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ニュース解説

EU、恒久的炭素除去の統一認証基準「CRCF」の委任規則を採択

公開日 2026.03.19 最終更新日 2026.03.23

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • EUが、恒久的炭素除去に関する初の統一認証基準「CRCF」の委任規則を正式採択
  • 対象は、「DACCS」「BioCCS」「バイオ炭による炭素除去」の3手法
  • 欧州向け事業を展開している日本企業は、中長期的に影響を受ける可能性

制度設計から実装へ:欧州の炭素除去が動き出す

欧州委員会は、2026年2月3日、恒久的炭素除去プロジェクトの認証に関する初の委任規則を採択しました。

CRCF(Carbon Removals and Carbon Farming Regulation, 炭素除去および炭素農業)制度は、恒久的炭素除去技術、カーボンファーミング、バイオ由来建築製品への炭素貯留の3つを対象にした、EUの自主認証の枠組みです。製品単位ではなく、プロジェクトや事業単位で、実質的に炭素除去に寄与していることの認証を受けるものです。

今回の委任規則での対象は、恒久的炭素除去技術を利用して行われるプロジェクトであり、カーボンファーミングと建築製品への炭素貯留については対象外です。

対象となる技術は、具体的には①DACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage, 直接空気回収・貯留)、②BioCCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage, バイオ由来排出の回収・貯留)、③バイオ炭(biochar)による炭素除去の3手法で、炭素除去の算定方法、貯留した炭素を永続的に貯留し続ける方法、回収・貯留した炭素の漏出リスクやその責任問題への対応などについて、認証ルールを具体的に示しています。

今回の委任規則の発効後は、自主認証の動きが本格化することになります。なお、この採択内容は、異議が出なければ2026年4月上旬に官報に掲載され、その20日後に発効する見込みです。

CRCF認証の実務ルールの輪郭が形成

今回の採択は、2024年に成立したCRCF規則を実運用するためのルール策定の動きの一部です。

2025年11月には、認証スキームや監査ルール等を定める実施規則も整備されました。

委任規則の発効後は、認証スキームが欧州委員会に認定申請できるようになります。また、認証されたプロジェクトの情報は、移行期間中は各スキームの登録簿で管理され、2028年までにEU共通レジストリへ集約される予定です。

さらに欧州委員会は、2026年中にカーボンファーミングと建築製品への炭素貯留に関する追加の委任規則の策定も予定しており、今回の委任規則の採択は市場全体の制度化の第一弾と位置づけられます。

コンサルタントによる解説

今回のポイントは、EUがCRCF規則のもとで、どのプロジェクトをどんな条件で認証対象にするかを具体化し始めた点にあります。

任意参加の制度ではありますが、今後は恒久的炭素除去を対外的に訴求する企業ほど、こうした認証制度の利用も視野に入れていく必要がありそうです。

特に、炭素除去クレジットの活用、脱炭素戦略への組み込み、投資家や取引先を含む外部への環境情報開示では、認証の有無が問われる可能性があります。

日本企業にとっても、現時点では直ちに法的義務が生じるわけではありませんが、欧州向け事業や環境価値の訴求を行う場面では、今回の動向の影響を受ける可能性があります。

CRCF制度の利用を考える場合には、自社の取り組みが認証対象になり得るのか、また主張の根拠をどこまで整備できるのかを見極めておくことが重要です。

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