
松井 大輔
(監修者経歴)
東京大学 醍醐研究室卒業、株式会社ゼロック 代表取締役、東京大学 先端学際工学専攻 博士課程、EPD検証員、省庁事業や上場企業のLCA関連コンサルティング業務等幅広く対応
本記事では、欧州委員会(European Commission)が公表しているCBAMに関する公式Q&Aについて、本格実施期間に対応した内容を日本語訳として整理しています。
当社では、CBAMの移行期間においても欧州委員会の公式Q&Aの日本語訳を掲載してきましたが、2026年からの本格実施に伴い、制度上の義務や手続、申告、CBAM証書、排出量の算定・検証など、実務上確認すべき内容も大きく変化しています。そこで今回は、本格実施期間に対応した公式Q&Aをあらためて日本語で整理しました。
原文はEU法令やCBAM特有の専門用語を多く含み、日本語へ直訳すると意味が伝わりにくい箇所や、自然な日本語に置き換えることが難しい表現もあります。本記事では、できる限り原文の意味を損なわないことを優先して翻訳しているため、一部に日本語としてやや不自然な表現が含まれる場合があります。解釈に迷う場合や実際の対応に用いる場合には、必ず欧州委員会が公表する英語原文も併せてご確認ください。
また、欧州委員会のQ&Aは制度の運用状況や関連規則・ガイダンスの公表に応じて追加・修正されることがあります。本記事についても、公式Q&Aの更新を確認しながら、必要に応じて内容を随時更新していく予定です。
なお、本記事は公式Q&Aの理解を補助することを目的とした参考訳であり、欧州委員会による公式な日本語訳ではありません。
CBAM規則全般に関するQ&A(2026年05月27日公表)
一般事項に関するQ&A(Q1.1~Q1.21)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q1.1. CBAM対象製品の輸入者は、どのような義務を遵守しなければならないか | 2026年1月1日以降、CBAM対象製品をEU関税地域に輸入する輸入者は、認可CBAM申告者でなければならない。そのため、輸入者は、自らが設立されている加盟国の国家所管当局(NCA)に連絡し、認可を申請しなければならない。国家所管当局の一覧は公表されている( CBAM所管当局のリスト)。 ただし、水素及び電力以外のCBAM対象製品について、年間の単一質量基準値(50トン)未満を輸入する輸入者は、認可を受ける必要はない。EUに水素又は電力を輸入する輸入者は、常に認可CBAM申告者でなければならない。 認可を受けた認可CBAM申告者は、CBAM登録簿にアクセスし、そこでCBAM上の義務を履行することができる。 年間基準値を超えるCBAM対象製品を輸入する認可CBAM申告者は、次のCBAM上の義務を履行しなければならない。 ・輸入年の翌年9月30日までに、前年にEUへ輸入したCBAM対象製品の体化排出量に関する詳細情報を含むCBAM申告書を提出すること。したがって、2026年輸入分については、2027年9月30日が最初の提出期限となる。 ・同日までに、年次CBAM申告書で申告した体化排出量に相当する数のCBAM証書を償却すること。したがって、2026年輸入分については、2027年9月30日が最初の償却期限となる。 申告書の提出及び正しい数のCBAM証書の償却を行った後、認可CBAM申告者は、CBAM登録簿の自己の口座に残っているCBAM証書の一部について、買戻しを受けることができる。 2027年以降、認可CBAM申告者は、輸入したCBAM対象製品が年間基準値を超えた場合、当該年の初めからEUへ輸入したCBAM対象製品の体化排出量の少なくとも50%に相当する一定数のCBAM証書を、各暦四半期に購入しなければならない。 CBAM証書の販売は2027年2月1日に開始される。同日以降、認可CBAM申告者は、2026年分及び2027年以降にEUへ輸入したCBAM対象製品の体化排出量に相当するCBAM証書を購入できる。 |
| Q1.2. CBAMの実施は現在どの段階にあるか | CBAMは、2026年1月1日付で本格適用段階に入りました。CBAMは2023年5月10日付の規則(EU)2023/956によって創設され、2023年10月から2025年12月まで移行期間として適用された。移行期間中、CBAM申告者に求められたのは、EU市場に投入されたCBAM対象製品の内包温室効果ガス排出量を四半期ごとに報告することのみであり、金銭的義務はなかった。 この移行段階は、すべての関係者が本制度を理解するうえで極めて重要であった。移行期間から得られた知見は、欧州委員会が2025年2月26日に採択した簡素化パッケージに反映された。2025年10月8日付の規則(EU)2025/2083は、2026年1月1日以降の本格適用に適合するよう、CBAMを簡素化し、強化した。また、移行期間は、欧州委員会及び加盟国の国家当局がCBAMの全面適用開始に向けて準備するうえでも重要であった。欧州委員会は2025年12月、見直し報告書及びCBAM改正のための立法提案を含む包括的なCBAMパッケージを採択した。 |
| Q1.3. CBAMはどのように機能するか | 炭素国境調整メカニズムは、EU排出量取引制度(ETS)を反映し、補完するよう設計されている。EU域内市場へ輸入される一定の製品に内包される排出量に対し、EUの生産者がETSの下で負担する水準と同等の価格を付す制度である。 CBAMは、EU ETSを反映し、補完するため、次のように設計されている。 ・2026年1月1日以降に発生するCBAM上の金銭的調整は、第三国又は第三地域を原産としEUへ輸入される製品に内包される温室効果ガス排出量に基づいて算定される。その算定方法は、同一製品をEU域内で生産する場合のEU ETS上の排出量報告と整合するものである。 ・2027年2月以降、EUの輸入者は、当該製品がEUの炭素価格制度の下で生産されていたならば支払われたであろう炭素価格に相当するCBAM証書を購入しなければならない。 ・輸入CBAM対象製品の体化排出量について最初に申告する対象期間は2026年である。ある年「n」の年次CBAM申告書の提出期限はn+1年9月30日である。当該排出量は、償却すべきCBAM証書の数に換算される。この数から、無償割当調整(EU ETSの下で事業者に付与される無償割当に相当するもの)及び輸入製品の生産に伴う体化排出量について第三国で実際に支払われた炭素価格の2要素が差し引かれる。 CBAMは、EU域外国の生産者に生産工程の環境負荷低減を促し、第三国に炭素価格制度の導入を促すとともに、カーボンリーケージのリスク低減に寄与する。 CBAMは、世界貿易機関(WTO)の規則を含むEUの国際的な約束及び義務に適合するよう設計されている。 企業及び他国に法的確実性と安定性を与えるため、CBAMは段階的に導入されている。現在は、カーボンリーケージのリスクが高いセクターのうち、鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、水素及び電力の特定製品にのみ適用される。 |
| Q1.4. CBAMはEU排出量取引システム(ETS)とどのように関係するか | EU排出量取引制度(ETS)は、世界初の国際的な排出量取引制度であり、気候変動対策におけるEUの中核政策である。発電及び大規模産業施設から排出できる温室効果ガスの総量に上限を設けます。排出枠はETS取引市場で購入する必要があるが、カーボンリーケージを防止するため、一定数の排出枠が産業セクターに無償で割り当てられます。脱炭素化の促進を強化するため、無償割当の削減に合わせてCBAMが段階的に導入されている。EU ETSでは、すべてのセクターにおいて無償割当の数が時間とともに減少する。CBAM対象セクターでは、EUの意欲的な気候目標の達成に向けてETSの効果を最大化するため、2026年から削減が加速する。同時に、EU ETSの下でEU生産者に付与される無償割当の段階的廃止と並行して、CBAM上の金銭的調整も段階的な日程に従って導入される。 CBAMは、EUへ輸入されるCBAM対象製品の体化排出量に対応する証書制度に基づいている。CBAMは「キャップ・アンド・トレード」制度ではないため、必要な範囲でETSとは一部異なる。ただし、CBAM証書の価格はETS排出枠価格を反映する。 2026年1月1日以降に輸入者に課されるCBAM上の金銭的調整は、改正後のEU ETS、特にCBAM対象セクターにおける利用可能な無償割当の削減を反映して調整される。すなわち、CBAM上の金銭的調整は、当該セクターについてETSの下で割り当てられる無償割当の削減を考慮して算定される。簡潔に言えば、CBAM対象セクターのEU ETS無償割当が2034年に完全廃止されるまで、CBAMは、EU ETSの下で無償割当の恩恵を受けない排出量の割合にのみ適用される。これにより、輸入者はEU生産者と比較して公平に取り扱われます。 |
| Q1.5. 第三国ですでに支払われた炭素価格は、どのように考慮されるのか | CBAMでは、第三国で実際に支払われた炭素価格が考慮され、義務額から控除される。CBAM規則に定められたこの原則は、制度の公平性を確保するものである。すなわち、CBAMで申告した排出量について炭素価格がすでに支払われている場合、二重に支払うべきではない。 控除の対象は、主として、体化排出量に明示的に課される炭素税及び排出量取引制度における排出枠などの遵守制度である。炭素価格は、還付又は補償を受けていないという意味で、実際に支払われていなければならない。例えば、ETSの下で無償割当が付与されている場合又は炭素税の免除がある場合がこれに該当する。 欧州委員会は、この控除を可能にする規則を2026年に採択する実施法令で定める。これには、必要な証拠の種類及び当該証拠を独立した者がどのように認証すべきかが含まれる。また、炭素価格制度の下で一定の排出量について支払われた炭素価格を、申告対象となるCBAM対象製品の体化排出量にどのように帰属させるかも明確にされる。 欧州委員会は採択前に、実施法令案に基づき、すべての利害関係者と協議する。これにより、各法域で適用される炭素価格制度の多様な設計を十分に考慮し、2027年9月が期限となる最初のCBAM申告に間に合うよう規則を採択する。当該法令には、CBAM申告者及び第三国の事業者を支援するためのガイダンス資料が併せて提供される。 直近のCBAM規則改正で導入された簡素化に基づき、欧州委員会は、炭素価格制度が適用される国ごとの「デフォルト炭素価格」も提供する予定である。デフォルト炭素価格は、体化排出量の算定におけるデフォルト値と同様に機能する。申告者は、欧州委員会のデフォルト炭素価格を利用するか、認証された証拠に基づき実際に支払った炭素価格の控除を請求するかを選択できる。欧州委員会は、これらの値を可能な限り早期に提供し、2027年9月期限の申告においてCBAM登録簿上で直接利用できるようにする方法を検討している。 |
| Q1.6. CBAMは、すべての生産者が公平に取り扱われるよう、どのように保証しているか | CBAMは、特に次の4つの制度設計により、輸入製品がEU製品より「不利でない待遇」を受けることを確保している。 ・CBAMは体化排出量の「実測値」を考慮するため、EU向け輸出企業による脱炭素化の取組は、CBAM支払額の低下につながる。 ・ EU生産者に付与される無償割当は、CBAM上の金銭的調整から差し引かれる。 ・二重の価格負担を避けるため、EU域外で実際に支払われた炭素価格は調整額から控除される。 ・CBAM対象製品の輸入に際して購入するCBAM証書の価格は、EU排出量取引制度(EU ETS)の下でEU生産者が負担する価格と同一であり、CBAM専用ウェブサイトで四半期ごとに公表される。 |
| Q1.7. 新制度はどのセクターを対象とし、なぜそれらが選定されたのか | CBAMは、次のセクターの製品の輸入に適用される。 ・ セメント ・ 鉄鋼 ・ アルミニウム ・ 肥料 ・ 水素 ・ 電力 これらのセクターは、特にカーボンリーケージのリスク及び排出強度が高いという基準に基づいて選定された。CBAMが完全に段階導入された時点では、これらのセクターはETS対象セクターの排出量の50%超を占めることになる。将来、CBAMは他のETS対象セクターに拡大される可能性がある。 |
| Q1.8. CBAMは、マヨットやレユニオンなどEUの最外農地域で生産された製品に適用されるか | CBAM規則は、第三国を原産とし、EU関税地域へ輸入されるCBAM対象製品にのみ適用される。EU関税地域を構成する領域の一覧は、欧州連合関税法典(規則(EU)No 952/2013)第4条に定められている。レユニオン、マヨット、グアドループ及びマルティニークを含むEUの最外縁地域はEU関税地域の一部であるため、これらの領域で生産された製品にはCBAM規則は適用されない。 EU関税地域に含まれない海外の国及び領域(例:ニューカレドニア)は、CBAM上「第三国」とみなされる。これらの国及び領域を原産とする製品は第三国原産となるため、CBAM規則が適用される。 |
| Q1.9. CBAMの対象となる第三国はどこか | CBAMは、原産国にかかわらず、一定の製品に適用される。 唯一の例外は、EU ETSに参加している第三国、すなわち欧州経済領域(EEA)の非EU加盟国であるアイスランド、リヒテンシュタイン及びノルウェー、又はEU ETSと連結した排出量取引制度を有する国、すなわちスイスを原産とする製品である。 これらの国を原産とする製品は、同じ製品について炭素価格が二重に課されないよう、CBAMの対象から除外される。 |
| Q1.10. 国家所管当局(NCA)とは何か | 各加盟国は国家所管当局(NCA)を指定している。NCAは、規則(EU)2023/956に定める職務及び任務を遂行する。NCAは「認可CBAM申告者」の地位を付与する。また、CBAM申告書を審査することもある。最終的に、NCAはCBAM規則の遵守を確保し、制裁金を科すことができる。 NCAの一覧は、欧州委員会のCBAM専用ウェブページで公表され、継続的に更新されている。所管NCAは、認可申告者が設立されている加盟国のNCAである。 |
| Q1.11. CBAMは「中古」製品に適用されるか | CBAM規則は、同規則附属書Iに掲げられ、EU単一市場において自由流通のために引き渡されるすべての製品に適用される。 |
| Q1.12. CBAMは包装材に適用されるか | 包装のCNコードが税関申告書に記載され、かつCBAM規則附属書Iの対象となっている場合、CBAM上の義務が適用される。 |
| Q1.13. CBAMは軍用品に適用されるか | CBAM規則第2条第3項(c)に定めるとおり、欧州連合関税法典委任規則(UCC-DA)2015/2446第1条第49号に基づく軍事活動の関連で移動又は使用される製品には、CBAMは適用されない。 ただし、UCC-DA(2015/2446)第1条第49号は、同条(a)及び(b)に定める軍事活動に関連して軍隊間(例:NATO基地間)で移動する製品のみを対象とする。したがって、同条の定義は、営利企業がEU軍隊に販売する製品などの商業製品の移動には適用されない。このような製品をEUへ輸入する場合、CBAMが適用される。 軍事活動に関連して移動又は使用される軍用品の国境を越える移動について、税関上使用できる文書は、規則(EU)2015/2446(UCC-DA)第1条第50号及び第51号に定めるNATO様式302又はEU様式302である。これらの製品が様式302によって申告される場合、CBAMの対象とはならない。別の方法で申告する場合、輸入者は、CBAM規則第2条第3項(c)により当該製品がCBAMの対象でないことを税関申告書で明示することが推奨される。NATO様式302及びEU様式302の使用に関する詳細は、TAXUDのガイダンス文書「軍事活動に関連して移動又は使用される軍用品に関するEUの税関手続(様式302の使用)」に記載されている。 また、製品がEU加盟国の軍当局によって又はその代理で輸入される場合であっても、UCC-DA第1条第49号に掲げる活動のいずれかに関連して移動又は使用されるものではないときは、CBAMの免除を受けることはできない。 情報の完全性を期すため付言すると、UCC-IA第324条第1項(c)及び第3項に基づき、航空機への引渡しのために域内加工手続に付された製品が再輸出されたものとみなされる場合、修理は同規定の適用範囲に含まれる。この場合、CBAMは適用されない。 |
| Q1.14. 体化排出量の算定方法に関する詳細情報は、どこで確認できるか | 体化排出量の算定及び事業者の排出量報告書の作成に必要なすべての情報は、本格適用期間における製品の体化排出量の算定方法を定める実施規則(EU)2025/2547に規定されている。欧州委員会の各部局は、排出量の報告を容易にするため、ガイダンス文書及びコミュニケーション・テンプレートを公表し、定期的に更新する。 これらの文書は、利用可能になり次第、CBAMウェブページ(国境炭素調整メカニズム)で確認できる。CBAMウェブサイトには、ウェビナー、eラーニングその他の資料も掲載されている。 |
