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専門家コラム

環境・省エネに資するCO2等の排出量削減の可視化「J―クレジット」とGXリーグにおける活用機会への期待

公開日 2024.12.20 最終更新日 2025.01.16

西山 博

株式会社
インプラット

「大切なものは目に見えない」星の王子さまの著者 サン=テグジュペリの言葉。

脱炭素社会の実現に向けて、CO2等の排出量削減が、企業価値を左右する市場環境へ急速に舵が切られる中、我が国ではCO2等の削減量を可視化する「J―クレジット」制度への参加が注目を集めています。

J-クレジット制度

J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。

東京証券取引所は、取引所として日本のカーボンプライシングへの貢献の観点から、2023年10月11日に正式にカーボン・クレジット市場を開設しました。

また、J-クレジットに加え、GXリーグの排出量取引(GX-ETS)における超過削減枠も売買の対象に追加され運営が行われています。

住宅分野においては、省エネルギー住宅「ゼロ・エネルギー・ハウス (ZEHゼッチ)」の普及拡大を見据え、当社では2020年から取り組みを開始しました。また、賃貸住宅大手の大東建託株式会社が2022年1月に認証を取得し、住宅業界初の取り組みとして現在も運用を継続しています。削減したCO2は、企業活動で排出するCO2と、削減したJ―クレジットで相殺するオフセットで、環境価値をアピールしています。

<オフセット事例 出典:大東建託HP> J-クレジット事業 | 土地活用のことなら – 大東建託

炭素削減と金融政策

我が国でも炭素税の一部導入が2028年に予定されています。炭素排出が企業コストへ重く圧し掛かることを意味しており、12月12日のカーボン・クレジット市場での再エネ(電力)取引価格は、5,900円/tで、2022年加重平均取引額2,953円/tと比べ約2倍となっています。この数字からも、2年前と現在では調達コストが2倍に増えていることが伺えます。

(カーボン・クレジット市場日報→ カーボン・クレジット市場日報 | 日本取引所グループ

金融面ではGX基本方針の推進策のもと、GI基金が2兆7500億円規模に拡大しています。2026年には欧米諸国と同様に、日本の銀行にも座礁資産への融資開示が課せられる流れとなっております。

その背景には、脱炭素社会への移行や自然災害の増加の影響により、融資先の事業縮小を通じて銀行の損失につながりかねないリスクがあると考えられているからです。

あらかじめ業種別の融資額や融資先の温暖化ガス排出量を開示することで、潜在的なリスクを可視化し、円滑な移行への支援を促すものです。

GX基本方針の道筋

GX基本方針とは、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことです。国が長期(向こう10年)にわたるコミットメントと予算総額150兆円を示すと同時に、規制・制度的措置の見通しを示すべく、22分野において「道行き」を提示しました。以下に、その概要と予算配分をまとめてみました。

分野・部門内容国内排出削減目標予算
くらしの分野住宅、非住宅の環境省エネ向上(窓・断熱改修)約2億トン14兆円
自動車の部門多様性のある燃料、蓄電池の活用約2億トン34兆円
航空機の部門SAFの活用や新技術の導入約1.7億トン4兆円
半導体の部門最重要戦略物資の支援約1.2千トン12兆円
地熱の分野次世代型地熱電池の導入目標の策定約700万トン31兆円
次世代再エネペロブスカイト太陽電池の導入約2,000万トン31兆円
※上記詳細は、内閣官房GX実行推進室資料をご覧ください。

まとめ

各産業分野でのカーボンニュートラル施策が具体化してくる中、炭素排出量が企業コストへ重く圧し掛かる市場へと移行していくことが予想されます。

今、できることは専門知識と実績を持った企業とパートナーシップを築き、時間をかけて少しずつ実行していく事が賢明かと存じます。

「百聞は一見に如かず」

著者紹介

企業紹介

株式会社インプラット 代表取締役社長 西山 博

経歴

・大学を卒業しサッカーのプロを目指すも断念。

・設計事務所に18年、住宅の品質確保から非住宅建築物の環境省エネに従事。

 ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)、建築物の環境評価CASBEE などの省エネ計算・申請業務を行う。

・省エネ実務者セミナー講師:スーパーゼネコン・大手設計事務所・中小企業・自治体など。

・建築業界での環境価値創造に取り組む為 CO2排出削減を可視化する「Jークレジット」を中心に、住宅・非住宅建築の地球温暖化対策のサポートを行っております。

モットー

「安全・安心・快適」な建築物を通じ、脱炭素化社会に取り組みCOPにて削減したCO2実績発表を行うこと。

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