も整理されました。
つまり今回の改定は、「一律に高くなった」とみるよりも、案件ごとの違いが料金に出やすくなった改定と捉える方が実態に近いです。単純に1製品だけを申請する場合は料金の考え方がわかりやすくなった一方で、複数の工場や複数製品を含む場合は、どのように申請するかによって費用に差が出やすくなりました。
| 構成要素 | 内容・項目 | コストの性質 |
|---|---|---|
| ① 基本検証料 | 1件30万円 | 基本単価は固定(ただし、追加料金や検証負荷増により最終額は増額の可能性あり) |
| ② 変動・追加費用 | ・サイト数(工場数)の追加 ・準拠規格の追加 ・Core-PCRの利用 ・業界製品EPD/グループ製品EPDの適用 ・その他の条件(部品点数の多さ、工程の複雑性、IDEA以外のLCI DB、LIME以外の特性化モデル等) | 申請内容によって変動(事前の整理が重要) |
| ③ 登録料 | ・1〜10件:2.5万円/件 ・11〜50件:1.0万円/件 ・51件以上:0.5万円/件 ・2026年度は81件目以降無料 | 登録件数が多いほど1件あたりの費用は下がる(年度内の計画が重要) |
背景:単なる値上げではなく、料金の決まり方が変わった
SuMPOは説明会で、近年のEPD需要の拡大を受け、法規制の動きや国際的な要請を踏まえながら、検証品質の向上や独立性の確保、検証の進め方の見直しを進めてきたと説明しています。。そのうえで、2026年度料金の見直し項目として、実際の手間に合わせた検証料の見直しと、デジタルEPDの導入準備に伴う登録料の新設を挙げています。
これまでの料金の仕組みでは、検証料はフロー数に応じて段階的に決まる形が基本でした。今回の改定では、基本検証料を30万円としたうえで、対象となるサイト数や複数製品の扱い、使う規格やデータベースの条件などに応じて、追加料金がかかる形に変わっています。言い換えると、その案件でどこに手間がかかるのかが、以前より料金に表れやすくなったということです。
海外のEPDプログラムでも、件数や運用の手間を価格に織り込む考え方は珍しくありません。たとえばInternational EPD Systemでは、登録料は年間の登録件数に応じて段階的に下がる仕組みで、1件目は1,000ユーロ、2〜4件目は500ユーロ、5〜99件目は100ユーロ、100件目以降は50ユーロとなっています。加えて、同制度では年会費も別に必要で、2026年にはその年会費が3%改定されています。
こうして見ると、SuMPOの今回の改定は、海外制度に急に合わせたというより、国内でも案件の複雑さや登録件数を、これまで以上に料金へ反映する方向に進んだと捉える方が自然です。単なるラベル発行の費用ではなく、検証とデータ管理の両方を支える仕組みに近づいてきたと考えると、理解しやすいと思います。
コンサルタントによる解説
実務で本当に重要なのは、SuMPOが高くなったか安くなったかだけではありません。大事なのは、自社の案件がどの料金の区分に当てはまるのかを、申請前にどこまで整理できるかです。
主力製品が複数ある場合でも、それらを類似製品としてまとめられるのか、グループ製品EPDとして扱うのか、あるいは個別に申請するのかによって、かかる費用は大きく変わります。さらに、一次データをどの工場・サイトから取るか、どの規格に合わせるか、どのデータベースを使うかによっても、最終的な費用は変わります。
今回の改定は、EPD取得のハードルが一律に上がったというより、事前の整理の良し悪しが、そのまま費用差に表れやすくなった改定です。
1製品だけのEPDであれば費用の見通しは立てやすくなりましたが、複数製品や複数サイトが関わる場合は、製品のまとめ方やデータの集め方の整理が不十分だと、想定以上に費用がかかる可能性があります。逆に、類似製品としての整理や一次データの集め方をうまく考えられれば、費用を抑えながら登録件数を増やすことも可能です。
その意味で、今回の料金改定を受けて企業がまず考えるべきなのは、「何件取るか」より先に、自社製品をどの単位でまとめ、どの条件で申請するのが最も無理のない形かという点です。
料金表だけを見て判断するのではなく、製品どうしの共通点、工場の構成、使うデータベース、将来の更新計画まで含めて事前に整理することが、結果的にいちばん無駄のない進め方になります。今回のSuMPO料金改定は、そうした判断の重要性がこれまで以上に高まる内容になったといえそうです。