| Q1.15. 排出量報告書テンプレートを含むExcelファイルの使用は義務か | いいえ。Excelファイルのテンプレートの使用は義務ではないが、推奨されている。 このExcelファイルは、事業者が実施規則(EU)2025/2547に定める方法に従ってCBAM対象製品の体化排出量を算定するためのツールである。テンプレートを使用することにより、関連するすべてのソースストリーム及び排出源、電力消費量並びに関連する前駆体が算定で考慮される。 Excelファイルには「Summary_Communication」というワークシートがあり、報告申告者が必要とするすべての情報が含まれている。このワークシートは、第三国の生産者と輸入者又はその代理人との間の情報伝達を容易にする。 利用者がコミュニケーション・テンプレートへ記入する際の参考となるよう、入力済みのひな形がCBAMウェブサイトで提供されている。また、必要な手順を詳しく説明した研修動画も所定のリンクで提供されている。 |
| Q1.16. CBAM申告書に誤った情報又は不十分な情報が提出された場合、誰が責任を負うか | 責任は認可申告者が負う。認可申告者は、輸入者又は間接税関代理人のいずれかである。NCAは、認可申告者との適切な対話を行う責任を負い、制裁金を科すことがある。 |
| Q1.17. さらに具体的な質問がある場合、誰に問い合わせればよいか | CBAMの実施に関する疑問については、関連するNCA、最終的には欧州委員会が対応する。 NCAの一覧は、欧州委員会のCBAM専用ウェブページ(国境炭素調整メカニズム – 税関・関税同盟)で公表され、継続的に更新されている。 |
| Q1.18. CBAM申告について誰が責任を負うか | CBAM申告者は、税関申告書にCBAM口座番号を記載する者に応じて、輸入者又は間接税関代理人のいずれかとなる。 CBAM上の義務について責任を負う者は、次のいずれかである。 ①製品の自由流通への引渡しのための税関申告を、自己の名義で自己のために行う場合の輸入者。 ②規則(EU)No 952/2013第18条に従って任命された間接税関代理人が税関申告を行う場合の当該間接税関代理人。これは、輸入者がEU域外に設立されている場合、又は輸入者がEU域内に設立されており、間接税関代理人が規則(EU)2023/956に定める義務を負うことに同意した場合に適用される。任命される間接税関代理人はEU域内に設立され、関係加盟国が定める税関代理人の要件を満たさなければならない(規則(EU)No 952/2013第18条参照)。 |
| Q1.19. 輸入者は複数の間接税関代理人を利用できるか。 また、その逆も可能か | 輸入者は、複数の異なる間接税関代理人を自由に利用できる。各代理人は、自らが税関申告書に記載した特定のCBAM対象製品について責任を負う。各代理人は税関で自己のEORI番号を提示し、これがCBAM上の義務を遵守する責任者を示す証拠となる。したがって、体化排出量が二重に計上されることはない。 間接税関代理人は、複数の輸入者についてCBAM上の義務を履行し、認可CBAM申告者として行動することもできる。この場合も、間接税関代理人は、該当する暦年中に税関申告を行ったすべてのCBAM対象製品を含む単一の年次CBAM申告書を提出しなければならない。同じ年について複数の年次CBAM申告書を提出することはできない。 |
| Q1.20. EORI番号とは何か。 また、CBAM上の義務においてEORI番号はどのような役割を果たすか | 欧州連合関税法典委任規則(UCC-DA)2015/2446第1条第18号によれば、「経済事業者登録・識別番号」(EORI番号)とは、税関上の目的で経済事業者又はその他の者を登録するため、税関当局が当該者に付与するEU関税地域内で一意の識別番号をいう。EORI番号はEU関税地域内で一意であり、関係者の税関関連活動において、いずれのEU加盟国でも使用できる。 例えば、オランダのEORI番号を有するオランダ企業は、スペインで自由流通への引渡しのための申告を行うことができる。当該オランダ企業が税関代理人を利用する場合、その代理人はスペインで設立されていてもよいであるが、必ずしもそうである必要はない。後者の場合、UCC第18条第3項の規定を遵守しなければならない。いずれの場合も、税関代理に関する各国法令にかかわらず、UCC第39条(a)から(d)までの基準、すなわち税関簡素化の認定事業者(AEOC)が満たす基準を満たす者は、設立国以外の加盟国で当該サービスを提供する権利を有する。 認可CBAM申告者は、税関申告の提出時に税関当局へ提示したものと同じEORI番号を用いて、年次CBAM申告書を提出しなければならない。経済事業者ごとに保有できるEORI番号は1つだけである。ただし、EORI番号によって、CBAM上の義務を所管する国家所管当局が決まるわけではない。CBAM規則第17条第1項に基づき、認可CBAM申告者の地位を付与する責任を負うのは、申請者が設立されている加盟国である。 |
| Q1.21. 異異なる加盟国の子会社がそれぞれ異なるEORI番号を有する場合、企業は一元的に申告することが認められるか | 原則として、CBAM対象製品は、税関当局へ提示されたEORI番号を通じて認可CBAM申告者に帰属する。したがって、原則として、異なるEORI番号を有する各子会社のCBAM申告は個別に行われる。 ただし、同一の多国籍企業に属する複数のグループ会社は、全グループ会社について税関上の義務及び関連するCBAM上の義務を一元的に履行するため、1者の間接税関代理人を任命できる。 また、1つのグループ会社が、他のすべてのグループ会社が輸入するCBAM対象製品について間接税関代理人として行動することも可能である。ただし、一般原則は引き続き適用される。すなわち、認可CBAM申告者として行動し、CBAM申告書を提出する間接税関代理人は、CBAM申告の対象となる製品に関する税関上の義務も履行しなければならない。 さらに、1つのグループ会社が、同じ多国籍企業に属する他のグループ会社のために、サービス提供者としてCBAM申告書を提出することも可能である。これは原則として可能であるが、以下の条件を満たさなければならない。 ①他のグループ会社は、自らが輸入した製品について引き続き認可CBAM申告者であり、したがってCBAM申告について法的責任を負い続けること。 ②サービス提供者として行動するグループ会社は、自らが輸入した製品を含め、各グループ会社が輸入した製品ごとに個別のCBAM申告書を提出すること。 |
CBAM申告及び登録簿に関するQ&A(Q2.1~Q2.8)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q2.1. 「認可CBAM申告者」になるには、どうすればよいか | 欧州連合域内に設立されているCBAM対象製品の輸入者、及びEU域外に設立された輸入者に代わって行動する間接税関代理人は、CBAM対象製品をEUへ輸入するため、「認可CBAM申告者」の地位を取得しなければならない。 認可CBAM申告者の地位に係る申請は、CBAM登録簿を通じて電子的に提出しなければならない。申請は、申請者が設立されている加盟国の国家所管当局によって審査される。 所管当局は、申請者が、法的要件の遵守及びCBAM上の義務を履行する能力を含め、認可CBAM申告者の地位を取得するために定められた要件を満たしているかを評価する。認可CBAM申告者の地位を付与し、又は拒否する決定は、CBAM登録簿に記録された時点で効力を生じる。 認可CBAM申告者の地位を有する者のみが、CBAM対象製品をEU関税地域へ輸入することができる。 |
| Q2.2. CBAM申告者は、どのように「認可」を受けるのか。 また、本格適用期間における認可の所要手続はどのようなものか | 申請者が設立されている加盟国のNCAは、申請者が次の基準を満たす場合、認可CBAM申告者の地位を付与する。 ・関税法令、租税規則、市場濫用に関する規則又はCBAM規則について、重大な違反又は反復的な違反に関与していないこと。 ・財務上及び業務上の能力を有することを証明すること。 ・申請を提出した加盟国に設立されていること。 ・EORI番号が付与されていること。 認可を付与する前に協議手続が必要であり、この手続は15営業日を超えないものとされている。移行期間中、欧州委員会は、認可手続の詳細を定める二次法令を採択する(CBAM規則第17条第10項参照)。 |
| Q2.3. 2026年以降、EUの輸入者が認可CBAM申告者でない場合、CBAM対象品目の輸入は禁止されるのか | はい。CBAM規則第25条は、「税関当局は、認可CBAM申告者以外の者による製品の輸入を認めてはならない」と定めている。 |
| Q2.4. 本格適用期間中、CBAM申告書はどのように提出するのか | 年次CBAM申告書は、認可CBAM申告者がCBAM登録簿を通じて提出する。 |
| Q2.5. CBAM申告書はいつまでに提出しなければならないか | 認可CBAM申告者は、規則(EU)2023/956第6条に従い、申告の対象となる製品を輸入した年の翌年9月30日までに、年次CBAM申告書を提出しなければならない。 |
| Q2.6. CBAM登録簿には、どのようにアクセスできるようになる | 輸入者の申請が所管当局によって認可されると、当該輸入者は認可CBAM申告者とみなされる。欧州委員会は各認可CBAM申告者にCBAM口座番号を付与し、これによりCBAM登録簿へのアクセスが可能になる。 アクセス管理は、EU全域共通の統一利用者管理及び電子署名システム(UUM&DS)を通じて行われます。したがって、申告者は、各国当局による選択に応じて、オプション1(CBAMドメイン)又はオプション2(税関ドメイン)のいずれかを使用して、CBAM本格適用システムへアクセスできる。 本格適用登録簿へのアクセスには、新しいUUM&DSプロファイルが必要である。既存の申告者が本格適用システムにアクセスできるよう、NCAはこれらの新しいプロファイルを当該申告者に割り当てる必要がある。 第三国の事業者もCBAM登録簿へアクセスできる。第三国の事業者は、欧州委員会情報総局(DG DIGIT)のEU-Accessプラットフォームを使用してCBAMポータルへアクセスする。欧州委員会は、第三国の事業者からのアクセス申請を審査し、適切な場合にはアクセスを許可する。プラットフォームへのアクセスを取り消す必要がある場合、欧州委員会は加盟国と協議する。 |
| Q2.7. 欧州委員会はどのような役割を担うか | 欧州委員会は、CBAM登録簿を管理し、CBAM申告者から提出されたCBAM申告書を審査して、問題となる可能性がある事項をNCAへ通知するとともに、CBAMの実施状況及び迂回のリスクを監視する。 さらに、欧州委員会は、輸入者にCBAM証書を販売するための中央プラットフォームを管理する。経済事業者は、このプラットフォーム上でCBAM証書を購入し、また、購入したCBAM証書を償却することができる。 |
| Q2.8. CBAM証書を購入するにはCBAM登録簿へのアクセスが必要であると理解している。 この理解は正しいか | はい、その理解で正しい。 購入手続は次のとおりである。 ①認可CBAM申告者はCBAM登録簿へアクセスする。そこで、購入を希望する証書の数を選択できる。価格などのその他の情報は自動的に入力される。 ②次の段階は支払いである。この選択肢を選ぶと、共通中央プラットフォーム(CCP)へ自動的に転送され、そこで支払情報を入力する必要がある。 ③支払いが完了すると、CBAM登録簿へ戻り、購入した証書を利用できるようになる。 CBAM登録簿、したがってCCPへアクセスできるのは、認可CBAM申告者のみであることに留意すること。 |
CBAM証書及びCBAM上の義務に関するQ&A(Q3.1~Q3.11)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q3.1. 申告者はいつCBAM証書を購入するのか | CBAM証書の販売は2027年2月に開始される。同月以降、認可CBAM申告者はいつでもCBAM証書を購入できる。 ただし、2027年以降、認可CBAM申告者は、各四半期に最低限必要な数のCBAM証書を購入しなければならない。この最低数は、当該年の初めからEUへ輸入したCBAM対象製品の体化排出量の50%に相当する。したがって、認可CBAM申告者は、毎年3月31日、6月30日、10月31日及び12月31日の各時点で、CBAM口座に十分な数のCBAM証書を保有していることを確保しなければならない。 さらに、2027年には、認可CBAM申告者は、2026年にEUへ輸入した製品の排出量に相当するCBAM証書を購入しなければならない。 |
| Q3.2. 申告者はどのようにCBAM証書を購入するのか | 認可CBAM申告者は、自らが設立されている加盟国からCBAM証書を購入する。すべての購入は、加盟国と欧州委員会との共同調達手続を経て欧州委員会が設置する共通中央プラットフォーム(CCP)で行われる。 CCPは2027年2月1日に運用を開始する。 CCPへアクセスできるのは認可CBAM申告者のみであり、アクセスはCBAM登録簿からのみ可能である。 |
| Q3.3. 申告者は、2026年に輸入した製品に係るCBAM証書をどのように購入するのか | CBAM証書の販売は2027年2月に開始されるため、2026年に年間基準値を超えて輸入されたCBAM対象製品について、認可CBAM申告者の金銭的調整を決定するための特別な規則がある。 認可CBAM申告者が2027年に購入しなければならないCBAM証書の数は、2026年の各四半期にEUへ輸入されたCBAM対象製品の排出量(CO2トン)として算定される。この算定は、当該製品が輸入された暦四半期に基づいて行われます。 欧州委員会は、2026年について、各四半期につき1つ、合計4つの四半期価格を算定する。 申告者は、2026年にEUへ輸入したCBAM対象製品の体化排出量に相当する数のCBAM証書を、2027年2月以降、2027年9月30日までにCCPで購入する。 |
| Q3.4. CBAM証書を他の者へ移転し、又は売却することはできるか | いいえ。CBAM証書は、それを購入した認可CBAM申告者が使用するものである。認可を保有する事業体と同じ企業グループに属する事業体であっても、他の者へ移転し、又は売却することはできない。 また、CBAM証書をCBAM上の義務の履行以外の目的に使用することはできない。 認可CBAM申告者が購入したCBAM証書は、申告者によって償却されるか、申告者が設立されている加盟国によって買い戻されるか、又は欧州委員会によって取り消されるかのいずれかとなる。 |
| Q3.5. CBAM証書の価格はいくらになるのか | 2026年、欧州委員会は、オークション・プラットフォームにおけるEU ETS排出枠の落札価格の平均値として、CBAM証書の価格を四半期ごとに算定する。この価格はユーロ建てで算定され、次の日付に公表される。![]() 2027年以降、欧州委員会は、オークション・プラットフォームにおけるEU ETS排出枠の終値の平均値として、CBAM証書の価格を週ごとに算定する。この価格はユーロ建てで算定され、毎週公表される。 ETS価格をより適切に反映するため、平均値はオークション量により加重される。 |
| Q3.6. 申告者はどのようにCBAM証書を償却するのか | 認可CBAM申告者は、毎年9月30日までにCBAM登録簿で年次申告書を提出する。最初の提出は、2026年分について2027年9月30日までに行う。年次申告書には、償却しなければならないCBAM証書の数を記載する。この償却すべきCBAM証書の数は、年次申告書の対象年にEUへ輸入されたCBAM対象製品の体化排出量をCO2トンで表した量に相当する。 認可CBAM申告者は、毎年9月30日までに、最初は2026年分について2027年9月30日までに、同じ年の年次申告書で申告した数のCBAM証書をCBAM登録簿で償却する。 認可CBAM申告者はそのために、CBAM登録簿の自己のCBAM口座で利用可能なCBAM証書の中から、償却するCBAM証書を選択する。 |
| Q3.7. 償却すべきCBAM証書の数はどのように算定されるのか | ある年の各CBAM対象製品について、認可CBAM申告者が償却すべきCBAM証書の数は、当該輸入製品の量及び固有体化排出量に基づき、固有内包無償割当を控除し、該当する場合には、原産国で実際に支払われた炭素価格によってすでに賄われている固有排出量をさらに控除して決定される。 以下の図は、電力以外の製品について、償却すべきCBAM証書の算定方法を示している。算定要素は、輸入量、固有体化排出量、固有内包無償割当及び原産国で実際に支払われた炭素価格である。 ![]() ある製品について算定された証書数が負の値となる場合、その値はゼロとされる。すなわち、当該製品についてCBAM証書を償却する必要はない。 固有体化排出量は、① 検証済み実測値又は② デフォルト値のいずれかに基づいて報告できる(質問4.25「デフォルト値とは何か。どのように機能するか」参照)。 無償割当の対象となる固有排出量の決定方法の詳細については、質問3.8「支払うべきCBAM義務の算定において、無償割当はどのように考慮されるか」を参照すること。 第三国で支払われた炭素価格をCBAMから控除する方法の詳細については、質問3.10「第三国で支払われた炭素価格は、CBAMからどのように控除されるか」を参照すること。 |
