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ニュース解説

再生プラ25%時代へ、EU新ELV規則が自動車部品・素材メーカーに与える影響

公開日 2026.09.15 最終更新日 2026.09.15

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • EUの新ELV規則が発効され、2028年9月から原則として適用される
  • 新型車の再生プラ比率は2032年に15%、2036年に25%が求められる
  • 日本の素材・部品メーカーも、再生材の由来と環境負荷を説明する備えが必要となる

概要:新型車に再生プラ15~25%

EUの新ELV(使用済み自動車)規則が、2026年8月13日に発効されました。原則的な適用開始は2028年9月1日ですが、再生材の使用義務などは段階的に導入されます。

注目点は、新型の乗用車・小型商用車に含まれるプラスチックの再生材比率です。2032年9月1日以降に型式認証を受ける新型車では、車両に使用される対象プラスチックの総重量のうち最低15%を使用後廃棄物由来の再生プラスチックとする必要があります。この割合は2036年9月1日以降、最低25%に引き上げられます。15%・25%の分母は車両全体の重量ではなく、規則の算定対象となるプラスチックの総重量です。
さらに、この15%(または25%)という最低再生材目標量のうち、少なくとも20%は、廃車または車両の使用段階で取り外された部品・コンポーネントをリサイクルしたプラスチックで確保する必要があります。
例えば、対象プラスチックが100 kgの場合、2032年から2036年までの間は最低15 kgを再生プラスチックとし、そのうち最低3 kgを廃車等由来とする必要があります。

鉄鋼・アルミニウムについても再生材比率の目標を定める枠組みが設けられていますが、具体的な比率は今後の委任法令で定められます。

時期規則の実施内容想定される対応
2026年8月13日新ELV規則の発効欧州向け対象製品(車両・部品)の確認
2028年9月1日規則の一般適用開始(材料・部品の識別表示義務等)(再生材比率などは段階導入)適用される義務への対応状況を点検、由来証明の整備
2032年9月1日以降新たに型式認定を受ける新型車:再生プラ比率 15%~再生プラ15%を満たす材料の調達・品質評価・由来証明の確保
2033年8月14日までに鉄鋼・アルミの再生材比率義務の開始(比率・開始日は委任法令で規定)委任法令で定まる鉄鋼・アルミの再生材比率に合わせ、調達仕様を見直し
2036年9月1日以降新たに型式認定を受ける新型車:再生プラ比率 25%~再生プラ25%への引上げに向け、材料配合・部品設計を見直し

この表は2026年9月9日時点の規則に基づきます。
対応内容は当社の提案です。各要件の適用に間に合うよう、調達先との調整や材料評価などを事前に進める必要があります。
再生プラスチックの算定・検証方法は実施法令で具体化されます。材料の対象範囲や例外、個別の適用時期は規則本文を確認してください。

背景:廃車の資源を新車へ循環

今回の規則は、廃車処理だけでなく、設計・製造から回収、再利用、再資源化までを一体で見直すものです。背景には、車両の高機能化に伴って電子機器やプラスチックなどの材料が増える一方、使用後の資源を十分に回収できていないという課題があります。

欧州委員会は、欧州で毎年約1,000万~1,200万台が寿命を迎えるのに対し、処理が報告されるのは約600万~700万台と説明しています。こうした資源の損失を減らすことは、原材料の輸入依存を抑える狙いにもつながります。

再生材を「回収する側」の仕組みと、新車に「使う側」の需要を同時に整えることで、品質の高い再生材が継続して流通する市場を育てようとしています。

コンサルタントによる解説

新ELV規則では、主に再生材の使用やその由来に関する要件が定められています。そのため、まずは部品別の樹脂量、再生材比率、廃棄物の由来を調達先と確認し、それぞれの情報を証明資料とひも付けて管理しておくことを勧めます。国内でも豊田合成は、廃車由来の再生プラスチックを自動車内装部品に実用化しています。

一方で、新ELV規則そのものがLCA・CFPの算定や提出を直接義務付けているわけではありません。ただし、再生材への切替によって実際に環境負荷が低減するかを確認するうえでは、LCAが有効な評価手法となります。ISO 14040・14044に沿って同じ機能と評価範囲をそろえ、回収・選別・再加工・輸送などの負荷も含めて比較することが重要です。「再生材だからCO₂が減る」と一律に判断するのではなく、ライフサイクル全体で評価する必要があります。

今後は欧州向け車両の調達を通じ、日本の素材・部品メーカーにも、再生材の由来を示す情報に加え、環境負荷を評価するためのLCA・CFPデータの提供を求める動きが広がることも想定されます。

EU規則が日本国内にそのまま適用されるわけではありませんが、欧州向けの車両や部品のサプライチェーンに関わる企業では、国内制度の動向を待つだけでなく、取引先からの情報提供要請を見据えて準備を進めておくことが重要です。

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参考文献

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