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2027年初回申告へ、CBAM検証準備がいよいよ開始

公開日 2026.09.15 最終更新日 2026.09.15

松井 大輔

(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応

要約

  • 2026年9月から、認定済みCBAM検証機関の登録と初回検証が始まった。
  • 2026年分を実測値で申告する場合、第三者検証を経た排出量データが必要になる。
  • 初回申告期限は2027年9月30日で、実測値を使う企業は年内から準備を進めたい。

概要:CBAM検証が始動、実測値を使う企業は今から動く

欧州委員会は、2026年9月から、認定を受けたCBAM検証機関がCBAM 登録簿へ登録し、第三国の製造拠点に対する初回検証を開始できるスケジュールを示しています。CBAMの年次申告では、欧州委員会が定めるデフォルト値または実測値を使用できますが、実測値を用いる場合は認定検証機関による第三者検証が必要です。

2026年輸入分の初回申告期限は2027年9月30日です。ただし、欧州委員会の検証ガイダンスは、検証機関側の業務集中を避け、データ不備を早期に修正するため、報告年の途中から検証プロセスを始めることを推奨しています。2026年分を実測値で申告する予定の企業は、年明けを待たず、検証機関の選定やモニタリングプランの確認を進めることが重要です。

背景:「実測値」と「デフォルト値」を選択して申告する

CBAMは、EU域外から輸入される鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素などの対象品について、生産時の体化排出量に応じた炭素価格を求める制度です。2026年1月に本格実施期間へ移行し、EUの認可CBAM申告者は毎年、前年の輸入量と体化排出量を申告します。

本格実施期間の申告ではデフォルト値または実測値を用いる仕組みが整理され、第三者検証は実測値を使用する場合に限って必要であることが明確化されました。さらに、欧州委員会が2026年8月24日に公表した検証ガイダンスでは、検証の起点となるモニタリングプランや、計測データ、請求書、生産記録、前駆体データ、データ保存方法などの確認事項が具体化されています。

コンサルタントによる解説

2026年分を実測値で申告する企業は、今から検証機関候補へ相談し、1月以降のデータを遡って確認できる状態を整えるべきです。システム境界、燃料・電力・生産量の根拠資料、前駆体データなどを早めに点検すると、検証時の手戻りを抑えやすくなります。

一方、2026年分をデフォルト値で申告する企業は、今年の第三者検証を急ぐ必要はありません。ただし、2027年以降に実測値へ切り替えるなら、年内に認定検証機関の動向を確認し、実測値とのコスト差を試算し、翌年1月から運用できる体制を整えることを推奨します。

今後は検証実績が蓄積し、必要な算定根拠や審査実務も具体化すると考えられます。CBAMの実測値検証で求められるデータは、一般的なLCA・CFPデータと算定境界や要求事項の厳しさが全く異なるため、既存データを転用できない可能性が高いです。EU顧客への実測値提供を考えている場合は、他社動向や検証事例を注視し、自社の方針やタイムスケジュールを早めに検討することをおすすめします。

2026年の方針第三者検証今すぐ進めること2027年に向けた考え方
実測値で申告必要・検証機関への早期相談
・施設境界、モニタリングを確認
・燃料・電力・生産量等を整理
・年内に検証準備を開始
・年間データ確定後に最終検証
デフォルト値で申告不要・実測値とのコスト差を試算
・将来の切替方針を検討
・検証員や他社の動向を確認
・翌年からのデータ収集体制を準備

なお、当社では、現時点において実測値を用いた申告を積極的には推奨していません。実測値を使用する場合、排出量データや証憑の整備に加え、認定検証人による第三者検証が必要となるため、算定・検証に相応の工数と費用が発生します。

現在の制度やコスト水準を踏まえると、多くのケースでは、実測値を算定して第三者検証を受けるよりも、デフォルト値を使用する方が総合的な負担を明らかに抑えられます。

ただし、今後、デフォルト値やマークアップ、検証費用などの条件が変更されれば、実測値を使用する方が有利になる可能性もあります。2027年以降については、その時点の制度やコストを踏まえ、改めて最適な申告方法を判断することが重要です。

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