| Q3.8. 支払うべきCBAM義務の算定において、無償割当はどのように考慮されるか | 特定のCBAM対象製品について輸入者が負担するCBAM義務は、当該製品の体化排出量から、EU生産者が同じ製品を生産する場合に受ける相当する無償割当を控除した量に基づく。これにより、EU域内及び第三国で生産された製品が平等に取り扱われます。無償割当調整の算定規則は、実施規則(EU)2025/2620に定められている。 この無償割当調整は、EU ETSベンチマークを基に調整されたCBAMベンチマークに基づいて算定される。また、この調整では、輸入製品の量、EU ETSにおける無償割当総量のセクター横断的補正係数及びEU ETS指令に定める該当するCBAM係数も考慮される。 CBAM係数は、2026年から2034年にかけてCBAM対象セクターにおけるEU ETS無償割当が段階的に廃止されるのに応じ、CBAM義務が増加することを反映する。これは、無償割当に係るCBAM調整が段階的に減少し、その分CBAM義務が増加するためである。 CBAM規則では、認可申告者が輸入CBAM対象製品の体化排出量を実測値又はデフォルト値のいずれかに基づいて報告できるため、無償割当調整にも同じ原則が反映される。 実測値を申告する場合、無償割当調整も、実際の生産工程及び製品の構成を反映するものとする(「実際の無償割当調整」)。この場合の算定規則は、実施規則(EU)2025/2620附属書第3節に定められている。 体化排出量についてデフォルト値を申告する場合、無償割当調整も無償割当のデフォルト値に基づくものとする。この場合の算定規則は、実施規則(EU)2025/2620附属書第4節に定められ、同附属書B欄のCBAMベンチマークに基づく。該当する場合、当該製品又は前駆体の原産国について、実施規則(EU)2025/2621附属書Iに示されたものと同じ生産ルートを使用しなければならない。 EU ETSでは一般に発電に対する無償割当がないため、電力の輸入に係るCBAM義務について無償割当調整はない。 |
| Q3.9. CBAMベンチマークはどのように定められたのか | CBAMベンチマークは、複数のEU ETSベンチマークを組み合わせて定められている。これは、利用可能なETS製品ベンチマークの数が限られており、また、これらがCNコードごとに定められていないため必要となったものである。CBAMベンチマークの決定に当たっては、EU ETSの無償割当規則を反映するという原則が採用された。 CBAMベンチマークはCNコードごとに定められている。生産工程が類似し、同じ前駆体が使用される場合には、異なるCNコードに同じベンチマーク値が適用されることがある。一方、一次鋼と二次鋼から製造された製品の場合など、生産ルートに応じて複数のCBAMベンチマークが設定されているCNコードもある。 CBAMベンチマークは、実施規則 (EU) 2025/2620の附属書においてCNコードごとに提示されている。CBAMベンチマークは2つの列で提示されている。 CBAMベンチマークは、実施規則(EU)2025/2620の附属書にCNコードごとに示され、A欄及びB欄の2つの欄に記載されている。A欄のベンチマークは、当該製品を生み出す生産工程に関する工程ベースのCBAMベンチマークであり、前駆体は考慮しない。A欄のベンチマークは、実施規則(EU)2025/2620附属書第3節に定める算定規則に従い、実測データに基づいて内包無償割当を決定する場合に使用される。B欄のベンチマークには前駆体も含まれるため、最終製品又は前駆体の内包無償割当を決定する際にデフォルト値を使用した場合に用いられます。単純製品については、A欄のベンチマーク値とB欄のベンチマーク値は同一である。 実施規則(EU)2025/2620のCBAMベンチマークは、2026年1月1日から適用される。同規則前文(10)に定めるとおり、これらのCBAMベンチマークは、2026年から2030年までの期間に係る最終的なEU ETSベンチマークの公表後、速やかに見直されるべきものとされている。その後、2026年から2030年までの最終的なETSベンチマークに基づく更新後のCBAMベンチマークが、2027年1月1日以降に輸入される製品に適用される予定である。 |
| Q3.10. 第三国で支払われた炭素価格は、CBAMからどのように控除されるか | 認可CBAM申告者は、CBAM対象製品について申告した体化排出量に関し、原産国であるでに実際に支払われた炭素価格に相当する分だけ、償却すべきCBAM証書の数を減らすよう請求できる。 CBAM規則は、「炭素価格」を、「第三国において、炭素排出削減制度の下で、税、賦課金若しくは料金の形で、又は温室効果ガス排出量取引制度における排出枠の形で支払われた金銭的金額(中略)」と定義している。 償却すべきCBAM証書の数の削減に算入されるのは、「原産国で実際に支払われた」炭素価格のみである。認可CBAM申告者が還付その他の形態の補償を受ける場合、その利益は、実際に支払われた炭素価格を確定する際に考慮される。例えば、ETSの下で無償割当が付与されている場合がこれに該当する。 CBAM証明書の数の削減の対象となるのは、「原産国で実際に支払われた」炭素価格のみである。認可CBAM申告者が何らかのリベートまたはその他の補償の形式の恩恵を受ける場合、その利益は実際に支払われた炭素価格を確定する際に考慮される。これは例えば、ETSのもとで無償排出権が与えられている場合などがそれに該当する。 欧州委員会は、原産国で実際に支払われた炭素価格の控除に関する追加的な詳細を定める実施法令を2026年に採択する予定である(CBAM規則第9条第4項参照)。 この実施法令では、特に、申請された控除が認められることを確保するための規則が定められる。これには、外貨で実際に支払われた炭素価格を、償却すべきCBAM証書の数の相当する削減量へ換算するための規則が含まれ、外貨で実際に支払われた炭素価格を年間平均為替レートによりユーロへ換算することも含まれる(質問3.7の算定概要参照)。また、価格が「実際に支払われた」ことを証明するために必要な実際の支払証拠の種類及び独立した者による認証も対象となる。考慮すべき還付その他の補償の種類も定められる。 |
| Q3.11. CBAMは収入を生み出すのか。 生み出す場合、その収入はどのように使用されるのか | CBAMは、予算収入を生み出すことを目的として設計されたものではない。一般に、将来の収入の推移は、将来のETS炭素価格の水準、輸入CBAM対象製品の体化排出量及び第三国で実際に支払われた炭素価格によって異なる。ただし、CBAMの導入により内包CO2排出量が減少し、貿易相手国に対して国内炭素価格政策による収入創出の側面を検討するよう促すことが見込まれるため、将来のCBAM収入は政策の付随的な効果にすぎない。 もっとも、特に導入後の最初の数年間に収入が生じた場合には、EUの機関間協定LI 433/28に従い、EU予算の独自財源となることが予定されている。 |
本格適用期間におけるCBAM対象物品の体化排出量算定方法に関するQ&A(Q4.1~Q4.32)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q4.1. 機能単位とは何か。 肥料及びセメント製品の機能単位が異なる形で定義されているのはなぜか | 実施規則(EU)2025/2547第4条により、機能単位は、同条に定める例外を除き、原則として「同一のCNコードに分類される生産製品のトン単位の量」と定義される。 肥料及びセメント製品では、機能単位はそれぞれ窒素含有量及びクリンカー含有量により定義される。機能単位は製品の機能又は性能、特に製品の特定パラメータに比例する場合にはそのパラメータに基づいて定義する必要があるためである。セメントではクリンカー含有量が製品の性能を決め、製品の体化排出量と相関する。窒素系肥料の窒素含有量についても同様である。 |
| Q4.2. 規則(EU)2023/956附属書Iで「鉄鋼」の第72類として記載されるすべての製品に、単一の機能単位を適用できるか | CBAM対象のCNコードは、規則(EU)2023/956(CBAM規則)附属書Iに掲げられている。理事会規則(EEC)2658/87における「CNコード」とは、CN小分類を定める8桁のコード番号を指す。CBAM規則附属書Iにコード「72」と記載されている場合、第72類「鉄鋼」を意味し、同類に含まれるすべてのCNコードを包含する。 したがって、固有体化排出量は、異なる8桁CNコードの製品ごとに個別に算定する。ただし、附属書II A.4は、同一生産工程におけるCNコードの強制的なグループ化を定めている。質問4.4を参照すること。CNコードのグループ化に関する追加的な推奨事項は、今後公表される算定方法ガイダンスで説明される。 |
| Q4.3. 施設の定義は何か。 敷地内の法人によって決まるのか。 同一の物理的敷地に複数の施設を設けることはできるか | 「施設」とは、生産工程が行われる定置型の技術的単位をいう。「生産工程」とは、施設において製品を生産するために行われる化学的及び物理的工程をいう。「製品」とは、CBAM規則附属書Iに掲げる製品をいう。 したがって、施設とは、附属書Iの製品の生産工程が行われる敷地又は場所を意味する。生産工程は、生産される製品のCNコードによって定義されるため、施設とは、同一CNコードの製品の生産につながるすべての化学的及び物理的工程を包含する敷地である。 |
| Q4.4. 粗鋼、鉄鋼製品、アルミニウム塊及びアルミニウム製品について、単一の多機能生産工程へのグループ化が義務となるのはいつか | これらの集約製品区分に属するCNコードの製品は、実施規則附属書II A.4の条件を満たす場合、単一の多機能工程にまとめなければならない。次の2条件をともに満たす場合、CNコードの集約が義務となる。 ・異なる機能単位(CNコード)の相違が寸法又は形状のみであること。したがって、鋳造品、押出品、圧延品又は鍛造品等の幅若しくは厚さのみが異なるCNコードは、単一の生産工程として扱う。 ・異なる機能単位が、種類、量及び割合の点で同じ前駆体を用いて生産されること。 追加的な推奨事項は、今後公表される算定方法ガイダンスで説明される。 |
| Q4.5. 肥料区分の製品について、単一の多機能生産工程へのグループ化が義務となるのはいつか | 肥料の集約製品区分に属するCNコードの製品は、実施規則附属書II A.4の条件を満たす場合、単一の多機能工程にまとめなければならない。異なる機能単位が、種類、量及び割合の点で同じ前駆体を用いて生産されるか、同じ物質で構成され、かつ濃度のみが異なる場合、CNコードの集約が義務となる。 可能な集約は次のとおりである。 ・アンモニア(CN 28141000及び28142000)は1つの生産工程。 ・硝酸(CN 28080000)は1つの生産工程。 ・尿素(CN 31021012、31021015、31021019及び31021090)は1つの生産工程。 ・硝酸アンモニウム及びその混合物(CN 31023010、31023090、31024010及び31024090)は1つの生産工程。 ・アンモニウム塩(CN 31022100、31053000及び31054000)は1つの生産工程。 ・硝酸塩(CN 28342100及び31025000)は1つの生産工程。 ・集約製品区分「混合肥料」のその他のCNコードは共同生産工程として扱うことができる。 |
| Q4.6. 1つの施設で複数の生産ルートによりCBAM対象製品を生産する場合、体化排出量をどのように算定するか | 製品の機能単位の生産に複数の生産ルートを用いる場合、すべての生産ルートを包含する単一の生産工程を使用する(実施規則(EU)2025/2547第4条)。 |
| Q4.7. 同一CNコードの製品について、2つの別個の生産工程を設定できるか | いいえ。CNコードごとに設定できる生産工程は1つのみである。実施規則(EU)2025/2547第4条は、1つの施設内で、同一の機能単位、例えば同一CNコードに属するすべての製品について1つの生産工程を特定することを求めている。 |
| Q4.8. 1つの施設内の同一CBAM対象製品について、EU向けと非EU向けの生産ロットを分けて体化排出量を算定できるか | いいえ。出荷先に基づいて生産工程を人為的に分割することはできない。「生産工程」は、同一の機能単位、例えば同一CNコードに属するすべての生産製品について定義される。質問4.7を参照すること。 |
| Q4.9. 附属書IIに掲げる複雑製品を、同附属書に掲げられていない前駆体を用いて生産する場合、その前駆体の間接排出量を含めるべきか | 規則(EU)2023/956附属書IIに掲げる複雑製品の生産工程に、同附属書に掲げられていない前駆体が含まれる場合、その前駆体の間接排出量を複雑製品の体化排出量の算定に含めなければならない(実施規則(EU)2025/2547附属書I第3項のセクター横断的規則)。 |
| Q4.10. 異なる施設から供給される同一の前駆体を用いて複雑製品を生産する場合、その体化排出量をどう算定するか。 実施規則第14条第3項はいつ適用できるか | 実施規則(EU)2025/2547第14条第2項により、複雑製品を生産する施設が、特定CNコードの前駆体を複数の施設から受け入れる場合、当該CNコードの前駆体の体化排出量は、原則として、各施設から受け入れた前駆体の体化排出量の加重平均として決定する。 事業者が、特定の生産工程、すなわち特定CNコードの生産において、単一の施設又は一部の施設群からの前駆体のみを使用していることを検証者に十分な証拠で示せる場合、第14条第3項を適用できる。この場合、使用した前駆体の体化排出量は、その単一施設から得た前駆体の体化排出量、又は当該施設群から受け入れた前駆体の体化排出量の加重平均に基づいて決定する。 |
| Q4.11. 前駆体を使用する鉄鋼製品の生産者は、最終製品の体化排出量算定において、切断工程に投入される前の質量ではなく、切断後に残る質量を使用できるか | 切断作業は、集約製品区分「鉄鋼」の製品についてシステム境界から除外される(実施規則(EU)2025/2547附属書II第3.16項)。 同規則附属書III Bにより、前駆体の体化排出量を算定する際には、複雑製品の体化排出量に切断作業の排出量を算入しない場合でも、生産工程に投入される時点、すなわち切断前の前駆体の質量を使用する。 |
| Q4.12. 部分酸化又は自己熱改質により水素を生産する場合、酸素生産からの排出量は水素の体化排出量に含まれるか | 酸素は、部分酸化又は自己熱改質による水素生産の投入材料である。しかし、酸素はCBAM規則附属書Iに掲げられていないため、水素の前駆体とはみなされない。実施規則附属書IV第3項により、その体化排出量は考慮しない。したがって、空気分離装置からの燃料燃焼排出量及び電力排出量は、水素の体化排出量から除外する。 |
| Q4.13. 異なる施設の液体肥料を混合して同一タンクに貯蔵する場合、体化排出量をどう算定するか。 マスバランス方式の管理連鎖モデルを使用できるか | 体化排出量は機能単位ごとに報告する。実施規則(EU)2025/2547第4条では、機能単位は原則として「同一CNコードに分類される生産製品のトン単位の量」とされる。肥料については、あるCNコードで生産された製品に含まれる窒素のキログラム数として定義される。 この場合、1つの機能単位は、同じCNコードの製品の異なる2つのバッチから構成される。したがって、排出量は機能単位の排出量の加重平均として報告する。マスバランス方式の管理連鎖モデルを、CBAMにおけるトレーサビリティの証拠として使用することはできない。 |
| Q4.14. 体化排出量の算定に関係する期間は何か。 過年度データを使用できるか | 体化排出量を決定する原則的な基準期間は、完全な暦年である。この基準期間は、年次CBAM申告書で報告する体化排出量の算定に使用する。 原則として、製品は輸入年の暦年中に生産されたものと推定される。異なる生産期間を示す情報がある場合、この推定を覆すことができる。報告期間を2026年より前の期間とすることはできない。 会計年度など別の基準期間も、連続する3か月以上を対象とし、生産工程を代表し、体化排出量の決定に一貫して適用される場合は使用できる。体化排出量は、製品の生産に用いた基準期間に対応するデータにより決定する。過年度データは、該当する基準期間のデータがなく、かつ使用するデータが生産条件を引き続き代表する場合に限り使用できる。 在庫品を含む、過去の期間に生産され、その後輸入される製品については、生産期間をまたぐ排出量の配分及び平均化に関する適用規則に従って体化排出量を決定する。 |
| Q4.15. 単純製品及び複雑製品とは何か | CBAM対象製品には単純製品と複雑製品の2種類がある。「単純製品」は、CBAM報告方法上、体化排出量がゼロとみなされる投入材料から生産される。したがって、単純CBAM対象製品の体化排出量は、その生産中に発生する排出量のみで構成される。 「複雑製品」については、生産工程で使用する場合、CBAMの対象である関連前駆体自体の体化排出量を含める必要がある。関連前駆体とは、複雑CBAM対象製品の生産に使用され、それ自体もCBAM対象製品である原料をいう。セメントセクターでは、ポルトランドセメントの主要構成物であるセメントクリンカーが代表的な前駆体である。 |
