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ニュース解説

令和8年度建築GX・DX推進事業が公表

公開日 2026.04.07 最終更新日 2026.04.07

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • 国土交通省が「令和8年度 建築GX・DX推進事業 募集要領」を公表
  • 建築物のLCCO2評価によるGXとBIM活用によるDXを一体的に支援
  • 令和7年度版に比べて、LCCO2評価の位置づけが明確化、BIM図面審査に対応、住宅立地要件が厳格化

概要

国土交通省は2026年4月7日、「令和8年度 建築GX・DX推進事業」が開始されました。本事業は、建築物LCCO2評価の実施によるLCCO2削減の推進(GX)と、建築BIMの普及拡大による生産性向上の推進(DX)を一体的・総合的に支援するものです。

一定の要件を満たす建築プロジェクトを対象に、複数事業者が連携して行う建築BIMデータの作成や、建築物LCCO2評価にかかる費用について、国が民間事業者等に補助を行います。

支援対象

本事業の補助対象は、大きく「BIM活用型」と「LCCO2評価実施型」の2つに分かれています。

主な対象者支援内容補助経費
BIM活用型元請事業者、下請事業者複数事業者が連携してBIMを活用する建築プロジェクトを支援設計費および建設工事費
LCCO2評価実施型発注者、設計・施工事業者建設物のLCCO2評価の実施を支援LCCO2評価費

また、LCCO2評価に加えて、建材や設備に関するCO2原単位等の策定を行う場合には、その関連費用も対象になります。募集要領では、EPD、CFP、PCR、PCR以外のCO2原単位算定ルールなどが例示されており、建築物単体の評価だけでなく、その前提となるデータ整備まで支援の射程に含まれている点が特徴です。

補助限度額

BIM活用型

上記対象経費の1/2が補助されます。ただし、建築物の延床面積に応じた限度額が設定されています。

述べ面積設計費設計工事費
10,000 m2未満25,000千円40,000千円
10,000 m2以上30,000m2未満30,000千円50,000千円
30,000 m2以上35,000千円55,000千円

LCA実施型

上記対象経費が上限額以内で定額補助されます。

  • BIMモデルを作成せずにLCA算定を実施する場合:上限650万円
  • BIMモデルを作成した上でLCA算定を実施する場合:上限500万円

※あわせてCO2原単位を算定する場合の上限額は、策定した一のCO2原単位等につき400万円を加算した額が上限(事業者あたり、加算可能額は上限1000万円まで)

令和7年度版から何が変わったのか

令和8年度案では、制度の骨格は維持しつつ、重点がより明確になりました。特に注目したいのは、「建築物LCCO2評価」の明確化、BIM図面審査の追加、住宅立地要件の具体化の3点です。

  • LCAからLCCO2評価へ

令和8年度案では、制度文言が「LCA」から「LCCO2評価」へ改められており、少なくとも本制度では、広い意味でのLCAよりもライフサイクル全体のCO2評価を前面に出しています。

  • 住宅の立地要件が具体化

BIMの活用方法として、新たに「BIM図面審査における活用」が明記されました。BIMが設計・施工の効率化だけでなく、審査対応にも広がっていく流れがうかがえます。

  • 住宅の立地要件が具体化

住宅については、補助対象外となる区域や条件がより具体的に示されました。補助活用を検討する際には、計画初期の段階で立地条件を確認する重要性がこれまで以上に高まっています。

また、令和8年度案ではLCCO2評価実施型について、算定する建築物の用途が限定されなくなりました。あわせて、増改築や修繕等を行う場合には、既存部分を含む建築物全体だけでなく、工事を行う部分のみを算定する場合も対象とされています。

これにより、従来よりも部分改修案件やテナント店舗のような案件で活用しやすくなったといえます。

コンサルタントによる解説

今回の令和8年度案は、補助金制度としての枠組みを大きく変えるものではありませんが、建築分野で何を優先的に進めていくのかをより明確に示した内容といえます。特に、LCCO2評価の明確化、BIM図面審査の明記、住宅の立地要件の具体化は、今後の実務の方向性を考えるうえで重要です。

加えて今回の制度は、国の支援対象が設備導入だけでなく、評価、算定、データ整備といった基盤づくりにまで広がっていることを示しています。今後は建築分野に限らず、LCAやCFP、EPDといった環境負荷の算定・開示対応そのものに対する支援が広がっていく可能性もあります。

自社の案件や業務フローの中でLCCO2評価やBIM活用をどこまで実装できるかに加え、社内で継続的に運用できる算定・データ整備の仕組みを今のうちから整えておくことが重要になるでしょう。

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参考文献

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