| Q4.16. 直接排出量及び間接排出量とは何か | 直接排出量には、CBAM対象製品の生産工程で発生する排出量に加え、加熱及び冷却の生産場所にかかわらず、その生産から生じる排出量が含まれる。したがって、加熱及び冷却が施設外で生産される場合も、その排出量は直接排出量として算入される。 間接排出量は、CBAM対象製品の生産中に消費される電力の生産に伴う排出量である。関連前駆体の内包直接排出量及び内包間接排出量も、CBAM対象製品の固有内包直接・間接排出量を決定する際に考慮する。 鉄鋼、アルミニウム及び水素についてCBAMの対象となるのは直接排出量のみである。一方、セメント及び肥料並びに凝集鉄鉱石の輸入者は、直接排出量と間接排出量の双方を申告しなければならない。 |
| Q4.17. 「バブル・アプローチ」とは何か。 どのように機能するか | 1つの施設が複雑製品とその前駆体を生産し、その前駆体の全量を複雑製品の生産に使用する場合、施設内で共同の単一生産工程を定義できる。 |
| Q4.18. 輸入CBAM対象製品がEU産の前駆体(例:銑鉄)を用いて生産された場合、算定で考慮する必要があるか | EUで生産された前駆体を用いて複雑製品を生産する場合、その前駆体の固有内包直接排出量又は間接排出量はゼロとして計上する(実施規則(EU)2025/2547附属書III B)。 EU産前駆体を体化排出量の算定に含める必要はないが、複雑CBAM対象製品の生産に使用した前駆体の量は報告しなければならない(同規則附属書II E)。EUで生産された前駆体の固有内包無償割当もゼロとして計上する。 |
| Q4.19. 複合製品の体化排出量算定に吸収原則を適用できるか | いいえ。吸収原則は製品の原産地決定で用いられる概念である。一定の条件の下で、原産品の後続製造工程に使用される中間製品の原産資格を維持し、中間製品に含まれる従前の非原産投入物を考慮しないことを認めるものである。CBAM対象製品の体化排出量の算定には、これとは全く異なる規則が適用される。 |
| Q4.20. CBAM対象製品の生産に係る間接排出量はどのように決定されるか | 間接排出量は、CBAM対象製品の生産中に消費した電力量に、適用される電力排出係数を乗じて決定する。電力排出係数は、消費電力を供給する電力網の排出係数、又は適用されるCBAM規則に従って実排出係数を使用する場合はその実排出係数のいずれかを反映できる。 使用する電力排出係数は、CBAM算定方法に従って決定される、発電国又は地域に適用される係数である。間接排出量を考慮するのは、CBAM上その対象となるセメント及び肥料並びに凝集鉄鉱石のみである。 |
| Q4.21. 敷地内輸送からの排出量を算定に含めるべきか | コンベヤーベルト、パイプラインその他の定置型施設による輸送からの排出量は含めます。トラック、フォークリフト等の移動機械の使用からの排出量は除外する。これはEU ETSと同じ規則である。 |
| Q4.22. 体化排出量の決定において、炭素回収・利用(CCU)又は炭素回収・貯留(CCS)を排出削減に使用できるか | 炭素回収・利用・貯留(CCUS)は、二酸化炭素排出量の削減手法として市場で利用可能性が高まっている。一定の基準を満たす場合、この排出削減をCBAM対象製品の体化排出量の決定で考慮できる。条件は、実施規則(EU)2025/2547附属書II B.8.2に定められている。基本的には、回収した二酸化炭素を、恒久的に化学結合する製品の生産に使用するか、長期的な地中貯留サイトへ移送することが条件である。委任規則(EU)2024/2620は、温室効果ガスが製品中に恒久的に化学結合したとみなすための要件を定めている。 |
| Q4.23. 石油増進回収(EOR)は、体化排出量の算定における控除対象となるか | 石油増進回収(EOR)は、主として石油の採取量を増加させる技術である。石油採掘サイトが長期的な地中貯留サイトを備え、一定の基準を満たす場合、工程に注入されたCO2は、理論上、体化排出量の算定における控除対象となり得ます。条件はCCSと同一であり、実施規則(EU)2025/2547附属書II B.8.2に定められている。 |
| Q4.24. ライフサイクルアセスメント(LCA)又はライフサイクルインベントリ・データベースの排出係数は認められるか | いいえ。LCA又はライフサイクルインベントリ・データベースの排出係数は、CBAM対象製品の体化排出量の算定には認められない。 |
| Q4.25. デフォルト値とは何か。 どのように機能するか | 本格適用期間中、認可CBAM申告者は、検証済みの実際の体化排出量データが利用できない場合、電力以外のすべてのCBAM対象製品についてデフォルト値を使用できる。EU関税地域へ輸入される製品(電力を除く)のデフォルト値は、実施規則(EU)2025/2621附属書Iに定められている。 デフォルト値は国別及び年別である。CBAM対象製品が明記されていない場合、又は該当欄が「-」の場合、附属書Iの「その他の国及び領域」の表のデフォルト値を使用する。 附属書Iのデフォルト値には、比例的に設計された上乗せ率を加えます。上乗せ率は2026年が10%、2027年が20%、2028年以降が30%である。肥料セクターには2026年以降1%の低い上乗せ率が適用される。上乗せ後のデフォルト値は、デフォルト値の使用時に体化排出量が過小評価されないよう定められている。したがって、実測値を利用できる場合、多くの場合、デフォルト値より実測値の使用が認可CBAM申告者に有利である。 第三国の施設事業者も、購入した前駆体の実際の体化排出量データを利用できない場合、自己の工程排出量の実測データと組み合わせて、前駆体にデフォルト値を使用できる。前駆体の生産国が判明している場合、実施規則(EU)2025/2621附属書Iのデフォルト値に該当する上乗せを加えて使用する。生産国が不明の場合、同規則附属書IVのデフォルト値に該当する上乗せを加えて使用する。 |
| Q4.26. デフォルト値はどのように決定されたか | 実施規則(EU)2025/2621附属書Iのデフォルト値は、欧州委員会共同研究センターが移行期間向けに2023年に策定した方法を基礎としている。最良の公表データ及び移行期間中に第三国の生産者がCBAM登録簿で提供したデータに基づく。信頼できるデータが不十分な場合、附属書Iの「その他の国及び領域」の表にある、製品ごとに排出強度が最も高い輸出国10か国の平均値を使用する。 |
| Q4.27. バイオマスの使用から生じる排出量はどのように計上するか | CBAM算定方法はEU ETSと同じ規則に従う。バイオマスを工程投入物として使用する場合、例えば木炭を高炉の還元剤又は電極の製造に使用する場合、その使用による排出量は計上しない(ゼロ評価)。 バイオマス(固体、液体又は気体)を燃料、すなわちエネルギー目的で使用する場合、再生可能エネルギー指令(EU)2018/2001の該当する持続可能性基準及び温室効果ガス削減基準を満たさない限り、排出量を計上する。適用基準は使用するバイオマスの種類によって異なる。 |
| Q4.28. 1つの施設を複数の生産工程が同時に使用する場合、その施設からの排出量を各生産工程へどのように帰属させるか | 施設内のすべての投入、産出及び対応する排出量は、実施規則(EU)2025/2547附属書Iに定めるシステム境界を考慮し、特定された生産工程に帰属させます。施設の関連排出量全体は、該当する場合、CBAM対象製品及び非CBAM製品の生産工程によって100%網羅されるべきである。 複数の生産工程を有する施設で、共用施設、共用ソースストリーム又は共用排出源がある場合、投入、産出及び排出量を適切な割合で各生産工程へ配分する。帰属原則及び具体的規則は同規則附属書IIIに定められている。 |
| Q4.29. 販売可能な規格外製品は活動量の決定に含めるべきか | 規格外製品が販売可能であり、かつ規則(EU)2023/956附属書Iに掲げられている場合、活動量に含めます。 |
| Q4.30. CBAM対象に分類される最終製品が、金属部品と非CBAM材料を組み合わせたものである場合、50トン基準の判定にどの質量を用いるか。 体化排出量をどう算定するか | 最終製品が規則(EU)2023/956附属書IのCNコードに分類されるため、CBAMの対象となる。税関申告書に記載する当該CNコードの正味質量を、輸入者が50トン基準を超えるかの判定に使用する。この組立製品の輸入量が暦年50トンを超える場合、申告者はCBAM規則上のすべての義務の対象となる。 実測値に基づく最終製品の体化排出量を決定する場合、この製品は、CBAM上の前駆体とみなせる金属部品と、実施規則(EU)2025/2547附属書Iに掲げられていない別材料からなるため、「複雑CBAM対象製品」とみなせます。したがって、最終製品の体化排出量は、前駆体である金属部品の体化排出量のみで構成され、その情報だけに基づいて、実測値又は欧州委員会のデフォルト値により算定する。複雑製品の体化排出量をデフォルト値で決定する場合、実施規則(EU)2025/2621附属書Iのデフォルト値を使用する。 |
| Q4.31. 鉄鋼製品及びアルミニウム製品のどの加工工程を体化排出量の決定で考慮する必要があるか | 「鉄鋼製品」区分の製品を生産する各工程について、システム境界内の加工工程は実施規則(EU)2025/2547附属書I第3.16.2項に定められている。これには、再加熱、再溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、鍛造、酸洗、焼鈍、被覆、亜鉛めっき及び伸線など、生産工程に直接又は間接に関連するすべての工程が含まれ、めっき、切断、溶接及び仕上げは除外される。 アルミニウム製品区分では、システム境界内の加工工程は同規則附属書I第3.18.2項に定められ、生産工程に直接又は間接に関連するすべての工程を含み、切断、溶接及び仕上げを除外する。これらの工程が二次施設で行われるか、他社へ外注され、その後製品が主施設へ戻される場合、主施設内で行われたものとして扱う。 |
| Q4.32. 算定結果が負のCBAM義務となる場合、どうなるか | 特定製品の算定結果が負のCBAM義務となる場合、当該製品のCBAM義務はゼロとする。これは、体化排出量が無償割当調整を下回る場合、又は原産国で支払われた炭素価格がEU ETS価格を上回る場合に生じる。 CBAM申告者が複数のCBAM対象製品を輸入し、そのうち1つのCBAM義務が負となる場合にも同じ扱いである。負の値はゼロとされ、当該申告者の他のCBAM対象製品に係るCBAM義務から控除することはできない。 |
認定及び検証に関するQ&A(Q5.1~Q5.21)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q.5.1. 認定CBAM検証者となるためには、どのような能力が必要か | 法人であれば、CBAM認定を申請できる。EU加盟国又は第三国のいずれに所在していても構いない。 申請企業は、EN ISO 14065(環境情報を検証する機関に対する一般原則及び要求事項)及びEN ISO 17029(妥当性確認機関及び検証機関に対する一般原則及び要求事項)並びにデータ及び情報の監査に関する知識を有することを証明する必要がある。 また、特に認定、検証、排出量のモニタリング及び算定並びに無償割当調整に関するCBAM規則の知識を有することを証明する必要がある。 申請企業は、事業者及びEU当局からの独立性並びに公平性という基本的要件も満たさなければならない。これらの要件は、欧州委員会委任規則(EU)2025/2551に詳細に定められている。 |
| Q.5.2. 認定CBAM検証者となるための申請は、どこに提出できるか | CBAM認定を付与できるのは、EU加盟国に所在する国家認定機関(NAB)のみである。CBAM規則がEEA協定に組み込まれた後は、EEA諸国の国家認定機関も認定を付与できる。 欧州認定協力機構(EA)は、CBAM認定を行う国家認定機関の一覧をウェブサイトで公表し、情報共有を促進する。 EU加盟国又はEEA諸国に設立された検証会社は、認定サービスが提供されている場合、自らが設立されている加盟国又はEEA国のNABへ申請しなければならない。第三国に設立された検証会社は、このサービスを提供するいずれの国家認定機関にも申請できる。 |
| Q.5.3. CBAM認定の申請には手数料がかかるか | はい。各EU加盟国の国家認定機関は、認定に要する費用及び認定後の年次監視活動に要する費用を賄うため、手数料を設定する。認定費用は、特に申請者の規模及び所在地並びに申請対象とする活動グループの数によって異なる。 |
| Q.5.4. EUの国家認定機関は、認定申請をどのように処理するか | CBAM規則に従い、申請者はEU加盟国の国家認定機関(NAB)へ認定申請を提出する必要がある。 申請者は、能力及び公平性について十分な保証を示さなければならない。特に、検証規則を適用する能力及び体化排出量の算定に関するCBAM算定方法の知識を有する必要がある。 国家認定機関は、認定申請の評価において、次の措置を行う。 ・申請者が提出した必要情報を審査すること。 ・申請者の施設を現地訪問し、内部検証文書の代表的なサンプルを審査するとともに、申請者の品質マネジメントシステム及び検証活動を実施するための手順又はプロセスの実施状況を評価すること。 ・事業者の排出量報告書の検証に従事する申請者の職員のうち代表的な人数について、その業務遂行及び能力を立会評価し、CBAM規則に従って業務を行っていることを確認すること。 |
| Q.5.5. CBAM認定は永久に有効か | いいえ。CBAM認定の有効期間は5年間である。ただし、検証者が引き続きCBAM要件を満たしていることを確認するために国家認定機関が再評価を行った後、同じ期間について更新できる。 国家認定機関は、検証者に対する年次監視も実施する。検証者がCBAM要件を満たさなくなった場合、国家認定機関は、認定の一時停止若しくは取消し、又は特定の認定範囲の一時停止などの行政措置を講ず。 |
| Q.5.6. 認定を受けたCBAM検証者は、どの施設でも検証できるか | 認定検証者は世界のどこでも検証活動を行うことができ、その検証報告書はEU加盟国全体で有効とみなされる。 ただし、CBAM認定は、主として集約製品区分に基づく複数の認定範囲について申請することができる。そのため、検証者の認定範囲が、セメント又は肥料など特定のCBAM対象製品の検証のみに限定される場合がある。 したがって、施設が生産するCBAM対象製品が、当該検証者の認定範囲に含まれない場合、その検証者は当該検証を実施する資格を有しない可能性がある。 |
| Q.5.7. CBAM検証者は、どのISO規格を満たさなければならないか | CBAM検証者は、EN ISO 17029(妥当性確認機関及び検証機関に対する一般原則及び要求事項)への適合を証明しなければならない。EN ISO 14065(環境情報を妥当性確認及び検証する機関に対する一般原則及び要求事項)はEN ISO 17029の関連する分野別適用規格であるため、CBAM検証者はこの規格への適合も証明しなければならない。 |
| Q.5.8. 認定CBAM検証者は、第三国に所在する現地支店又は子会社へ検証業務を外注できるか。 現地支店又は子会社は別途CBAM認定を取得する必要があるか | 認定CBAM検証者は、CBAMの認定・検証規則及びEN ISO 14065に定める範囲及び限度内で、一定の検証活動を他の検証者へ外注できる。 検証及び検証報告書に対する全面的な責任は、外注先ではなく認定検証者が引き続き負う。また、認定検証者は、検証報告書の発行又は報告書の技術的レビューを外注することはできない。 外注先は、公平性及び独立性などについて十分な保証を示す必要がある。また、事業者は、一定の検証活動を外注することに同意する必要がある。 国家認定機関は、検証者の認定又は監視活動の一環として、外注先を評価することがある。 |
| Q.5.9. CBAM排出量に関する報告情報の信頼性は、どのように確保されるか | 欧州委員会は、加盟国当局と協力し、報告された排出量及び対応する貿易を継続的に監視し、CBAM規則及びその二次法令の迂回行為並びに不遵守を特定する。 2026年1月1日以降に輸入される製品について申告する実際の体化排出量は、認定CBAM検証者による検証を受けなければならない。検証者は、事業者が提示した体化排出量の算定が正しいことを確認する。申告者は、事業者による体化排出量の算定及び検証報告書をCBAM申告書に含めます。 欧州委員会及び加盟国の国家所管当局はCBAM申告書を審査する。CBAM申告書に誤りがある場合、国家所管当局は制裁金を科すことがある。 |
| Q.5.10. 輸入CBAM対象製品の体化排出量を検証するため、誰に連絡すればよいか | CBAM対象製品を生産する第三国の事業者のみが、CBAM算定方法に従って排出量をモニタリング及び算定し、その算定の検証を受けるかを決定できる。事業者がこの対応を行わない場合、申告者はデフォルト値を使用しなければならない。 事業者は、CBAMについて適正に認定された検証者を利用できる。すべての認定CBAM検証者はCBAM登録簿に登録される。また、欧州委員会は認定CBAM検証者の一覧を公開ウェブサイトで定期的に公表する。EUの国家認定機関にも、自らが認定した事業体に関する情報を公表する義務がある。 申告者は、登録済み事業者から検証済み実測値に関する情報をCBAM登録簿上で直接受け取る。2027年には、事業者はCBAM登録簿への登録を義務付けられていない。登録簿外で申告者へ情報を送付することもできる。この場合、申告者はCBAM申告書の提出の一環として、自ら当該情報をCBAM登録簿へアップロードする必要がある。CBAM申告書提出用の登録簿モジュールは2027年に開設される。 |
| Q.5.11. 輸入者である。 民間組織から有償の検証サービスを提供するとの連絡があるが、正当なものか | 輸入者が輸入製品の検証済み実測値に関する情報を受け取る相手は、当該製品を生産した第三国の事業者に限られます。それ以外の者から検証報告書の提供を持ちかけられた場合、詐欺である可能性が高いと考えられます。 最初の検証報告書は2027年初頭に作成される見込みである。第三国の事業者は、検証済み実測値に関する情報を申告者へ簡便かつ安全に送信できるよう、CBAM登録簿へあらかじめ登録することが望まれます。事業者がCBAM登録簿に登録していない場合、民間の通信手段で輸入者へ情報を送信し、輸入者が自らCBAM登録簿に当該情報を提出する必要がある。 |
| Q.5.12. CBAM対象製品を輸入している。2027年9月30日期限の最初のCBAM申告で、検証済み実測値を利用できるようにするにはどうすればよいか | 最初の段階は、CBAM対象製品を生産した事業者に連絡し、検証済み実測値を提供する意向があるか確認することである。事業者はCBAM登録簿へ登録することもでき、これにより申告者による検証済み実測値の利用が容易になる。 事業者は、2026年中に体化排出量をモニタリング及び算定するため、直ちに具体的な措置を講じるべきである。その後、算定の正確性を検証する認定CBAM検証者を探す必要がある。 国家認定機関は、最初のCBAM認定を2026年9月頃に発行する見込みである。認定が付与される前に検証業務を行うことはできないが、事業者は、CBAM認定の取得を目指している検証者と事前に連絡を取ることができる。これにより、認定取得後の2027年初頭に検証業務を速やかに実施できる。 将来の年度については、モニタリングシステムをすでに構築し、ある報告年度の検証済み実測値を提供した事業者は、将来の報告年度にも同じ対応を行う可能性が高くなる。将来も検証済み実測値を利用できるようにするには、事業者との連絡が重要である。 |
| Q.5.13. 輸入者である。 検証報告書の誤りについて責任を負うか | CBAM申告書の内容について法的責任を負う者は申告者のみであり、その内容には検証報告書も含まれる。償却すべきCBAM証書の総数に影響する誤りが検証報告書にある場合、申告者は制裁金を支払う責任を負うことがある。 誤りが検証者など第三者から提供された不正確な情報による場合、国家所管当局は制裁金の額を減額することがある。 申告者と国家所管当局との良好な協力及び対話が不可欠である。欧州委員会は、CBAM申告書の提出手続に関する実施法令を今後数か月以内に採択する。 |
| Q.5.14. 欧州委員会は、検証に関するガイダンス文書及び研修を提供するか | 欧州委員会の各部局は、DG TAXUDのCBAM専用ウェブページで情報及び研修資料を定期的に提供している。同ウェブページには、検証等のテーマに関するウェビナーへのリンクがある。 欧州委員会の各部局は、体化排出量の算定規則並びに認定及び検証規則をさらに説明するガイダンス文書を公表する。 |
| Q.5.15. 事業者である。 認定検証者による現地訪問を毎年設定する必要があるか | 原則として、検証者は製品を生産する施設を物理的に現地訪問する必要がある。重大、例外的かつ予見不能な事情がある場合を除き、初回の現地訪問では必ず物理的な現地訪問を行う。 2年連続で検証を受ける場合、2年目の物理的な現地訪問は、場合によってはバーチャル現地訪問に置き換えるか、訪問を免除することができる。ただし、厳格な条件を満たす特定の場合に限られます。施設が過度に複雑でなく、検証者が施設を十分に理解している必要がある。前回の物理的現地訪問以降、施設に重大な変更又は改修が行われていてはならない。また、検証者がすべての関連情報を遠隔で取得・評価でき、事業者の排出量報告書に重要な虚偽表示及び不適合がないとの合理的保証を得られる必要がある。 翌年にバーチャル現地訪問を行うには、前の報告期間中に物理的な現地訪問が行われていなければならない。現地訪問義務を免除するには、直近2報告期間中に物理的な現地訪問が行われていなければならない。 温室効果ガスを排出しない発電施設については、現地訪問義務に特別な免除がある。所定の条件を満たし、直近5報告期間中に少なくとも1回物理的な現地訪問が行われている場合、現地訪問を免除できる。 |
| Q.5.16. ロシアによる侵略戦争という困難な状況にかかわらず、検証者はウクライナの施設を物理的に現地訪問しなければならないか | 検証原則に関する実施規則(EU)2025/2546第4条(a)は、事業者の支配を超える重大、例外的かつ予見不能な事情、すなわち不可抗力がある場合、検証者が物理的な現地訪問の代わりにバーチャル現地訪問を行うことを認めてう。検証者は、その特別な事情を克服できないことを確認しつつ、報告書に重要な虚偽表示がないとの合理的保証をなお得られるよう措置を講じる必要がある。 ロシアによるウクライナへの侵略戦争は、重大、例外的かつ予見不能な事情に該当する。 検証者がバーチャル現地訪問を行うとの決定は、国家認定機関による事後審査の対象となる可能性がある。また、CBAM申告書の審査の一環として、欧州委員会及びNCAによる審査の対象となる可能性もある。この規定の適用に関する詳細は、欧州委員会の各部局が現在作成中の認定及び検証に関するガイダンス文書で示される。 |
| Q.5.17. 申告者である。 ある製品について検証済み実測値を提示するには、どの検証報告書を使用すべきか | 申告者は、輸入製品の生産に内包される検証済み実測値を提示しなければならない。したがって、検証済み実測値は、製品の生産年又は「報告期間」に対応する必要がある。立証負担を軽減するため、生産年は輸入年と推定される。例えば、CBAM対象製品を2026年1月1日に輸入した場合、報告期間は2026年と推定され、申告者は2027年9月30日期限のCBAM申告書で2026年に対応する検証済み実測値を提示する必要がある。 ただし、実際の生産時期を特定する十分な証拠がある場合、申告者は製品が生産された期間に対応する報告期間を使用できる。例えば、2027年1月1日に輸入した製品が2026年11月30日に生産されたことを示す証拠がある場合、申告者は、推定に基づく2027報告年の検証済み実測値を使用するか、実際の生産時期の証拠を提出して2026報告年の検証済み実測値を使用できる。 2026年中に輸入された製品については、実際にはそれ以前の年に生産されていた場合でも、報告期間は法令上2026年と定められている。2026報告年に対応する検証済み実測値がない場合、デフォルト値を使用しなければならない。 |
| Q.5.18. 事業者である。 自らの施設で生産していないが使用した前駆体について、検証済み実測値を利用できるか | 前駆体の体化排出量は、他のCBAM対象製品と同様に扱われ、デフォルト値又は検証済み実測値のいずれかを使用できる。 実測値を使用する場合、前駆体を生産する施設の事業者は、複雑製品を生産する施設の事業者へ検証済み実測値を提供しなければならない。2028年以降、事業者はCBAM登録簿を通じて前駆体の検証済み実測値を相互に共有できるようになる。それまでは、CBAM登録簿外で情報を交換する必要がある。 複雑製品の事業者が算定した体化排出量の検証の一環として、CBAM検証者は、前駆体の検証報告書を審査し、当該報告書を信頼できることを確認する。原則として、検証者は複雑製品の報告期間又は生産年に対応する検証報告書を評価する。ただし、実際の生産時期を決定する十分な証拠がある場合、前駆体の報告期間に対応する検証報告書を評価することもできる。 |
| Q.5.19. 検証要員(主任検証者及び技術審査者)には、英語能力の証明が必要か | 各検証業務について、検証者は、英語で効果的に意思疎通する能力を証明したCBAM主任審査員1名を含む検証チームを編成しなければならない。さらに、チームには、事業者が使用する言語で効果的に意思疎通できるCBAM審査員を少なくとも1名含める必要がある。 検証報告書は英語で発行しなければならない。検証報告書案及び内部検証文書を審査する独立審査者も、英語で効果的に意思疎通できなければならない。 |
| Q.5.20. 2025年に生産され、2026年に輸入される製品は、生産年にかかわらずCBAMの対象となるか | はい。CBAMは、製品の生産時期又は売買契約の締結時期にかかわらず、2026年以降にEUへ輸入されるすべてのCBAM対象製品に適用される。 重要なのは、EU加盟国の税関当局が、CBAM対象製品を自由流通へ引き渡す税関申告を受理した時点である。したがって、2025年に生産され、2026年に輸入される製品はCBAMの対象となる。 2026年中に輸入される製品について、体化排出量の決定に用いる報告期間は、実際にはそれ以前の年に生産された場合でも、法令上2026年と定められている。この推定は、申告者がすべての輸入製品の生産年を証明しなければならない事態を避け、立証負担を軽減するためである。2026年については、2026年1月1日より前に生産された製品の生産時期に対応する排出量データを提示することはできない。当時はCBAM検証も認定CBAM検証者も存在せず、検証済み実測値を報告できなかったためである。 |
| Q.5.21. 別の施設で生産された前駆体からの排出量は、どのように計上すべきか | 別の施設で生産された前駆体から排出が生じる場合、2つの選択肢がある。事業者は、前駆体の体化排出量についてデフォルト値を使用するか、前駆体の施設に対応する検証報告書があることを条件に、事業者の検証者が検証済み実測値を考慮することができる。 考慮できる実測値は、検証報告書に記載されたものに限られます。複雑製品の検証報告書には、実測値を報告したすべての前駆体に関する要約情報が含まれる。 |
セクター別規則に関する質問(Q6.1~Q6.13)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 「セメント」に関する質問 | |
| Q6.1. セメントはCBAMの対象となる複雑製品として定義されるか | はい。セメントはCBAMの対象となる複雑製品として定義される。これは、クリンカーがセメントの前駆体であり、クリンカー自体もCBAMの対象であるためである。 |
| 「肥料」に関する質問 | |
| Q6.2. 肥料生産に伴う発熱化学反応は、直接排出量として計上されるか | 反応によってCO2が生成され、例えば有機化学物質の酸化により生じたCO2が排出される場合、その排出量は直接排出量として計上される。 天然ガスから水素への転換に伴う排出量も、直接排出量として計上される。 |
| Q6.3. 尿素に結合したCO2を負の排出量として計上できるか | いいえ。EU ETSでは、尿素に結合したCO2は負の排出量として計上されない。したがって、CBAMにおける排出量報告でも、尿素に結合したCO2について控除は適用されない。これは、アンモニア生産で発生し、尿素生産へ移送されたCO2が、アンモニア生産における排出量として計上されることも意味する。 |
| 「鉄鋼」に関する質問 | |
| Q6.4. 鉄鋼製品の体化排出量を算定する場合、石灰焼成炉やコークス炉施設などの補助工程は算定境界に含まれるか | システム境界は、生産された製品が属する集約製品区分に応じて各生産工程について定義され、実施規則(EU)2025/2547附属書Iに定められている。 石灰焼成炉及びコークス炉施設は、鉄鋼生産のシステム境界には含まれない。これらの施設からの産出物、すなわち石灰及びコークスは、それ自体がCBAM対象製品ではないためである。その結果、石灰及びコークスは、固有体化排出量の算定における前駆体ともみなされない。 |
| Q6.5. 鉄鉱石ペレットはCBAMの対象となるか | はい。鉄鉱石ペレットは、CNコード2601 12 00「焼いた硫化鉄鉱を除く、凝集させた鉄鉱及びその精鉱」に該当する。 |
| 「アルミニウム/鉄鋼」に関する質問 | |
| Q6.6. アルミニウム/鉄鋼製品の体化排出量は、合金の等級ごとに個別に決定すべきか | 体化排出量は、各機能単位について決定する。実施規則(EU)2025/2547第4条により、機能単位は、同条に定める例外を除き、原則として「同一のCNコードに分類される生産製品のトン単位の量」と定義される。したがって、固有体化排出量はCNコードごとに個別に算定しなければならない。 同一CNコード内でも、合金元素の含有量又は投入スクラップの割合が異なる場合がある。それでも、合金元素の含有量の違いにかかわらず、体化排出量はCNコードごとに報告しなければならない。 |
| 「CBAM対象製品としての電力」に関する質問 | |
| Q6.7. EU加盟国の排他的経済水域(EEZ)で発電された電力にCBAMは適用されるか | いいえ。このような電力はCBAMの対象ではない。 この電力について、認可CBAM申告者の地位を申請する義務も、CBAM登録簿へアクセスする義務もない。 |
| Q6.8. 本格適用期間における電力輸入の認可CBAM申告者は誰か | 他のCBAM対象製品と同様に、電力に係る認可CBAM申告者は、税関申告書に自己のCBAM口座番号を記載する者、すなわち輸入者又は間接税関代理人である。 他のCBAM対象製品と同様に、EU域外に設立された輸入者は、CBAM上の義務を履行するため間接税関代理人を任命しなければならない。CBAM対応のためにサービス提供者を任命することもできるが、これによって輸入者又は該当する場合の間接税関代理人の責任が免除されることはない。 |
| Q6.9. 本格適用期間における電力輸入について、誰が「認可CBAM申告者」になるための申請をすべきか | 他のCBAM対象製品と同様に、電力の輸入者又は輸入者の間接税関代理人のいずれかが、「認可CBAM申告者」になるための申請を行うことができる。CBAM上の「輸入者」とは、自由流通への引渡しのための税関申告を行う者、又は間接税関代理人が税関申告を行う場合には、その申告が代理して行われる相手方をいう。 CBAM規則第5条第4項により、明示的容量割当を通じて電力輸入の送電容量が割り当てられる場合、認可手続には特別な制度がある。ただし、この特別な認可制度は、誰がCBAM申告者となり得るかを決定する特別制度を意味するものではない。 CBAM規則第5条第4項の対象となり、CBAM申告者とみなされる電力輸入者は、税関申告を行った加盟国の所管当局へ裏付け文書を提出する必要がある。対象となる電力に係る過去の税関申告を用いることもできる。裏付け文書により、明示的容量が輸入者に割り当てられ、輸入者が当該容量を指定したことを証明する必要がある。NCAは、その後、輸入者へCBAM口座番号を自動的に割り当てます。輸入者は、2026年1月1日以降、CBAM対象製品に係る税関申告でこのCBAM口座番号を使用する必要がある。 容量を割り当てられ、当該容量を指定する者が、上記定義による「輸入者」でない場合、第5条第4項は適用されない。この場合、「輸入者」は通常の認可手続に従う必要がある。同様に、容量を割り当てられ、当該容量を指定する者が「輸入者」であっても、CBAM対応に間接税関代理人を利用する場合、その間接税関代理人は通常の認可手続に従う必要がある。 第三国に設立された輸入者は、CBAM上の義務を履行するため間接税関代理人を任命しなければならない。この間接税関代理人は、通常の認可手続に従う必要がある。 |
| Q6.10. 輸入電力の体化排出量の決定には、どのCO2排出係数を使用すべきか | 輸入電力のデフォルト値は、欧州委員会が利用可能な最良のデータに基づき、第三国、第三国のグループ又は第三国内の地域について決定する。デフォルト値は、国際エネルギー機関(IEA)の5年間の平均データに基づく国別CO2排出係数である。これらは、デフォルト値に関する実施法令(EU)2025/2621附属書IIIに掲げられている。 輸入電力の生産国について特定のデフォルト値がない場合、EUのCO2排出係数を使用する。この係数もIEAのデータに基づくものであり、デフォルト値に関する実施法令(EU)2025/2621附属書IIIに記載されている。 |
| Q6.11. 通過中の電力にCBAMはどのように適用されるか | 通過中の電力にCBAMがどのように適用されるかは、その通過の状況によって異なる。以下の3つの場合を検討する。ここで「第三国」とは、CBAMが適用される国及び領域を指す。 ・ケース1:電力がEUで生産され、第三国へ送電された後、EUへ再び入り、EUで消費される場合。この場合、電力の原産国はEU加盟国であるため、CBAMは適用されない。 ・ケース2:電力が第三国Aで生産され、EUへ入った後、消費のため別の第三国Bへ送電される場合。CBAMは適用されない。CBAMは、EUで自由流通へ引き渡される電力、すなわち輸入される電力にのみ適用される。電力がEU通過手続に付され、輸入されない場合、CBAMは適用されない。 ・ケース3:電力が第三国Cで生産され、別の第三国Dへ送電された後、EUへ入り、EUで消費される場合。CBAMが適用される。この電力の体化排出量をCBAM上デフォルト値により算定する場合、算定には第三国Cの値を使用する。 |
| Q6.12. 電力の実際の体化排出量を申告するための要件、いわゆる「条件性」とは何か | CBAM規則附属書IV第5項の基準、いわゆる「条件性」を満たす場合、特定の発電施設の実排出量データを使用できる。以下の基準は累積的であり、すべて満たさなければならない。 ・実際の体化排出量の使用を申請する電力量が、認可CBAM申告者と第三国に所在する発電事業者との間の電力購入契約の対象となっていること。 ・発電施設がEU送電系統へ直接接続されていること、又は輸出時に当該施設とEU送電系統との間のネットワークのいずれの地点にも物理的な系統混雑がなかったことを証明できること。 ・発電施設の化石燃料由来CO2排出量が、電力1kWh当たり550グラム以下であること。 ・実際の体化排出量の使用を申請する電力量が、原産国、仕向国及び該当する場合には各通過国のすべての責任ある送電系統運用者によって、割り当てられた連系容量に確定的に指定されていること。また、指定された容量及び当該施設による発電が同一の時間帯に対応し、その時間帯が1時間を超えないこと。 上記要件を満たしていることを証明するために提出すべき証拠は、算定方法に関する実施規則(EU)2025/2547附属書II D.2.4に定められている。 欧州委員会は、2025年12月17日に提出したCBAM改正提案において、電力の実際の体化排出量を申告するための条件を変更することを提案している。この提案は共同立法者による審議中であり、その審議結果を予測することはできない。当面は、実際の体化排出量を申告する際、上記の条件を遵守しなければならない。 |
| Q6.13. 電力の体化排出量を決定するシステム境界は何か | 報告では、発電時の直接CO2排出量のみを考慮する。例えば、風力タービンの製造及び設置に関連する上流排出量は考慮しない。 |
税関に関するQ&A(Q7.1~Q7.24)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 税関全般に関する質問 | |
| Q7.1. 輸入者は、税関申告とCBAM申告で異なる税関代理人を利用できるか | はい。本格適用段階のCBAM制度では、CBAM上の義務は、輸入者又は該当する場合には認可CBAM申告者として行動する間接税関代理人に帰属する。 輸入者がEU加盟国に設立されている場合、当該輸入者がCBAM上の義務の履行について責任を負い、認可CBAM申告者の地位を有しなければならない。ただし、関係製品について間接税関代理人が認可CBAM申告者として行動する場合を除く。 輸入者がEU加盟国に設立されていない場合、間接税関代理人が認可CBAM申告者として行動し、輸入製品に関するCBAM上の義務の履行について責任を負わなければならない。 同一の税関申告の対象となるCBAM対象製品について、認可CBAM申告者として行動できる間接税関代理人は1者のみである。 認可CBAM申告者は、自己に代わって行動する他の者へ、CBAM申告書の技術的な提出を委任できる。この委任は法的責任に影響を及ぼさず、法的責任は認可CBAM申告者に残る。 |
| Q7.2. 間接税関代理人がCBAM申告を行うことに同意しない場合、どうなるか | これは、輸入者がEU域内に設立されている場合に限り可能である。これに対し、輸入者がEU域内に設立されていない場合、輸入者はCBAM上の義務を履行する間接税関代理人を任命しなければならない。 拒否が可能な場合に間接税関代理人が認可CBAM申告者として行動することに同意しないときは、当該間接税関代理人は輸入者へその旨を通知し、CBAM要件を遵守する義務があることを輸入者へ知らせなければならない。 |
| Q7.3. 直接税関代理人は、EU域内に設立された企業の認可CBAM申告者として行動できるか | EUの輸入者は、直接又は間接の税関代理人を任命できる。ただし、CBAM上の義務は、税関申告書にCBAM口座番号を記載した者が負う。 輸入者が直接税関代理人を任命した場合でも、CBAM上の義務については当該輸入者が引き続き責任を負う。すなわち、CBAM上、輸入者が申告者であり続ける。 輸入者が、CBAM上の義務を遵守するために必要な文書の作成及び提出を支援するサービス提供者を任命することは妨げられない。ただし、その場合でも、CBAM上の義務を遵守する責任は、輸入者又は該当する場合には間接税関代理人が負う。 |
| Q7.4. 輸入者が第三国で登記された会社の支店であり、両者が同じEORI番号を共有する場合、どのNCAが所管するか | 親会社がEU加盟国に設立されていない法人であり、EU加盟国に支店を有するものの、その支店が規則(EU)2023/956第3条第18号に定める「者」に該当しない場合、親会社及び支店のいずれも認可CBAM申告者となる資格を有しない。この場合、間接税関代理人による代理が必要である。 親会社がEU加盟国に設立された支店、例えば登記上の事務所を有し、その支店が規則(EU)2023/956第3条第18号の「者」の定義を満たす場合、当該支店が設立されている加盟国が、その支店についての所管NCAの加盟国とみなされる。 |
| Q7.5. EUを通過する製品はCBAMに基づき申告しなければならないか | いいえ。例えば理事会規則(EC)No 1186/2009第95条に基づく一時輸入として申告される製品は、CBAMの対象にはならない。EUで自由流通へ引き渡される製品のみがCBAMの対象である。 同様に、試験用に送付される物品などEU域外原産のサンプルで、一時輸入として申告され、自由流通へ引き渡されないものにはCBAMは適用されない。 CBAM対象製品としての電力については、本書の第6章「セクター別規則」の質問6.7~6.13も参照すること。 |
| Q7.6. 輸入以外の税関手続(例:一時輸入)への不遵守によりEU域内で自由流通に入ったCBAM対象製品で、当該不遵守手続によって関税及び租税がすでに支払われている場合、CBAM義務は適用されるか | 製品を自由流通へ引き渡すには、CBAM要件が履行されていなければならない。したがって、当該要件が履行されているかの確認は、自由流通への引渡しに先立って行うべきである。 不遵守の場合、欧州連合関税法典(UCC)第198条第1項(b)が適用される。すなわち、製品が禁止又は制限の対象であるため引き渡すことができない場合、税関当局は、没収及び売却又は廃棄を含め、製品を処分するために必要な措置を講ず。これは、履行されていないCBAM要件の対象に当該製品が含まれるためである。 この場合、UCC第198条第2項も適用される。すなわち、国に放棄され、差し押さえられ、又は没収された非EU製品は、保税倉庫手続に付されたものとみなされる。 |
| Q7.7. 域内加工手続に付されたCBAM対象製品を申告する必要があるか | CBAM上の義務が発生するのは、EUで自由流通へ引き渡される製品のみである。したがって、将来の輸出又は加工を目的として関税停止手続に付されたCBAM対象製品については、CBAM上の義務は発生しない。 ただし、域内加工手続に付されたCBAM対象製品が自由流通へ引き渡される場合、CBAM上の義務が適用される。 域内加工手続に付されたCBAM対象製品が加工され、その加工製品が自由流通へ引き渡される場合、認可CBAM申告者は、最終製品が附属書Iに掲げられていない場合でも、域内加工手続に付され、その輸入製品の製造に使用されたCBAM対象製品の量及び体化排出量をCBAM申告書へ記載しなければならない。 この場合、域内加工手続の終了に関する税関文書(精算書を含む)を検証及び管理の目的で使用できる。特に、域内加工手続に付されたCBAM対象製品と自由流通へ引き渡された製品との関係を確認するために使用できる。 |
| Q7.8. 輸入したCBAM対象製品に関税停止措置がある場合、CBAMは免除されるか | EU法令には、一部の農産品及び工業製品について、規則(EU)No 952/2013第56条第2項(c)にいう共通関税率の適用を停止する規則(EU)2021/2278を改正する、2023年12月19日付の理事会規則(EU)2023/2890など、関税停止措置が定められている。 このような関税停止措置はCBAM上の義務に影響を及ぼしない。関税停止措置がある場合でも、CBAM上の義務は引き続き適用される。 |
| Q7.9. 間接税関代理人が一部の製品についてのみCBAM申告者として行動し、その他の製品については行動しないことに同意する場合、2つの税関申告が必要か | はい、そのとおりである。一部の製品についてのみCBAM申告者として行動することに同意する間接税関代理人は、CBAM申告者として行動する製品について1件、行動しない製品について1件の、2つの別個の税関申告を提出する必要がある。 |
| Q7.10.「申告者の記録への記載」(EIDR認可)を有する間接税関代理人は、EU輸入者の税関手続を代理する場合、CBAM申告者として行動することを拒否できるか | 実施規則第2条第1項(b)は、「申告者の記録への記載」(EIDR認可)により輸入する認可を有する者がCBAM申告者として行動できることを定めている。 実施規則第8条第3項の一般規定はこの場合にも適用される。したがって、EIDR認可を有する者もCBAM申告者として行動することを拒否できる。 |
| Q7.11. CBAM義務の免除は、TOROを使用する場合を含め、域内加工EX/IM(事前輸出)に適用されるか | 域内加工EX/IMは、EU加工製品を輸出し、当該輸出加工製品に対応する同等量の非EU原材料を、EU関税地域へ搬入する際に域内加工として申告する場合に適用される。 これらの非EU原材料は域内加工手続で申告され、自由流通へ引き渡されないため、CBAMの対象ではなく、CBAM上の義務の適用外となる。 権利義務移転(TORO)の使用はこの評価に影響せず、CBAM上の義務の適用可能性を判断するうえで関係しない。 ただし、規則(EU)2023/956第27条の条件を満たす場合、欧州委員会がこのような取引を監視し、迂回行為に該当する可能性を評価することは妨げられない。 |
| Q7.12. EU関税地域及びCBAMの適用に関して、北アイルランドの現在の地位はどうなっているか | CBAMは、EU・英国離脱協定のアイルランド及び北アイルランド議定書(NIP)附属書2に掲げられていない。したがって、CBAMは北アイルランドには適用されない。 |
| Q7.13. 北アイルランドはEU関税地域の一部か | いいえ。北アイルランドはEU関税地域の一部ではない。ただし、アイルランド及び北アイルランド議定書第4条及び第13条第1項に基づき、欧州連合関税法典(UCC)が北アイルランドに適用される。 |
| Q7.14. 北アイルランドからEUへ移送される英国(GB)原産製品はCBAMの対象となるか | はい。北アイルランドからEUへ移送される英国(GB)原産製品は、EU関税地域へ輸入される場合、CBAMの対象となる。 |
| Q7.15. 北アイルランドに設立された企業は、CBAM対象製品をEUへ輸入する際、間接税関代理人を利用しなければならないか | はい。北アイルランドに設立された企業は、第三国からのCBAM対象製品をEUで自由流通へ引き渡す際、間接税関代理人を利用しなければならない。 |
| 「原産地規則」に関する質問 | |
| Q7.16. EU原産はどのように立証すべきか | CBAM上、EU原産を立証する場合、EU原産製品にはコードY237を使用する。EUの非特恵原産地は、他の非特恵原産地と同じ方法、すなわち自由な証拠に基づいて立証する。PEM特恵原産地証明の使用については質問7.18も参照すること。 |
| Q7.17. 附属書IIIに掲げる国及び領域について、申告データの提供及びCBAM対象製品の原産国の立証にはどの規則を使用するか | 申告における各データの提供には標準的な規則を適用し、原産国の立証にも標準的な規則を適用する。質問7.16の回答も参照すること。 CBAMは、規則附属書IIIに掲げる国及び領域には適用されない。これらの国はTARICにおける統合措置の対象外であるため、EUへの輸入時にその種の文書コードは不要であり、そのようなコードも作成されない。 CBAMから同様に除外されるビュージンゲン、ヘルゴラント又はリヴィーニョについては、コードY134が適用される。 |
| Q7.18. スイスからEU関税地域へ搬入されるCBAM対象製品について、非特恵原産地を立証するために特恵原産地証明を使用できるか | EUの「非特恵原産地規則に関するガイダンス」によれば、非特恵原産地の証明とは、申告された非特恵原産地を裏付けるために提出されるすべての証拠をいう。原則として、特恵原産地証明は非特恵原産地の証明として認められない。ただし、申告者が、関係製品がUCC第60条に従って原産国を決定する際に適用される規則と同一の規則に従い特恵原産資格を取得したことを立証できる場合、申告された非特恵原産地の確認において考慮されることがある。 したがって、スイスとの貿易におけるCBAM上、PEM特恵原産地規則により発行された原産地証明は、特恵原産地規則が非特恵原産地規則と同一又はより厳格であり、累積が適用されず、かつ非累積に関する情報が当該証明に記載されている場合、CBAM対象製品について使用できる。 EUのCBAM対象製品をスイスでの追加生産の材料として用いる場合、当該材料の加工が、EUの非特恵原産地規則上はスイスの非特恵原産地を付与するには不十分である一方、PEM規則に従って適用される累積によりスイスの特恵原産地が付与される場合がある。CBAM上、このようなCBAM対象製品はEUの非特恵原産地を維持し、CBAM関連規定から引き続き免除される。 |
| Q7.19. CBAMに関して、ノルウェー及びアイスランドがスイスと異なる取扱いを受けているのはなぜか | 現時点及び2026年のCBAM本格適用段階に関して、ノルウェー及びアイスランドの取扱いは、スイスと比べて相違ない。3か国のいずれかを原産とする製品はCBAMから免除される。 CBAM規則第2条第4項は、第1項及び第2項の例外として、附属書III第1項に掲げる第三国及び領域を原産とする製品には同規則を適用しない旨を定めている。ノルウェー、アイスランド及びスイスなどが附属書IIIに掲げられている。 ノルウェー及びアイスランドがCBAM規則をEEA協定へ組み込んだ後、状況は変わる。両国は2027年1月1日からの組込みを目指している。組込み後、ノルウェー及びアイスランドは対外国境でCBAM対象製品にCBAM規則を適用し、非特恵原産地規則に関するUCCの法的枠組みに従ってCBAM対象製品の原産地を決定する。EEA・EFTA諸国ですでに自由流通へ引き渡されCBAMの対象となった第三国原産のCBAM対象製品は、EUへ輸入される際に再度CBAMの対象とはならない。 2027年1月1日以降、EEA・EFTA加盟国の関税地域内ですでに自由流通へ引き渡された製品には、TARIC文書コードY423「EEA・EFTA加盟国の関税地域内ですでに自由流通へ引き渡された製品」を使用する。 |
| Q7.20. CBAMは「再輸入品」に適用されるか | 再輸入品とは、欧州連合関税法典(規則(EU)No 952/2013)第203条の条件を満たす製品である。これらの製品は、自由流通へ引き渡される際に輸入関税の免除を受けます。 2026年1月1日から適用されるCBAM本格適用期間では、欧州連合関税法典第203条の対象となる非EU原産の再輸入品はCBAMの対象である。規則(EU)2023/956第6条第5項に従い、これらの製品を年次CBAM申告書に含め、体化排出量の合計を「ゼロ」として報告しなければならない。 申告する体化排出量がゼロであっても、輸入者が50トン基準を超えるかを判定する際に、再輸入品を考慮しなければならない。 欧州連合関税法典第205条に定める再輸入品について、申告者は、他のCBAM対象製品の輸入と同じ方法で体化排出量を報告しなければならない。 これらの規定は非EU原産製品にのみ適用される。適用される原産地規則に従って再輸入品がEU原産である場合、CBAMは適用されない。 |
| Q7.21. CBAM対象製品の原産国はどのように決定するか | CBAM対象製品の原産国は、UCC法令に定めるEUの非特恵原産地規則に基づいて決定する。 |
| Q7.22. CBAM対象製品の「原産国」と「生産国」の違いは何か | CBAM対象製品の「原産国」は、上記質問7.21「CBAM対象製品の原産国はどのように決定するか」に記載する方法で決定する。 「生産国」とは、CBAM対象製品について最後の物理的加工が行われた国をいう。ただし、包装は除く。CBAM報告では、この最後の物理的加工が行われた施設の事業者のみが製品の固有体化排出量を決定できるため、生産国が重要となる。また、輸入電力の体化排出量及び間接体化排出量の算定で使用するデフォルト排出係数を特定する場合にも、生産国が関係する。 多くの場合、あるCBAM対象製品の「原産国」と「生産国」は同一であるが、場合によっては異なることがある。 |
| 「TARIC文書コード」に関する質問 | |
| Q7.23. 輸入者がすでに認可CBAM申告者の地位を有するが、まだ50トン基準を超えていない場合、どのTARIC文書コードを使用すべきか | 輸入者がすでに認可CBAM申告者の地位を有し、当該年中に50トン基準を超えることを認識している場合、基準を超えることを認識した時点から、CBAM口座番号とともにTARICコードY128を使用する。 TARICコードY137の使用が適切なのは、50トン基準を超える見込みがないと申告する輸入者に限られます。基準を超えることが予見可能となった時点で、Y128が正しいコードとなる。 |
| Q7.24. 域内加工手続に付されていたCBAM対象製品を自由流通へ引き渡し、又はEEZへ搬入する場合、税関申告にはどのYコードを記載すべきか。 Y422及びY128の双方を申告すべきか | CBAM対象製品が域内加工手続に付された後、自由流通へ引き渡され、又はEEZへ搬入される場合、事業者は税関申告書に常にコードY422を記載しなければならない。 他のYコードも適用される場合、そのコードをY422に加えて申告しなければならない。例えば、次の場合がある。 ・認可CBAM申告者の地位に係る申請を提出済みであるものの、まだ決定がなされていない場合はY238。 ・輸入者がすでにCBAM口座番号を有する場合はY128。 この場合、Y422を、適用されるその他のYコードと併せて申告しなければならない。製品が以前に域内加工手続に付されていたことを識別するため、コードY422は必須である。 |
CBAM規則 新第27条Aに関するQ&A(2026年1月8日公表)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q1. CBAMが製品の価格に深刻な影響を及ぼした場合、欧州委員会はどのような措置を講じることができるか | 現在のところ、CBAM規則では、措置の適用範囲から製品を一時停止または除外することは認められていない。物品リストの変更を行うには、欧州議会および理事会の合意を得た上で、規則の改正が必要となる。 したがって、欧州委員会は、昨年12月17日に採択された法案の一環として、新たな第27条Aを盛り込んだ。これにより、製品価格への影響に関連する深刻かつ予期せぬ状況により、附属書Iへの物品の 掲載がEU域内市場に重大な損害をもたらすと欧州委員会が判断した場合、同委員会は当該物品を附属書Iのリストから一時的に除外することができるようになる。 第27条A(2025年12月に欧州委員会により採択されたもの)が共同立法機関(※欧州議会および理事会)によって採択された場合 、欧州委員会は、重大かつ予見不能な状況により、CBAMが特定の製品の価格に及ぼす影響が、EU域内市場に深刻な損害をもたらしていることを示す関連証拠があるかどうかを評価することとなる。当該評価の結果、CBAM対象品目を附属書Iから除外すべきであると結論付けられた場合、欧州委 員会は、当該品目をCBAM規則の附属書Iから除外する権限を有することとなる。 欧州委員会がそのような証拠が存在するあると結論付けた場合、当該影響を受ける製品を、委任規則の採 択を通じてCBAM規則の適用範囲から除外することができ、その措置は、その深刻かつ予見不能な状況が解消されるまで継続する。これらの措置は、CBAM規則の附属書Iに規定されるあらゆる製品に適用されうる。 |
| Q2. 欧州委員会が第27条Aを適用する場合(共同立法機関(※欧州議会および理事会)が欧州委員会の提案通り採択された場合)、特定の製品をCBAM規則の適用範囲から除外する措置は遡及的に適用されるか | はい、可能である。 第27条A(2025年12月に欧州委員会が採択したもの)が共同立法機関によって採択され、かつ欧州委員会が具体的な事例を審査した結果、同条の要件が満たされていると結論付けた場合、欧州委員会は、当該製品をCBAM規則の附属書Iから除外するための委任規則を採択する必要がある。EU域内市場に深刻な損害をもたらすような、重大かつ予見不能な状況は、その委任規則が採択され官報に掲載される前に生じている可能性も高い。ゆえに当該製品は、遡及的に、すなわち欧州委員会が第27条Aに定められた条件が満たされ始めたとみなした時点から遡って、CBAM規則の適用範囲から除外されなければならない。 |
| Q3. 欧州委員会が2026年1月1日にさかのぼって第27条Aを適用することを決定し、かつ、CBAM申告者が当該措置の適用される期間中に輸入された対象品目についてCBAM証書を購入していた場合、どうなるのか | CBAM規則第20条により、CBAM証書は2027年2月1日以降にしか購入できないため、この状況は2026年には適用されない。第27条Aに基づく委任規則 がその日より前に適用されたとしても、CBAM証書は購入できなかったはずであり、したがって、CBAM申告者に対して財務的な影響は生じない。 しかし、第27条Aに基づく委任規則がその日以降に適用され、かつCBAM申告者が2026年以降の輸入に 対応するCBAM証書を購入していた場合、当該製品の輸入に対してCBAM証書を購入したCBAM 申告者に対し、その証書の購入代金を払い戻す必要がある。 この手続きは、当該措置の遡及効による当然の結果である。この払い戻しは、EUの法的文書に規定されなければならないが、それは第27条Aに基づく委任規則となるか、あるいは別の文書となる可能性もある。 |
CBAM規則全般に関するQ&A(2025年12月17日公表)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| なぜCBAMの適用範囲が川下製品にまで拡大されたのか | CBAMは現在、アルミニウム、セメント、電力、肥料、水素、鉄鋼といったいくつかの基礎素材に適用されている。これは、輸入製品に含まれる排出量に価格を付けるものである。これにより、EUの排出量取引制度(ETS)の下で同等の炭素価格が支払われているEU域内で生産された基礎素材との公平な扱いが確保される。 これらの基礎材料を投入材として、バリューチェーンの川下にある製品(川下製品)を製造するEUの生産者は、CBAMの段階的な導入およびETSの無償割当の段階的な廃止により、コスト増に直面する可能性がある。 対象となる川下製品の圧倒的多数(94%)は、鉄鋼およびアルミニウムの含有率が高い(平均79%)産業用サプライチェーン製品であり、重機や特殊機器(非鉄金属製金具、シリンダー、産業用ラジエーター、鋳造用機械など)に使用されている。また、対象となる川下製品のごく一部(6%)は、洗濯機などの家庭用品である。 EU域内でこれらの選定された川下製品を生産する企業は、輸入品(CBAMを通じて)およびEU域内産品(EU ETSを通じて) の両方に炭素価格制度が導入されることにより、原材料や部品のコスト上昇に直面する可能性がある。 これにより、気候政策の目標がより緩やかな第三国へ生産が移転したり、EU産品が炭素集約型の輸入品に置き換えられたりする場合に生じる「炭素漏出」が発生する可能性がある。 このリスクを認識し、CBAM基本規則第30条は、欧州委員会に対し、炭素漏出のリスクがある川下製品を選定することを求めている。これに基づき、「欧州鉄鋼・金属行動計画」における公約に沿って、欧州委員会は、特定の鉄鋼およびアルミニウムを多用する川下製品について、CBAMの適用範囲を拡大することを提案している。 川下製品をCBAMの適用範囲に含めることで、これらの製品について、輸入製品に含まれる排出量に対して、EU域内で生産された製品に関連する排出量と同等の価格が支払われることなる。 |
| 川下製品への適用拡大の対象となる製品は何か | 「鉄鋼・金属行動計画」で発表された通り、本提案は鉄鋼およびアルミニウムを多用する川下製品に焦点を当てている。具体的には、現在CBAMの対象となっている鉄鋼・アルミニウム製品を用いて製造され、バリューチェーンのより下流に位置する製品に重点を置いている。 合計で、180品目の川下製品がCBAMの対象範囲に追加される。これらは、炭素漏出のリスクが高く、鉄鋼および/またはアルミニウムの含有率が高い(平均で鉄鋼・アルミニウム含有率79%)製品である。選定された川下製品の輸入量は、数量ベースで既にCBAMの対象となっている製品の約15%を占める。金額ベースでは、この割合は約 53%となる。 2030年までに、これらの製品から得られる見込み収入は、現行のCBAM対象範囲に基づく見込み収入の 約20~25%になると推定されている。 影響を受けるセクターの例としては、機械、金物・加工品、自動車部品、家電製品、建設機械などが挙げられる。対象 として提案されている川下製品の例としては、95%以上がステンレス鋼で構成される撚り線、ロープ、ケーブルがある。しかし、提案リストには、約 60%が鉄鋼、5%がアルミニウム、5%がセメントで構成される洗濯機など、複数のCBAM対象素材を基にしたより複雑な製品も含まれている。 |
| 下流への適用拡大の対象となる製品はどのように選定されたのか | 当初のCBAMで採用されたアプローチに従い、製品の選定は、個々の製品の炭素漏出リスク、気候変動への関連性、および当該製品をCBAMに組み込む技術的な実現可能性の評価に基づいて行われた。 炭素漏出のリスクは、貿易集約度とコストプッシュという2つの指標を用いて評価された。 取引が容易な製品は、炭素漏出のリスクが高くなる可能性がある。これは、生産地の移転や第三国からの輸入品による代替で起こりうる。 コストプッシュ指標は、製品の総価値に対する炭素価格(組み込まれた排出量に対して支払われる価格)を表すものである。これにより、カーボンプライシングによって製品の価格がどの程度上がる可能性があるかを把握できる。 さらに、セクターレベルでの総排出量が一定の閾値を下回る製品を除外するために、排出量の下限値が適用された。これにより、気候変動への関連性が最も高い製品のみがCBAMの適用範囲に含まれることが保証される。 最後に、技術的な実現可能性の観点から、製品の材料構成について検討を行った。これは、下流への適用対象となる 製品の重量の大部分をCBAM対象の基礎材料が占めるようにすることで、体化排出量の算定をより現実的なものにするためである。さらに、CBAM対象の基礎材料が総重量のごく一部に過ぎない製品に比べ、こうした製品のサプライチェーンは複雑さが低いと考えられる。 |
| CBAMは川下製品にどのように適用されるのか | 新たに追加された川下製品への排出量の帰属に関する方法論上の規則では、排出量算定の境界は、その製品がEU域内で生産されていたと仮定した場合のEU ETSの境界を超えることはないと保証されている。簡単に言えば、これは前駆体からの排出量のみを考慮すべきであり、下流工程からの排出量は考慮すべきではないことを意味する。 例えば、第三国で生産された自動車のドアについては、その製造に使用された鋼板の量に内在する排出量に対してのみCBAMが適用されるべきであり、鋼板を部品に加工する工程や、その組み立て工程については適用されるべきではない。これは、EU域内の自動車ドアの生産者が、EU ETSの下で炭素価格が課された鋼板という投入材料を通じて、間接的にのみ炭素価格を負担するのと同様である。 この区分により、これらの川下製品に対して、排出量を帰属させ、それによってCBAMを適用するために必要なモニタリングの範囲はすでに簡素化されている。ただし、この拡張範囲には、より複雑な川下製品 ――特に、多数の投入物や構成部品によって構成され、しかもそれらが異なるCBAMセクターにまたがるもの―― が数多く含まれていることを認識すべきである。 これらの製品について実際の排出量を用いることは、行政上困難である。したがって、これらに適用されるデフォルト値には、上乗せ分を含めないことが提案されている。 |
| なぜ本提案において、追加的な迂回禁止規定が導入されるのか | 2025年3月19日の「鉄鋼・金属行動計画」で発表されたとおり、CBAMの迂回禁止枠組みは、ステークホルダーに指摘されたリスクや CBAMの移行期間中に特定された新たなリスクに対処するため、強化される。これらの新たな規定は、CBAMの強靭性を高め、ひいてはその環境的有効性を確保するものとなる。我々が目指すのは、貿易の円滑化であり、不正行為の助長ではない。 新たな迂回禁止規定は、炭素漏出の発生源を封じ込める取り組みと密接に関連している。CBAMの対象を川下製品に拡大し、消費前金属スクラップ(すなわち、消費者に届く前に廃棄された材料)をCBAMの前駆体として含めることは、炭素漏出のリスクに対処する上でCBAMの有効性を高める一助となるだろう。それでもなお、迂回の経路は残存するため、さらなる対策が求められる。 排出強度の虚偽申告のリスクについては、特定のケースにおいて追加の報告要件を導入することで対処する。これにより、CBAMの金銭的負担額の算定に影響を与えるCBAM対象製品の構成を、より正確に把握できるようになる。また 、対象を絞った追加の報告要件は、サプライチェーンのトレーサビリティが不十分なことを悪用して排出強度を過少申告するリスクに対処するものとなる。 不正行為のリスクに対しても、具体的な措置を講じる必要がある。欧州委員会は、特定のケース(製品と原産地の組み合わせ)において、不正行為のリスクが高いことを示す十分な証拠がある場合、関連する生産者が不正行為に関与していないことを証明する追加の裏付け書類が提出された場合に限り、実際の排出量を使用できると決定する権限を有している。欧州委員会は、不正リスクが高いと十分に証明された場合、3ヶ月以内に対策を取る。これには、実測値を使用するために追加の証拠を要求することが含まれる。これらの証拠が提出されない場合、国別のデフォルト値を使用しなければならない。 |
| 暫定脱炭素基金は、CBAM対象製品のEU生産者が、残存する炭素漏出のリスクに対処する取り組みをどのように支援するのか | この新たな基金は、特定のCBAM対象品目を生産するEUの生産者に対し、残存する炭素漏出リスクの影響を軽減するための、一時的な脱炭素化支援を提供するものである。 このリスクとは、EUの生産者による製品が、同等の炭素価格が存在しない地域で生産された、より排出量の多い製品に置き換えられる可能性があるというものである。これにより、排出量の削減ではなく、世界的な排出量の増加という意図しない結果を招く恐れがある。 CBAMは、EU域内市場における炭素漏出のリスクには対処しているが、第三国市場における残存する炭素漏出のリスクには対処していない。本制度の対象となるのは、残存する炭素漏出の残存リスクが依然として高いと判断されたCBAM対象品を生産するEU ETS対象施設の運営者である。 同基金は、炭素漏出のリスクがある製品を生産する際に支払われたEU ETSの炭素価格の一部を、これらの生産者に払い戻す。EUの生産者は、支援を受けるためには、脱炭素化への取り組みを示さなければならない。 適格基準は、EU ETSにおける無償割当の文脈で使用されてきた過去の炭素漏出評価に基づいており、これらは貿易集約度と排出集約度に重点を置いていた。 |
| 基金は実際にどのように組織され、運用されるか | この基金は、加盟国と緊密に連携しつつ、欧州委員会の直接管理下で運営される。 基金の管理にあたっては、追加的な行政負担を最小限に抑えるため、EU ETSの既存の報告インフラおよびプロセスを可能な限り活用する。 つまり、事業者は、排出量や脱炭素化条件の達成状況に関する情報などを含む支援申請書を、加盟国の管轄当局に提 出することになる。申請の締切日は、EU ETSに基づく報告サイクルに合わせて設定される。 脱炭素化の条件を満たすため、事業者は、エネルギー監査で推奨されたプロジェクトを実施するか、気候中立計画に沿って直接排出量を削減するプロジェクトに投資することができる。 |
| 実施規則について、さらに明確な情報はあるか | 欧州委員会は、2026年1月1日からのCBAMの適用方法を明確化するいくつかの規則(実施規則)を採択した。これらは、 今年初めに採択されたCBAMの簡素化措置を反映している。これらの明確化により、すべてのステークホルダーにとって予測可能かつ透明性の高い枠組みが確立され、事業者に必要な確実性を提供するとともに、行政上の負担を適正な水準に抑え、EUのより広範な気候変動および産業目標との整合性を確保するものである。 これらの規則は、本実施段階から適用され、EU全域におけるCBAMの統一的な適用を保証するものである。 特に、欧州委員会は以下の内容を定義または更新した: ・排出量算定方法に関する実施規則 この規則は、第三国の生産者が製造する製品に含まれる排出量をどのようにモニタリング・算定すべきかについて、生産者向けの規則を定めている。これには、直接排出量および該当する場 合は間接排出量が含まれる。生産者がこれらのルールに従わない場合、その製品の輸入業者はデフォルト値を使用する必要がある。 ・排出量の検証および検証機関の認定に関する規則(実施規則1件および委任規則1件)この規則は、第三国の生産者が製造する製品に含まれる排出量をどのようにモニタリング・算定すべきかについて、生産者向けの規則を定めている。これには、直接排出量および該当する場 合は間接排出量が含まれる。生産者がこれらのルールに従わない場合、その製品の輸第三国の生産者が算出した製品の体化排出量が、独立した検証機関によって検証されていない場合、輸入業者はデフォルト値を使用しなければならない。したがって、これらの確認は、認定検証機関が遵守すべき検証の原則、および認定を 付与するための条件を定めている。これらの規則は、EU ETSおよび国際的に適用されるISO 規格に基づいている。認定の申請者は、EU以外の第三国に拠点を置くことも可能であるが、EUの認定機関による認定を受ける必要がある。入業者はデフォルト値を使用する必要がある。 ・CBAM証書の価格に関する実施規則本実施規則は、CBAM証書の価格の算定方法および申告者への提示方法について定めている。価格は、ETS排出権の週平均価格を反映するものとする。CBAM証書の販売は2027年2月1 日から開始されるため、2026年に輸入される製品については、CBAM証書の価格は当該四半期のETS排出権の平均価格を反映するものとする。 ・CBAM登録簿の最終規則に関する実施規則この新たな規則は、登録簿の標準化とセキュリティ強化を図り、承認された申告者やアクセス権限を委任された者、および税関当局によるアクセスを円滑にし、欧州委員 会と管轄当局間の情報交換を改善するものである。CBAM登録簿は、連絡、通知、登録、および検査の機能を強化し、欧州委員会、管轄当局、税関当局、CBAM申告者、申請者、事業者、および検証者間のシームレスな情報交換を可能にする。 ・認可CBAM申告者の地位に関する条件および手続に関する実施規則CBAM簡素化パッケージに基づき、他の管轄当局への照会を任意とすることで、認定手続が簡素化された。さらに、改正規則では、2026年3月31日 以前に認定を申請した輸入業者は、当該申請に関する決定が効力を生ずる日まで、暫定的にCBAM対象品の輸 入を継続できるという新たな規則が反映されている。 ・デフォルト値に関する実施規則本規則は、確定期間において適用される、統合品目分類コードおよび原産国ごとのデフォルト値を定めるものである。 税関当局との情報共有の範囲に関する実施規則。本規則は、各国の税関当局が欧州委員会とどのような情報を、どの頻度で、どのような手段によって共有すべきかを定めている。 ・無償割当調整の算定に関する実施規則ETSに基づく無償割当量は段階的に廃止される一方、CBAMは2026年から2034年にかけて段階的に導入される。本実施規則は、ETSの下で 無償で割り当てられる割当量の規模を反映させるため、償却すべきCBAM証書の数をどのように調整すべきかを定めるものである。無償割当に対する調整は、実際のデータに基づくか、あるいはデフォルトのCBAMベンチマークに基づいて決定される。 ・排出量算定方法に関する実施規則 この規則は、第三国の生産者が製造する製品に含まれる排出量をどのようにモニタリング・算定すべきかについて、生産者向けの規則を定めている。これには、直接排出量および該当する場 合は間接排出量が含まれる。生産者がこれらのルールに従わない場合、その製品の輸入業者はデフォルト値を使用する必要がある。 さらなる実施規則は、2026年初頭に採択される見込みである。 |
| CBAMは肥料にどのような影響を与えるのか | ・CBAMは、炭素漏出のリスクを防ぐため、国内産および輸入した窒素肥料に同等の炭素価格を課すことを保証する。 ・ 欧州委員会は、CBAMが国内の肥料生産および消費に与える影響をモニタリングしており、今後も引き続きモニタリングしていく。その目的は、食料安全保障とEU農家の収入を維持しつつ、肥料生産における排出量を削減することにある。 ・当該セクターの特殊性を考慮し、確定期間の初年度においては、それぞれのデフォルト値に1%という低いマークアップ(上乗せ率)が適用される。その他のCBAM対象セクターについては、マークアップは2026年に10%、2027年に20%、2028年に30%となる。 ・ この措置は、肥料輸入価格の上昇を緩和し、EU域内での肥料供給を確保することを目的とした一連の取り組み に寄与するものである。欧州委員会は、122件の養分管理対策(58件のエコスキームおよび64件の農業・環境・気候に関する取り組み)を通じて使用量を削減することで、肥料の供給確保に努めてきた。 ・EUは、尿素・アンモニアに対する最恵国(MFN)待遇関税の一時的な停止(2022年/23年)、肥料市場観測機関の設置、および パートナー国(カナダ、米国など)との貿易対話を通じて、供給源の多様化と市場のモニタリングを行ってきた。 また、再生可能エネルギー指令(2030年までに産業用水素の42%をRFNBO(再生可能燃料)由来とする目標)、 REPowerEU、クリーン産業協定、および今後制定される予定の産業脱炭素化促進法(任意の炭素強度ラベルを含 む)を通じて、より環境に優しい肥料の普及と脱炭素化を推進している。 ・さらに、欧州委員会は、持続可能な農業慣行を確保し、欧州における肥料利用の効率を向上させるため、「肥料行動計画」の採択に向けて取り組んでいる。 ・加えて、2025年末までに公表される予定の改訂版「国家援助ガイドライン」により、肥料製品も凝結鉄鉱石と同じく間接費用補償(ICC)の対象となる。欧州委員会は、肥料および鉄鉱石の造粒品に対するICCの適 用資格を確保するとともに、当該製品に関するガイドラインに基づく最大援助額の算定方法を適切に調整することで、ICCとCBAMの重複を解消することを目指している。 ・さらに、肥料セクターは暫定脱炭素基金(Temporary Decarbonisation Fund)による支援を受けることになる。CBAMの対象となる肥料製品の30%が、この支援の対象となる。 |
| CBAMはウクライナの生産および輸入にどのような影響を与えるのか | 戦争や経済への打撃にもかかわらず、ウクライナは数量(トン)ベースではEUへのCBAM対象品の最大の輸出国となっている。ウクライナは、主に農産物を輸出しているが、鉄鋼(EU向け輸出の12.3%)やセメント(EU向け輸出の0.6%) 、アルミニウム(EU向け輸出の0.3%)も輸出している。CBAM対象品の輸出は、ウクライナのGDPの約2%を占めている。 CBAMレビュー報告書によると、CBAMがウクライナ経済に与える影響は限定的であると見込まれている。モデル分析に よれば、ウクライナの鉄鋼製品に対する総需要は おおむね横ばいで推移すると予想され、2035年までに輸出量はベースラインと比較して約1%増加する見込みである。こ の影響が小さいのは、ウクライナで生産される鉄鋼の排出強度が(例えば中国やインドなどと比べて)比較的低いためである。念のため補足すると、CBAMは鉄鋼の生産時に消費される電力に伴う排出量(「間接排出量」)は計算に含めていない。 セメント、肥料、アルミニウム製品の輸出量に対する予想される影響は、割合としてはやや大きい(それぞれ+24 %、−25%、−3%)。しかし、これらは鉄鋼セクターに比べればはるかに小規模なセクターであるため、絶対額(ユーロ)で見れば、その影響は比較的小さい。これらの変動推計は、CBAMとは関係なく、製品市場の広範な変動によって、より大きな変動 をもたらす可能性があるという背景を踏まえて捉えるべきである。 全体として、鉄鋼業界全体への影響は比較的限定的であり、またその他のCBAM対象品の輸出がウクライナ経済に占める割合ははるかに小さいため、CBAMがGDPに与える影響は軽微であり、2035年までにベースラインと比較して −0.01%にとどまると予想される。 なお、本モデルでは、戦争の影響を完全に考慮に入れることはできず、その長期的な推移についても仮定を立てることはできなかった点に留意すべきである。とはいえ、本モデルは、他の第三国生産者のCBAM対象製品と比較したウクライナ産CBAM対象製品の特定排出量を踏まえた場合、EUにおけるウクライナ産CBAM対象製品への需要がどの程度増減すると予想されるかについて、ある程度の指針を提供している。ウクライナでは燃料排出量に対する炭素税が課されており、これが炭素価格導入の基礎となり得る。11月に採択された、申告者がデフォルトの炭素価格を使用で きるという措置により、ウクライナの事業者がCBAMの下で実際に支払った炭素価格についての請求手続きが大 幅に簡素化されることになる。 なお、世界の過剰生産能力がEUの鉄鋼市場に及ぼす貿易上の悪影響に対処するための規制において、ウクライナは適用除外とはなっていない点に留意すべきである。 |
| 欧州委員会のCBAMがウクライナに与える影響に関する評価は、他の研究と比べてどうか | CBAMの影響に関する研究はまだ多くありない。CBAMは2年前に適用が開始されたが、2026年1月1日までは報告 義務のみが課されているた。CBAMの金銭的調整が段階的に導入されるのはそれ以降である。したがって、CBAMの影響について、この制度を正確に評価できるようなデータは依然として極めて限られている。 CBAMがウクライナ経済により大きな影響を与えると推定する研究は、いくつか言及されている。 しかし、これらの研究は、CBAMがウクライナに与える影響のみを単独で検討しているに過ぎない。これらの研究では、CBAMが他の鉄鋼生産者にも適用されること、また、無償割当の段階的廃止に伴うEU域内での炭素価格の上 昇については考慮されていない。 これらの研究で用いられている静的なアプローチは、生産者(EU内か第三国かを問わず)への影響が、その生産者が他 の生産者と比較して相対的にクリーンであるか否かに依存するという、CBAMの現実を反映していない。 また、CBAMの金銭的調整が、EU ETSにおける排出権の無償割当の段階的廃止と並行して、段階的に導入されるということも念頭に置くべきである。 |
| この立法案の経済的影響はどのようなものか | CBAMの対象範囲に追加された川下製品は、EU経済全体に占める割合のほんの一部に過ぎない。したがって、全体として、この法案によるマクロ経済への影響はごくわずかである。 EUの一部のセクターでは、生産量や雇用が増加すると推定されている。これは、炭素漏出の防止による直接的な結果である。生産が第三国へ移転しないため、下流セクターへの適用拡大がないシナリオと比較して、EUの生産量と雇用は高水準となる。 同様に、炭素漏出の減少により、ベースラインと比較してEUの輸入はわずかに減少する。これは、下流セクターへの適用拡大により、国内生産品が第三国からの輸入品に置き換えられることが抑止されるためである。 最終消費者物価への影響はごく限定的である。CBAMの対象範囲に追加された多くの製品は、最終消費財の中間部品 に過ぎない。影響評価によると、セクター別では建設資材への影響が最も大きいと見られる。その他のほとんどのセクターにおける総合消費者物価への影響は、はるかに限定的である。 迂回行為や電力輸入に関連する措置については、マクロ経済的な影響はないと見込まれている。 |
| CBAMはWTO規則に準拠しているか | CBAMは、貿易手段でも、EU産業を保護するための手段でもありない。これは気候変動対策に重点を置いた環境政策の手段であり、WTO規則に準拠した非差別的な形で適用される。 WTO法の下では、その措置が真に環境保護を目的としており、保護主義的な目的ではなく、かつ公平な方法で適用される限り、WTO加盟国は、環境、人間の健康および生命を保護するための措置を講じることができる。 CBAMは、EUの生産者が対象となっているEU ETSを反映したものである。本日の提案に含まれる川下製品については、EU ETSの対象範囲に含まれない生産段階における排出量は、CBAMの対象とはならない。 CBAMの下では、輸入製品はEU製品と同等以上の待遇を受けることになる。この平等な扱いは、CBAMの3つの設計上の特徴によって確保される。 ・EUへ輸出する企業の脱炭素化への取り組みは、CBAMの支払額の低減につながる。 ・CBAM証書の価格は、EUの炭素価格制度の下でEUの生産者が支払う価格と同等となる。 ・EU域外で支払われた実質的な炭素価格は、調整額から差し引かれる。炭素価格が二重に支払われることはない。 一部の鉄鋼・アルミニウム集約型川下製品にCBAMを拡大する法案は、域内市場で販売されるEU製品と非EU製品との 間の完全な並行性を維持するものである。EU ETSと同様に、川下製品の輸入業者に対するCBAMの金銭的負担を算定する際には、EU ETSの対象となる生産過程から排出される投入材料の排出量のみが考慮される。これにより、事業者および輸入業者にかかる追加的な行政負担が軽減され、CBAMがWTO規則に完全に準拠し続けることが保証される。川下製品の輸入業者に対するCBAMの金銭的負担を算定する際には、EU ETSの対象となる生産工程を経た投入材料の排出量のみが考慮される。これにより、事業者や輸入業者への追加的な行政負担が軽減され、CBAMがWTO規則に完全に準拠し続けることが保証される。 この暫定脱炭素基金は、WTOの規則と整合的である。なぜなら、第三国市場で販売されるCBAM対象品のEU 生産者は、EU ETSにより、第三国の生産者が負担していない炭素価格を課されているからである。したがって、EU生産者は炭素漏出が継続するリスクに直面している。そのリスクとは、EUの生産者が製造した製品が、同等の炭素価格が設定されていない地域で生産された、より排出量の多い製品に置き換えられる可能性があるということである。これは、排出量の削減ではなく、世界全体の排出量増加という意図しない結果を招くことになる。 暫定脱炭素基金は、EUの生産者に脱炭素化支援を提供することで、なおも炭素漏出のリスクがあると特定された製品に対して支払われる炭素価格における既存の不平等な扱いを是正するに過ぎない。なお、この支援は輸出とは関連しておらず、炭素漏出の残存リスクが高まっている特定の種類の製品の生産を対象としている点に留意すべきである。脱炭素化支援は、当該製品がEU市場で販売されるか、第三国市場で販売されるかに関わらず付与される。さらに、製品の適格性を判断するための基準は、EU ETSにおける無償割当の文脈で使用された過去の炭素漏出評価に基づいている。なお、これらは貿易集約度と排出集約度に重点を置いていた 。 |
| この法案により、電力分野にはどのような変化が生じるか | 電力の体化排出量を算出するための方法論が改訂され、簡素化される。デフォルト値は、現行のように化石燃料のみならず、輸出国のあらゆる発電源の排出強度を反映した排出係数に基づいて算出されることになる。これにより デフォルト値が低下し、ひいてはCBAMの納付義務額も減少することになる。特に、本法案により、電力のデフォル ト値は平均で30%以上削減され、特定の国(例:ウクライナ)では60%を超える削減率となる見込みである。輸出国の脱炭素化の進捗度が高いほど、削減幅も大きくなる。 さらに、電力の実際の排出量を申告するための要件が簡素化され、実際の排出量に基づいて申告することがより容易になる。具体的には、仲介業者を介した特定の電力購入契約が認められるようになり、輸出時点における送電網の系統混雑がないことを証明する必要がなくなるほか、送電容量が明示的な容量割当によって配分される電力輸入の場合に限り、容量のノミネーション(指定)を証明すればよいことになる。これらの変更は、本法案が採択され次第、2026年1月1日以降に輸入される電力に適用される。 |
| 電力輸出に関して、各国がCBAMの適用免除を受ける可能性について、何らかの変更が予定されているか | 一方的な免除は導入されない。しかし、EUとの市場連携を進めている国々、すなわちエネルギー共同体加盟国に対し、明確化と確実性を与えるための新たな規定が設けられる予定である。 欧州委員会は、当該第三国が、電力市場に関するアキ(※acquis:EUの条約や規則などを含む法規則一式)をそのまま完全に自国に導入し、実際に運用していると評価した場合、当該第三国との間で覚書(MoU)を締結する可能性がある。この覚書には、まだTSO(送電系統運用者)間で行うべき技術的作業を含めたCBAMの適用免除に関するスケジュールの詳細や、発電分野におけるEU ETSに相当する炭素価格設定メカニズムの導入に関する詳細が定められる。 |
| この法案は、第三国に不利益をもたらすもう一つの一方的な措置なのか | 我々は、産業の競争力を守り、「クリーン・インダストリアル・ディール」および「鉄鋼・金属行動計画」を着実に実行していかなければなりない。10月の欧州理事会においても、この点について約束した。現在、私たちはその約束を果たしつつある。CBAMも今回の法案も、一方的な貿易措置ではありない。これらは炭素漏出を回避するために設計された環境対策である。私たちは欧州での脱炭素化を求めており、排出を 他地域に移転させることを望んでいない。ETSとCBAMは密接に連携しており、自国の生産者に課さない措置を第三 国の生産者に課すことはありない。 CBAMは産業の脱炭素化を推進する原動力であり、我々はそれが今後も確実にその役割を果たし続けるようにしている。CBAMはすでに機能している。多くの第三国は、自国の政策を調整している。EU 以外にも80カ国が炭素価格制度を導入しており(世界のGDPの3分の2を占める)、例えばブラジルやメキシコも、最近 炭素価格制度を導入した。同時に、CBAMの実施にあたっては簡素化や柔軟性(例えば、算定方法の簡略化)を導入しており、炭素税・ 炭素価格控除における「同等性」の概念についても検討を進めている。CBAMは、そこから得られる収益を目的として策定されたものではありない。そのような見方は全くの誤解である。 最後に重要な点として、本法案には、交渉による貿易円滑化措置(信頼できる認定機関の相互承認)や、炭素価格控除の同等性に関する 新たな枠組みを可能にするような、新たな条項を盛り込んだ。 |














